(本シリーズの内容は一見実際のゲーム内容を模しているようにも思えますが、これまで以上に全くゲーム本編を無視して物語が進みますので余りにも鵜呑みにし過ぎると莫迦を見ます)
ドル足掻記
「STAGE62:壇ノ浦〜伍〜」
ゆらり・・・
灯篭の蔭より出で現れたるは、玄色の甲冑を纏い、紅き長髪を靡(なび)かせる仮面の武者。
ギルス「カゲキヨ・・・」
カゲキヨ「南無・・・」
ギルス「・・・こんにちは。」
ギルスとカゲキヨ除く一同、一斉にずっこける。
ホルス「『なむこんにちは』・・・ま・・・まさか・・・それもダジャレなのか?そうなのか!?」
セティ「あ・・・カゲキヨさん、意外と背がとっても高いんですね・・・」
ホルス「『せがとってもたかい』、これもダジャレかーーーっ!!」
カリア「ギルスー、今日の晩ごはんは鯛と海牛(ウミウシ)よーっ!」
ホルス「『たいとうみうし』、ダジャレ連発かよっ!?」
カイ「・・・と云うよりも、あなたがツッコミ入れなければ解らない様な気もするけど・・・」
えー念の為に解説致しますと、この3つのダジャレのいずれもまた「だじゃれのくに」に登場します。しかもこの通りに三連発で。
一応お解りだと思いますが、全部ゲームメーカーさんの社名に絡んだ駄洒落ですね。
ギルス「しかし、今でもセガとっても高いのかなぁ、か・・・」
ホルス「ぶーーっ!止めろその発言はちょっとある意味イタ過ぎる!!」
セティ「でもカリアさん、鯛は兎も角ウミウシって食べられるのですか!?」
カリア「んー、判んない♪でも大丈夫よギルスならっ。」
ホルス「ムチャクチャじゃねぇかっ!?」
ギルス「なんか今回ホルス妙にツッコミハジケてない?」
カゲキヨ「・・・・・・問答無用!!」
セティ「きゃあ斬りかかってきましたぁっ!」
カイ「・・・まあ無用な問答している分、彼の云い分の方が正しいわよね・・・」
カゲキヨは腰に佩いていた太刀をすらりと抜いて飛び掛かる。すんでのところでホルスが剣を抜いてその剣撃を受け止める!
ギルス「おおっ!珍しくバトルっぽいシーン!?」
ホルス「るせぇよ!・・・しかし、コイツの剣、かなりの業物だぞ。レイピアみたいな細身の癖に、オレのシャムシールと互角に張り合ってやがる!」
カゲキヨ「・・・我が得物、『小烏丸』を侮る勿(なか)れ!」
云い放つやカゲキヨは身を旋回させて刀の峰の方でホルスを襲う!
咄嗟にホルスは身を引いたが、刀はホルスの頬を掠め、赤い血を滲ませた。
ギルス「血の色が緑だったら面白いのにね。」
カリア「全く。」
ホルス「勝手な事云ってンじゃねぇそこのバカップル!・・・しかし何故だ?峰打ちなのに頬が切れたぞ?ポン刀って片刃じゃねーのかよ!?」
セティ「兄さん『ポン刀』って・・・」
何気なく解説。
先程カゲキヨの科白にあった彼の得物「小烏丸」ってのは筆者の創作ですが、実際に平家には刀身の先端から中程までが両刃の「鋒両刃作(きっさきもろはづくり)」になっている『小烏』刀が伝えられていたと云われています。先端が両刃になっているのは刺突攻撃にも対応出来るようにしていたとも云われています。「小烏」を持つのは平家でも嫡子権を持つものとされていますが、壇ノ浦の合戦以降平家の滅亡によりそれは失われ、後世には同様の「鋒両刃作」の刀剣を「小烏丸太刀」と呼ぶようになったと云われています。
ついでに云いますと、本文に於いてホルスの持つ曲刀をペルシアを代表する湾刀「シャムシール」に設定したのは、この剣の名称がペルシア語で「ライオンの尻尾」を意味するからです。「ザ・ブルークリスタルロッド」に登場する知性派戦士・ホルスの異名が「マンティコア」だったので、ライオン繋がりでまあイイか、と。まあ実際「ブルクリ」のホルスの得物は槍ですので(STAGE46前編参照)、そこまで無理にコジツケなくても良いと云えば良いのですが・・・
ギルス「・・・以上、参考文献『武器事典(新紀元社)』でした。」
セティ「はぅっ誰に何を云ってるんですかギルスさま?」
そんな解説も無視してホルスとカゲキヨは延々二十余合も斬り結ぶが、お互いに決定打を与えるにも至らず両者の実力は見事に伯仲していた。
