(本シリーズの内容は一見実際のゲーム内容を模しているようにも思えますが、これまで以上に全くゲーム本編を無視して物語が進みますので余りにも鵜呑みにし過ぎると莫迦を見ます)
ドル足掻記
「STAGE63:パックランド」
〜TRIP11:討竜士の逆襲〜
パックマンが創りあげた多層ダンジョン「ナムコッ塔」に挑むギルス一行!
大方の予想通り、この塔はナムキャラ達が立ち塞がっていたのだが、1階に待つオヤジことDr.ドンとボーをあっけなく退けて2階へと向かっていたのであった!!
ホルス「・・・まあ、オレにかかればオヤジ程度ラクショーだけどな!」
セティ「それに、ボーさんはなにもしてきませんでしたし・・・」
カリア「そもそも、ゲーム本編ではオヤジは出ないしね、このステージ(前回参照)。」
Dr.ドン(階下から)「ぐはぁぁぁぁぁっ!?」
ギルス「カリアもそーとーネチこいね。」
・・・そして、2階に辿り着いたギルス達に、暗がりから声が掛けられる。
???「・・・待っていたよ、ギルス君。」
ギルス「やぁ、待った!?」
ホルス「ちょっと待てい!またお前状況も判らないのに適当に返事してるだろ!?」
ギルス「あはははは。」
???「ところでホルス君、『ちょっと待て』って僕はまだ待たされるのかい?」
ホルス「違ェよ、って待て!その口調、お前まさか・・・」
???「やっぱり待たされるのか・・・」
ホルス「だから違うって!」
カリア「・・・・・・もの凄くクドいやり取りね・・・」
セティ「あぅ・・・このお声・・・まさか・・・」
ギルス達に暗がりから話しかけてきたその声の主は、ゆっくりとその姿を現した。
ギルス「クロちゃん・・・」
クローヴィス「久しぶりだねギルス君。僕は君達と別れてからまたセリアを捜す旅に戻っていたのだけど、今回だけここ(ナムコッ塔)に召喚されたんだ。・・・まあ、ナムキャラの先輩である彼(パックマン)に頼まれたら断れないしね。」
因みに、クローヴィスが登場するファミスタ系作品も在るには在るのですが、「ファミスタ対決篇」は初代ファミスタの面々で固定しておきたかったので登場しなかったのです。
セティ「あ、あぅあぅあぅ、そしたら、この階のガーディアンはクローヴィスさまだと云うのですか?そんな・・・」
カリア「(ざーとらしく)あれーー?ナニかなその云い方はーー!?若しかしてアンタ、いつもギルスさまギルスさまって云っときながら、実は彼のことも気になってたとか?何気に浮気性?フタマタモーション!?」
セティ「あぅぅぅぅぅぅぅーーーーーっ!!!」
ホルス「むぅっ!!やいクロ輔てめぇ、人の妹の純情踏みにじりやがって!許せん喰らえーーーっ!?」
クローヴィス「ち、ちょっと落ち着きなよホルス君?」
ホルス「うるせーーーっ!?」
嫉妬に狂うシスコン兄貴を止める術もなく(と云ってもセティはいつものようにあぅあぅ云ってるだけだし、ギルスとカリアはこれまたいつものように生温かい視線で眺めていただけだった)、ホルスは猛然とクローヴィス目掛けて突進し、そのままお馴染みのコマ回転で跳躍した!
ホルス(回転しながら)「うあはははーーっ!クロ公見切ったり!!お前の得意技『垂直斬り』『カブト割り』はともに空中から斬りかかる技!ならば先にオレの方が跳んでしまえばこっちのものだーーーっ!?」
ギルス「おおっ!ホルス結構考えてたんだクロちゃん対策を!?」
カリア「シスコンのクセにねー。」
セティ「あぅー。」
ホルス「んがーー!セティお前少しは否定してくれーーーっ!?」
ちょっとイっちゃってしまってる感じのホルスに対し、クローヴィスは一言ボソリと呟いた。
クローヴィス「・・・ファイヤボール・スペシャル。」
ホルス「ぐはああああああっ!?」
なんとクローヴィスの掌から4つの火球が放たれ、渦巻くようにホルスに襲い掛かる!ホルスは業火の奔流に巻き込まれ、一太刀も浴びせることもなく、床の上に倒れた。
ギルス「く・・・クロちゃんが、魔法を・・・?」
クローヴィス「フ、まさかギルス君、僕が剣技一辺倒だとでも思っていたのかい?」
クローヴィスの出典である往年のアーケードゲーム『ドラゴンバスター』では、クローヴィスは剣の他に「スクロール(巻物)」で攻撃を行うことが出来る。それはファイヤボールの呪文で貫通性能のある火の球を前方に放つ攻撃なのだが、その中に特別版として4ヶの火球が回転しながら広がっていく「ファイヤボール・スペシャル」のスクロールが存在するのだ。通常のファイヤボールと異なり広範囲に攻撃できる分、ガタイの大きいドラゴン向けの攻撃と云える。
因みにこれはコジツケではあるが、クローヴィスは「黄泉の国(WORLD7)」でダハックと対峙した時(STAGE49参照)にもこのスクロール技を使用していたのだが、ダハックが炎吸収属性を持っていた(STAGE53参照)為に全く通用しなかったらしい・・・・・・一応フォローしてみました。このネタ考えた当初は、前回オヤジがサモンズナンナルを使ったみたいに「パックマンに招聘された際に借り受けた能力」の設定だったんだけど、「元々クローヴィスが持っていた能力」にしておいた方が本来別ゲーの主役である彼の実力を巧く表現できるのではないかと思った次第で。・・・どうクロちゃん?
