
神秘的な池、神の子池。人智を超えた美しさだ。 |
今日は渡道してから一番寒さがこたえた。鼻水 |
が出るのは当たり前。手が寒さで動かないのだ。 |
マシンのミッションオイルも明らかに固い。ギア |
の入りが素直じゃない。フィルターも目詰まり気 |
味でエシジシが吹けない。あまりの寒さにツーリ |
ングコムで話すのもおっくうになる。当然口数が |
減る。フォームも固い。目で先を追っていくだけ |
だ。思考が鈍ってきているのが分かる。危険だ。 |
朝は天気が良くなりそうな感じだった。目を覚ま |
すとテントの中が明るかった。太陽の陽も射して |
青空も見えたのだ。9時には撤収完了。和琴半島 |
を出発する。屈斜路湖湖畔をあがる。左右に木々 |
が並ぶ。空気は冷たく引き締まっている。決して |
寒いほどではない。爽やかな夏の朝だ。木漏れ日 |
が射す。気分も乗る。今日はいい1日になりそう |
だ。ライダーも増えた。久しぶりにピースを出し |
まくる。今日の第一目標は神の子池。神秘的なブ |
ルーは晴天じゃないと見れないのではないかと心 |
配していたが何とかなりそうだ。本で見たあのブ |
ルーの水が忘れられない。ルートは素直じゃない。 |
国道391号に合流するべく走る。いきなり周り |
に物産店、みやげ店が並び始めた。弟はしきりに |
臭い臭いと言い始めた。自分にはまだ分からない。 |
弟は前を走るゴミ収集車の臭いかと疑っていた。 |
街を抜けるといきなり裸の荒々しい山が現れた! |
平地にいきなりごづごつした裸の山がもうもうと |
煙を上げている。硫黄山だ!直感した。昨日摩周 |
湖でもらったチケットの硫黄山とはこれだったの |
だ。ものすごい臭いだ。周りには木は少ない。や |
はり有毒なのだろうか。予想外の出会いを後に再 |
び進む。R391号に出た。左折を右折してしまい後で切り返す。そろそろ給油が必要だ。ホクレンがあったので入れる。この先に峠があるらしい。し |
かし目の前を観光バスに走られてしまう。それにしてもがらの悪いバスだ。もしかしてこれも神の子池に行くのだろうかと不安になる。峠にさしかかる。 |
不自然な一行(自転車4台、他数名)を見かける。峠に人?近くのワゴンにOO映画の文字。よく見ると力メラを持った人もいる。撮影のようだ。自転 |
車の4人は有名な俳優さんとタレント?ピースしてしまった。返してくれたけど。神の子池を目指す。天気は上々。気温も上がってきた。札弦を過ぎる |
頃はぽかぽかだった。地図で見るのと実際に走るのでは距離感が違う。思ったよりも山の中で神の子池の看板。ダートだ。このダートはオンロード車の |
限界に近い。サイクリングの人もいたが自転車のほうが有利だ。雨が流れて道が削られている。大きな石が転がる。グリップ感は全く伝わってこない。 |
その分バランスを崩したときが最後だ。ヒーヒー昇る。急に開けた。大きな砂利の広場だ。駐車場らしい。先客のバイクはすべてオフロードマシンだ。 |
中でもYZF1100サンダーエースには驚いた。幸いトイレもあった。国道治いではないのでトイレには苦労する。トイレからバイクのほうへ戻ると |
彼女がいた。ひまわり畑のセローの娘だ。行動がユニークだったので覚えていたのだ。それにしてもあそこからすでに幾日。同じ場所で同じ時刻に会う |
とはすごい偶然だ。神の子池にはいる。橋を渡る。思っていたよりきれいじゃないのだ。いやすごく水は透明なのだ。ただその分だけ底の土砂が見えて |
しまい茶色に見えるのだ。あのブルーが見えない?少し焦る。だが少し進むとそんな心配は消えた。目の前に宝石を溶かしたような池が広がった。水溶 |
液のようなブルー。写真を撮るのも忘れしばらくはじっと見入ってしまった。池の中の倒木はそのまま凍りついたようだ。時を封印したとでも言おうか。 |
入智を越えた神の技を感じる。まさしく神の子池だ。池の底からはこんこんと水が湧き出している。すごい勢いだ。橋から流れ出る量は湧き出している |
ことになる。摩周湖の水が湧き出しているらしい。神の贈り物のフレーズに納得して去ることにする。ついでにセローもチェックした。赤いヘルメット |
に練馬ナンバー。左右のフォークブーツは色が違う。続いてライダーの聖地開陽台を目指す。しばらくワインディングを進む。予想外の出来事。霧が出 |