カゲキヨ「・・・廻旋からの猛然たる剣撃・・・・・・流石は義経、敵乍ら見事也。」
ホルス「ナニ云ってンだお前ェ!?しかしマジに強ェぞコイツ、クロ公にも引けを取らねェ。このままじゃあ埒が明かないぜ・・・」
『為ればその埒、明けて進ぜようぞ。』
ギルス「え?」
突如一体に声が響き渡った。しかしそれはこれまで聞いてきた駄洒落を読み上げる声とは違っていた。
カゲキヨ「・・・頼朝・・・・・・!」
そうカゲキヨが低く呟くと同時に、剣を交える二人の頭上数メートルの中空に一巻の巻物が浮かび上がった。
『まきものは おまえを すくうろうる』
セティ「・・・今度は、いつものダジャレの声さんですね・・・」
カリア「でも結構緊迫してる場面なのにまだダジャレなの?」
だから「だじゃれのくに」なんですってば奥さん。
カリア「(両手で頬を押さえながら)やだ・・・『奥さん』だなんて・・・」
セティ「あぅぅぅっ!抜け駆けっ!?」
ホルス「なんだよそりゃ?ってまたオレ無視されてるし!?」
ギルス「そんな事よりホルス!あの巻物を取るんだ!きっと何か有るに違いない!!」
ホルス「おおそうだ・・・って、オレの跳躍でもあの高さは届かねーぞ!?」
カゲキヨ「届かずば、足場を遣うに如かず・・・臨!!」
云うなりカゲキヨは大地を蹴って飛び上がり、「要石」を踏台にして更に高く舞い上がった!
カイ「痛たたっ!?わたし?やっぱりわたしなの!?若しかして今回コレさせられる為だけにわたし出演したとか?コレどー云う事!?恐れ多くも『正伝』のヒロインにしてメーカーを代表するヒロインの一人でもあるわたしにこの仕打!?何故よーーーっ!!!」
ギルス「す、総てはイシター様の思し召し・・・?ぷぷっ・・・」(←笑いを堪えている)
さて、よく考えたらSTAGE59中編辺りから『要石』ネタは出ているのですが特に解説を行っていませんでしたね・・・コレもまた旧いネタですので、前回より続いているこの「だじゃれのくに」同様に御存じない方も居らっしゃるでしょうからこの機会に少し補足しておきましょう。
『ドルアーガの塔』シリーズ・・・『バビロニアン・キャッスル・サーガ』のプレストーリー(エピソード0)として発売された「カイの冒険(1988年FC)」は、カイがドルアーガの塔に挑み、ドルアーガの魔力で石に変えられるまでを描いたものですが、当時のユーザーは当然それだけでゲームが終わる筈も無いと踏んでおりまして、事実本ゲームには「スペシャルステージ」が存在していました。
と云いましてもただ通常(1〜60Fまでの60面)より難しいステージが40面(で計100面)用意されているだけなのですが、これらの難易度が尋常でなく(しかもコンティニューこそ有れど面セレコマンドやセーブ機能が皆無、更に逆ワープ=「ZAP」も有る)、実は通常ステージが練習でこっちが本番と思えるほど。筆者も当時74面くらいが限界でした・・・
で、一体ナニがカイ=要石と繋がるのか。いくつかのステージ毎に女神イシターがプレイヤーキャラのカイにアドバイスを与えるのですが、この「スペシャルステージ」では何故かゲームそっちのけの謎トークを女神様はかまして下さいます。その一つに「カイの後姿は『源平討魔伝』の要石に似ている」と云うのが有りまして、以後語り草となったものです。
他にも何故かイタトマの宣伝などイシター様の伝説トークはある意味当コーナーよりも卒倒モノですので若しプレイ環境が揃ってましたら是非実際に御覧戴きたいです。筆者も今度FCを発掘し直そうと思っております。
カイ「そんな人の恥を晒さなくていいじゃない!」
とか云ってる間にカゲキヨは巻物を掴み取って着地していた。
ホルス「く!」
カゲキヨはおもむろに巻物を開き、中を一瞥すると巻物を打ち棄て、怪刀『小烏丸』を両手で構える。
カゲキヨ「必殺・・・旋風剣・・・・・・」
そう呟くと共に、『小烏丸』が大きく円弧を描く。カゲキヨは得物を利き腕に持ち替え、腕を大きく回して太刀を高速に回転させていく。
カゲキヨ「いやあああああああああっ!!」
セティ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
ああっお約束!!
