(当コーナーの記載事項はある程度実際のプレイに基づいていますが、時として嘘・強調・紛らわしい表現が多分に含まれている恐れが有ります)
ドル足掻記
「STAGE59:ドルアーガの塔・59階(中編)」
ギルス「本題・・・?」
ドルアーガ「そう本題。出汁(ダシ)を取る化学調味料の銘柄じゃなくってよン?」
ギルス「(無視)」
ドルアーガ「あァんノーリアクションだなんて意地悪ねェ。お願いだからツッコんでよぉホラ早く早くぅ♪」
ギルス「スミマセン、これまでボケ役で調子に乗っていた事は謝りますからもう勘弁して下さい・・・」
何か最近すっかりギルスがボケなくなりましたがボケ同士だと話が終わらないので筆者も辛いのです。ううう。
で、それはさておきまして、ドルアーガの云う「本題」とは?
ドルアーガ「簡単なコトよン。アタシと共に、世界の総てを闇に染めてみないか、ってお誘いなの。月並みだけど、成功の暁には地上界を坊やにあげちゃってもイイわよ?」
そう云えば、アンシャーも前々回でギルスに自分の(ドルアーガの、では無い!)配下にならないか、と誘っている。サキュバスなどは初登場時からギルスを誘惑している(STAGE11・STAGE52参照)。悪魔達はギルスを、と云うか『神』の庇護を受けし『勇者』を自らの元へ引き寄せようとしている。その意図は何か?単純に考えれば、「敵の引き抜き」であるがこの行為の真意はそこには無い。「神の敵対者」である悪魔達にとって、まず証明したいのは『神』と呼ばれる支配者の『絶対性』を否定する事。『神』の側の存在をこちらへ引き込む事で『神(の陣営)』は『絶対』では無くなる(と云う解釈を悪魔達は持っている)。古来より、悪魔はそうした悪意の元に人間を誘惑していたのである。
しかし、バルスツーカやヘロドトーの様に心に(程度の差は有れど)闇を持つものなら兎も角、悪魔達が真に篭絡(ろうらく)したい存在である『光』の象徴、例えば『勇者』だの『聖人』だの呼ばれる存在は大抵そうした誘惑には引っ掛からない。まあ引っ掛かった時点でそうした称号で呼ばれる事は無いのだから当然だが、悪魔達にはいささか分の悪い勝負であるのかもしれない。
いや、だからこそ意味があるとも云える。そう、無理かもしれない相手にアタックする事が『彼』ら悪魔達にとってのロマン!!例えるならばルックスも学力も運動能力も一山いくらなダサガキが滅茶苦茶な調教スケジュールを立ててスキルアップして校内一のアイドルに「伝説の樹」の下で告白を受けよう、などと云う無謀な企画にも匹敵するような・・・
カイ「・・・ワケないでしょうっ!!!」
ギルス「うわぁっ!」
ドルアーガ「アラそう云えばアナタ達も下界に降りていたのね。」
いつの間にか、ギルスの背後には黄金の騎士・黒髪の巫女・精霊竜・女夢魔が居た。
黄金の騎士の鋭い視線は、一直線に眼前の魔王(でも給仕姿)を見据えていた。
100年の星霜を経て、宿敵同士が今再び相対する。(でも相手は給仕姿・・・)
ドルアーガ「・・・お久しブリねェ、ギルガメスちゃん?」
ギルガメス「・・・ドルアーガ・・・、お前、芸風変わったな・・・」
ドルアーガ「ンな事は筆者に云ってよ!?・・・で、何かしら?アタシは今、アナタ達の子孫ちゃんにとってもハッピーラッキーなお話をしてあげてるんだけど?」
カイ「よく云うわ!騙されないわよ!!100年前、あなたが行ってきた事を思い出しなさい!!」
クォックス「そーだよカイちゃんを石にしたのだって!!(いんたーみっしょん参照)」
ドルアーガ「もう全くそんな昔の事で目くじら立てる事も無いじゃないの。アナタだって無事元に戻れたのだし・・・・・・アラ?」
云うなり魔王はカイの周囲を歩き回り、しげしげと彼女を眺め回した。
カイ「な、なに・・・」