クローヴィス「『どう?』と云われてもねぇ。それに、あの時僕はセプターの効果で魔力が使えなかったことになってる(STAGE49参照)んだから無闇に余計なフォロー入れると辻褄が合わなくなるよ。・・・さて、若しかして当てが外れたかな?僕が近接戦だけしか出来ない訳じゃないという事が判った以上、どう出るギルス君!?」
ギルス「・・・・・・。」
「接近戦」に関してゲーム中のデータで見れば、ギルスとクローヴィスの戦力比較は攻撃力は7で同じ、防御性能が皆無なのも同じなのだが、HPがギルス20に対しクロ15とこちらはギルスが勝っている。但し、お互い攻撃が3回命中すればKOすることに変わりが無いので非武装タイマン勝負である限りは全くの互角、先手を取った方が有利と云う事になる。しかし、以下触れる内容をはじめとして当「ドル足掻記」上では、そんなん無視して完全に筆者レギュレーションの元で戦力描写を行ってますので悪しからず。って今更デスかすみません。
セティ「あぅぅ、いくらギルスさまと云えども剣の勝負ではクローヴィス・・・さんには適わないですようっ!」
カリア「・・・今、意識的に『さん』付けしたわよね?マいいわ、確かに、剣の腕で劣るギルスが勝つにはスペルカードの支援を得ないと多分ムリ。でも、その為には間合いを取らないといけないけど・・・」
クローヴィス「そう。でも今見せたように、今の僕は遠距離戦でも対応できる。ギルス君がカードを出そうと少しでも変な動きを見せたら、僕はそれよりも早くファイヤボールを撃つ。これで君の手はほぼ封じたも同然だね。」
ギルス「解説的な科白をどうもありがとう。」
セティ「えへへ、そんな・・・」
カリア「褒めてないってば。」
クローヴィス「それは余裕のつもりかな?それとも、行数を稼ぐつもりで小ボケを入れるように見せながら、実はその裏で打開策でも考えているのかな?いずれにしても、僕はそんな間を与えはしない!」
云うなりクローヴィスはギルスに向かって猛然とダッシュ!レバー二回入れです。
ギルス「んーふーふーふー・・・」
クローヴィス「!!」
しかし、ギルスはなんだか古畑任△郎みたいな含み笑いを残しながらその姿が掻き消えていく。クローヴィスの剣は空しく空を切った。
クローヴィス「・・・ブック・オブ・リターンか。」
カリア「ギルス、また逃げた?」
クローヴィス「・・・本当に、そう思っているのかい?」
セティ「あぅっ?」
クローヴィス「君達も解っている筈だ。ギルス君の『逃げ』は決して相手に屈して背中を見せているのではない、状況打破の為に、相手の隙をつく為のものであると。ギルス君は抜け目が無い。恐らく、リターンで身を引きながら武装を整え、Uターンで大返しの奇襲をかけるつもりなんだろう。」
カリア「う・・・た、確かにそうよ!ギルスはこれまでそうやって何人もの強敵と戦い、打ち克ってきた!!でも、あなたこそ、そこまで解っていながらどうして平然としていられるのよ!?」
クローヴィス「・・・それでも、今の僕には通用しないからさ。」
カリア「どーしてそんな事が云えるのよっ!?」
クローヴィス「それは・・・いや、実際に見てもらった方がいいかな?」
クローヴィスは剣を鞘に収め、静かに目を閉じながらこう云った。
クローヴィス「・・・セティ君、そこから僕に斬りかかってみて貰えるかな。」
セティ「あ、あぅっ?なななななにをおっしゃるんですかっ?わたしがそんな・・・その・・・クローヴィスさんに攻撃なんて・・・」
カリア「ナニ云ってるのはセティの方!あなたどっちの味方なのよ?・・・でも、どう云うつもり?セティは回避+カウンターがあるのよ?ハッキリ云ってギルスなんかよりもよっぽど手強い相手よ?」
セティ「あ、あぅ・・・ギルスさまの立場っていったい・・・」
ゲーム中のデータで見れば、「回避率」は魔法攻撃には無効なので意味が無いのだけれど。実際に、魔法攻撃はSTAGE21・セティ戦での定石のひとつでもあるし。しかし、「ドル足掻記」上ではそんなん無視して完全に筆者レギ(以下省略)
クローヴィス「構わないさ。セティ君、君達には悪いと思うけど、君やホルス君ごときを倒せないようではギルス君には勝てないだろうからね。さあ、来るがいい!」
ホルス「・・・・・・・・・(←KO中)」
セティ「あぅ・・・ご、ごめんなさいクローヴィスさん!オオオオ往生セイヤコラァァァァッ!」
カリア「躊躇してた割にはスイッチ入るの早っ!?」
バーサク入れたセティはクローヴィスの背後から猛然と迫る!
