明徳荘へのカウントダウンダイアリー
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6月29日木曜日
NHKで放映されたドキュメンタリー“96歳の大滑降〜立山に挑む”
日本スキー界の重鎮、三浦雄一郎の父親の立山滑降で、
“もし今年も成功すれば来年もまた挑戦する”
という彼の言葉からインスパイアを受ける。
彼は96歳。
もう自分ではスキー板を担いで登る事は出来ず、
ブーツも片方だけしか背負って登れないらしい。
それでも雪の立山に登り、
危なげも無く、綺麗なフォームで降りて来る。
今年上手く降りて来られれば、来年もまた挑戦する。
来年も降りて来られれば、また再来年。
そうやって100歳まで続けていたいと言う。
彼の考え方は正しい。
いま出来ないでいることを、リタイヤしてから本当に出来るか?
確かに若いうちに出来なかった事を、
歳を重ねてから実現させる人もいる。
それはそれですごい事だと思う。
でも多くの場合それは極めて困難な事で、
そこには想像を超える努力がある。
特に体力的な事であればなおさらだろうと思う。
私達は実現させた人を目にすることができるが、
実現できないまま諦めてしまう人ってどれぐらいいるんだろう。
いま出来ない事を“いつか出来る”なんて言い切れるのは
せいぜい20代半ばまでだと思う。
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6月30日金曜日
車で山形へ行く途中の高速道路。
天候は快晴。気温は30度。熱を持って重たい空気。
梅雨の最中とは思えない夏空。
こんな中を単車で走りたい。
1日中走り切って夜のパーキングの熱の残るアスファルトに倒れるまで。
たとえば、岡山。明徳荘に自分のマシンで行けたら・・・
週明けの発注作業があるので、
オフは木曜の夕方から日曜の夜までのジャスト72時間。
岡山までの自走を想定すると、行きは若干の余裕があるのだが、
帰りは完全に無理。日曜日夜からの発注作業がどうしてもネックになる。
一旦大阪あたりから航空機で帰って、
再度、別スケジュールでマシンの回収に向かう事も考えたが、
あいにくそんな暇もカネも出てこない。
そういえば、この前経済誌で、
ヴァージングループの会長のリチャード・ブランソンが言ってた言葉を思い出した。
“いくら偉くなっても冒険はやめない。
もし仮に私が突然いなくなって仕事が回らないならば、
私のこれまでの仕事の仕方は間違っている。”
日曜日いくらオフであろうと夜には出社して発注データの処理をする。
そうすることによって自らの仕事のクオリティを維持している。
そして良い結果が出た場合は、そのクオリティを評価してもらい、
反対に悪い結果の場合には、そうしている事がある意味エクスキューズになる。
確かに私のいまの仕事の仕方は間違っているのかも知れない。
私がいなくても回る仕組みを作ろう。
人間が場当たりに考えて判断するのと同じぐらいの仕組みは簡単に作れるはず。
ある精神分析医が言ってた言葉で、
“悲劇は複数の要因で起きるが、把握できるのは7つの側面である”
という言葉がある。
物事には数え切れないぐらいのファクターがあるが、
そのうち人間が把握出来るのはせいぜい7つぐらいだという。
その7つを私に代わって判断し計算する構文なんて、
案外簡単に記述する事が出来るだろう。
全日空に電話をして既に購入してあった大阪行きの航空券のキャンセルが
出来るかどうか問い合わせる。
キャンセル料は出発の4日前まで同額。しばらくそのまま保持する事にする。
アイドリングが不安定になる。
3番プラグキャップからエンジンのヘッドにリークしているのを発見。
とりあえず3番のみ補修。
残りも含めて、イグニッションケーブルとプラグキャップとの継ぎ目に
融着テープでシーリングが必要。
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7月1日土曜日
ひび割れていたがもう最後まで交換しないつもりでいた
フロントタイヤを注文する。
純正OEMの縦溝タイヤではあんまりなので、
排水性の良さそうなダンロップのGT501をオーダー。
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7月2日日曜日
総走行距離60,000kmのマシンの調子。
それから20代を過ぎた人間系の体力。集中力。
それから無茶なペースで自滅しない自制心。
どちらもバランスよく・・・いいとは言い切れない。
もしこれがどちらか一方の問題なら、
1,000km先の岡山まで行って帰って来ようなんて思わなかっただろう。
