検査値について
今回の特集は病院などで行う検査についてその正常値と検査を行うことによって、どんなことがわかるかをまとめてみました。
検査の正常値は成人の場合で示しました。また、検査方法により正常値や単位が異なる場合があります。英文略語についても医療機関などで多少異なる場合があります。


*血液一般検査*
検査項目 正常値
赤血球数(RBC) (男)400万〜550万個/
(女)350万〜450万個/
ヘモグロビン(血色素) (Hb) (男)13〜17g/dl (女)12〜15g/dl
ヘマトクリット(Ht) (男)39〜50% (女)36〜45%
赤血球恒数
◆ 平均赤血球容積(MVC)
◆ 平均赤血球血色素量(MCH)
◆ 平均赤血球血色素濃度(MCHC)

83〜93μ
27〜32pg
32〜36%

白血球数(WBC) 4000〜9000個/
血液像
 好中球(N)
 好酸球(E)
 好塩基球(B)
 単球(M)
 リンパ球(L)
40〜60%
1〜5%
0〜1%
4〜10%
30〜45%
血小板数(PL) 20万〜40万個/
出血時間 1〜3分
プロトロンビン時間(PT) 10〜12秒 80〜100%
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 20〜40秒
赤沈(血沈)(BSR,ESR) (1時間値)
(男)1〜10o (女)2〜15o


*腎機能検査*
検査項目 正常値
尿たん白 (定性) 陰性(−) (定量) 1日100r以下
尿糖 (定性) 陰性(−) (定量) 1日1g以下
尿潜血反応 陰性(−)
尿沈渣
 赤血球(RBC)
 白血球(WBC)
上皮細胞
結晶成分
円柱細胞
細菌
1個以内(1視野)
3個以内(1視野)
少数(1視野)
少数(1視野)
陰性(−)
陰性(−)
尿量 1日500〜2000ml
尿比重 1.020〜1.025
尿素窒素(BUN) 8〜20r/dl
クレアチニン(CRNN) (男)0.8〜1.2r/dl
(女)0.5〜1.0r/dl
クレアチニン・クリアランス(CCR) 100±30ml/分
電解質
 ナトリウム(Na)
 カリウム(K)
 カルシウム(Ca)
 クロール(Cl)
135〜148mEq/l
3.5〜5.5mEq/l
9〜11r/dl
98〜107mEq/l


*肝機能検査*
検査項目 正常値
GOT 5〜35UK/ml
GPT 5〜25UK/ml
LDH(乳酸脱水素酵素) 250〜350IU/l 
150〜400ロブレスキー単位
LAP 200単位以下
(ゴールドバーグ・ルーテンブルグ法)
30〜80IU/l(LPNA法)
γ−GTP 40単位以下
コリンエステラーゼ(ChE) 0.6〜1.2△pH
1900〜3800IU/l(ブチリルチオコリン法)
1100〜1900IU/l(ベンゾイルコリン法)
ビリルビン(Bil)
 総ビリルビン(T-Bil)
 直接ビリルビン(D-Bil)
 関節ビリルビン(I-Bil)
0.2〜1.2r/dl
0.4r/dl以下
0.8r/dl以下
血清総たん白(TP) 6.5〜8.0g/dl
A/G比(アルブミン/グロブリン比) 1.1〜2.0
アルブミン(Alb) 3.8〜5.1g/dl
膠質反応
 TTT(チモール混濁試験)
 ZTT(硫酸亜鉛混濁試験)
0〜5クンケル単位
2〜14クンケル単位
色素排泄試験
 BSP(ブロームサルファレイン)

 ICG(インドシアニングリーン)
(30分後値)5%以下
(45分後値)2%以下
(15分後値)10%以下
ALP(Al-p) 0.8〜2.9KA単位(ベッシー・ローリー法)
3〜10KA単位(キンド・キング法)
(男)98〜265KA単位(P-NP法)
(女)72〜199KA単位(P-NP法)
尿ウロビリノーゲン 擬陽性(±) 弱陽性(+)


*糖尿病の検査*
検査項目 正常値
尿糖 (定性) 陰性(−) 定量1日1g以下
血糖(BS) (空腹時)70〜110r/dl
(食後) 140r/dl以下
ブドウ糖負荷試験(OGTT)
(75g経口負荷)
(空腹時)110r/dl未満
(2時間後値)140r/dl未満
グリコヘモグロビン(HbA1) (HbA1)5〜8%
(HbA1C)4〜6%


