●ベクトルの逆転した憧れ
> そういえば一度聞いてみたかったのだけど、
> 岸本さんにとっての「バーチャル世界」って
> どういう位置付けなんだろう?
> サイバー久保寮という場所を造ることにした、
> きっかけはあるのかしら?
きっかけは去年の明徳荘です。※1999年8月
当時の私はいくつかの理由により現在のATCを私達の世代とは
全く別のものとして見ていました。
1つ目はジムカーナ中心の活動になっていた事。
私達はある意味“連続する憧れ”をもって歴史をつくって来ましたが、
走りのスタイルが変わっている事で、
どこか不連続なものを感じていました。
2つ目は久保寮が閉鎖されてしまった事。
久保寮は世代交代を繰り返すATCにあって実体を伴う唯一のもの。
その閉鎖と同時に私は帰る場所を失ったような気になっていました。
3つ目は東北に来て3年、
以前のようになかなか神戸に戻る事が出来ず、
私が直接知るメンバーが皆無であった事。
去年の明徳荘での現役生達を見ていて、
私はそれが間違いであった事を知ります。
彼らはジムカーナやビッグバイクという現在の走りのスタイルに拘る事無く、
単車乗りとしての“連続する憧れ”をもって歴史を刻んでいて、
私達の頃には存在しなかった携帯電話で久保寮の機能を代替し、
そして当時の私達と同じ様に明徳荘で大暴れしていた。
加えて窓側にいた私達OBよりも色々な意味で
確実にパワーを持っていると感じました。
私の中で“連続する憧れ”のベクトルが逆転した瞬間です。
仙台に帰った私は、
ネット上でツーリングチームを逆募集しオファーを待ちます。
同時に教習所にも通い大型二輪免許を手に入れます。
それらが一段落した11月、
次のステップとしてCyber久保寮を立ち上げます。
Cyber久保寮設立の原動力となったのは、
私の彼ら(貴方も含めてね)に対する“ベクトルの逆転した憧れ”です。
この憧れを他のOBと共有する事によって走り続けられる事。それが目的。
去年の明徳荘ではOB側がかなり冷めていた様に感じたので、
現役の活動状況を伝える事で少しでもヒートしてくれればと考えました。
私にとってのバーチャル空間は現実と同時に進行しているもうひとつの空間。
業務系アプリケーションの裏側に密かに存在する別の世界。
たぶん貴方が知りたいのは、
私にとってCyber久保寮の時制は過去か現在か?という事でしょう?
紛れも無く西暦2000年〜現実に追われる現在です。
1989年、先輩達の背中を追ってた私は、
2000年、貴方の背中を追っています。
2000年10月15日 PM 7:53
KENJI KISHIMO†O
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