どちらもバランスよくそこそこ。
だから不思議と諦めない。気が逸れない。ヤメようと思わない。
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7月3日月曜日
午前中の仕事を一通り片付けてから、
8月6日の日曜日の午後、私に代わって発注処理を行うツールの製作に取り掛かる。
MS−AccessをベースにVirgin.mdbと命名する。
在庫数・入荷予定数・発注数・直近7日間出荷累積数
ケース入数・梱入数・配面数・・・
昼頃までに7つのファクターを把握し計算する構文を記述し、
午後の受注データで検証作業を行う。
と同時に最終生成データのデータベースへの反映処理も作ってしまう。
ほぼ問題無い計算結果を出せたが、いまひとつ信頼がおけない。
どうやら私がいつも把握し判断しているファクターは他にもいくつかあるらしい。
人間に把握出来るのは7つまでじゃなかったのか。
1日限りなのでこのままでも問題無いような気もするが、
さらに煮詰める事にする。
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7月4日火曜日
今日もツールの製作の続き。
誰に使わせるか解からないツールなので、誤操作防止のトラップを作っておく。
処理パスワードの認証と重複処理防止のためのフラグを追加。
一通りのルーティンが出来上がる。
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7月5日水曜日〜明徳荘1ヶ月前
明徳荘1ヵ月前。BBS“Cyber久保寮”を、
向こう1ヵ月限定で“Virtual明徳荘”に改称。
フォント色を夏向きのブルー系に変更し、現地の地図等をアップロードする。
現役の連中は何も知らずにOBが来るのを期待しているらしい。
今年は彼らの想像を超える程のOBを集めたる。そう思っている。
去年は現役の彼らからすごく影響を受け、
大型免許と今のクラブでのツーリングライフを手に入れた。
だから、今年はリターンマッチ。
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7月7日金曜日〜明徳荘まであと29日
大阪の実家に電話を掛ける。
“R69Sを貸すから飛行機で帰ってこないか?”
親父があのBMWを貸すなどと言い出すとは思わなかった。
但しR69Sは40年前の車体。
マニュアルデコンプのキックスタートで、
パンク一発でエアが抜け切る大径のチューブタイヤで、
前後まともに効かないドラムブレーキ。
しかも、“二輪のロールスロイス”と云われただけあって、
今まともに手に入れようとすれば200万は下らない代物。
当然遠慮しておく。
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7月8日土曜日〜明徳荘まであと28日
友人の結婚式に出る。
彼女のX−4はどうやら結婚資金に化ける事なく、
世界最速の嫁入り道具になったようだ。
正しい選択だと思う。
それまでの経験とこれからの生活。
新たにふたりで築き上げるものの方が無条件に尊いんじゃなくて、
全てかけがえのないもの。
本当に彼女達の父親が言うように“人生の荒波に漕ぎ出す”のならば、
なおさらそのかけがえのないもの全て使わないとやって行くのは容易ではない。
ある瞬間生まれ変わるなんてナンセンス。
1300ccの嫁入り道具。
乗らない旦那にはちょっと気の毒だけど、正しい選択だと思う。
結婚式の最中に単車屋から電話が入る。フロントタイヤが入荷したとの事。
週明けに交換することにする。
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7月9日日曜日〜明徳荘まであと27日
岡山バット事件の高校生って自転車で秋田まで逃げたんだね。
しかも食パンばっかり食いながら。
だったら楽勝やん。こっちはちゃんと燃料レギュラーガソリンやし。
お昼はちゃんとカツ丼定食食っちゃうし・・・
バテてて冷やしうどんかも知れんけど・・・
う〜ん
マシンの一部として缶コーヒーを燃料代わりに走り続けてるかも知れないなぁ。
岡山から仙台に赴任した時はこのパターンだったから、
実は一番こいつの確率が高い。
朝から蔵王経由で山形。
強風とガスと前日通過した台風が落とした落ち葉で少しめげる。
上山でクラブの連中と別れて山形道で帰って昼から仕事。
平地は台風一過の快晴。当日晴れますように。
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7月10日月曜日〜明徳荘まであと26日
もう換えるつもりの無かったフロントタイヤを交換。