*代謝系の検査*
血液生化学検査
検査項目 正常値
総コレステロール(TC) 120〜220r/dl
HDLコレステロール(HDL-C) (男)40〜60r/dl
(女)50〜70r/dl
中性脂肪(トリグリセライド、TG) 50〜140r/dl
β−リポたん白(β−lipo) 300〜500r/dl(SRID法)
尿酸(UA、Ur) (男)3.5〜6.5r/dl
(女)3.0〜5.5r/dl
Ca(カルシウム) 9〜11r/dl
アミラーゼ 100〜400IU/l(ブルースターチ法)
60〜250IU/l(酵素法)
CK(CPK)(クレアチンキナーゼ) (男)40〜200IU/l(比色法)
(女)30〜120IU/l(比色法)
アルドラーゼ(ALD) (男)8.1〜13.0IU/l
(女)6.0〜11.2IU/l


*血中ホルモン検査*
検査項目 正常値
甲状腺ホルモン検査
 T3(トリヨードサイロン)
 T4(サイロキシン)
 TSH(甲状腺刺激ホルモン)
90〜200ng/dl
4〜13μg/dl
0.6〜10μU/ml


赤血球数(RBC)red blood cell
異常値を示す主な病気 ⇒ 貧血、多血症
赤血球は朝に多く、夜は数%減少するといわれています。季節によっても変動し夏に少なく冬に多くなります。また、喫煙や運動などによっても数値は高くなり妊娠時は低くなります。


ヘモグロビン(Hb)hemoglobin
ヘマトクリット(Ht)hematocrit
異常値を示す主な病気 ⇒ 貧血、多血症
ヘモグロビンは赤血球に含まれている血色素で体中に酸素を運ぶ役割をしています。
ヘマトクリットとは一定量の血液中に占められる赤血球の割合を調べる検査です。


赤血球恒数
貧血の原因や、貧血の種類・性質などの区分を行う為に有効な検査です。
平均赤血球容積(MCV) 赤血球の大小がわかります。
平均赤血球血色素量(MCH) 各赤血球に含まれるヘモグロビン量の平均値です。
平均赤血球血色素濃度(MCHC) 一定量の血液中の赤血球容積に対するヘモグロビン量の割合を示します。


白血球数 (WBC)white blood cell
異常値を示す主な病気 ⇒ 白血病、細菌感染症、腎不全、心筋梗塞、再生不良性貧血、肝硬変、薬剤障害
白血球数は激しい運動や入浴、ストレスなどによっても一時的に増加することがあります。


血液像 differential count
異常値を示す主な病気 ⇒ 感染症、白血球、腸チフス、再生不良性貧血、免疫不全
体内に細菌や異物が侵入すると、血液中の白血球が増えます。白血球はさらに好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類に分けることが出来ます。病気によってこれらの増減が異なりますので診断の手がかりとされています。


血小板数 (PLAT,PL)blood platelet
異常値を示す主な病気 ⇒ 血小板減少性紫斑病、白血病、再生不良性貧血、肝硬変
血小板は出血したときに血を止める働きをしています。そのため数が少なかったり機能が低下したりすると出血しやすくなったり出血が止まらなくなったりします。


出血時間 bleeding time
異常値を示す主な病気 ⇒ 特発性血小板減少性紫斑病、血小板無力症、尿毒症、壊血病、フォン・ウィルブランド病
出血時間とは皮膚から出血した血液が自然に止まるまでの時間です。血小板や血管壁の異
常を調べます。


プロトロンビン時間 (PT)prothrombin time
異常値を示す主な病気 ⇒ 肝障害、胆道疾患、血管内凝固異常
プロトロンビンは出血を止める中心的な血液凝固因子の1つです。
出血してから肝臓でプロトロンビンがつくられるまでの時間を計ります。


活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT)activated partial thromboplastin time
異常値を示す主な病気 ⇒ 血友病
この検査では血友病の原因となる第[因子と第\因子の欠乏を調べています。
また、これに似た病気を発見することも可能です。


赤沈
異常値を示す主な病気 ⇒ 骨髄腫、感染症、肝臓病、貧血、膠原病、ガン、心筋梗塞、閉塞性黄疸、腎不全、結核
赤血球沈降速度の略で赤沈と一般的に呼ばれています。簡単な検査ですが、いろんな病気で異常値を示します。ただし、この検査だけでの診断は出来ません。


