涙の開陽台と寒さこたえる力走編 8/19



神秘的な池、神の子池。人智を超えた美しさだ。
 今日は渡道してから一番寒さがこたえた。鼻水
が出るのは当たり前。手が寒さで動かないのだ。
マシンのミッションオイルも明らかに固い。ギア
の入りが素直じゃない。フィルターも目詰まり気
味でエシジシが吹けない。あまりの寒さにツーリ
ングコムで話すのもおっくうになる。当然口数が
減る。フォームも固い。目で先を追っていくだけ
だ。思考が鈍ってきているのが分かる。危険だ。
朝は天気が良くなりそうな感じだった。目を覚ま
すとテントの中が明るかった。太陽の陽も射して
青空も見えたのだ。9時には撤収完了。和琴半島
を出発する。屈斜路湖湖畔をあがる。左右に木々
が並ぶ。空気は冷たく引き締まっている。決して
寒いほどではない。爽やかな夏の朝だ。木漏れ日
が射す。気分も乗る。今日はいい1日になりそう
だ。ライダーも増えた。久しぶりにピースを出し
まくる。今日の第一目標は神の子池。神秘的なブ
ルーは晴天じゃないと見れないのではないかと心
配していたが何とかなりそうだ。本で見たあのブ
ルーの水が忘れられない。ルートは素直じゃない。
国道391号に合流するべく走る。いきなり周り
に物産店、みやげ店が並び始めた。弟はしきりに
臭い臭いと言い始めた。自分にはまだ分からない。
弟は前を走るゴミ収集車の臭いかと疑っていた。
街を抜けるといきなり裸の荒々しい山が現れた!
平地にいきなりごづごつした裸の山がもうもうと
煙を上げている。硫黄山だ!直感した。昨日摩周
湖でもらったチケットの硫黄山とはこれだったの
だ。ものすごい臭いだ。周りには木は少ない。や
はり有毒なのだろうか。予想外の出会いを後に再
び進む。R391号に出た。左折を右折してしまい後で切り返す。そろそろ給油が必要だ。ホクレンがあったので入れる。この先に峠があるらしい。し
かし目の前を観光バスに走られてしまう。それにしてもがらの悪いバスだ。もしかしてこれも神の子池に行くのだろうかと不安になる。峠にさしかかる。
不自然な一行(自転車4台、他数名)を見かける。峠に人?近くのワゴンにOO映画の文字。よく見ると力メラを持った人もいる。撮影のようだ。自転
車の4人は有名な俳優さんとタレント?ピースしてしまった。返してくれたけど。神の子池を目指す。天気は上々。気温も上がってきた。札弦を過ぎる
頃はぽかぽかだった。地図で見るのと実際に走るのでは距離感が違う。思ったよりも山の中で神の子池の看板。ダートだ。このダートはオンロード車の
限界に近い。サイクリングの人もいたが自転車のほうが有利だ。雨が流れて道が削られている。大きな石が転がる。グリップ感は全く伝わってこない。
その分バランスを崩したときが最後だ。ヒーヒー昇る。急に開けた。大きな砂利の広場だ。駐車場らしい。先客のバイクはすべてオフロードマシンだ。
中でもYZF1100サンダーエースには驚いた。幸いトイレもあった。国道治いではないのでトイレには苦労する。トイレからバイクのほうへ戻ると
彼女がいた。ひまわり畑のセローの娘だ。行動がユニークだったので覚えていたのだ。それにしてもあそこからすでに幾日。同じ場所で同じ時刻に会う
とはすごい偶然だ。神の子池にはいる。橋を渡る。思っていたよりきれいじゃないのだ。いやすごく水は透明なのだ。ただその分だけ底の土砂が見えて
しまい茶色に見えるのだ。あのブルーが見えない?少し焦る。だが少し進むとそんな心配は消えた。目の前に宝石を溶かしたような池が広がった。水溶
液のようなブルー。写真を撮るのも忘れしばらくはじっと見入ってしまった。池の中の倒木はそのまま凍りついたようだ。時を封印したとでも言おうか。
入智を越えた神の技を感じる。まさしく神の子池だ。池の底からはこんこんと水が湧き出している。すごい勢いだ。橋から流れ出る量は湧き出している
ことになる。摩周湖の水が湧き出しているらしい。神の贈り物のフレーズに納得して去ることにする。ついでにセローもチェックした。赤いヘルメット
に練馬ナンバー。左右のフォークブーツは色が違う。続いてライダーの聖地開陽台を目指す。しばらくワインディングを進む。予想外の出来事。霧が出
始めた。視界も悪い。そして何より寒い。レイン

鹿と遭遇!北海道で出会った初めての野生動物。
を着ていない。これは寒い。峠にさしかかったよ
うだ。裏摩周の看板。昨日見たあの険しい山の後
ろだろうか。標高が予想以上に高いと睨む。今ま
で天気が良かった分こたえる。しかし10kmも
走っていないのにこうも急変するとは。!道端で
草を食む鹿を発見!!弟も同時に発見したようだ。
しきりにツーリングコムで訴えてくる。ほとんど
フル制動で止まる。いつものごとく慌ただしく装