ガソリンで皮をむくついでに、
以前から気になってたガソリンタンクの中の錆びを除去。
Fタイヤを外したときに、メーターケーブルの先端が錆びていたので、
外してグリスアップ。
ついでにクラッチとアクセルのワイヤーにもインジェクターで油を送り込む。
スーパートラップサイレンサーのガスケットも排気漏れしてたので新品に交換。
まだ洗車してないので、ガソリンやグリスやCRC556にまみれてるけど、
今のコンディションは最高。
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7月11日火曜日〜明徳荘まであと25日
岡山バット事件の続報。少年が途中で3回自転車を乗り替えた事が判明。
やっぱり壊れるわな。大丈夫かなこの単車。ちょっと不安になる。
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7月12日水曜日〜明徳荘まであと24日
このページをアップする。
マシンの状態とシステムの開発とスケジュールに
いまひとつ確信が持てなかったので、
アップせずにローカル環境で更新していたが、
どれも一段落ついたためパブリッシュする。
同時に航空券もキャンセル。
出発4日前までならキャンセル料は同額なので、
間際まで持っていたほうが利口だが、
気合を入れるためにキャンセルする。
行くで。
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7月13日木曜日〜明徳荘まであと23日
健太さんが来る。昨日の未明に和歌山を出て静岡から長野経由で仙台入り。
その後北海道に向かうというロングツーリング。
2日で1,000km。“BMWは疲れない”って言うけど、本当にそんなモノなの?
雨の中を群馬からアベレージ160km/hで北上。
途中、那須高原あたりで雹に遭ったらしい。
白石インター近くのコンビニでグリーンのBMWを見つけて牛タン屋に行く。
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7月14日金曜日〜明徳荘まであと22日
朝からツーリング。健太さんと岩手まで北上する。
R45で松島、渋滞の石巻市内を抜けて気仙沼に着いたのが午後3時。
名物のフカヒレ寿司とたまたま水揚げされたマンボウの刺身を食う。
気仙沼から一関に抜けて日の暮れかかった東北道を盛岡まで北上。
小岩井農場から森の中のワインディングで
網張の露天風呂に着いた時には真っ暗だった。
ソロツーリングだとついつい食事を忘れて距離を稼ぐので
食い物をテーマにルートを組んだが、
盛岡の冷麺は時間の都合でキャンセル。
仙台までの帰りの高速は温泉の魔力にやられてフラフラだった。
アベレージ120km/hが限界。
来月は大丈夫だろうか。特に帰りが心配だ。
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7月15日土曜日〜明徳荘まであと21日
朝から会社。実質的に2日早い週明けだ。しかも今週は連続8勤。
今週は海の日を合わせて休日が3日あるはずだが、
会議や役員来訪で3日とも飛んでしまった。
やはり温泉の後の200kmはきつかったらしく身体が重い。
単車もヘルメットも虫の死骸だらけなので洗車しようと思っていたが昼から大雨。
明徳荘まであと20日なので、再度案内文書を送信する。
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7月16日日曜日〜明徳荘まであと20日
朝から洗車。フロントカウルにひび割れ発見。
前後ともサス&ショックがへたっているので、かなり振動を拾っているらしい。
純正でなくスクリーン付き¥15,000で売ってた怪しいカウルだからしょうがないか。
補修のため取り外して久々のノンカウルで乗ってみる。
風は気持ちけど、これで長距離の高速はツライよね。
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7月17日月曜日〜明徳荘まであと19日
かなりへこんでいる。
本来なら今日はオフだったのだが“業務命令”で、
うそつき野郎ばかりのクソ会議に出席。
バカ上司が評価されたいがための“気合いの入った全員出席ポーズ”
迷惑な話だ。
こいつを含めて私は今月6日分のオフをふっとばされた。
今週は悲劇の連続8勤だ。
そのため昨日の夜中、皆既月食の赤い月の下で、
今日やるつもりだった整備をしていた。
本当の悲劇はその時に起こった。
先日家の前にパッシブスイッチの防犯灯がついた。
人が通ると勝手に点灯するヤツ。
