このサイトにある画像は、ほとんどが 35mm フィルムで撮影されたものである。
実は、私はデジタルカメラを持っていない。その場で出来栄えを確認して撮り直したり、PC上でコントラストや色調を調整したりと、確かに便利なのだが、何故か好きになれないんだな・・・
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OLYMPUS OM-1N
10代前半からずっと使っているオリンパスの 35mm 一眼レフカメラ OM-1N。
AF・AE機能を全く持たない完全マニュアル機。かろうじて露出計用の水銀電池を装備するものの、シャッター等の撮影する為の基本機能には電源を全く必要とせず、そのため低温での電圧低下の影響とは無縁で、“南極に行ったカメラ”と云われていた。
反面、フォーカスはもとより、露出、シャッター速度まで、全て自分で設定しなければならないので、機械に裏切られて失敗なんて事はありえず、全ては自分の問題。色々と勉強になるカメラだった。
小型軽量。ボディ 510g に標準レンズ 165g で合計 675g。何より、ペンタプリズム部の尖った形状が一番美しかった。他社の一眼レフと大きく異なるのが、シャッター速度ダイアル。一般的な一眼レフでは、ボディ上面に、小さなドラム状のものが配置されるが、OM-1 では、レンズマウント基部にリング状に配置されている。その代わりにボディ上面にあるのは、少し大げさなフィルム感度ダイアル。
このリング式シャッター速度ダイアルは、安物のコンパクトカメラと同じで、まがいものみたいな気がして嫌だったのだが、一般的な一眼レフに見られるシャッター速度ダイアルをボディ上面に配置するというフォーマットは昔のライカの単なる模倣。ファインダーの中で露出計の針を追うTTL方式のカメラでは、リング式の方が理に適っているんだそうだ。なるほど、そう言われれば納得出来る。また、代わりにボディ上面に配置されたフィルム感度ダイアルも伊達ではなく、わざと大きく作って中身に露出計の機構を詰め込み、ボディの小型化と操作性の向上を両立させているという。実に巧妙だ。
レンズは標準の ZUIKO 50mm F1.8 と、少し後になってから手に入れた 65〜200mm ZOOM F4 を使用。私はこの2本と T20 フラッシュぐらいしか持っていないが、“宇宙からバクテリアまで”と云われるぐらい拡張性は高かった様だ。
OM-1 にはクロムとブラックがあり、私が使用しているのはブラックボディ。真鍮製なので、磨いているうちに角の部分だけ金色になった。ていうかね、何処かで年季の入ったブラックボディの PENTAX 6X7 を持ってるプロカメラマンを見掛けてね。黒のボディの角だけ金色に剥げてるのがたまらなく恰好良くて、確信犯的にブラックボディを取り寄せたんだ。
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OLYMPUS PEN S 2.8
小学生時代に使っていたオリンパスペン。1960年代のコンパクトカメラだ。私が初めて触れたカメラで、親父が学生時代に卒論のために購入したものだと聞いている。ひび割れたボロボロの革ケースに入っていた。
世界初の 35mm ハーフサイズ。普通の 35mm フィルムを2分割し、普通に構えて縦位置の写真が、24枚撮りフィルムなら48枚、36枚撮りなら72枚まで撮影可能。当時はフィルムも現像も、今よりずっと高価だったから、そう言う意味ではとても経済的だった。だけど、その高価なフィルムを無駄に使う訳にもいかず、なかなか現像に出せなくて・・・
固定焦点のバカチョンではなく、全て自分で設定しなければならない完全マニュアル機だった。露出計さえ付いていなかったので、晴れなら f=8 1/250、曇りで f=5.6 1/125、日没近けりゃ f=4 1/60。後は、要求されるシャッター速度に応じて絞りを増減してと、かなり大雑把ではあるんだけれども。(5m f=8 1/125 ぐらいに設定しておけば、咄嗟にシャッターを切っても、大抵のものは失敗無く写る設計らしい)
意識して使っていた訳ではないが、前述の OM-1 とは共通点があって、どちらも米谷美久氏という天才技術者の設計である。
■Olympus Pen Gallery 〜偉大なるハーフカメラ
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OLYMPUS ACE
オリンパスペンの後、OM-1 を入手するまでのしばらくの間使っていたカメラ、親父のオリンパスエース。
1950年代終わり頃の、世界初のレンズ交換可能なレンズシャッターカメラ。標準の他に、広角・望遠の交換レンズがあって、茶色い革筒のケースに収められていた。ファインダーには3種類の枠が表示されていて、中央に黄色いレンジファインダーの二重像が出た。革とフィルムの香りがするカメラだった。
その他にも、叔母のアサヒペンタックスSPを借りていた事もあった。こちらは純粋な一眼レフ。ねじ込み式のマウントだった。“被写界深度”という言葉を覚えたのは、この頃だ。家には、標準レンズの他には広角レンズしかなかったから、絞りを開けて背景をぼかし、標準レンズで望遠レンズっぽい効果を狙ったり・・・

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NIKON ZOOM 310 AF/QD
