当コーナーの記載事項はある程度実際のプレイに基づいていますが、時として嘘・強調・紛らわしい表現が多分に含まれている恐れが有ります)

 

ドル足掻記
「STAGE52:サキュバスの迷宮(後編)」
 
 

 

  ギルス「『光』と『闇』が一つに・・・・・・?
  サキュバス「そうさ。『光』と『闇』が共存出来る理想の世界。その世界の手本をアタイと二人で創ってみないかい?って事さ。さながら新世紀創造のアダムとイヴってトコかしらね、あっははははは!!」

 サキュバスはギルスに寄り掛かりながら誘惑の言葉を投げかける。彼女の甘い声が、熱い吐息が、軟らかな髪が、そして触れ合っている肌が、それら総てがギルスの心と躰(からだ)を心地よく刺激していく。
・・・しかし。一つの言葉が彼の脳裏に引っ掛かった。
「『光』と『闇』の共存」
若しこの言葉が語られず、ただ単に「一つにならない?」と云う肉感的な誘惑の言葉だけであったなら、
思春期にして第二次性徴な少年の心を捉えるのは容易かったのかもしれない。
だが、この言葉から発した疑念は拭い去る事は出来ずに残り、ギルスはサキュバスを突き放す様にして体の密着を解くと、吐き捨てる様に呟いた。

  ギルス「『光』と『闇』の共存?そんな、何をバカな事を・・・」
  サキュバス「バカ?あっははははは、何を云うんだい、バカはアンタじゃないのさ、じゃあ何かい、アンタはこの世の総てが光で覆われた世界が良いとでも云うつもりなのかい!?」
  ギルス「世界が明るい事は良い事じゃないか!?
夜トイレに行くのも怖くないし、残業帰りのOLさんだって夜道を安心して通れるし、頭髪が気になる御年頃の殿方だって自分の頭がテカってるのが目立たなくて良いじゃないかっ!!
  クローヴィス「なんか微妙にズレてないかいギルス君?」
  サキュバス「あっはははははははははは!!甘い、甘い甘い甘いよ王子さま!?」
  ギルス「なんだよう!それじゃ何か、
闇に覆われた世界ならフルチ△で町を歩いてても咎められないとか万引きしても見つからないとか気になるあのコのスカートの中を隠し撮りしてもバレないから良いとでも云うつもりなのかっ!?
  クローヴィス「
どれも犯罪行為だし何より最後のは意味が無いと思うよギルス君。
  サキュバス「・・・何でそう両極端に考えるんだろうねェ、考えても御覧よ、確かにアンタの云う通り闇に覆われた世界だと光が射し込まないから何も見えなくなるかもしれない。でも、
光に覆われた世界だってどうだい?眩しくってやっぱり何も見えやしないンじゃないかい?
  ギルス「!!」
  クローヴィス「確かに一理有るね。」
  サキュバス「だろう?
光と影が有って初めて『形』を認識する事が出来るんだ。つまりだねェ、神々にしろ、悪魔にしろ、どれか一方に塗りつぶそうなんて、出来やしないし意味も持たない。それこそそっちの方がバカバカしいじゃないのさ、あっはは!!」

そしてサキュバスはポーズと流し目を送りながら再びギルスに問う。「だからこそ、『光』と『闇』の共存共栄する世界が必要なのだ。そして、その為には自分とギルスが一緒になる事、それが第一歩なのである。自分と一つになれ、」と。

  ギルス「・・・・・・・・・」
  クローヴィス「・・・・・・・・・」

 

 

 そしてこちら天上界。

  ギルガメス「そう斬り込んで来たか・・・」
  カイ「今まで頭の悪いフリをしてここぞと云う時に理路整然と説き伏せる、確かあの時も同じ様な方法を取っていたわね・・・」
  ギルガメス「ギルス、お前は、どう判断をつけるのだ・・・・・・?」

 

筆者、よく周囲から「何も考えてない奴」と評価されていますが別に何も考えていない訳ではないのです。ただ考えている事が世間様の一般認識と少なからず差異が有るだけなのです(←それを「問題」と云います)。
と、云う事で、
STAGE11で「頭使わなくなって」云々と形容してしまったサキュバスですが、彼女も本当はそれなりにと云うか相当頭は働いていたのです。

 「ドルアーガの塔」正伝の完結編である「ザ・ブルークリスタルロッド」をプレイされた方は御存じの通り、魔王ドルアーガの側近とも愛人?とも取れるサキュバスであるが、彼女の立場というか真意は魔王のそれとはかなり異なるものであった。
「ザ・ブルークリスタルロッド」ではサキュバスがギルガメスにブルークリスタルロッドを返してしまう。その理由は、ドルアーガが神々に挑む暴挙、と云うよりも「闇一色による支配」の無意味さをドルアーガに諭す為、彼に敗北を与える為だったと云う。その後の彼女の狙いは、ギルガメスが神々を説き伏せ、これまた無意味な「光一色の世界」ではなく光と闇の共存する世界を構築する事に有ったと云う。
ただし、「ザ・ブルークリスタルロッド」はマルチシナリオによりその展開が大きく変化する為、実際にギルガメスがどの様に世界を導いたのは敢えてここでは記さない(正確には、
いんたーみっしょんで触れた通り微妙な喰い違いが有り特定出来ないのです)。ただ、彼女が今再びギルスを誘惑している事から、ギルガメスは彼女の思惑通りには動いてくれなかった事は確かなようである。

