(本シリーズの内容は一見実際のゲーム内容を模しているようにも思えますが、これまで以上に全くゲーム本編を無視して物語が進みますので余りにも鵜呑みにし過ぎると莫迦を見ます)
ドル足掻記
「STAGE62:壇ノ浦〜六〜」
???『戯れは・・・・・・終わりじゃ。』
その巨大な人影は、カゲキヨのそれと似たような嗄(しゃが)れ声で話した。そして、それは先程ホルスが「埒が明かない」と云った時に応えた、謎の声と同じものであった。
カリア「あれが・・・」
セティ「カゲキヨさんが追い求めていた敵、なんですか・・・?」
カゲキヨ「遂に見(まみ)えたり・・・・・・『頼朝』!!今こそ我が同胞が積怨、晴らす時也!!」
云うなりカゲキヨは巨大な人影目掛け猛然と駆け、大きく跳躍した。
カイ「!!!」(←思わず頭をかばいながらしゃがみ込む)
ギルス「あの・・・、ボク達反対側の場所に居るからさっきみたいに足場代わりにされるコトは無いと思いますよ(前回参照)?」
カイ「・・・・・・わたし、若しかしてちょっとカッコ悪い?」
しかしそんなオトボケ連中の事など一向に介さず、カゲキヨの刃は謎の人影・・・もう正体バレてるから今後は「頼朝」と書きますが・・・へと迫る。
頼朝『痴れ者奴(め)が!分を弁(わきま)えい!!』
一喝と共に、「頼朝」はその手に持っていた板状のものを両手に掲げ・・・
ギルス「そろそろご飯の時間か!?カリアはまた今日も茶碗四杯分食べるの?」
カリア「ちょっとギルスあたしのイメージ壊すよーなコト云わないでよ?あたしコレでも体型維持に気を遣ってるんだからっ!?」
ギルス「イヤやっぱり居候(いそうろう)は三杯目以降はそっと出して欲しいなって・・・」
カリア「ギルスあなた15歳なんだからそんなオヤジ臭いネタ持ち出さないでよ?それよりあたしってばまだ居候扱いなの!?ぶっちゃけてあたし次期王妃最有力候・・・」
セティ「あぅぅぅぅぅっ!?」
ホルス「(倒れたままで)お前ェらいい加減にしやがれっ!!ただ単にあの野郎(頼朝)の持ってるアレを杓文字(シャモジ)と間違えてるだけの小ボケなんだろーが!ナンでそこまで長々引張る必要があるんだよっ!?
カイ「・・・わたし達がおシャモジの事知ってたり、それ以前に果たして米食文化が存在するのかとか、そー云った事には一切ツッコまないのね・・・」
ホルス「今までの筆者の芸風見てたらお判りでしょう?」
カイ「ま・・・ね・・・」
念の為に。「頼朝」の持っている板状のもの・・・イメージとしては読者諸兄も御想像の通り、十倍マルチタスク会話機能を持つあの皇太子様の肖像画なんかでも御馴染みなアレ・・・は当然シャモジなんかではなく、『笏(しゃく)』と呼ばれる装具の事である。大和朝廷の公事の際の制服である「束帯」のオプションの一つであり、元は天子の勅命や儀式次第などを裏にメモしたカンペの様なものだったと云われる。尚、右手に持つのが正式とされる(『広辞苑』第五版より)。
ギルス「因みに、この字を漢和辞典で引いても『コツ』『コチ』とか云った音読みしかなくて『シャク』って読みが無くて困惑された方(筆者含む)に。どーやら『コツ≒骨』と通じるのを『忌み言葉』として、代わりに長さが一尺(約30センチメートル)前後と云う事で『シャク』とムリムリに読ませたそうですヨ?」
セティ「さすがギルスさまっ!異国文化にまで精通されてるなんてステキですぅ!!」
ホルス「ってンな事今ココでひけらかす事にナンの意味があるんだよっ!?どー見ても筆者がネタに詰まって薀蓄(ウンチク)で行数稼ごうって肚がミエミエじゃねーか!!」
カリア「ってそのツッコミ自体が行数稼ごうとする筆者の思惑に嵌ってるし?」
カイ「・・・そのツッコミも以下同文よ、カリア。」
・・・とツッコミ返すこともまた筆者の手の内ですぜ、奥サン!?
