当コーナーの記載事項はある程度実際のプレイに基づいていますが、時として嘘・強調・紛らわしい表現が多分に含まれている恐れが有ります)

 

ドル足掻記
「STAGE46:アヌ神殿(後編)」
 
 

 

 夢を見ていた。

 ギルスはバビリムのイシター神殿の壁にもたれかかり、穏やかな陽の光の下微睡(まどろ)んでいた。
神殿の中庭ではセティが子供達と戯れており、またその横手ではホルスが
背中にお婆ちゃんを背負って洗濯に勤(いそ)しんでいた。妙な絵面(えづら)だが、「夢だから」と勝手に納得してしまう。
このまま、この様な平和が続いてくれれば・・・

 舞台は一変し、バビリムは炎に包まれていた。赤青黄色の衣装を着けたテントウムシじゃ無くてナイト達が街を蹂躙(じゅうりん)していく。建物からは
団子鼻の拳士がもんどり打ちながら庇(ひさし)に落ちていくが下で見ている太っちょの男にダメ出しを喰らったり、市街で格闘している戦士たちの中に10人も20人も斬りながら何故か返り血も刀に血糊もつかないサムライが居たり、炎をバックに巨大な卵を囲んで踊り出す南海の孤島な人達の集団(でも何故か腕時計の日焼け痕がある)が居たりして、ああやっぱり夢なんだ、と思う。でも。
その傍らには傷つき苦痛に顔を歪めるホルス、そして自分の腕の中には精魂から疲れ果て、ぐったりとしたセティが居た。既にバビリム王城は陥落し、自分達はイシター神殿で最後の篭城を決め込んでいたのだ。それは夢ではない。事実起った事なのである。故国はスーマールに占領された。だから、自分が奴らから故郷を解放しなくてはならない!

 ・・・・・・またも舞台は一変し、どこかの神殿の中。一人の少女が自分に一組のカードを手渡す。
カードを見てみると、
その悉(ことごと)くがその少女を描いたものであった(STAGE1参照)。しかも1カートンあたり10枚×20パックなのに、カードは全部で8種類しかない。それってサギじゃん!、とブーたれようとしたら少女の額から伸びる髪の毛の様な触角からビームが飛んできた。それに撃たれながら、ああまだ夢なのか?いい加減本筋に戻れよ!?とか思う。でももう少し待て。

  『ギルス・・・救けて・・・・・・』

 誰かが自分を呼んでいる。女性の様だ。目の前には、磔(はりつけ)にさせられた少女とその横で笑みを浮かべるフードの男。フードの中は暗黒そのものと云った感じで、何でそれで「笑み」とか「男」とか判るんだろうそれからカノンさんが居たらはっきり云ってその存在価値ってあまり無いんじゃないかい車掌さん、って云おうとしたら。

  『お前は、この娘を救いたくは無いのか?』

目の前に少女が横たわっている。こう云う時、男なら思わず妙に深いスカートのスリットとか何気に某饅頭屋系列の女給の如く強調する様に服がデザインされている胸元に目が行・・・じゃ無くて。その顔には生気が感じられない。まるで死んでいるかのようだ。いや確かに死んでいる。自分が、自分が無力な為に彼女を犠牲にしてしまった・・・
 ふと、背後に気配を感じる。振り向くと、黄金の鎧に身を固めた騎士がこちらを凝視している。いつの間にか、傍らに居たはずの少女がその騎士の後ろで横たわっていた。

  『ギルス・・・』

また自分を呼んでいる。救けを求めているのか?でもその為には目の前の騎士が邪魔だ。騎士はこちらの行く手を阻む様に立っている。どんなに足掻いて見せても、一向にビクともしない。どうすれば良い?自分は本当に、闇を払い、少女を救う力を持っていると云うのか?

  『ギルス・・・ギルス・・・・・・』
  ギルス「・・・・・・・・・カリアっ!!」

 

 ギルスは目を覚ました。どこかの神殿の一室の様だ。

  ギルス「アレは・・・やっぱり夢?なーんだ夢オチか!それならいずれ幼馴染の明日香が起こしに来るだろーし、二度寝しよーっと。
  女神イシター「そんな場合じゃないでしょう?」

いつの間にか女神イシターが現れた。

  ギルス「イシター様?・・・ああそうか思い出した!ボクは前回ギルガメス大王にシルバー・タイマーを使われてKOを喰らい、ここイシター神殿ジュエルルームに転送復活したんだ!」
  女神イシター「その通りです。まだ勝負はついていません。さあ立ち上がりなさい。そして、見事ギルからジュエルを奪って見せるのです!」
  ギルス「ダメですよ・・・・・・」
  女神イシター「???」