ついたというより管理会社に無理矢理つけさせたのだが、
夜間の作業に重宝していた。
その防犯灯の足元が排水溝になっていて微妙に傾斜がついていた。
ここまで書いたらたぶん解かると思うが、
タバコを吸おうと離れた瞬間、勝手に倒れた。
クラッチレバー折損、ゼネレータカバー擦過、
左スーパートラップサイレンサー擦過、以上。
勝手に倒れた割には被害はひどくゼネレータカバーは
半分ぐらいベースの白地が出ていて、
スーパートラップはクロムメッキがはげていた。
レバーは交換、ゼネレータカバーは再塗装が必要、
スーパートラップは・・・どないもならん。
速攻ゼネレータカバーの再塗装をして、
乾かしている間にウインカーやマフラーの位置を直して、
ステップ回りやハンドルエンドの研磨を入れた。
ゼネレータカバーの金色のKawasakiのロゴを細筆で入れて
取りつけたところで午前2時。
月はすっかり元に戻っていた。テレビのニュースで言ってたよ。
“1時間47分のドラマ”だって。
タンクはへこまなかったが、かなりへこんでいる。
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7月18日火曜日〜明徳荘まであと18日
Cyber久保寮のCGIをめくっていて、
日本語変換用jcode.plのバージョンがとんでもなく古い事に気がついた。
Ver1.9という1994年のもの。
現在は大抵どんなCGIでもVer2.0以上を要求する。
早速最新のものに入れ替える。ezWebはダメだったけどi-MODEは良好。
i-MODEからの送信がずっと文字化けしてた原因が解明された。
帰ってからクラッチレバーを交換。
でもレバーを買いに行くのって、とんでもなくこっぱずかしいもんがあるわな。
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7月19日水曜日〜明徳荘まであと17日
Cyber久保寮 i-MODE VERSIONを作る。
今日は本来ならオフ。取締役来訪のための表敬休日出勤・・・と言うより、
一昨日の会議と同じくバカ上司が評価されたいがための
“気合いの入った全員出席ポーズ”だ。
当然する業務はほとんど無くSHTMLを書いていく。
書いていくうちに書き込みとメッセージの表示ページを分割したり、
メニューを新たに作ったりというアイデアが沸いてくる。
午後になって完成。
でも、即“メッセージが最後まで表示されない”という不具合報告が入る。
その後、CGIを開けて表示に使っていない環境変数の書き出しを
無効にする改造を行い、ファイルサイズが約半分のi-MODE VERSIONが完成。
午前様。
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7月21日金曜日〜明徳荘まであと15日
現役から立て続けに連絡が入る。常包君と家氏君。
希望料理と宴会スタート時刻。
“いつもの通り”が一番。
無難とかそういうのではなくて、
いくら“ミレニアム”であろうと“20世紀最後の”明徳荘であろうと、
明徳荘は“いつもの通り”が一番いいよ。
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7月22日土曜日〜明徳荘まであと14日
やっと連続勤務から解き放たれる。今日はエキパイのパテ埋め。
一昨日の岩永さんの海の中道からの書き込みで思い出した。穴開いてたんや。
錆落とししたいけどどこまでボロっといってしまうかわからないのでやめとく。
そのまま埋めちゃえ。
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7月23日日曜日〜明徳荘まであと13日
キーホルダーが壊れた。
YELLOW CORNの初期の頃のモデルで三角形の皮製のやつ。
まだEliminator250SEに乗っていた頃から使っているものだ。
その当時はYELLOW CORNも普通のショップには置いていなかったから、
東京の直営店に現金書留で注文しなければ手に入らなかった。
最初の定番レスキュージャケットを注文した時にオマケで付いて来たものだ。
そりゃ10年も使ってりゃ壊れもするわな。
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7月24日月曜日〜明徳荘まであと12日
会社が終わってから南海部品に行く。昨日壊れたキーホルダーを買いに。
午後7時閉店なので仙台市内まで高速を使わないと辿り着けない。
おまけに他にまともなパーツショップもない。毎度の事ながら不便この上ない。
しかも店に着くと駐車場に単車が停まっていない。悪魔の臨時休業。