 

 

  ギルス「・・・・・・・・・・・・・・・」
  クローヴィス「
(あの悪魔の云う事は確かに理に適っている。だけど、本当にそうして良いのだろうか・・・)
  サキュバス「ネェ王子さまァ、早くイこうよ、ね♪、あっははははは☆」
  ギルス「・・・・・・・・・。『共存共栄』、か・・・。聞こえは良いよね。でも、そんな事、本当に出来るのかい?」
  サキュバス「・・・ナンだって?」
  ギルス「ボク達人間と、悪魔が共に手を取り合って生きていけるのかと云う事だ!結局のところ、
悪魔達は人間と対等の地位を分かちたくないから闇による支配を願ったんだろう?それじゃあ共存共栄では無いじゃないか!?」
  サキュバス「それじゃあ、
『仲魔』なんてチョーシ良い事云っときながら結局ハンドヘルドPCにアタイらを押し込める世界が良いって云うのかい?」
  ギルス「・・・ボクには判らないよ。・・・でも、コレだけは云える。
悪魔達と人間はきっとお互いを解り合える事は無い。人は神に従う事を選んだのだから。ボクは悪魔の存在も、闇の存在も否定はしない。でも、『光』と『闇』は一つになれるものじゃないと思っている。一つになれない以上、ドコかで棲み分けはしないといけない。『闇』は『闇』の在るべき場所・・・この『黄泉の国』に留まるべきなんだ・・・・・・」

 「ザ・ブルークリスタルロッド」が「光」と「闇」の在り方を各シナリオでやや哲学的?に示そうとしているのに対し、本作「ドルルルアーガ」では特にその様なテーマは導き出せず、ただ単に「悪魔どもは悪いからやっつける」的にお話が進みます。まあ筆者も、何でもカンでも壮大なテーマを盛り込んだり、恋愛話を入れてみたり、ヒロインのコマ四段ぶち抜き入浴シーンやパンチラやはたまた一つのコマに大きく「!?」の写植など入れる必要など無いと思っていますが、若しこのゲームに「テーマ」を求めるのならば、ここのギルスとサキュバスのやり取りがそれに相当するのかもしれません。
 「ザ・ブルークリスタルロッド」でもそのケが有るのですが、最近の風潮として
「『神』を称する絶対者が独善を推し進めて、それに反発した者が『悪』として弾圧される、だから必ずしも彼らは根源的な『悪』ではなく、絶対的な『正義』を双方とも導けないから、お互いが歩み寄って行くべき云々」というお話が多いですね。ステロタイプな悪が出尽した為か、受け手が感情移入出来るような「悪」側の内部事情を描けなければシナリオとして駄作と評価されたり、はたまた戦後民主主義教育の賜物か敵とは云え最終的には和解、若しくは敗北後死の直前に改心するなど、善側と悪側の相互理解が為されたりなどと云う状況も多く見られます。先のサキュバスの科白が「光」と「闇」の相互理解を勧めるような提言だっただけに、このギルスの回答に「?」と思われた方も居られるのでは無いでしょうか。
しかし、すっかりおちゃらけボケボケモードを発動していたが為に忘れられているかも知れませんが、ギルスはシェライン(神殿)ナイトであります。神に仕える騎士として、悪魔と共に在ろう、という事は出来ないのでしょう。それに、
快楽主義者であるサキュバスの望む世界は必ずしも「光」と「闇」の和合した共存共栄世界ではないのかもしれません。あながち、「光」と「闇」が中途半端に溶け合った「灰色」な世界、無秩序な「混沌」こそが彼女の理想と云えなくも無いでしょう。
そして、ギルガメスも、はたまたギルスも、その事に気付いたからこそ、彼女の魅惑的な提言を退けようとしたのかもしれません・・・・・・

 

 

  サキュバス「なんだいなんだい、筆者まで丁寧な口調でアタイをこき下ろして!今回は前編も含めてギャグが少ないじゃないのさ!!
  クローヴィス「
流石にここでおちゃらけにする訳にはいかないだろう?
  サキュバス「煩いよ!!・・・・・・チェッ、やっぱりアンタ、アタイのモノにはなってくれないんだね。フン、もういいさ!好きにするがいいよ!!そんなにあんな小娘の方が良いんなら、勝手にナーガルの神殿にでも何でも行けばいいさ。ホラ、アタイのジュエルルームの裏にワープゲートが有る。ナーガル神殿への結界の扉を開いたから、そこから行くがいいさ。」
  ギルス「・・・取り敢えず、礼は云っておくよ。」
  サキュバス「フン、まだ早いよ。何せあのアンシャーのジジイの目論見は・・・!、あ、そうか・・・・・・」
  ギルス&クロ「???」