ギルスは沈んだ声でこう洩らした。「自分の力では、あの方には勝てない・・・!」
ギルガメスは圧倒的な力を持っていた。とても太刀打ち出来ない。いやそれ以上に、その力に対抗し得る「力」を自分が持ち合わせていないのが問題なのだ。ギルガメスは云った。
「いずれは逃げられない局面も出てくる。」今が正にそうなのかもしれない。しかし、自分は非力だからどうしようも無い!自分が無力だから・・・
ギルスのやや涙声な独白を黙って聞いていた女神は、優しく微笑みながらこう云った。

  女神イシター「・・・・・・。貴方は、意外と何も解っていなかったのですね・・・」
  ギルス「???」
  女神イシター「ラマンや、私の云った事を良く思い出して御覧なさい(
STAGE42STAGE45参照)。貴方の力は貴方のもの。ギルと決して同質の物では有りません。貴方は、ギルの様に『力』で総てを押し切る必要は無いのです・・・」

冒頭から長引いたのでここからは地の文で引き継ぎます。要は、これまでのギルスのメインの戦法であった「ボスとの直勝負を避けて逃げ回って先にカギを集めジュエルを奪う」、これだって立派な戦法だし、(少なくともこのコーナー上での)ギルスの持ち味なのである。
結局「逃げ」てる?確かにそうだ。でも、明確な目的と意志を持っての「逃げ」は立派な抵抗でもある。草食動物が肉食動物から「逃げる」のは彼らにとっての唯一の抵抗手段だからではないのか?
・・・少々詭弁(きべん)を弄(ろう)している感じもするけど、要はギルスにはギルスの戦い方が有り、ギルガメスの様な「力」を持たなくても戦いは出来る、と云う事をイシターは説いているのだ。

  女神イシター「『力』は時として諸刃の剣と成り得ます。『力』が強大で有れば有る程それに対する反発も強くなる・・・。場合によってはその『力』を逆に利用する手も有るのですよ・・・」
  ギルス「『力』を・・・逆用・・・・・・?」

ギルスは立ち上がった。先程とは違い、その目には強い意志が込められている。
女神イシターはそんなギルスを微笑を絶やさず見つめていた。

 

 

 

 ・・・一方ギルガメスは。ギルスのダンジョン(イシター神殿)のカギを総て集めてしまい、ジュエルルームへと進軍していた。

  ギルガメス「ギルス・・・ここまでか?お前の実力は・・・意志はその程度なのか?」
  ギルス「
実力も意志も年間所得もオールスターゲームファン投票数もこの程度かもしれないけれど、ボクはまだここに居るぞ!」

ジュエル手前のルームでギルスが待ち伏せていた。その両横には白銀の騎士が控えている。

  ギルス「ボクの力ではアナタには勝てない。アナタは強すぎる。でも、強すぎるからこそアナタを封じる手段も有る。・・・頼むぞミラーナイト!」

ギルスは両横のミラーナイトに指示を与えると、ブック・オブ・Uターンでアヌ神殿に再ワープした。

  ギルガメス「・・・また逃げる?・・・しかし、足が速いだけのミラーナイトに何が出来る?すぐに斬り伏せてジュエルを・・・」

しかしミラーナイトの強力な剣撃がギルガメスを襲う。いきなり13ダメージ!ギルガメスの残りHPは8になった。(前回参照

  ギルガメス「何?・・・私と同じ、攻撃力21なのか!?」

STAGE30で述べているように、「ドルアーガの塔」では容姿と足の速さだけしかコピー出来なかったミラーナイトだが、本作では攻撃力その他もコピー出来る強力(若しくは非力)な存在となっている。

  ギルガメス「コピー能力の強化だと!?・・・むむむ知らぬ間に技術は進歩しているものだな。」

・・・100年経って進歩してない方が問題じゃねーか?

  ギルガメス「二対一か・・・。でも、ギルスは回復役を置かなかった。ここに付け入るチャンスが有る!頼むぞ、CALL KI!!」
  カイ「うふふふギル、
それってわたしが『イシターの復活』であなたを『CALL GIL』で引っ張り廻してた事への当て付けかしら?

