★最新BOOKLANDへ




from bookland 227号       ★今月の新刊紹介★ <2004年10月>



立て続けに台風がやってきて、ジオジオの前の大きな欅も、ほとんどの葉が茶色に変色して落ちてしまいました。 秋が始まったばかりだというのに、せっせ、せっせと落ち葉の掃除をしながら、 毎年恒例の「落ち葉で焼き芋」ができなくなると思っていたら、 あれよあれよという間に緑の若葉が芽を出して、初夏を思わせる装いに。 これで「焼き芋」ができると喜びつつも、落ち葉の掃除を一年に二度することになるのかと、 少し複雑な気持ちです。なにはともあれ、秋本番。『読書の秋』ヨロシク!

ケヤキの木に茶色く枯れてしまった葉と柔らかな新緑の葉が混在しています。→





読書の秋に、この本をご紹介します。見つけた、というよりも、不覚にも見逃していたのです。

「チョコレート・アンダーグラウンド」

大人たちの無関心のせいで、とんでもない政権ができてしまった。
「健全健康党」政府は、健康を害するという理由で砂糖入りの菓子、 特にチョコレートを全面禁止にした。 そして、チョコレートを売る者、食べる者には厳しい弾圧が加えられていった。 そんな中でも、ハントリーとスマッジャーの二人の少年は、大好きなチョコレートが食べられないのはおかしいと、 お菓子屋のバビおばさんの協力のもとに、原料を見つけ、チョコレートを製造しはじめる。さらには地下室を改造して、 チョコレートをはじめ、砂糖たっぷりのお菓子や飲み物を提供する「地下チョコバー」も開店した。


しかし、自分たちの油断が原因で、「地下チョコバー」は手入れを受け、スマッジャーとバビおばさんは再教育キャンプ、 老人ホームへと送られてしまう。やがて、スマッジャーは戻ってきた。「改心」したふりをしていたが、 チョコレートを忘れた訳ではなかった。彼らは大人たちの地下組織を率いるブレイズさんと共に、 政権打倒の「チョコレート革命」に立ち上がる。
チョコレートを禁止するという無茶な政治に、子どもたちが戦いを挑むという「ストレート」な話としても、 とてもテンポ良く描かれている。少し深読みすれば、健康健全党はナチス党を連想させるし、 「チョコレート革命」は東欧の自由を求める革命を連想させる。また、地下のチョコバーのアイデアは、アメリカの禁酒時代の 「もぐり酒場」にヒントを得ている。(文中に書いてあります。)
結局、美辞麗句では人は操ることはできないのだろうし、操られてもいけないのだろうと思う。 自由は自らの手でつかむものなのだと思う。
チョコレートという題材でこのような物語が描けたのは、作者の力量であると思う。 作者は他に4冊の本が訳されているが、いずれそれらの本も紹介したいと思っています。 (アレックス・シアラー作、金原瑞人・訳 1,200円)



ジオジオからのお願い 「肺リンパ脈管筋腫症(略称LAMラム)」という難病があります。妊娠可能年齢の女性に突然発症し、 発病後の10年間生存率が40%とも言われています。現在、日本には百数十名の患者がいると言われており、 03年に厚生労働省の「難病性疾患克服研究」の研究対象となりました。 しかし、現段階では医学的根拠を持った治療法が確立しておらず、酸素療法、ホルモン療法、あるいは長期入院など高額の医療費に対して、 公費負担が無く、費用の面でも大きな負担を強いられています。肺移植適用疾患であり、日本で2番目に移植者が多いのですが、 一番多い「原発性肺高血圧症(PPH)」は公費負担疾患に適用され、様々な恩恵は雲泥の差だそうです。
このたび「J−LAMの会」(肺リンパ脈管筋腫症患者の会)は、厚生労働省に対して
     1.治療費の公費負担化
     2.LAM研究班継続

に関する要望書を提出することになりました。
加古川市在住の今井友世さんは、昨年LAMを発症しました。たまたま娘が高校で同級であったので彼女のことを知り、 このたびの要望書に対する署名活動に協力することにしました。 多くの患者の方々が、病気と闘いながらこういう活動をしている、いやしなければならないというのは、 さらに負担を強いることになります。 ジオジオの店頭でも署名の協力をお願いしておりますが、ぜひ、皆様の持ち場で署名活動にご協力下さい。 詳しい資料はジオジオにあります。


2004年10月 もとはる


●TOPへ ●地図 ●お知らせ ●ご注文 ●ブッククラブ ●選書会 ●日々日々 ●リンク