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私見 厚生保険特別会計(厚生労働省所管) 代行返上はこの制度の崩壊を意味する!
1 平成16年度は43兆円です.特別会計にメスを!第二弾でも指摘しましたが、この会計で「健康保険経理8.8兆」、「厚生年金保険経理33兆」、「児童手当経理0.4兆」が行われます.措置的に老人保険制度に関連して「特別保険福祉事業」が行われ、この4つの業務に係わる事務費は0.5兆.2000年から介護保険が開始されました.平成16年度の予算は以下となっています.
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.
赤字は借金.は問題点.は他会計へ資金提供).
1)業務勘定.
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
児童手当収入
雑収入
一般会計から
他勘定(健保・年金)より

特別保健福祉事業資金より
前年度余剰金
1371
128
829
3095
90
12
業務取扱費
施設設備費
保健事業費
福祉施設事業費
(独)福祉医療機構運営費
特別保健福祉事業費
特別保健福祉事業費補助
特別保健福祉事業費船員保険特別会計へ繰入
年金資金運用基金出資
児童手当拠出金児童手当勘定へ繰入
諸支出金
予備費
1529
34
809
1643
2
9
78
2
58
1352
0
6
5525億円 5522億円
事務経費ということになりますが、この特別会計にたずさわる公務員は一般会計のそれよりずっと多い.事務費を捻出する為に多会計から財源を集める.児童手当収入の一部を財源としているが、これは本来他勘定よりとなるべきである.歳出で、児童手当拠出金児童手当勘定へ繰入(児童手当勘定の事業主拠出金収入に繰入れられてるのか不明?)した数字が、児童手当勘定にないのはどういうことだろうか?児童手当勘定には業務取扱費が計上されているので、この会計に流用する必要はないと考えられる.そして福祉施設にも相当の資金を当てている.民間の170%増しになる.これは、事務費で12億の余剰金を出している.年金資金運用基金出資は止めればいいだけ.事務費で12億の余剰金を出ていることも付け加えておく.
2)健康保険勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
保険料収入
運用収入
日雇拠出金収入
雑収入
一般会計から
借入金
64169
0
2
160
8642
14792
保険給付費
老人保健拠出金
退職者給付拠出金
介護納付金
業務勘定へ繰入
事業運営安定資金ヘ繰入

借入金償還金
諸支出金
予備費
39103
18871
6895
5245
1092
1123
14792
247
400
8兆7765億円 8兆7768億円
この会計は、独立していると言える.事業運営安定資金ヘ繰入は仕方ないのも知れないが借入金も清算できていて、健全であろう.1.4兆もの借入金は国の事業でなければできない.
3)児童手当勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
事業主拠出金収入
雑収入
一般会計から
積立金より
前年度余剰金
1408
0
2932
127
0
被用者児童手当交付金
非被用者児童手当交付金
業務取扱費
児童育成事業費
諸支出金
予備費
2999
1068
23
336
0
40
4467億円 4466億円
この会計も独立しており特別会計にする必要性を感じない.児童手当収入の扱いが不明朗であるが、当初からこちらの会計であるべき財源で、当初から計上されれば事業主の負担を減らせる事ができる.名目上は事務費にピンはねされている!「国民の負担減をさせない為に、特別委会計はあると」言っているようなもの.
2 4)年金勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
保険料収入
運用収入
拠出金収入
存続組合等納付金
解散厚生年金基金等徴収金
年金資金運用基金納付金
雑収入
一般会計から
船員保険特別会計より
国民年金特別会計より
199295
16912
383
4520
63929
1338
121
42792
132
16063
保険給付費
国民年金特別会計へ繰入
福祉施設等業務勘定へ繰入

諸支出金
予備費
217443
107959
2003
973
3260
34兆5485億円 33兆1638億円
国民年金(21兆)とともに問題の多い特別会計である.総額34.5兆.問題は2点ある.1つは解散厚生年金基金等徴収金これは厚生年金を脱退する会社が増えていることを意味している.これを代行返上という.1996年には1874合った基金数が2004年は1218に減じている.今回の年金改革関連法の成立で厚生年金保険料は13.6%から18.3%と負担増になったが、給付は60%から50%に下がった.原因は年金政策の失敗にあるので、将来給付も危なくなりそうな年金への加入者が減るのは当然でしょう.「抜本改革」は全くの嘘.これとは別だが、従業員の報酬から天引きした保険料を事業者が納めない厚生年金の累積未納額も、2001年度まで約4300億円に上るこというからこの制度はやはり問題あり.2つ目は国民年金特別会計へ繰入10.8兆.この繰入先が損失体質の年金資金運用基金に出資59億を行っている点と、名目上は繰入が国民年金のどの勘定になされているのか不明である.財源回しの隠れ蓑なのだろうが、国民年金会計ほど腐ってはいない印象はある.⇒国民年金特別会計へ
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「誰も知らない日本国の裏帳簿」石井紘基著:道出版
3)「財務省ホームページ」
4)「特殊法人解体白書」堤 和馬著:中公新書ラクレ