さて、そろそろクドくなってきましたので話を元に戻しまして、「頼朝」はその『笏』を大きく振りかぶり、彼目掛け跳躍していたカゲキヨに対し撃ち下ろす!空中に在るカゲキヨにはそれを回避する術もあればこそ、『笏』に叩(はた)き落とされ地面に激突する。
「頼朝」は、それを冷たく見下ろしながら再び『笏』を頭上に掲げる。
頼朝『・・・忌々しき平家が小倅よ、死の淵より黄泉還りて刃を向けしその妄執に免じ、予より直々に今一度の死を遣わそうぞ。』
ギルス「・・・危ない!!」
ギルスは懐からマッハブーツのカードを取り出して素早く装着、カゲキヨの元へと猛然とダッシュした!
カリア「ギルス!?」
セティ「あぅ?ギルスさまはいつの間にマッハブーツのカードをお持ちになっておられたのですか?今まで一度もお使いになられた事は無かった筈なのに!?」
ホルス「ああ、ジェットブーツはギルガメス大王の所持品だったから再び御陵の中に奉納されているんだ。それに、今回はホワイトクリスタルロッドをイシター様からお借りしているからMPを湯水のように使えるしな。」(←STAGE61前編参照。因みにまだ倒れたまま)
カイ「・・・でも、考えようによってはより効果の高いアイテムが手に入ったから旧いアイテムは用済みになった、って云う風にも取れるから、わたしとしてはちょっと微妙ね・・・」
いえいえ決してカイ様が旧いだとか年増だとか云ってるワケでは御座いませんよ?
カイ「ンな事判っとるわあァ!!」(←思いっきり脚を踏み付ける)
ホルス「ぐあああぁっ!?」(←やっぱりとばっちり)
なんだかなぁ・・・でも中には「ホルスの野郎なんて羨ましい!(=カイに踏み付けられたい)」って思ってる御仁も居るやも知れません。筆者が斯様にメチャクチャに描写していようが、彼女が尚根強いファンを擁する魅力溢れたキャラクターである事には違いが無いのですから?
カイ「・・・それって単にマゾなだけじゃないの?いきなり取っ手つけた様なおべんちゃらはイイから、早く話を進めなさい筆者!?」
はい。・・・ホントこれ書くの久々だから全然ペースが掴めてませんね。
さてマッハブーツの救けも借りて、ギルスは「頼朝」が第二撃を放つ前にカゲキヨの傍らへと滑り込み、彼を抱えあげて大きく跳び退(すさ)る!瞬間、カゲキヨの倒れていた地面に『笏』が振り下ろされて、衝撃と共に巨大な地割れが発生した。若しこの一撃に巻き込まれていれば、ギルスもカゲキヨもひとたまりも無かったであろう。
頼朝『猪口才な真似を・・・』
カゲキヨ「汝(うぬ)は何故(なにゆえ)に我を救く?汝は彼奴が一門、源氏の輩(ともがら)に非ずや?」
ギルス「ゲンジか電子レンジかバンバンジーか知らないけれど、ボクはあの連中の仲間じゃないよ。キミの知らないであろう異世界の人間だ。・・・て云っても、キミが勝手にボク達の世界に入り込んだだけみたいナンだけどね・・・。キミの世界の事はボクには良く判らないけど、」
よく云うぜあんだけ現代ニッポンに精通したようなボケばっかりしやがって・・・
ギルス「うるさいよ!せっかくのシリアスシーンなのにっ?・・・・・・閑話休題(それはさておき)、でも、ボクにも判る事がひとつある。それは・・・、愛する国がヤミに乗っ取られた事、そしてその苦しみと哀しみ。ボクも、かつて同じ目に遭ったから、それはよく判るつもりだ・・・」
カリア「ギルス・・・」
セティ「ギルスさま・・・」
カゲキヨ「・・・・・・」
ギルス「・・・だから、キミとボクは似たもの同士なのかもしれない。世界は違えども、ヤミから故国を解放する為に戦う戦士として!だからこそ、今ボクはこうしてキミを救けたのかもしれないね・・・」
頼朝『茶番よのぅ。』
「頼朝」が、鼻を鳴らすかのように云い放った。
頼朝『・・・して、其処な異人よ。為れば其方(そち)も、其処なる平家が小倅と共に、予に刃を向けんや?』