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7月25日火曜日〜明徳荘まであと11日
再び南海部品へ。今度はちゃんと営業してた。
でもYELLOW CORNのキーホルダー置いてない・・・
“HRC”“YAMAHA”“Kawasaki”“ヨシムラ”“モリワキ”
“BELL”(?)なんじゃそれ・・・
“Kawasaki”を買えばいいものの単車と同様高級感ってものを感じられず、
(もっとも一番安かったけど)
唯一真鍮製の金具を使っていた“ヨシムラ”を買ってしまう。
SUZUKIの4ストなんか乗った事無いけどええか。
会社に戻ってPHONE.COMのサイトから
開発者向けシュミレータUP−SDKをダウンロードして、
Cyber久保寮ezWeb版のテストをする。午前様。
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7月28日金曜日〜明徳荘まであと8日
この1週間仕事が異常に忙しい。
午前様続きでメールの返信もままならない。
マシンの整備も当然出来ない。
カウントダウンのネタになるような動きは何も出来ない。
今日は実質的に明徳荘までの最後のオフだが朝からシステム異常で呼び出される。
おまけに午後からは雨。
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7月29日土曜日〜明徳荘まであと7日
明徳荘まであと1週間。実質の出発日までは5日しかない。
午前中に補修したフロントカウルのマウントを行う。
高級なFRPではなく安価なABS製なので、振動でヒビが広がる恐れがある。
マウントの耐震ラバーブッシュを2倍にして対応した。
後は積んで行く工具の選定をしなければならない。
純正の車載工具は欠品だらけ。というよりはなから使うつもりは無いんだけど。
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7月30日日曜日〜明徳荘まであと6日
鈴鹿8耐。今年はTV中継が無いらしい。
昼過ぎCyber久保寮に現地に行ってる家氏君&常包君からレポートが入り始める。
最後の1時間は仕事そっちのけで速報サイトからのテキストデータを読む。
4日後、仙台〜大阪の8時間耐久が始まる。
200km/h以上のスピードで走る必要がない代わり、リタイヤも出来ない。
8時間経過したとしても目的地に辿り着くまで終わらない。
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7月31日月曜日〜明徳荘まであと5日
マシンの整備は完了。洗車はまだしていないがまあまあ綺麗。天気は晴れ。
壊さないうちに写真を撮っておこうと思い、仙台空港の滑走路の端まで行く。
完璧な整備と言ったところで、60,000km13年目のご老体。
マシントラブルが出たら、最悪の場合仙台まで戻って来れない。
久々に出してきた一眼レフOLYMPUS OM−1(GALLERYページのロケで使用)で、
フィルム1本分を一気に撮り切る。
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8月1日火曜日〜明徳荘まであと4日
昨日の夜中のうちに車載する工具を選んだ。
役立たずの純正車載工具を降ろして積めるだけ積んでみる。
ソケット8/10/12/14mm、スパナ10/12/13/14/17mm、
ヘキサゴン3種、プラグソケット、
Tハンドル、エクステンション、ドライバ、ラジオペンチ、以上。
とりあえずはなんとかなるだろう。
出発まであと2日。今日は給油計画を立てる。
今回は夜半出発の磐越・北陸経由。
東北道を南下し、郡山で磐越道に入ってからは給油所の数が減る。
南廻りの東北・東名ルートと違い夜間は極端に通行量が少ないため、
24時間営業しているかどうかも怪しい。
Eliminatorの燃料タンクは12リッター。航続距離はたったの約230km。
JH上の給油所の最低設置基準は80km毎にひとつだから、
間違って給油所をひとつすっ飛ばすだけでまじガス欠の恐れがある。
そうなって来ると朝までの痛いタイムロス。
磐梯山あたりで1度目の給油。
その後新潟で北陸道に出て最初のSAまで195km。
かろうじて繋がりそうだ。
その後2回の給油で米原JCT。名神に出られる。
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8月2日水曜日〜明徳荘まであと3日
ツーリングネットを買うのを忘れてた。ロングツーリングは5年ぶりだから。