ニコンのコンパクトカメラ ZOOM 310 AF/QD“メタルズーム”。1995年製。
ツーリング中のスナップ用には、雨天の走行中に濡れても、転倒したり落しても安心の使い捨てカメラを愛用していた。決まってコニカ製。フラッシュスイッチが固定可能なスライド式で、二輪で走行中の撮影が可能だったから。
それでも、使い捨てカメラに足りないもの・・・フラッシュの絶対的な光量と、スローシンクロ機能、セルフタイマー、欲を言えばズーム・・・その辺りの機能が欲しくなって、35mm のコンパクトカメラを買った。
プラスチックではなく金属で出来ているものをと探して見つけたのが、ニコンのメタルズームだった。厳密に言えば、これもプラスチックボディなのだが、前面と上面の銀色の部分は、塗装ではなくアルミパネルだ。これにハクバのコンパクト三脚を合わせて持ち歩いた。
昼から夜まで、広角からちょい望遠まで。ズームに頼って横着しない限りは、メリハリの効いたスナップが撮れるようになった。
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KYOCERA SAMURAI x3.0
京セラの SAMURAI x3.0 を持ってた事がある。80年代の後半に坂本龍一がCMをしていたヤツだ。
珍しい 35mm ハーフサイズの一眼レフで、ビデオカメラの様な縦型ボディ。フィルムの走行方向が上下方向なので、通常のハーフサイズカメラとは違い、普通に構えても横位置の構図だった。プログラムAEとオートフォーカス、25〜75mm の3倍パワーズームが搭載されたフルオート機。
エルゴノミックデザインが特徴だった様だが、アクショングリップを装着してても、片手での撮影では手ブレが多かった。電源を必要としないマニュアル機ばかり使ってきた私にとって、突然の電池切れや、電源のオートオフ機能が鬱陶しかったりして、1年ぐらいで売却。ちょうど、Gallery1 や Gallery2 の様な、真夜中の撮影に夢中だった頃だから、ハーフサイズでは画質が粗過ぎ、またフルオートマチックでは、つまらな過ぎたんだろう。
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CASIO EXILIM ZOOM EX-Z850
プログラムAE・絞り優先AE・シャッタースピード優先AE・マニュアル露出が選択出来る高機能コンパクト機。810万画素。光学3倍ズーム。
AF補助光・撮影ライト兼用の白色LEDを装備し、ピントが合いづらい夜間や暗い室内での撮影に対応。液晶ディスプレイも明るくなり、ディスプレイが見づらい直射日光下の撮影に対応。加えて、光学ファインダーも健在。以前使っていた EX-Z55 で不満に思った所が、ひとつひとつキチンと解消されている印象である。シャッターの感覚も改善されている。
マニュアル機能などにより、表現力の向上だけではなく、撮影可能な被写体の幅自体が劇的に広がった。任意のシャッタースピードが選べるため、三脚さえあれば、フルオートでは撮れなかった、ほぼ真っ暗な場所の被写体が、フラッシュ無しでちゃんと撮れ、任意のISO感度を選べるため、高感度固定の夜景モードとは違って画質も粗くなり難い。
完全なマニュアル露出よりも、絞り優先AEやシャッタースピード優先AE+露出補正(十字キーに設定)あたりの使い方が扱い良い気がする。
但し、絞り優先AEとマニュアル露出モードで設定出来る絞りは F2.8 と F4.0 の2段階しかなくて残念。通常のプログラムAEとシャッタースピード優先AEだと F5.6 と F8.0 まで絞ってる様に表示されるが、物理的に絞ってるのは2段階だけで、後は電子的に光量を落としているだけらしい。よって、被写界深度に変化が生じるのは2段階だけ。
EX-Z750 の後継のフラッグシップモデルだったが、画素数で勝るフルオート機 EX-Z1000 が発表されたため、発売後たった2ヶ月で微妙な立場に。その際の価格下落に乗じて入手した訳だけど。デジタルカメラを好きになった一台。
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CASIO EXILIM ZOOM EX-Z55
初めて手にしたデジタルカメラ。500万画素、光学3倍ズーム。特にこだわりは無くて、デモ機を触ってみて、一番直感的に操作出来たのを選んだ。
EXILIM シリーズの中では、光学ファインダーを残した最後のモデル。2.5型の大型液晶ディスプレイの基盤部分に穴を開けて光学ファインダーを収めている。ディスプレイが見づらい直射日光下や、電池残量が少ない時、手ぶれ防止に有効だ。
また、起動時間とレリーズタイムラグの短縮を追求するとともに、メインスイッチとは別に背面にダイレクトONボタンを配置、さらにオートパンフォーカス機能を搭載するなど、数々の代替手法で、デジタルカメラ特有のまだるっこしさを軽減しようとしているのが判る。
実際に使ってみた感想だが、手ぶれしやすいね。現在のデジタルカメラ全般に言える事だけど、カメラを身体の前に出して液晶モニタを見る姿勢は、想像以上に無理があるようで・・・
ただ、やはりパソコンで編集出来るのは良い。フィルムカメラ世代には、撮った状態のまま絶対弄らないというポリシーの人も多いが、私は弄っても構わないと思う。写真が表現の手段であるならば、作者の印象を伝えるための編集作業は自由だ。
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