ギルガメスはカードを使い、なんと伝説のイシターの巫女にして彼の愛妻、カイを召喚した。
カイは回復呪文でギルガメスのHPを5回復させる。
しかし、この直後のミラーナイトの攻撃がカイに命中! 即KOさせられる。

  ギルガメス「ぺふぺふぺふ。
  カイ「・・・そ、それはなんのつもり・・・?」
  ギルガメス「『ドルアーガ』シリーズの1ミスのSEの口真似。」
  カイ「・・・・・・。若しかしなくても、
結局やっぱりギルスはあなた似なのね・・・きゅう。」

もう一体のミラーナイトの攻撃がギルガメスに命中。彼のHPはカイの魔法により13に回復したがミラーナイトの一撃が13ダメージなので彼も昇天。

  ギルガメス「・・・ぺふぺふぺふ。

・・・まだ云っとるのか。
カイの回復魔法はHPとステータス異常を同時に回復させる便利なものだが、通常のプリースト同様一マス射程である。だがそれ以上に問題なのは、HPが5しかなく一撃当たればまず即死な点。カリア同様ティアラを持つので回避率はそこそこ有るが射程の問題で前線に出ざるを得なく、結果カリアよりも死亡率は高くなる。その意味では使いづらいクリーチャーだろうか。
 そして、ギルガメスに対してはここまでご覧になったようにミラーナイトで彼の強大な能力を逆利用させてもらうのが一番無難な戦法。
しかし、流石にバカに出来ないと云うか、この戦法でもピケを突破される事はある。タイマーやアヌ召喚を使ってくる事も有るからだ。事実、筆者はファーストプレイ時に8連敗位してからミラーナイト集めに掛かり、漸く
4体揃えて全員ジュエル前に配置してたがあっさり突破されてしまい泣きそうになった記憶がある。・・・ああそうだ、丁度よりによって正月休みに風邪が悪化して布団の中で朦朧としながらプレイしてた時分だったなぁ・・・

 

一方、ギルスは着々とカギ集めに勤しんでいた。
前回書き漏らしたが、ここの敵はスルーメイジとソードマスターがメイン。しかも大抵はタイマンなので然るべき装備ならば問題は無い。あくまでここはギルガメスの対策が全て、と云う事で有る。
前回触れた、アヌ神殿の中心に有る十字路のルームではまるで「ドルアーガの塔」59Fのウィザードスーパー(ドルアーガの化身である分身ウィザードの俗称)を彷彿とさせるスルーメイジ3体の集中砲火を受けるが、ここは「サモンズ・オン・ラマン」を使えば良いだろう。
問題はやはりここの広さであり、「ブック・オブ・マップ」は是非とも用意しておきたいカードの一つ。
そしてもう一つの問題は、例の十字路ルームからジュエルルームまでは実質一本道なので、先程のミラーナイトピケで倒され、復活したギルガメスとの衝突が避けられない点である・・・

  ギルス「ええっ!なんで御先祖ちゃんハダカでもこんな強いの?」
  ギルガメス「
人をフ△チンみたいに云うな!それとも見たいのか?

何でやねん。一度KOされたのでギルガメスはエクスカリバー・ゴールドアーマー・ホーリーゴーントレットは失うのだが、それでもHP30・物攻9・物防8・魔防2・倍行動を持つ。先程よりは組し易いが、異常に強い事には変わりが無い。
ギルスは間合いを取る為に咄嗟に壁に隠れる。

  ギルガメス「あいも変わらずちょこまかと。だが、まだ私にはこれが有る!『時の縛めよ、彼の者を捉えよ!』
  ギルス「!!」

ギルガメスはシルバー・タイマーを二つ持っている。ホント何でもアリだな。・・・しかし。
ギルガメスは壁に張り付いて行ったり来たり。ウロウロまごついている間に効果が切れる。

  ギルガメス「ハッまさか私もCOMキャラの呪いに?前回参照)」

そう、所詮アナタもCOMキャラ。ワザと壁を隔てたルームに誘い込んでタイマーを無駄遣いさせるのも結構有効な手段なのよ。
ギルスは効果切れの直後ギルガメスの前に飛び出し、ポーション・オブ・スタンを投げ付ける。

  ギルス「・・・御先祖ちゃん。これが、ボクのやり方だ!ボクは偉大なるアナタには足元にも及ばない。だからこそ、持てる全てを使い切ってとことん足掻いてやるんだ!世界の為、そして、カリアの為に!!」

ギルスはジュエルルームへと駆け出す。麻痺状態にありながら、ギルガメスは笑みを浮かべている様にも見えた・・・・・・

 筆者愛用のスタンの効果中、敵ボスはカードも使えないのでポーション・オブ・キュアやカイで回復させられる心配も無い。その他リターンやUターン、スピン等も活用すればミラーナイト抜きでもここを攻略出来るので腕試しにトライしてみるのも一興かも。

