(本シリーズの内容は一見実際のゲーム内容を模しているようにも思えますが、これまで以上に全くゲーム本編を無視して物語が進みますので余りにも鵜呑みにし過ぎると莫迦を見ます)
ドル足掻記
「STAGE63:パックランド」
〜TRIP12:壁に耳あり、鍾馗に兄貴!?〜
「ナムコッ塔」2階にて待ち受けていたのは討竜士・クローヴィス。ギルスは一旦ブック・オブ・リターンで身を引くも、クローヴィスは「魔法と剣の同時攻撃」と云う新技を以って迎撃せんと待ち構える!果たしてギルスに正気はッ!?
カリア「・・・・・・正気っ!?ナニ困惑してるのよ筆者は!正気でなくて商機でしょっ?」
セティ「カリアさんこそ落ち着いてください!正しくは鍾馗ですよぅっ!?」
クローヴィス「君こそ混乱していないかい?『鍾馗』なんてまず普通連想しないよ。」
例によって行数埋めのムダ知識ですが、「鍾馗(しょうき)」とは五月人形で閻魔様みたいな風貌で鬼をつかんだり踏んづけたりしているあの方なんですが、中国や日本では病魔・厄鬼を祓う神として崇められています。特に、鍾馗サマを幟(のぼり)に朱描きしたものを掲げると疱瘡(天然痘)除けの霊験があると云われています。
カリア「つ、つつつつまりは、昨今テロに対する脅威が騒がれている中で、生物兵器として警戒視されている天然痘ウィルスに対しての防衛システムとしてCIAやMI6やNHKが着目しているとか・・・」
クローヴィス「そんな事実は無いよ。ギルス君が居ないからってそんなムリヤリにボケ役に回る必要は無いんじゃないのかな?それに、これだけ長々とカブせまくったら元々『勝機』に対するボケだってことが読者様に完全に忘れられてるんじゃないのかな?」
カリア「それもそーか。」
セティ「ですぅ。」
クローヴィス「・・・。さて、ギルス君どう出る?僕は、君の僅かな隙も見逃しはしない・・・」
そして、暫しの沈黙の時が流れる。
しかし、一向にギルスの現れる気配はしない。
そうこうしているうちに、ホルスの身体が音もなく明滅と共に消えていった。12ターン経過したのである。勿論、クローヴィスもカリアもセティも、そんなことには一切目もくれていなかったケドね。
クローヴィス「・・・・・・まだ、まだ現れないのか、ギルス君・・・」
カリア「・・・成程、読めたわ。」
セティ「あぅっ?」
カリア「ギルスの作戦よ。こーやって焦らしていく事でクローヴィスの集中を欠けさせて、隙を突こうって寸法なのよ。」
セティ「さすがギルスさまっ!猪口才な戦略編み出させたら天下一品ですねっ!?」
カリア「・・・アンタ、それ誉めてるつもり・・・?まあいいわ、こうなったらあたし達もただつっ立っているだけじゃなくギルスの援護をしましょう!」
セティ「どうするのですか?」
カリア「だからクローヴィスの気を逸らして集中できないようにさせるのよ。」
セティ「あぅ・・・若しかしてお色気ポーズとかそんな事をしてですかぁ・・・?」
カリア「なンでそーなるのよ!?いくらシスコン兄貴やムッツリ筆者にセクハラ紛いの扱い受けてるからってあんたまでその発想になってどーするのよ!」
セティ「あ・・・あぅぅ・・・」
カリア「要は、アイツの集中を欠きさえすればイイのだから、なんか適当に騒いでおくだけでも効果はあるのよっ!・・・ギルス、あたし達はナニも出来ないかもしれないけど、せめて応援だけはするわっ!フレーフレーギルスーーーっ!!」
とか云いながら、カリアは妙な地団駄を踏むような踊りをしながら声援を始める。
セティ「あぅ・・・カ、カリアさん・・・そのなんか格好悪い踊りも込みですか・・・?」
カリア「当然よ!バビロニアン式の応援法といったらコレ、『静かなる中条ステップ』しか無いでしょっ!?」
クローヴィス「ワケ解らないよ・・・・・・確かに気が散りそうだ・・・・・・」
また判りにくいネタでスマヌです。ふと思いつきで書いてみたものの、ちょッち失敗したかしら(←ナニを今更)。
一応解説だけしときますと、バベルの塔伝説をモチーフにした往年の名作マンガ『バビル二世』で、国家保安局局長が部下と一緒に地団駄ステップを踏みながらバビル二世を応援するシーンがあったのを思い出してムリヤリ挿入しただけなんです。如何にも横山御大的描写。尚、「静かなる中条」ってのはOVA『ジャイアントロボ』で使用された名称ですが『バビル二世』中では局長の名前は確か設定されていなかったハズです。ついでに筆者はGロボ観てませんのでその辺りのツッコミには対応できません悪しからず。
・・・・・・さて、ただ「クローヴィスがじっと待っていた」と云う描写のためだけに延々と行数を費やしてしまったその後に。
しゅごごごごご。
何か拍子の抜けたような擬音と共に、何者かがルーム内に現れた。丁度クローヴィスから見て左斜め後ろ、距離にして約10メートルの位置である。
カリア「ギルスっ!?」
クローヴィス「来たかギルス君!受けるがいいっ!!」
クローヴィスは左に振り向き様に右手にファイヤボールを生成、そのままギルスに投げつけようとしたその瞬間、ギルスの姿を見て息を呑んだ!