しかし、クローヴィスはその殺気を読み取りセティの方向に向くと同時にファイヤボール!そして、
カリア「えええええっ!?」
なんと、クローヴィスはファイヤボールを放つと同時に自らもセティに向かって走り出した!
『ドラゴンバスター』のテクニックの一つに、「ファイヤボールとクローヴィスを併走させる」と云うものがある。ファイヤボールの移動速度はクローヴィスのダッシュ(レバー同一方向二回入れ)速度より若干早い程度なので、ダッシュ中に撃てばしばらく併走が可能なのである。そして、前述の通りファイヤボールは貫通能力を持つ。つまり、ファイヤボールをバリア代わりにして敵を倒しつつ進むことが出来るのだ。敵の位置的な高さや耐久力によっては通用しないことも多いのでかなり局面の限られる技と云うのが難点であるが。
セティ「・・・ナメルナァッ!」
セティは眼前に迫る火球を僅かに身体を反らして回避し、その勢いでヤリを前に突き出す。セティお得意の回避しつつの必殺のカウンターであるが・・・・・・その槍の穂先はクローヴィスを捉えてはいなかった。
カリア「・・・上よっ!」
セティが槍を繰り出すよりも早く、クローヴィスは宙に舞っていた。そして、空中で一回転しながら剣を鞘から抜き払い、その切っ先をセティの眉間に突きつけたまま着地する。
クローヴィス「討竜剣甲ノ型、『カブト割り』。・・・チェックメイトだ、セティ君。」
セティ「・・・あ、あう・・・」
セティはぺたんとその場にへたり込む。
セティ「あの・・・今のは?」
クローヴィス「見ての通りさ。僕はファイヤボールと併走する事で、実質上魔法と剣の攻撃を同時に繰り出すことが出来る。ギルス君がUターンでここに戻ってきたと同時に、僕はこの攻撃を行う。・・・ギルス君は抜け目が無い。きっと、僕のスクロール攻撃を見越して炎吸収のファイヤシールド装備で戻ってくるだろう。でも、それで火球は防げても、ファイヤシールドは物理防御が弱いから、いま君が経験したように僕の剣までは防げない。勿論、対魔法の兜装備でも同じこと。逆に盾装備にしたところで今度はファイヤボールを防げない。鎧装備にしたとしても、剣と魔法の同時攻撃ダメージに果たして耐えきれるかな?」
カリア「そ・・・そんな・・・」
クローヴィス「さあギルス君、どう出る・・・?僕は、ただ待つのみだ・・・」
再びクローヴィスは部屋の中央に戻り、剣を収め、目を閉じてギルスの襲来に備える。
セティ「あ、あうあうあう、ど、どうしましょうカリアさん?」
カリア「あ、あたしの方が訊きたいわよ!?なんで突然前触れもなくバトルがシリアスっぽくなってるのよ!前回までの展開が死ぬほど浮いて見えるじゃない!!」
セティ「そう云う意味で訊いてるんじゃないですよぅっ!?」
ホルス「・・・・・・・・・(←KO中)」
・・・さて、前回のオヤジとは打って変わってクローヴィス戦は大苦戦の様相か?
果たしてギルスに打開策は?
ホントはこのフロア、一話で済ます予定でしたけれども、予定が変わりまして次回へと引っ張ってしまいます。
☆まだつづく☆