しかし、ギルスは静かに首を横に振った。
ギルス「いや、ボクが手助けするのは今回限りだ。これはあくまでカゲキヨの戦い、キミ達の世界での戦いだから、ボク達異世界の人間が介入する余地は無いよ。・・・それに、ボクが居なくったって、きっとカゲキヨならお前を討ち倒して、ヤミを払ってくれるだろうさ!ねえカゲキヨ!?」
カゲキヨ「・・・汝に云われずとも。」
いつもの様に異形を象(かたど)った仮面と異様なる嗄(しゃが)れ声で返すカゲキヨだが、その仮面の下に僅かに笑みがこぼれている様にギルスは感じ取った。
頼朝『・・・・・・興が醒めたわ。』
抑揚無くそう呟くと共に、「頼朝」の体が段々と霞んでいく。
カゲキヨ「・・・・・・『頼朝』!!」
頼朝『其方の命、今一度預けておこうぞ。之なる姿は予が念に依りて生み出せし写し身。予を追いたくば、いざ参れ鎌倉へ・・・』
そして、「頼朝」の姿は完全にかき消えた。
カゲキヨ「・・・・・・・・・」
ギルス「参れ鎌倉へ、か・・・。旧くから云うもんね、『鎌倉いい国(1192)一度はおいで』って。」
ホルス「云わねーよ!!ここにきて無理無理にボケるの止めろ!?」
ナーガル神「・・・・・・どーやら、コトは落着したみたいやな。」
突如、中空より冥界神の声が響く。
カゲキヨ除く一同「ナーガル様!?」
ナーガル神「スマンけど、少しばかり傍観させてもろたわ。ワシら『八柱神』が直接あちらさん(異世界)のイザコザに干渉するンは例の『憲章』(STAGE44参照)で禁じられとるさかいな。・・・ほな、そろそろワシの出番やな。そろそろ筆者も引っ張るのが苦しゅうなってきよったカンジやし・・・カゲキヨ云うたな、ジブンが違う世界に迷い込んでしもうた、って云うンはもう理解でけたな?」
カゲキヨは無言でうなづく。
ナーガル神「ほんで、ジブンはあの頼朝とか云うチョビ髭親父を倒す為に元の世界に還りたい、そーやな?」
ギルス「(ぼそっと)・・・でも、ナーガル様も大概チョビ髭だよね。」
カリア「(同じく小声で)ちょっとギルス!下手したら聞こえるわよ?そりゃあたしもちょっとだけそう思っちゃったけど!?」
ホルス「(やっぱり小声で)注意するのはいいけどカリアまで同意するなよ!?」
セティ「(彼女だけ心の中で)あぅ・・・でもSTAGE42で同様の展開だった時はしっかりラマン神さまに聞こえてらしたような・・・」
ナーガル神「・・・・・・(当然聞こえているが取り敢えず無視)。ほなら、そこに居るギルスにジュエル・・・翠玉杵(念の為、「すいぎょくしょ」と読みます)云うたか?・・・を渡すんや。」
カゲキヨは暫し逡巡した後に、ギルスに翠玉杵こと「エメラルドメイス」を渡す。
ギルスはそれを受け取ると、目を閉じて集中する・・・・・・そして、やがてそれは闇のジュエルから光のジュエル・・・グリーンクリスタルロッドへと変貌を遂げる。
尚、ゲーム本編ではランク6のジュエルが登場するWORLD6が天界篇である関係上、闇のランク6ジュエルであるエメラルドメイスが登場するのはこのSTAGE62のみだったりする。
ナーガル神「よっしゃ。『浄化』が済んだな。ほなら、これでジブンをこの世界から切り離す事が出来るわ。」
いきなり、ギルス達の前に巨大なワープゲート・・・「鳥居」が出現する。
ナーガル神「これが、ジブンの世界に還る為の『鳥居』や。ここをくぐれば、ジブンは元の世界に戻れる。・・・もうココに用は無いねンやろ?ほれとっとと往ねや。」
急かすかの様なナーガルの口振りを他所に、ゆっくりとカゲキヨは歩を踏み出し・・・「鳥居」の前に立つと、おもむろにギルスの側を振り向いた。
カゲキヨ「・・・・・・汝が尊名、我未だ訊かず。」
ギルス「・・・ギルスだよ。」
カゲキヨ「儀留守・・・か。」
カリア「なによそれ?」
筆者のPCで「ぎるす」を素で変換するとこーなるのだ!参ったか!?