クローヴィス「!!!」
ギルス「・・・・・・にやり。」
クローヴィスが見たのは、弓に矢をつがえるギルスの姿。しかもその弓は、氷のように透明感が高く輝いており、その矢もまた同様に、鋭く冷たい煌きを放っていた。
クローヴィス「氷の、弓・・・・・・、神弓ナンナルかッ!?」
ギルス「喰らえクロちゃんっ!」
白い輝線を引いて、氷の矢が放たれる!攻撃動作に入っていたクローヴィスもその身を止める間もあらばこそ、ファイヤボールをそのままギルス目掛け投げつける。
唸りを上げながら飛び交う魔法の火球と氷の神箭!しかし、人の身による魔法の力と神の御業による神器との力の差か、ナンナルの矢が纏う冷気によってファイヤボールは掻き消され、勢いもそのままにクローヴィスへと目掛け一直線に迫る!!
クローヴィス「・・・・・・くっ!」
クローヴィスは氷の矢を躱しざまに高く跳躍、更に空中を蹴ってより高く舞い上がった。お馴染みの二段ジャンプである。そして剣を抜き払いながらその切っ先を眼下のギルスへと向ける。
クローヴィス「まだまだ!受けろギルス君、討竜剣!乙の型、垂直斬・・・・・・」
しかし、自由落下しながらクローヴィスは見た。ギルスは既にナンナル弓を投げ捨てており、懐から取り出した二枚のカードを実体化している最中であった。その一枚はやがて巨大な突起を持つ盾へと姿を変え・・・
クローヴィス「・・・ス、スパイクシールド!?」
ギルス「どっせぇええええぃ!!」
ギルスは盾を上方に向け、クローヴィスごと強引に押し返す!
大きな衝撃音と共に、クローヴィスの垂直斬りはスパイクシールドに弾かれてしまい、体勢を崩したクローヴィスは床に尻餅をついてしまう。素早く剣を構えなおし起き上がろうとするが、彼の頭上には巨大な刃が鈍い光を放っていた。
クローヴィス「だ・・・大地の斧か・・・」
ギルス「・・・・・・チェックメイトだよ、クロちゃん♪」
からん、とクローヴィスの剣が床に取り落とされた。
クローヴィス「まさかナンナル弓を持って戻ってくるとは思いもしなかったよ。あれで僕のファイヤボールを打ち消すことで、僕の『剣と魔法の同時攻撃』は分断されてしまった。しかも今度はナンナルの矢を躱すために僕が走る間もなくジャンプせざるを得なくなった。」
カリア「あの距離ではクローヴィスの剣はギルスには到底届かないから、あそこから攻撃をするには二段ジャンプをして垂直斬りを行わなければならなかったのね。」
セティ「でも、二段ジャンプをした分攻撃のタイミングは遅れるので、ギルスさまは余裕を持ってスパイクシールドと大地の斧を出して迎撃することが出来たのですねっ。」
念の為に、ゲーム本編では「お互いの攻撃を相殺」なんてルールは存在しないのですが、そこら辺はホラ、当コーナーは筆者のレギュ(以下省略)。
クローヴィス「全く、ギルス君は抜け目が無いね。・・・でも、ギルス君、どうしてここまで完璧な対策をとる事が出来たんだい?君は、僕がファイヤボールを使うところまでは見ていたはずだけど、そこから先・・・『剣と魔法の同時攻撃』を使うところはリターンで離れていたから見ていないはずだ(前回参照)。僕の打つ手を完全に読んでいなければ、あのような戦術は取れないと思うんだけど・・・・・・」
???「・・・へっ!やいクロ公、人の妹にそんな自慢げに技を見せびらかすのがいけねーんだよッ!!」
セティ「はうっ?」
その声は、階下から発せられていた。そして、階段を昇る音と共にゆっくりと声の主が姿を現した。
セティ「兄さん?」
カリア「あれ?ドコ行ってたの?全然気付かなかったわ!?」
ホルス「オイ!やっぱオレの扱いってそんなかよ!?・・・まあいい、兎に角クロ吉、こーゆーこった。オメーはセティとカリアしか見ていないとでも思っていたようだが、実は先にノされていたオレも魂の状態で一部始終は見ていたんだよ!(やはり前回参照)」