尿たん白 urine protein
異常値を示す主な病気 ⇒ 腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、尿路感染症、尿路系の異常など
からだに障害がなくても、激しい運動や寒さ、精神的な興奮、強いストレスなどによっても、尿たん白がでます。


尿糖 urine glucose
異常値を示す主な病気 ⇒ 糖尿病、腎性糖尿
食後の尿糖が陽性でも、早朝や食前、寝る前の検査で陰性なら、心配はいりません。しかし、食前や寝る前の尿糖が陽性なら血糖コントロールがうまくいっていないことを示します。


尿潜血反応 urine occult blood
異常値を示す主な病気 ⇒ 腎臓・尿路系の炎症や腫瘍、外傷
一回の検査では病気を判定することは出来ません。生理中の女性の場合は、大部分が尿潜血反応で陽性となります。肉眼でも赤血球が大量に出ていると血尿になります。


尿沈渣 sediment in urine
異常値を示す主な病気 ⇒ 尿路結石、尿路腫瘍、尿路感染症、糸球体腎炎
尿沈渣は、尿たん白や尿潜血の尿検査が異常値を示したときに行われる検査です。


尿量 urine total volume
異常値を示す主な病気 ⇒ 急性腎不全、慢性腎不全、悪性腫瘍(ガン)、糖尿病、尿崩症
腎機能の障害や血液の濃さや尿量を調整するホルモンに異常がおこると尿量が大幅に変化します。また、コーヒーやビールなど利尿作用のあるものを飲むと尿量は増えますし、大量に汗をかけば尿量は減ります。正常値内であれば特に問題ありません。


尿比重 urine specific gravity
異常値を示す主な病気 ⇒ (低比重) 慢性腎不全、尿崩症(高比重) ネフローゼ症候群、糖尿病、心不全
腎臓は、濃い尿や薄い尿をつくって体内の水分を調整します。腎臓の働きに障害がおこると尿がふだんより濃くなったり、薄くなったりし尿比重が大きく変わります。この変化を調べて主に腎臓の病気を探る手がかりとします。


尿素窒素 (BUN,UN)blood urea nitrogen
異常値を示す主な病気 ⇒ 腎不全、閉塞性尿路疾患、糖尿病、肝硬変、劇症肝炎
尿素窒素は、腎臓の糸球体という器管でろ過されて尿中に排泄されますが、腎機能の排泄機能が悪くなると、血液中の尿素窒素の濃度が濃くなります。


クレアチニン creatinine
異常値を示す主な病気 ⇒ 急性腎不全、慢性腎不全、心不全、尿路閉塞、尿毒症、腎盂腎炎
クレアチニンは、腎臓の糸球体でろ過され、一部は尿細管からも排泄されます。老廃物の一種ですから、排泄に障害があるということは、腎臓の働きの低下を意味します。この値が高ければ高いほど、腎臓の障害が大きいことになります。


クレアチニン・クリアランス (CCR) creatinine clearance
異常値を示す主な病気 ⇒ 糖尿病、末端肥大症、妊娠、心不全、腎硬化症、糖尿病性腎症、糸球体腎炎
この検査は、一定時間ためた尿中のクレアチニンの量と、血清中のクレアチニンの量を測り、1分間で何mlの血漿が、腎臓の糸球体でろ過されているかを調べるものです。


電解質 electrolyte
異常値を示す主な病気 ⇒ 腎臓病、糖尿病、内分泌の病気
ナトリウム からだの水分を調整する働き
カリウム 筋肉や神経に関係のある働き
カルシウム 骨や歯の形成、神経刺激の伝達、血液の凝固などに関係した働き
クロール 体内の各組織に酸素を供給するうえで大切な働きをする
生命維持のためそれぞれバランスよく一定の濃度を保っています。


GOT (AST)glutamic oxaloacetic transaminase
異常値を示す主な病気 ⇒ 急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝ガン、劇症肝炎、心筋梗塞
GOTは心筋、肝臓、骨格筋、腎臓などに多く存在します。これらの臓器に異常がおこると、血清中のGOTにもすぐ異変が現れるので肝臓障害、心筋梗塞、溶血などを診断するうえで重要な手がかりとなります。


GPT (ALT)glutamic pyruvic transaminase
異常値を示す主な病気 ⇒ 急性肝炎、慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝ガン、劇症肝炎、心筋梗塞
GPTは、特に肝細胞の変性や壊死に敏感に反応するので、GOTとともに肝臓・胆道系の病気の診断には欠かせない検査です。