ドルアーガ「もう、ダメねんギルガメスったら。まだこのコの石化の呪い完全に解けてないじゃない!?こーやって頭を後ろから見てみたら、要石そのまま、」
カイ「そのネタ止めいっ!!わたしもすっごく気にしてるんだからっ!!」
サキュバス「あっははははは!!!(涙を流して大笑い)」
このネタはおまけステージ編まで取っておくつもりでしたが、話の流れでつい使ってしまいました。
あ、でもちゃんとおまけステージも使いますよコレ。だってあそこはこのネタの元ネタでもあるし・・・
サキュバス「痛ぅ・・・(←カイに殴られた)、ドルアーガ・・・しかし全くアンタも酔狂だねェ?アタイやあのジジイ(アンシャー)の誘いにも全く乗らなかったンだよ、この王子サマは!?今更アンタの誘いに乗るとでも思ってンのかい?もうステージも残り少ないんだし。」
ギルガメス「それ云ったら身も蓋も無いぞ。」
ドルアーガ「(ダミ声で)黙れや童(わっぱ)ども・・・」
ドルアーガが声の調子を変えるや否や、ただでさえ醜悪な『彼』の形相が、正に魔王よろしくより兇悪なものに変わる。
ドルアーガ「キサマら小物とこのオレ様を同列に扱うんじゃ無ェぞ!?さっきも云ったが、オレ様に取っちゃあ『黄泉の国』の封印などモノではない。時間さえかけりゃつまらん生贄や退屈な儀式などなくとも破る事が出来るんだ!それがどう云う事だか解るか?それは如何に神々とてこのオレ様を『滅ぼす』事は出来ねェってこった!!そう、オレ様には『負け』は無い。『負け』の無い以上、最後に待っているのは『勝ち』だ。オレ様に付きゃあ、勝ち組に残れるんだゼぇ?・・・ならばどっちに付くのが得策か、キサマになら判るよなボーイ!?」
瞬時に『彼』はギルスの横に移動し、その肩に手を回して話し掛けてきた。
ドルアーガ「(元のオカマ口調で)だ・か・ら、アタシの元においでなさいって。坊やはカワいいから、たっぷり可愛がってあげるわよン?・・・さ、先ずはこのお酒を・・・」
色々と動き回っていたにも関わらず、トレイの上のカクテルは一滴もこぼれていなかった。
魔王はそのグラスを手に取り、勇者の少年の前に差し出す。
ギルスはそのグラスを受け取り・・・、床に叩きつけた。
グラスは粉々に割れ、中の液体は絨毯に残らず染み込まれていく。
カイ「ギルス・・・!」
ギルガメス「・・・・・・(ニヤリ)」
ドルアーガ「・・・どー云う、つもりなの・・・?」
ギルス「愚かだよ、お前・・・」
少年は肩に回されている魔王の腕を振り解き、『彼』の正面に対峙する。
神妙な、それでいて哀れみの表情を見せながらギルスが云う。
ギルス「そんな『勝ち負け』の『有利・不利』で人の信条が容易く変わるとでも思っているのか?ボク達は常に損得勘定だけで動いているんじゃない、そんな打算的なものを超えた『何が正しいと思うか・思わないか』と云う信条によって行動するものなんだ!!お前は間違っている。ただ『神』の意思に反するだけじゃない・・・、何が『負けが無いから最後に勝つ』だ?負けが無いのは『負けが無い』だけであり、勝ちには繋がるとも限らないぞ?それに、お前は遥か太古にイシター様に敗れ、また100年前も御先祖ちゃんに敗れた。『負けている』んだよ!二度も。負けが『無い』んじゃない、お前が『認めていない』だけなんだ!!アンシャーはヘタレだったけど、お前は云ってしまえば自分の非を認めないただの駄々っ子じゃないかっ!!」
この「バビロニアン・キャッスル・サーガ」世界の観念とは実は異なるかもしれませんが、今のギルスの科白が筆者の考える神・悪魔の概念の一端です。『神』が『神』足りえるのは偏(ひとえ)に『絶対』であるからであり、『悪魔』と云うものは敵うはずも無い相手に対し彼我の差も認識せずにイキがっている、足掻いているに過ぎないと考えています。ドルアーガが足掻いている話、略して「ドル足掻記」・・・・・・ばんざーーい!