カゲキヨの旋風剣が巻き起こす風でセティのスカートが捲れそうになってしまってる。ビジュアルでお見せ出来ないのが残念ですがそこはそれ想像でカバーして下さい(?)。
ホルス「手前ェ!よくもオレのセティを!!」
セティ「あぅーいつからわたし兄さんのものになったのですかぁっ!?」
ギルス&カリア「・・・・・・・・・」
流石にここまで突っ走ったホルスにツッコむ気になれない二人であった。
ホルス「うるせーよ!奴が縦回転の剣ならこっちは横回転だ!!うぉりゃああああああ!!!」
ホルスは自らの体を独楽(コマ)のように高速回転させて飛び掛かる!!いつもの「剣の舞い」に似てはいるが、
ギルス「いつもより余計に回しております!」
でもギャラは同んなじ。
与太は措きまして、片や縦回転のカゲキヨ、片や横回転のホルス。いずれ甲乙付け難し・・・・・・いや待て。ホルスの剣は胴を薙ぐ様に振るわれ、一方のカゲキヨの剣はカブト割りをせんと振り下ろされる。両者の焦点は互いに異なる・・・となれば?
カリア「相討ち!?」
にはならなかった。実は両者の剣には決定的な差が在ったのだ。即ち、カゲキヨは躰の向きを横に向けるだけでホルスの胴薙ぎを受けられるが、ホルスはカゲキヨのカブト割りを受け切れない。ホルスが上方からの剣撃を受けんと剣を上に向けると途端に彼の横回転は不安定となり剣の速度・威力が大きく削がれるのだ。
・・・果たして、ホルスの剣はカゲキヨの旋風剣に弾かれ、そのまま返す刀がホルスの脳天に直撃する。
ホルス「ぎょえーーっ!」
地面に倒れこむホルス。お約束通りの断末魔の叫びを上げながら。
カゲキヨ「・・・次は、汝(うぬ)らだ・・・」
ギルス「・・・くっ!こうなったらボクが!!ホルス、キミの死は無駄にはしないぞ黄泉の国から見守っていてくれ!?」
ホルス「(倒れた状態で)あのな・・・いつも云ってるんだがオレ死んでるんじゃねーってばよ!」
内容の破天荒っぷりにすっかり読者様もお忘れの感も御座いますがコレは一応ダンジョンバトルですのでその中でのキャラクターの生死ってのは(ジュエルが健在な内は)あくまで仮り初めのモノですんで御注意下さいませね。
しかし、ギルスとカゲキヨがいざ対峙したその刹那。
『わらって よりとも』
セティ「・・・・・・?」
ギルス「みなさん、こんにちはー!!」
カリア「(やる気の無いロ調で)こんにちはー。」
ギルス「一体いつになったらこのバカ話って終わるんでしょーかねぇ!?」
カリア「(やる気の無いロ調で)そーですね!」
ギルス「ありがとうございます。」
セティ「・・・・・・??」
カイ「あの・・・あなた達、何なのソレ?」
ギルス&カリア「ちょっとしたお昼休みはうっきうっきなトーク。」
ホルス「(倒れたまま)ハモりながらしかも即答かよ!おまけにワケ判んねェし!?意味不明過ぎて、カゲキヨの野郎も固まっちまって・・・って、アイツ一体何見てやがる?」
ギルス「・・・え?」
確かにホルスの云う通り、カゲキヨは太刀を構えたまま動きを止めていた。しかし、その視線はギルス達ではなくその背後、しかも上方に向けられていた。
ギルス達も恐る恐るそちらへと振り返ってみると・・・
カリア「な、ナニ?何なのアレ!?」
ギルス達の背後にそびえ立つ山、更にその後ろに更に巨大な人影が在ってこちらを見下ろしていた。ギルス達には見た事も食べた事も無い(?)様な妙な装束ではあったが、その雰囲気は明らかに貴人のそれであろう事は瞬時に見てとれた。
カゲキヨ「・・・遂に現れし、魔の『源』・・・・その忌まわし名、『頼朝』!!」
ギルス「なにーーっ!?」
???『戯れは・・・・・・終りじゃ。』
しつこく続きますが、一応次で源平篇クライマックスぽいです。まだ全然ゲーム本編的な話してないのにかよ!?
☆まだつづく☆