ホルス「威張って云う事かよ!」
セティ「それにまだお話の途中ですぅ!?」
カゲキヨ「・・・汝には世話になった。礼を申す。然れど、一人の武士(もののふ)として、汝と矛を交えたかったもまた事実・・・再び我ら相見(あいまみ)えん時、今一度の勝負を所望致そうぞ。」
ギルス「望むところだよ!」
カゲキヨ「ふ・・・・・・、然らば!!」
ギルス「さよなら・・・」
カリア「ガンバってね!」
ホルス「負けンじゃ無ェぞ!」
セティ「どうかお元気で・・・(←既に死んでるけど)」
カゲキヨ「・・・祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き在り・・・沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す・・・・・・」
そしてカゲキヨは「鳥居」の中へと入って行き・・・「鳥居」と共にその姿を忽然と消した。
斯くして「日ノ本」へと帰還したカゲキヨであったが、彼の戦いの結末が果たしてどうなったのか。それは世界を遠く隔てたギルス達には窺い知れぬ事ではあったが、後年になってギルスは何処かより次のような詩を耳にしたと伝えられる。
『神様は死んだ 悪魔は去った
太古より巣食いし 狂える地虫の嬌声も
今は、はるか郷愁の彼方へと消去り
盛衰の於母影を
ただ君の 切々たる胸中深くに残すのみ
神も悪魔も
降立たぬ荒野に我々はいる』
ナーガル神「フン、さながら『英雄は英雄を識る』って云った辺りか?ほなら、ジブンらもそろそろそこを出ェへんか?別の『鳥居』を出しといた、そこをくぐれば最後の『島』へ行けるわ。」
セティ「ありがとうございますナーガルさまっ!」
ホルス「よっしゃそれじゃ行こーか!?」
ギルス「あああああ、しまったあぁぁぁぁっ!!!」
カリア「わっ!?どーしたのよギルス?」
ギルス「よく考えたら、このステージかれこれ一年半以上かけて6回に渡って続けたにも関わらず、ゲーム本編に則したステージ解説行ってないよ?」
カリア「今頃そんなコトに気づいてどーすんのよ?」
ホルス「もうカゲキヨも消えちまって話も終っちまったじゃねーか!?」
セティ「大体最早読者さんもココがリプレイだとも攻略記事だとも思ってらっしゃらないですようっ!?」
カイ「・・・てか、まだ見てる人居るの?」
それは云わないで・・・・・・辛いから・・・
・・・さて、筆者が無計画に話を連ねたおかげで「義経」も「弁慶」も出さずに話が終わってしまった当ステージですが、次回は特別篇としてゲーム本編としてのSTAGE62について触れた後に、次々回こそ遂に本当の最終ステージ、「パックランド」に突入致します!!
・・・ホントに終りが近づいてきたよ、結構感慨深いよ!?
☆まだつづく☆