LDH (乳酸脱水素酵素)lactate dehydrogenase
異常値を示す主な病気 ⇒ 心筋梗塞、心不全、悪性貧血、白血病、筋ジストフィー、急性肝炎、肝ガン、胃ガン、大腸ガン、膵ガン
LDHはからだの中で糖がエネルギーに変わるときに働く酵素です。血清中のLDHは、悪性腫瘍、肝臓病、心臓病、血液の病気などで高値になることが多く、これらの病気のふるいわけ検査に用いられています。ただし、病気をこの検査だけで特定するのは難しく、他の検査や症状などにより判断されます。


LAP (ロイシンアミノペプチターゼ)leucine aminopeptidase
異常値を示す主な病気 ⇒ 肝炎、肝硬変、肝ガン、閉塞性黄疸(特に悪性腫瘍の場合)急性膵炎、膵頭部ガン
LAPとはロイシンなどのタンパク質を分解する酵素です。LAPは胆道から排泄されるので正常な人は胆汁中に多いのですが、胆汁うっ滞がおこると、血液中に増えます。これにより、この値は肝臓や胆道の病気を診断する手がかりとなります。


γ−GTP γ−glutamyl transpeptidase
異常値を示す主な病気 ⇒ アルコールによる肝臓障害、肝臓や胆道の病気
アルコールに敏感に反応し、しかも肝臓や胆道の病気があると、他の酵素より早く異常値を示します。そのため、一般にアルコールによる肝臓障害の指標になる検査として知られています。


コリンエステラーゼ (ChE) cholinesterase
異常値を示す主な病気 ⇒ ネフローゼ症候群、甲状腺機能亢進症、糖尿病、脂肪肝、肝硬変、劇症肝炎、慢性肝炎活動型、悪性腫瘍
からだの中には2種類のコリンエステラーゼがあります。1つは真性ChEで神経組織や筋肉などに含まれています。真性ChEはアセチルコリンを分解します。もう1つは、血清、肝臓、膵臓、肺、腸などに含まれる偽性ChEです。こちらは、アセチルコリンの他にさまざまなコリンエステルを分解します。測定されるのは、偽性ChEの方です。この偽性ChEは、肝臓でしか作られなくて、作られた後は血液中に放出されます。これを調べれば、たん白を作り出す肝臓の能力を見ることが出来ます。


ビリルビン (Bil,T-Bil) bilirubin , total bilirubin
異常値を示す主な病気 ⇒ 体質性黄疸、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、溶血性貧血、肺梗塞、敗血症、甲状腺機能低下症
黄疸にかかるとからだが黄色になるのは、ビリルビン色素が血液中に増えるためです。血液中のビリルビンの測定は、肝機能検査の重要な指標になります。


血清総たん白 (TP)total protein
異常値を示す主な病気 ⇒ 脱水症、肝硬変、慢性肝炎、悪性腫瘍、多発性骨髄腫、水血症、急性肝炎、ネフローゼ症候群、急性腎炎
血清総たん白とは、血清中に含まれているたん白の総称です。この血清総たん白は、体内で常に合成されそして壊れていき一定の平衡状態が保てるようになっています。しかし、肝機能や腎機能の障害などで体内の代謝に異常が生じると血清総たん白の値が変動します。この変動を検討し病態を明らかにしていきます。


A/G比(アルブミン/グロブリン比) albumin-globulin in ratio
異常値を示す主な病気 ⇒ 肝臓障害、ネフローゼ症候群、たん白漏出性胃腸症、多発性骨髄腫、悪性腫瘍、栄養不良
血清中のたん白はおもにアルブミンとグロブリンから構成されています。血清総たん白値が正常の範囲でもアルブミンが減少し、グロブリンが増加していることがありますがA/G比を測定していれば、肝臓などの障害を見つけることが出来ます。


膠質反応 (TTT,ZTT)tymol turbidity test , zinc sulfate turbidity test
異常値を示す主な病気 ⇒ (TTT) 急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、高脂血症、膠原病(ZTT) 急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝ガンなどの病気
γ−グロブリンを除く血清たん白の7〜8割は肝臓でつくられます。膠質反応で血清たん白値に異常が出た場合は、肝細胞や細網組織の働きに異変がおこっている事がわかります。
この検査は肝機能のふるいわけ的な検査の1つです。