カイ「大喜利かコレは・・・」
サキュバス「あっははは、流石は王子さまだよ!ドルアーガ、これもアンタの『負け』だね・・・」
ドルアーガ「そう・・・、交渉は決裂なのね・・・・・・」
『彼』は暫し俯(うつむ)き・・・再び顔を上げた時、その形相は憤怒のものとなっていた。
ドルアーガ「(ダミ声で)ならば世界に先駆けてキサマを『闇』の深淵に堕とすまでよ!!ギルガメスよ、キサマらの子孫が八つ裂き、いや木っ端微塵切り(byメガテン)になる様を存分に見ているが良いわグワヒャハハハッ!!」
魔王はトレイを投げ捨て、自らの服を胸元から引き裂き破り捨てた。
ギルス「わああそんな急にエロシーンに突入!?」
ギルガメス「心にも思ってない事を云って煽るんじゃない。・・・よく見るのだ、ギルス。あれが、魔王の真の姿・・・」
目の前に暗緑色の怪物が直立している。
先程と同じ兜から二本の衝角が伸び、山吹色の双眸はこちらを見下す様に、巨大な牙を生やした口元は総てを侮蔑するかのような笑みをたたえている。
しかし、その首から下の姿は先程とは全く違っていた。
給仕姿ではなく胴鎧で武装したその体躯からは、二対四本の脚、四対八本の腕がずらりと伸び、それぞれの手に思い思いの得物が握られていた。
それは剣。
それは鎚鉾(メイス)。
それは魔道杖(ロッド)。
それは張り扇(?)。
それはマジックハンド(え?)。
それは竹箒(ええっ?)。
それはでんでん太鼓(えええっ?)。
それは棒付ぺろぺろキャンディ(もう勘弁して)・・・
ギルス「あのぅ御先祖ちゃん、なんか半分以上武器じゃない様な気がするけど・・・」
ギルガメス「私に振るな・・・」
サキュバス「ふゥんどうやらアイツ、本気(マジ)になったようだね。」
カイ「あれでなの!?」
ドルアーガ「さてそれじゃア、坊やのお望み通り存分にヤってあげるわン!!アナタもすぐにダンジョンの準備なさい、最兇の魔王の恐怖の真髄を見せてア・げ・る・わ、うひょひょひょひょ!!」
気色悪い笑い声と共に転移魔法で魔王は姿を消した。
ギルガメス「・・・では、我々も行動を開始するとしようか、ギルス?」
ギルス「ああっでも御先祖ちゃんずっと1階に居ると思ってた(STAGE55参照)から、ボクデッキには組み込んでないよ・・・」
ギルガメス「・・・ぺふぺふぺふ。」
カイ「あのね・・・」
クォックス「じゃあボクはまだカイちゃんとサキュバスちゃんと一緒なんだワーイ!」
サキュバス「ンな事云ってる事態じゃないだろーに、あっはは、でもアタイの方がカイよりも色っぽくてイイだろ?」
クォックス「えへへへ。」
カイ「クォックス・・・殴るわよ・・・(ギヌロ)」
クォックス「うわぁんカイちゃんが怒ったよう!お願いだから許して頭突きは止めて、要石な頭の攻撃受けたらボク陥没骨折しちゃうようッ!」
カイ「だから要石云うな!!」
・・・と、云う事で漸く戦闘に。でもここまで一話と半分以上の行数を使いながらも、実は全くのオリジナル展開でありゲーム本編にはこんなシーンは有りません。悪しからず(当たり前だ!)。
でも折角のラスボスなんだし、ゲーム本編で少々ビジュアルシーンが淡白だったのは少し残念だったかな、とかも思ってます。
『ドルアーガがギルスのダンジョンに入った!』
ギルス「ウソもう?」
ホルス「てゆーかなんだこの狭さは?ホントにラスボスのダンジョンなのかオイ?」
・・・と疑いたくなるくらい狭いSTAGE59。十字架を横にしたような形状でルーム数は7。ジュエルを除く内ワープが3つで、残り3つがカギルームと云う、極めて効率的な構成。
よってこちらが攻めCOM前に大抵『彼』から先に入ってきます。
最初、通常は『彼』はギルス追尾系なので予め迎撃ポイントを決めてそこで配下召喚・ギルス強化などを行っておくと良いでしょう。
ギルス「しかし、セティが居ない(STAGE58後編参照)のは痛いな・・・」
ホルス「アンシャーの攻撃は暗黒魔法だから光属性の治癒の効力が届きにくいんだな・・・だが心配すんな、オレがあいつの分も働いて見せるって!」
ギルス「ダメだよホルスじゃ。ボクが云ってるのは、カイ様も遂に壊れ出したしもっと清純派系の女のコ出しておかないと読者様が引きはしないか、ってコトなんだから。」