ここら辺は解釈の分かれる所かもしれないけれども、筆者の解釈ではHPを失ったクリーチャーは蘇生するか消滅するかまでの間は「魂」がそのルーム内に留まっている、としている。自ボス(ギルス)の場合は実際に12ターン経つまで視点が変わらない(STAGE60・転参照)からその解釈で間違いは無いと思うが、ザコクリーチャーに対しても同様に考えている。実際、レイズ系のカードで蘇生させたり、「再生」「転生」能力で復活したクリーチャーは復活後即座に状況に応じた対応(敵の位置をちゃんと捕捉)していたワケだしね。
カリア「そうか!ギルスがなかなか現れなかったのは、12ターン経過させてホルスが消滅するのを待っていたわけなのね!消滅しさえすればブック・オブ・リサイクルの対象になるから、それでホルスを回収・再召喚してクローヴィスの戦略を聞き出したんだっ!」
セティ「武装を整える為の時間稼ぎにしては妙だと思っていたんですよね・・・。ギルスさまはホワイトクリスタルロッド(MP3000)をお持ちのはずだったから。(STAGE61前編参照)」
ギルス「いやー、ホントはそこまで深読みはしてなくて、ホルスを先にUターンで戻して囮にしようかと思っていたんだけどね!?」
ホルス「こらーっ!ギルス、やっぱテメーもそーゆー考えかっ!大体ボス以外はリターン・Uターンの対象外だろうがっ!!」
ギルス「イヤそこら辺は都合に応じて筆者レギュレーションで、」
カリア「以下省略なのよねっ♪」
ホルス「うがーーーーーっ!」
クローヴィス「くっ・・・くく・・・・」
セティ「あぅ?あの、クローヴィスさん・・・」
クローヴィス「くくく・・・・・・・ははははははっ!全く、君たちには敵わないな。僕の負けだ。さあ、3階へ進むといいよ。」
そう云いながら、クローヴィスは上階へと続く階段を指し示した。
セティ「あの・・・クローヴィスさんは?」
クローヴィス「僕は再びセリアを捜す旅に戻るよ。未だに手掛かりらしい手掛かりも掴めていないけれど、君たちを見ていると、どんなに希望が薄くても『何とかなる』って気にさせられるんだ。だから必ず、セリアを救い出してみせる!」
ギルス「・・・大丈夫、クロちゃんならきっと出来るよ。」
カリア「あたし達も応援してるわ!」
ホルス「・・・ま、そのナンだ、・・・・・・頑張れよ。」
セティ「クローヴィスさん・・・お元気で・・・」
クローヴィスは軽く片手を挙げて応えると、そのまま姿を消した。パックマンとの召喚契約が途切れ、元の世界へと召還されたのだ。
クローヴィスの斗いの結末は如何に?詳しくは元ゲー『ドラゴンバスター』を御覧下さい、と云いたいトコなんだけど、アーケード版は基本的にエンドレスなので、ここは一応のエンディングが存在するFC版かPC−8801版でも見ていただくしかないかしら。因みにPC−8801版は何故だか販売はエニックス。何故だか最終ラウンドとしてROUND13が追加されており(アーケード版はROUND12までで以降ループ)、何故だかエンディングデモも追加されており、しかもセリア姫のどアップ画像まで挿入されてる、ある種の異色作ですよ!?特に最終ROUND13のドラゴンが(追加要素だけあって)ナンか特別に強いのかと思いきや特に変哲の無い、ってのも肩透かし感があってイイですね!(←また何を云ってるんだか・・・)
ホルス「・・・さて、それじゃ行くか!」
セティ「そうですねっ。」
カリア「でも、次は誰が相手なのかしら・・・・?」
ギルス「まあ、大体予測はつくよーな気もするけどね・・・」
・・・まあ、登場するのが誰かは既に明白だし、残り階数からすればその順序もほぼバレバレな気もするけど・・・・・・
兎に角、次回は3階での戦いです。
☆まだつづく☆