というより2泊3日ぐらいだといつもタンクバッグだけで事足りるので
すっかり忘れていた。
仙台市内まで買いに行ってられないので、
近所のホームセンターで荷掛けロープを買う。
帰ってパッキング。
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8月3日木曜日〜明徳荘まであと2日
25時。業務関係の最終のチェック中。特に問題は無い。
天候。曇っているが雨は降ってない。路面はドライ。
但し湿度が高いらしく少し霧っぽい。
ウェザーリポート。台風8号の進路と速度が気に掛かる。
北海道上空に停滞中の前線を刺激するので、
北日本の週間予報に雨のマークが出始めた。
体調。帰って少し寝たのだが風邪気味。熱っぽい。
走る前から関節が痛い。
マシンのコンディション。
人間側が少しボケ気味なのでいつになく調子は良く感じられる。
5分後出発。
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8月4日金曜日〜明徳荘まであと1日
R4を南下。白石ICから東北道へ。
郡山JCTで磐越道に入り、最初の給油地点の磐梯山SAまでノンストップ。
濃霧の中ペースダウンして県境を越え、新潟の手前で夜明け。
霧は晴れるが約20度。少し肌寒い。
新潟JCTで朝日を見る。北陸道を延々南下。2つ目の給油地点の米山SAでコーヒー。
3つ目の給油地点の小矢部川SAで朝食。
気温はかなり上がり車も増えてくる。
富山・石川・福井と進み、滋賀県。賤ヶ岳SAで最後の給油。
気温は30度を超えている。
米原で名神に合流。車多い多い。
と言ってるうちに滋賀・京都の県境のトンネルで渋滞。
慣れない真ん中すり抜け。東北に住むようになって明らかに腕が落ちてる。
京都南を過ぎ流れはジャスト100km/h。
追い越し車線の意味無し。同じく意味の無くなった皮ジャンを脱ぐ。
水分はなるだけ摂らない様にしていたが汗が止まらない。
中国道に分岐。予定していた中国豊中をパスし、
ひょうご東条まで足を伸ばす。気温37度。
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8月5日土曜日〜明徳荘当日
大阪の実家から中国道・山陽道経由で垂水JCTへ。
現役当時は無かった道。早い早い。1時間足らずで古巣の大蔵谷まで辿り着ける。
これが無かったらR171で西宮。阪神高速神戸線の渋滞に巻き込まれる事になる。
少し時間があったので大学付近を一周してから、第二神明で明石西。激混み。
加古川バイパス。思う様に縫って走れない。姫路東の別所PA着は10分遅れ。
偉いね。時間厳守。現役達は既に集合済み。並んで待っていた。
姫路から現役の後ろを走る。むかつく車は強引にブロック。
久しぶりでなんかええ感じ。
太子竜野からR250七曲り経由で明徳荘へ。
着いたら即買い出し。ノースリーブ&半ズボン&サンダルで荷物満載。
帰りに下のガソリンスタンドで給油している’88組発見。
走る先輩達を見るのって何年ぶりだろうか。
瞬間10年程過去へタイムスリップしたような気がした。
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8月6日日曜日〜明徳荘のそのあと
一旦神戸に入り2国ラーメンで皆と別れる。
迷いながら高速の入口を探す。
西宮名塩SA手前3kmで夕立。SAに逃げ込む。
30分程で上がり、また走り始める。
大阪の実家に寄る予定をキャンセル。
娘が夏風邪をひいているため、少なくとも今夜中、
夜明けまでには家に着きたい。
名神をそのまま北上する。福井県境で日没。
ペースは落とさない。
石川。右手に花火が見える。左手には日本海の漁火。
潮風でヘルメットがベトつく。
富山・新潟、真っ暗闇。視界に変化がない。かなり疲れる。
携帯からCyber久保寮に書き込む。
富山の手前でペース落としたのがバレてる。即畑谷からハッパが掛かる。
新潟24時。お約束通りPAのアスファルトに寝転がってみる。気分がいい。
バターみたいに溶けそうだ。
磐越越えはまた霧の中。気温が低い。磐梯山でホットのコーヒー。
福島・宮城。路面はウエット。夜半まで夕立が続いていたらしい。
宮城着午前4時。夜明け。
駐車場に入ったところでキルスイッチを切り、
惰性でアパートの駐車場を転がす。
ブーンJr.もCASAも無し。あっけなくツーリングが終わる。
まるで現役時代のいつもの週末、
神戸の港を一晩走って夜明け前に部屋に帰るような、
そんな感覚で2,000kmの旅が終わる。
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