ギルスが誘いを断ってから、終始不機嫌だったサキュバスの瞳に悪戯っぽい笑みの色が浮かぶ。

  サキュバス「ねえ王子さま。ところであの小娘は今どーなってるんだろうねェ?アレだけ純粋で真っ白な心の持ち主だったんだ・・・、今は、どんな色に染められたのだか・・・愉しみじゃァ無いかい?
  クローヴィス「何だと?」
  サキュバス「屈辱、恐怖、汚猥、羞恥、・・・どんな穢れた色なんだろうねェ?くっくく・・・」
  ギルス「
大丈夫ボクにはこの漂白剤が有る!!」(一枚のカードを取り出す)
  サキュバス「あっははは
それはワイド△イターじゃ無くてネゴシエイターのカードじゃないのさSTAGE17参照!!そんなモンで穢された心を元には戻せやしないさ。そーだねェ、もう・・・巫女としての力も失われたろうねェ・・・そんな小娘を目の当たりにした時、王子さま、アンタはドーする?・・・・・・あっははははははははは!!こりゃあイイや!やっと愉しくなってきたよっ!!あっはははは!!」
  クローヴィス「人の不幸を愉しむなんて・・・・・・
お前は悪魔だ!!
  サキュバス「
だからアタイは悪魔だってば!?、あっはははははは!!」
  ギルス「サキュバス・・・お前は、いやアンシャーは、カリアに何をしたんだ!!答えろ!
まさか自分で云っときながら『家庭用ゲーム機の倫理基準』に抵触するような・・・・・・?
  サキュバス「
アンタそのやり取りは知らない筈だろうSTAGE23参照)あっははは、教えて欲しいかい?なら教・え・て・・・・・・・・・あっげなーーーい!!あっはははははははははははははははははははは・・・・・・・・・☆」

サキュバスは背中の翼を大きく翻すと、一瞬にして飛び去っていった!

  クローヴィス「・・・何て事だ・・・」
  ギルス「・・・カリア・・・キミは、今、どんな目に・・・・・・」

 

 

 

 再び天上界。

  ギルガメス「・・・これで、サキュバスは戦線を離脱だな。」
  カイ「もう、ギルスの前には現れないの?」
  ギルガメス「間違い無い。ギルスが拒否を示した事で、彼女の目的は失われたのだから。もうアンシャーに与する必要性も無くなったんだ・・・」
  ???「
だから、いきなりココに現れてもいいって事さ♪
  ギルガメス&カイ「!!」

二人の背後に女夢魔の姿が在った。

  カイ「サキュバス!あなたどうしてココに?」
  サキュバス「ココからならあの王子さまの一部始終が見られるじゃないか。・・・アタイの夢は絶たれたけど、ここであの王子さまの行く末を眺めるのもまあまあ愉しめるじゃないかと思ってね、あっははは!」
  カイ「相変わらず自分勝手ね!あなた、本当に一体カリアをどうしたの!?」
  サキュバス「おや?アンタ気付いていないのかい?・・・あっはははは、ギル、アンタには解ってるんだろう?・・・あの小娘が今どう云う状態にあるか?」
  カイ「そうなのギル?」
  ギルガメス「・・・・・・・・・。」
  サキュバス「ふふふまァイイさ。暫くはアタイここに厄介させてもらうよ。
アタイが居た方がカイよりもお色気度アップだしトークの幅も広がるってモンさね。
  ギルガメス「そ、そ、そーだな、
トリオ漫才ってのも悪くな・・・うわぁっ!」
  カイ「(ギルに物を投げ付けながら)
どーしてあなたはいつもそうなの!?ギルのバカぁーっ!!
  道化師ユーメル「
HAHAHAじゃあボクが居ればカルテットだね!?
  カイ「あなたまた戻ってきたの?」
  サキュバス「なんだいアンタは?」
  剣士カンサ「
なんだカンサと訊かれたら!
  戦士プルタルコス「
応えてやるのが『よろめきドラマ』!!」(STAGE43参照
  カイ「何であなた達まで?」
  戦士アクルガル「
覇ァァァァァ!!我も居るなりィィィ!!
  ファイヤゴーレム改「
バウゥゥゥゥゥゥゥ!!
  ワルキューレ「
オホホホホ私も居るわよ!いっその事ミンナで『劇団マルドゥック機関』設立とでも逝きましょうオホホホホホ!!
  ギルガメス「(リキヤ風に)
解るー、解るよーー、
  カイ「
もう・・・・・・勘弁してよ・・・・・・

ココまで書いて筆者も少し後悔・・・

 

 

 

  ギルス「・・・・・・・・・・・・」
  クローヴィス「・・・行こうギルス君。ナーガル神殿へ。何が起こったのかは僕達には判らないけれども、ナーガル神にお会いして、カリアさんの魂を取り戻す、総てはそこからだよ・・・」

クローヴィスはギルスの肩に優しく手を掛け、出発を促す。
ギルスも小さく頷くと、サキュバスのダンジョンに開いたワープゲートへと足を踏み入れた・・・

 

 

と云う事で、妙にシリアスな場面の続いた(一部除く!!)本ステージもココまで!!
次回は「ナーガル神殿」、またも前後編構成だっ!!

 

 

☆つづく☆
 
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