始めた。視界も悪い。そして何より寒い。レイン |

鹿と遭遇!北海道で出会った初めての野生動物。
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を着ていない。これは寒い。峠にさしかかったよ |
うだ。裏摩周の看板。昨日見たあの険しい山の後 |
ろだろうか。標高が予想以上に高いと睨む。今ま |
で天気が良かった分こたえる。しかし10kmも |
走っていないのにこうも急変するとは。!道端で |
草を食む鹿を発見!!弟も同時に発見したようだ。 |
しきりにツーリングコムで訴えてくる。ほとんど |
フル制動で止まる。いつものごとく慌ただしく装 |
備をほどき力メラを出す。耳が痛い。結構走って |
きてしまった。まだいるだろうか。相手は動物だ。 |
うかつに近づけない。フル望遠で迫る。いた!一 |
匹だけだと思ったら三匹いた。どう見ても親子連 |
れだ。レンズを向ける。一斉に駆け出した。シャ |
ッターチャンスがない。とにかく押しまくる。母 |
鹿と思われる一匹はこちらをじっと見てなかなか |
逃げない。さすが母鹿だ。北海道で動物注意の看 |
板はたくさん見たが初めて野生の鹿を見た。バイ |
クに戻る。すぐ寒さで体が固まる。峠を降りると |
周りはすべて牧草地に変わった。広い!道東は乳 |
牛の飼育が盛んな感じだ。ほとんどの牛は寝てい |
る。寒くて動きたくないのだろう。霧雨じゃなか |
ったらとつくづく悔しくなる。どうやら中標津町 |
に入ったらしい。別名星の降る街だ。これだけ周 |
りが水平線に囲まれていたら夜はさぞ壮観だろう |
と思う。しかし現実は霧だ。とにかく寒い。道道 |
か農道か。ただまっすぐな道が続く。それを楽し |
む余裕ばない。体が悲鳴を上げる。開陽台へ直接 |
向かうことはあきらめる。数kmでこれだけ天気 |
が変わったのだ。もしかしたら開陽台は晴れてい |
るかもと言うかすかな望みにかけ先にラーメンを食べることにした。となれば市内に入ったほうがいい。中標津に向かう途中、計根別で小さなラーメン |
屋を発見。突入する。名前は札幌ラーメンだ。中にはおばちゃん一人だ。カウンター越しに座る。ライダーには慣れているらしい。話し上手だ。麺には |
細いのと太いのがあるらしい。細い方と言うと札幌ラーメンは太いのが本当だと教えてくれた。太い方をいただく。みそを頼んだ。ここのラーメンはこ |
の辺で一番うまいと評判らしい。お客がみんな言ってくれるらしいのだ。確かに今まで食べてきたラーメンの中では一番しっかりした味だ。スープも麺 |
もうまい。ワカメ、シナチク、チャーシュー、どれも好みの味だ。新しいお客も来ないので食べながらいろいろ話をする。今年の異常気象、近くの見所、 |
摩周湖、キツネ、いろいろ話してくれた。今年の寒さは本当に異常だそうだ。地元の人が風邪を引いたそうだ。8月になって1回しか太陽を見ていない |
という。冷害だそうだ。テレビで放送していた摩周湖について教えてくれた。早朝山から湖面に霧が流れてくるそうだ。霧の摩周湖はそんな景色だと言 |
う。それからキツネが朝と晩に店に餌をもらいに来るらしい。運のいい客は写真に収めることが出来るという。キツネは本当に油揚げが大好きらしい。 |
それからラードも好きらしい。とにかく脂身が大好物らしい。贅沢になってそれぐらいしか食べないと言う。毛並みのいい足の黒い雄のキツネらしい。 |
目の下は白いらしい。いろいろ話した。しかしそろそろお暇する。もちろんトイレは借りたが。外でレインを着込む。いよいよ開陽台を目指す。道路は |
直交している。具体的なルートより看板を探す。その前にコンビニに寄った。今日はロウソクを買い込んだ。奇妙なものを買った。外にはCB750の |
ライダーがいた。彼は開陽台からやってきたらしい。開陽台には晴天待ちのキャンパーが大勢いたそうだ。だが今日は何も見えないらしい。彼もあきら |
めたそうだ。彼はこれから羅臼に行くらしい。羅臼!最果ても最果てだ。こちらも出発する。開陽台の看板を右折する。道はただただまっすぐに伸びる。 |
