●日出処の天子へ 〜 組織について考える #2
“来る者は拒まず去る者は追わず”
“誰がサルやねん(笑)”
もう10年も昔、神戸のツーリングサークルの現役だった頃、
仲違いをして辞めたメンバーを肴に呑みながら、残ったメンバーでしていた会話です。
私はこの台詞をこの後、色々な場所で幾度と無く聞く事になります。
そうやって、10年経って今思う事。
“来る者は拒まず”という台詞を口にする集団に限って、
新参者に寛容ではないという事です。
そういった集団は、新参者に対して無関心だったり、
暗黙の了解とか内々の掟の様な内側にいるメンバーからは見えない障壁が存在してて、
誰かが拒む以前の問題として、構造的に入り込み難くなっていたりします。
最初から“違法改造車お断り”とか“ハーレィ専門”とか
“水冷限定但し空冷油冷車は車体にらじえたあと書いた紙を貼って来る事”
と銘打った集団の方が、ボーダーラインが明確である分、
目に見えない障壁を抱える集団よりフレンドリィだったり・・・
私は組織のもつ排他性は大嫌いですが、
曖昧な集団のもつ理由のない排他性ならばそれ以上にうんこ召し上がれです。
“来る者は拒まず去る者は追わず”
〜無関心や構造的な障壁の存在を、無意識に糊塗しようとする言葉です。
逆に、新参者に寛容な集団には、
新参者と既存のメンバーの間を取り持つキーパーソンが必ず存在します。
皆が皆そうであれば理想的ですが、最低でも1人いれば新参者は安心します。
“皆が皆そうであれば理想的”と書いたのは、
単にソウダッタラスバラシイという意味ではなく、
キーパーソンの負担が少なく済むという意味です。
新参者の問題に限らず、人間関係上の調整の負担というのは、
結構馬鹿にならないものです。
キーパーソンの負担といえば、親離れの問題もありますね。
参入してからある程度経ったメンバーは、
集団の中での自分の場所とか自分のチャネルを持つようになりますし、
キーパーソンもそうなる様に援助するのですが、
まれに親離れしないメンバーも出て来ます。
またごくごくまれに集団自体が親離れ出来なくなる場合もあるようです。
ドラえもんかハクション大魔王のような存在ですね。
テレビの中のドラえもんや大魔王は最終回までブチ切れたりしませんが、
現実の人間では、悪くすると過度のプレッシャーやストレスが集中して破綻したり、
良くても意図的に突き放して親離れを促したり・・・
キーパーソンは表面上は新参者に頼られている訳ですが、
同時に調整能力やチャネルのない既存のメンバーにも頼られている訳で・・・
双方向からのプレッシャーによって、
突然22世紀の世界や魔法の国に帰ってしまわれても無理はないですね。
教習所の教官である貴方は職業としてバイクに携わっている人だけど、
少なくともプライベートな時間には、
本当にやりたい事を立場に囚われる事なく自由に追求するべきだと思います。
私達の多くも、生活の一部、趣味としてパイクを選んでいる訳ですから、
不相応な立場に囚われたり、不本意な無理をしたりする事なく、
出来る限り自由でいたい。互いバイクに疲れてしまわないように。
クラブの枠を離れた貴方の理想とする活動がどのようなものになるのか、
私は非常に興味があります。
2002/04/01+01:17:56
KENJI KISHIMO†O
|