色素排泄試験 (BSP,ICG)bromsulphalein , indocyanine green
異常値を示す主な病気 ⇒ 肺炎、肝硬変、肝ガン、胆汁流出障害、体質性黄疸
BSPは赤紫色のアルカリ性色素で、この溶液を体重1kgあたり5mgの割合で腕の静脈に注射し30分後と45分後に反対の腕から採血します。色素がどれくらい残っているかによって肝臓の状態を知ることが出来ます。
ICGは暗緑色の色素で空腹時に体重1kgあたり0.5mgの割合で静脈に注射します。15分後に採血して血液中の残留量を測定しますその量が多いほど肝機能が低下していることを示します。ICGはBSPに比べて肝臓以外の臓器に吸収されることが少ないので肝細胞の色素排泄機能を調べるには、BSPよりも優れているといえます。


ALP(Al-p) alkaline phosphatase
異常値を示す主な病気 ⇒ 肝・胆道の病気(急性・慢性肝炎、肝硬変、肝うっ血など)ページェット病、骨軟化症、悪性腫瘍、甲状腺機能亢進
ALPは、ほとんどの臓器に含まれていますが、血清中のALPはおもに肝臓や骨、骨盤、小腸から流失したもので、肝臓を経て胆汁中に排泄されます。このことから肝臓から十二指腸に至る胆汁の流出経路に異常があるかどうかを知ることが出来ます。骨の新生状態や肝機能、骨盤の機能が正常かどうかもわかります。


尿ウロビリノーゲン urine urobilinogen
異常値を示す主な病気 ⇒ 肝障害、溶血性黄疸、閉塞性黄疸
肝臓の悪い人は尿が濃くなるといわれますがそれは尿中のウロビリノーゲンが多くなるからです。ウロビリノーゲンはビリルビンが変化したもので血液中のビリルビン値が高くなり、黄疸が現れる病気のときに尿ウロビリノーゲン値も高くなります。


尿糖 urine glucose
異常値を示す主な病気 ⇒ 糖尿病、腎性糖尿
からだに異常があって血糖値が一定限度を超えると、腎臓から多量の糖がもれ出てきます。この尿中の糖を測る検査です。


血糖 (BS)blood suger, glucose
異常値を示す主な病気 ⇒ 糖尿病、インスリノーマ(膵島腺腫)
ブドウ糖は、生命活動を維持するエネルギー源として利用されているため、血液中のブドウ糖(血糖)は、一定の濃度に保たれています。それをこえると膵臓からインスリンというホルモンが出て、血糖を下げるように働きます。糖尿病になるとインスリンが不足し血糖が上がります。そのため血糖値は糖尿病の診断に欠かせません。


ブドウ糖負荷試験
ブドウ糖75gをひと息に飲み、その1時間後と2時間後の血糖値を測定します


グリコヘモグロビン (HbA1)glycohemoglobin
異常値を示す主な病気 ⇒ 糖尿病、腎不全、溶血性貧血、インスリノーマ(膵島腺腫)
糖尿病にかかるとおもにHbA1cが上昇します。糖尿病にかかった場合、1〜3ヶ月間の長期血糖コントロールの目安として用いられます。


総コレステロール (TC,T−Cho) total cholesterol
異常値を示す主な病気 ⇒ (高値)動脈硬化、甲状腺機能低下症、ネフローゼ
(低値)肝硬変、甲状腺機能亢進症
コレステロールはからだの中にある脂肪の一種で、脂肪酸と結びついたエステル型と別々に離れた遊離型の2つがあり、あわせて総コレステロールといいます。
コレステロールや中性脂肪の増加による高脂血症が長く続くと、心臓の冠状動脈硬化や脳動脈硬化をおこしやすくなります。


HDLコレステロール (HDL−C) high density lipoprotein cholesterol
異常値を示す主な病気 ⇒ 動脈硬化、高血圧、糖尿病、高脂血症、心筋梗塞、脳血栓症
HDLコレステロールは動脈内壁にへばりついたLDLコレステロールを取り除き、動脈硬化を防ぎます。HDLコレステロール値を下げる原因としては、喫煙、肥満、運動不足糖尿病などがあげられます。