ホルス「そー云う心配事かバカヤロウ!」
て云うか既に引きまくり?(多いに不安)
ドルアーガ「さーて見つけたわよン、坊や・・・(ダミ声で)覚悟はイイかベイビィィィ!?」
信じられないスピードでギルスの居るルームへと入ってきたドルアーガ。
「ドルアーガの塔」では、ナイトを凌ぐ生命力・ウィザードと同じ壁抜呪文・ジェットブーツと同等の移動速度・ゴースト同様の壁ワープと云った特性を持つ『彼』ですが、本作でもやはり倍移動を所持しております。
ホルス「ならばギルスよりも同じ倍行動のオレが当たった方が良いな!覚悟しろドルアーガ!!」
ギルス「待てホルス!奴は・・・」
ドルアーガ「うひょひょひょひょ!!」
刹那。
ホルスは魔王の遥か後方へと吹っ飛んでいた。
その身に夥(おびただ)しい傷跡を残しながら。
ホルス「(血を吐き)ぐはっ・・・」
ドルアーガ「どう坊や?コレがアタシの魔奥義、『デモニックラッシュ』よん♪」
ギルス「恐ろしい・・・なんて恐ろしい技なんだ・・・ボクは見た・・・」
ギルスは何を見たのか?・・・それは、猛然と突進するホルスに、魔王の八本の腕が瞬時に一斉に襲いかかる様であった・・・
剣が肩口を斬り付け(ズバァッ!)。
鎚鉾が胸元を殴打し(ドカッ!)。
魔道杖から放たれた呪詛が体を侵蝕し(バシッ!)。
張り扇が頬を叩き(黄泉(西)名物ハリセンチョップ!)。
でんでん太鼓がとんてけてん。
ぺろぺろキャンディを一口舐めて(おいちーい!)。
竹箒を柄から突き出し股間を一突き(チーン・・・)。
そうして思わずかがみ込んだホルスの首根っ子をマジックハンドが掴んで後ろへポイっと。
背中から落ちたホルスは全身を痛打し、そのまま動かなくなった。
ギルス「なんて・・・なんて恐ろしい技なんだ・・・あの股間への一撃だけは受けたくない・・・」
ドルアーガ「まア坊やも男のコねえ☆」
幾多の腕が瞬時に襲いかかる『デモニックラッシュ』。ゲーム本編では僅かに三本の腕が振り下ろされるだけですが実はコレだけのドラマ(?)が隠されていたのです!!
ギルガメス「嘘をつくな嘘を。」
一方、地上バビリムのイシター神殿。
モンク「困った・・・」
ユフタル「これは忌忌(ゆゆ)しき事態ですな・・・」
クローヴィス「どうにかならないのかい?」
プリースト「さあどうしたら・・・」
床にホルスが倒れている。12ターン経過してセティ同様『塔』に存続出来ず強制送還されたのだ。
しかし彼らはホルスではなく別方向の扉を見ていた。
プリースト「カリアさんの様子を診ようとしたら、扉が何かに抑え付けられたかの様に動かないんです!さっきまではそんな事は無かったのに・・・」
モンク「何かの超常現象が起こってるのか。早速ファーイーストリサーチ社に調査を依頼しましょう。」
クローヴィス「そんな猶予は無いよ。」
ユフタル「ところでファーイーストアミューズメントリサーチ社(註:実在します)と紛らわしい名称ですなあの会社?」
クローヴィス「そんな事も今はどうでもいいよ。・・・きっと何かが起こってるんだ・・・ギルス君にか、カリアさんにか、そこまでは判らないけど・・・」
プリースト「おお、神よ・・・」
ホルス「(半死状態で)結局、オレはいつもこうか・・・・・・」
まあいつもの事だし。放置プレイ状態のホルスは置いといてカリアの病室では。
意識を回復せず横になったままの筈のカリアが、ベッドに腰掛けた状態になっている。部屋内は幾条もの魔力がほとばしり、どうもこれが扉を抑えつけているらしい。彼女の触角、もとい前髪が魔力の衝突の度に振動を繰り返す。
少女の目はまだ虚ろなままだが、その口元は微かに動き、喉の奥からはたどたどしく音が発せられていた。
カリア「・・・・・・ギル・・・ス・・・・・・・・・」
最上階まであと一階にして、それを阻む試練は未曾有のものであった。
ところでしかしホルスが強制送還される12ターンの間に何が有ったのか?
最兇の魔王相手にギルスに勝機はあるのか?
と云うかそれ以前にこんな文章配分ペースであと一回でこのステージ書き切れるのか!?
続きは次回「後編」にて。
☆つづく☆