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消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)
潰瘍は日本人にとって一番なじみの深い胃・十二腸の病気.「胃癌ではありません」と言われれば「先ず一安心」といって、きちんと治療をしない人がいるのも事実.医学的エポックは「胃潰瘍は先ず除菌を考える」ということです.潰瘍の歴史を重大性から顧みれば以下のようになると考えます.
消化性潰瘍の歴史 |
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←静脈出血を伴う急性潰瘍(胃角)43M.H16/2/2
・緊急処置が必要となることがある
・時に癌との鑑別が難しい時がある |
1:ギリシャ時代から潰瘍は存在(紀元前4世紀) |
←ヒポクラテスは安静・食事・薬物治療を記載. |
2:医学的に潰瘍確認
1829年(江戸時代-11代徳川家斉) |
←Cruvelhierによる.上記及び制酸薬、牛乳療法等の治療.
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3:診断学の確定
1910年(硫酸バリウム開発)
1950年(胃カメラ開発)
1957年(ファイバー開発)
1964年(ファイバー胃カメラ) |
←X線の発見1985・造影剤の開発1898
←硬性胃鏡1868・軟性胃鏡1932
←X線・ファイバーでの診断は大変難しかった.
←国民皆保険により普及し潰瘍の診断率が上がる.
十二指腸潰瘍は直視内視鏡の開発があってから.
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4:1936年 病因論 |
←セリユ潰瘍のバランス理論 |
5:1972年 H2RAの開発 |
⇒潰瘍手術の激減 |
6:1974年 PPIの開発 |
→胃酸分泌そのものを抑制してしまう. |
7:1983年 H.ピロリー発見 |
←Warren&Marshallによる
⇒除菌療法へ(除菌率は90%弱) |
8:2003年 消化性潰瘍治療ガイドライン作成 |
→今後の課題は? |
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ガイドライン概要(治療方針2003年) |
胃潰瘍 |
出血あり |
⇒ |
止血療法 |
不成功 |
⇒ |
外科治療(手術) |
出血なし |
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成功 |
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↓ |
↓ |
内科治療 |
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NASAIDs |
関与 |
⇒ |
内服 |
中止 |
⇒ |
潰瘍治療 |
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NSAIDs使用不可 |
不可 |
⇒ |
予防必要 |
非関与 |
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HP |
陰性 |
⇒ |
⇒ |
⇒ |
⇒ |
潰瘍治療 |
⇒ |
予防必要 |
陽性 |
⇒ |
⇒ |
⇒ |
⇒ |
除菌療法 |
⇒ |
予防不要 |
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治療 |
・基本治療 |
PPI及び粘膜保護薬の併用. |
・除菌療法 |
アモキシシリン(ペニシリン系)、クラリスロマイシン(マクロライド系)、PPIの3者を併用す.
除菌耐性はクラリスロマイシンによるもので、10%強.代用としてメトロニダゾールえお使用 |
・維持療法 |
H2RAと粘膜保護薬の併用を行う. |
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注目 |
・ピロリー菌を発見したマーシャル教授とウォレン博士は2005年のノーベル医学生理学賞を授与された.
・ピロリー除菌により、逆流性食道炎が増えるという.又、萎縮性胃炎の改善は不明. |
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