アップダウンが激しい。路面は完全にウェットだ。天気は期待とは裏腹にドンドン悪化している。開陽台へ細い道路を駆け上がる。着いた。展望台だ。 |
見晴らしは濃霧。本当に何も見えない。地球が丸く見えるのコピーもむなしい。意外に乳牛が放牧されていた。鐘も鳴る。せめて雨でも霧がなければ良 |
かったのだが。スタンプを押しに展望台に向かう。頂上に登ったがやはり変わらない。しかし!そのとき見た!セローの娘だ。何という奇遇。3度目だ。 |
何となくにやけてしまう。スタンプを押して出る。なんとセ□ーの娘は男のライダーとお話中だ。邪魔せず去る。それにしてもこんな天気とは悔しい。 |
ここはまた来なくてはいけないと近い開陽台を下る。次は根室へ向かう。国道244号に合流しなくてはならない。R244号に合流し右折する。周り |
は寂しい。霧で囲まれる。後は何も考えず道なりに走ればいい。海沿いに出る。根室まで100kmだ。GSも店もない。飽和した水滴がシールドに湧 |
き出してくる。右に左に向き、風で水滴を払う。切りがない。とにかく寒い。寒さが重石のように体に食い込んでくる。地蔵になる。オイルも固い。手 |
も固い。口も動かない。目だけで先を追う感じだ。呼吸音だけが意識に届く。厚床で国道44号に入る。温かいものが食べたい。トイレにも寄りたい。 |
体は明らかに悲鳴を上げる。左にいきなりパーキングが現れた。とりあえずトイレには入れた。東海パーキングだ。寒さでマシンから降りるのもぎこち |
ない。本当に8月だろうか。根室市街はまだ遠い。だが郊外にドライブインくらいはあるだろう。気を取り直してスタートする。霧の中に大きな橋が出 |
現した。地図ではもう今日の目的のキャンプ場、根室市キャンプ場がすぐのはすだ。ここは無料だと確認済みだ。だがいつものこと看板が見つからない。 |
Uターンしてやっとたどり着く。根室市キャンプ場は思ったより寂しい感じだ。濃霧のためだろうか。それに砂利の駐車場だ。テントサイトは階段で区 |
切られバイクでは直接は入れない。ここに止めれば足場が不安定だ。さらにテントまでの荷物の運搬がめんどうだ。裏のダートを入ってみる。何とか内 |

雨の開陽台(涙)。いつか必ず晴れの日に来てやる! |
部に続いている。道は雨が強まればぬかるんでき |
そうな道だ。ます管理棟に行ってみる。管理棟は |
立派だ。記帳を済ませる。これで安心して飯を食 |
いにでれる。4時頃雨の中テントを張る。しかし! |
ここのキャンプ場は藪蚊が異常に多い!しかもデ |
カイ!ゆらゆらゆらゆら飛んでいる。すきがあれ |
ば肌に止まっている。荷物の搬入時にきっとテン |
トの中にも入っただろうとブルーになる。一応安 |
心して飯を食いに市内方面へ出発。雨の中を走る。 |
カニの直売店が並んでいる。霧の中にゴミ焼却場? |
の様な煙突も見え隠れする。右手に小さな食堂が |
見えた。赤い旗は偉大だ。砂利の駐車場だ。駐輪 |
に苦労する。雨ですぶぬれだ。いつものことだが |
入るのが悪くなる。中は小さいが居心地のいい店 |
だ。親子丼を額む。何日ぶりの温かなご飯だろう。 |
味噌汁が熱くてうまい!日本人である幸せを感じ |
た。テレビでは壊かしいアニメがやっていた。大 |
学受験期高校生だった頃を思い出す。”まずは8 |
0%からいくか。”が口癖になった。気合いを取 |
り戻しキャンプ場へ帰る。今日も早めにテントの |
中だ。ここのトイレは見かけバラックだ。トイレ |
の水にはしっかり”飲料水ではありません”と書 |
かれている。夜自販機を擦しにちょっと出てみた。 |
薮に逃げ込んだ動物を目撃!眼鏡をしていなかっ |
た。たぶんキツネだ。非常に惜しい。だが今日の |
ラーメン屋のおばちゃんが言っていたが意外にキ |
ツネ、鹿は多いらしい。いや、増えすぎているそ |
うだ。割と熊は出ないらしい。出たら最後(期) |
だが。そう今朝硫黄山の手前でかわいらしい金髪の女の子(チェルシーのCMに出てきそうな)に手を振られた。ただの歩行者と思って無視していたのだ |
が、キャンプ用具を背負っていた。あっちから手を振ってくれたのだ。少し恥じらった様子がとてもかわいかった。遅れたが一生懸命手を振った。 |
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