 

 

 

  ギルガメス「・・・見事だ、我が末裔よ。」
  アヌ神「むうう・・。よもや、神の眷属となったギルガメスをも負かすとは・・・」

ギルスはアヌ神の御前に立っている。その手には、ギルガメスのジュエルであったレッドクリスタルロッドが握られている。

  ギルガメス「よくぞこの私を乗り越えた。お前こそ、このゴールドアーマーを引き継ぐに相応しき者。受け取るがいい!」

ギルガメスはそそくさとアーマーを脱ぎだす。

  ギルス「なんだ御先祖ちゃんやっぱハダカ見せたかったのか。
  セティ「不潔ですぅ!!」
  ホルス「それに、大変失礼とは思うけれど
今まで戦闘に使用してたの脱いで渡されても何か汗臭そうだしな・・・」
  セティ「
あーーん厭だぁ不潔不潔不潔ですぅ・・・

更に、ギルガメスは二枚のカードを渡す。

  ギルガメス「これは、私とカイのカード。神の眷属として、お前を認める証として私達の力を授ける。我らの名を呼べば、必ずお前の前に現れ、救けとなろう。」
  カイ「ギルス・・・わたし達の子孫よ。もう一人のわたしの血の繋がる子孫、カリアを救ってあげて下さい・・・」

尚、ギルガメスはイベント入手カードだがカイは通常入手カード。カイは前述の通り特に必要ではないが先の話の伏線として登場させました。ギル&カイ再登場の機会をお待ち下さい。

  アヌ神「・・・良かろう。神々の王がお前を認めた証として、これも受け取るがいい。」

アヌ神から「サモンズ・オン・アヌ」のカードを賜った。効果は前回参照。使いどころは難しいが効果は絶大。

  アヌ神「これからの戦いはより一層の苛烈さを増すであろう。そのレッドクリスタルロッドはそのまま持っていくがいい。お前なら誤った使い方はするまい。」
  ギルガメス「さあ、黄泉の国へと行くがいい。愛する者を救う為に。」
  アヌ神「さらばだ、新たなる光の勇者ギルスよ!!」

 

 

 

  ユフタル「おおおおおおおギルス殿ォォ!!よくぞ御無事で!!!(久々に四倍角)
  ホルス「・・・相変わらず声がでけぇな、おっさんは。」

空中神殿からクムガル山脈を下山したギルス一行は、バビリムへは寄らずに直接スーマールへと赴いた。

  セティ「『黄泉の門』に異常は有りませんでしたか?」
  ユフタル「今の所『黄泉の門』から闇のモノが侵攻して来た気配は御座らぬ。ただ・・・一部兵士どもの間で
『一人の人影を見た』と云う噂が飛び交ってまするが・・・」
  ギルス「
火トカゲ・・・?
  ホルス「
違う!

勿論こりゃ伏線ですな(「人影」か「火トカゲ」か?)。

 

 ギルス達はユフタルに案内されてスーマール王城南東に出現した謎の洞窟・・・「黄泉の門」へと赴く。

  ホルス「さて・・・それじゃオレ達はここまでだな。」
  セティ「ええっそんな、わたし達は一緒に行かないのですか?」
  シルバードラゴン「バカかオメー?
ゴールドアーマーが無いと入れないのに、その鎧は一着しかないんだ。だから入れるのは一人だけだろーがタコ!」
  ワルキューレ「
行くのではなく逝くのなら話は別ですわホホホ!
  ユフタル「
・・・知らぬ間に珍妙な御仲間が増えたのですな・・・
  ホルス「ま、まあ兎に角、一緒には行けないが戦闘中ならお前のジュエルが結界を作ってるのでダンジョン内に限りオレ達を召喚は可能なんだ。だからピンチの時は必ず呼べよ、な!?」
  ギルス「
出番を作りたいが為の切実な願いだね。
  ホルス「うるせぇ!」
  セティ「ギルスさま・・・くれぐれもお気をつけて・・・・・・」

 

 

仲間に見送られながら、ギルスは「黄泉の門」をくぐり、深い地の底へと下っていく。ただ一人・・・
目指すは冥界神ナーガルの神殿、願いはカリアの魂を取り戻す為に!!

 全体に文面が長引き過ぎたWORLD6、やっとこさここに完結です。
次回よりいよいよ物語も佳境、「黄泉の国」編です。
残り約1/4ですか?・・・ふう。

 

 

☆つづく☆
 
・一話先に
・一話前に
・戻る