中性脂肪 (TG,トリグリセライド)  triglyceride
異常値を示す主な病気 ⇒ 家族性高リポたん白血症、クッシング病、甲状腺機能低下症、糖尿病、肥満、アルコール性肝障害
中性脂肪は体内にある脂肪の一種です。体内のエレルギーのうち使われなかったものは皮下脂肪として蓄えられますが、その大部分は中性脂肪です。中性脂肪が多くなりすぎると、コレステロール同様、動脈硬化性疾患の危険因子となります。


β−リポたん白
リポたん白にはα、Pre−β、βの3種類があります。そのなかで最も多いのがβ―リポたん白でその多くは動脈硬化を促進するLDLコレステロールとなっています。したがって、この値が高くなるとコレステロール値も高くなります。


尿酸 (UA,Ur) uric acid
異常値を示す主な病気 ⇒ 痛風、グルタミン代謝異常、尿酸結合血清たん白欠損症、腎機能障害、悪性高血圧、多発性のう胞腎、前立腺肥大
尿酸は、痛風の原因となる物質としてよく知られています。激しい運動や、ストレスなどで体内につくられるだけでなく、プリン体という物質を多く含むナッツ、かまぼこ、貝類、肉類、などを摂り過ぎても血清中の尿酸値は高くなります。
血清中の尿酸の飽和濃度は健康な人でも7.0mg/dlで、それ以上の過飽和状態になると針状の尿酸塩の結晶となって、足の親指のつけ根や膝の関節にたまります。そこで炎症を起こし、激しい痛みを伴う痛風発作を生じます。


アミラーゼ amylase
異常値を示す主な病気 ⇒ 急性膵炎、慢性膵炎、膵のう胞、耳下腺炎、腹膜炎、腸閉塞
アミラーゼはでんぷんなどの糖類を分解する消化酵素で、おもに唾液腺や膵臓から分泌されています。アミラーゼを分泌する膵臓に障害があってつまったときは、血液や尿中にアミラーゼが漏れてきます。そのため血清や尿中のアミラーゼを測定すると急性膵炎、慢性膵炎、膵ガンなどの診断に役立ちます。


CK(CKP)クレアチンキナーゼ creatine phosphokinase
異常値を示す主な病気 ⇒ 筋ジストロフィー、多発性筋炎、心筋梗塞、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、結合織疾患、高ビリルビン血症
CKはCPKとも呼ばれ、骨格筋や心筋などの筋肉細胞のエネルギー代謝に、重要な役割を果たす酵素の一種です。CKは骨格筋や心筋の他、筋肉や平滑筋や脳などに含まれ、血球中や肝臓にはほとんど存在しません。そのため、血清CK濃度の測定は、筋肉や脳などの組織細胞に障害があるかどうかを判断するうえで役に立ちます。


アルドラーゼ(ALD) aldolase
異常値を示す主な病気 ⇒ 筋ジストロフィー、多発性筋炎、心筋梗塞、急性肝炎、脳圧亢進症、閉塞性の動静脈疾患、白血病
アルドラーゼは、糖を分解する酵素の1つです。この酵素を測定することで筋肉組織の損傷や代謝障害の程度を知ることが出来ます。アルドラーゼには、3つの種類がありそれぞれ含まれる臓器が異なります。骨格筋や心筋、脾臓にはA型が多く、肝臓や腎臓にはB型やA型、脳・神経組織にはC型とA型が混在します。これらは損傷や障害のある臓器から血液中に出てきます。


甲状腺ホルモン検査
異常値を示す主な病気 ⇒ 甲状腺機能亢進症(バゼドウ病)
甲状腺機能低下症(粘液水腫)
血液中には1分子中にヨードを3個もつT3とヨードを4個もつT4という甲状腺ホルモンが溶け込んでいます。これらは、人間のエネルギー代謝を調整する重要なホルモンですが、甲状腺の異常で多すぎたり不足したりするとさまざまな障害が出ます。
甲状腺機能亢進症:眼球突出がある場合はバセドウ病とも呼ばれます。症状は動悸、発汗、体重減少、微熱、脱力感、手足のふるえ、焦燥感、不眠など。進行すると心不全を起こします。
甲状腺機能低下症:粘液水腫ともいい、低体温、浮腫、無気力、便秘などが現れ、動作がたいへん鈍くなります。


薬アラカルト バックナンバー
第1回 「小児への薬の与え方」 第2回 「ビタミン」について
第3回 「ビタミン製品編」について 第4回 「薬の服用方法」
第5回 「かぜ」について 第6回 「花粉症」について