備をほどき力メラを出す。耳が痛い。結構走って
きてしまった。まだいるだろうか。相手は動物だ。
うかつに近づけない。フル望遠で迫る。いた!一
匹だけだと思ったら三匹いた。どう見ても親子連
れだ。レンズを向ける。一斉に駆け出した。シャ
ッターチャンスがない。とにかく押しまくる。母
鹿と思われる一匹はこちらをじっと見てなかなか
逃げない。さすが母鹿だ。北海道で動物注意の看
板はたくさん見たが初めて野生の鹿を見た。バイ
クに戻る。すぐ寒さで体が固まる。峠を降りると
周りはすべて牧草地に変わった。広い!道東は乳
牛の飼育が盛んな感じだ。ほとんどの牛は寝てい
る。寒くて動きたくないのだろう。霧雨じゃなか
ったらとつくづく悔しくなる。どうやら中標津町
に入ったらしい。別名星の降る街だ。これだけ周
りが水平線に囲まれていたら夜はさぞ壮観だろう
と思う。しかし現実は霧だ。とにかく寒い。道道
か農道か。ただまっすぐな道が続く。それを楽し
む余裕ばない。体が悲鳴を上げる。開陽台へ直接
向かうことはあきらめる。数kmでこれだけ天気
が変わったのだ。もしかしたら開陽台は晴れてい
るかもと言うかすかな望みにかけ先にラーメンを食べることにした。となれば市内に入ったほうがいい。中標津に向かう途中、計根別で小さなラーメン
屋を発見。突入する。名前は札幌ラーメンだ。中にはおばちゃん一人だ。カウンター越しに座る。ライダーには慣れているらしい。話し上手だ。麺には
細いのと太いのがあるらしい。細い方と言うと札幌ラーメンは太いのが本当だと教えてくれた。太い方をいただく。みそを頼んだ。ここのラーメンはこ
の辺で一番うまいと評判らしい。お客がみんな言ってくれるらしいのだ。確かに今まで食べてきたラーメンの中では一番しっかりした味だ。スープも麺
もうまい。ワカメ、シナチク、チャーシュー、どれも好みの味だ。新しいお客も来ないので食べながらいろいろ話をする。今年の異常気象、近くの見所、
摩周湖、キツネ、いろいろ話してくれた。今年の寒さは本当に異常だそうだ。地元の人が風邪を引いたそうだ。8月になって1回しか太陽を見ていない
という。冷害だそうだ。テレビで放送していた摩周湖について教えてくれた。早朝山から湖面に霧が流れてくるそうだ。霧の摩周湖はそんな景色だと言
う。それからキツネが朝と晩に店に餌をもらいに来るらしい。運のいい客は写真に収めることが出来るという。キツネは本当に油揚げが大好きらしい。
それからラードも好きらしい。とにかく脂身が大好物らしい。贅沢になってそれぐらいしか食べないと言う。毛並みのいい足の黒い雄のキツネらしい。
目の下は白いらしい。いろいろ話した。しかしそろそろお暇する。もちろんトイレは借りたが。外でレインを着込む。いよいよ開陽台を目指す。道路は
直交している。具体的なルートより看板を探す。その前にコンビニに寄った。今日はロウソクを買い込んだ。奇妙なものを買った。外にはCB750の
ライダーがいた。彼は開陽台からやってきたらしい。開陽台には晴天待ちのキャンパーが大勢いたそうだ。だが今日は何も見えないらしい。彼もあきら
めたそうだ。彼はこれから羅臼に行くらしい。羅臼!最果ても最果てだ。こちらも出発する。開陽台の看板を右折する。道はただただまっすぐに伸びる。
アップダウンが激しい。路面は完全にウェットだ。天気は期待とは裏腹にドンドン悪化している。開陽台へ細い道路を駆け上がる。着いた。展望台だ。
見晴らしは濃霧。本当に何も見えない。地球が丸く見えるのコピーもむなしい。意外に乳牛が放牧されていた。鐘も鳴る。せめて雨でも霧がなければ良
かったのだが。スタンプを押しに展望台に向かう。頂上に登ったがやはり変わらない。しかし!そのとき見た!セローの娘だ。何という奇遇。3度目だ。
何となくにやけてしまう。スタンプを押して出る。なんとセ□ーの娘は男のライダーとお話中だ。邪魔せず去る。それにしてもこんな天気とは悔しい。
ここはまた来なくてはいけないと近い開陽台を下る。次は根室へ向かう。国道244号に合流しなくてはならない。R244号に合流し右折する。周り
は寂しい。霧で囲まれる。後は何も考えず道なりに走ればいい。海沿いに出る。根室まで100kmだ。GSも店もない。飽和した水滴がシールドに湧
き出してくる。右に左に向き、風で水滴を払う。切りがない。とにかく寒い。寒さが重石のように体に食い込んでくる。地蔵になる。オイルも固い。手
も固い。口も動かない。目だけで先を追う感じだ。呼吸音だけが意識に届く。厚床で国道44号に入る。温かいものが食べたい。トイレにも寄りたい。
体は明らかに悲鳴を上げる。左にいきなりパーキングが現れた。とりあえずトイレには入れた。東海パーキングだ。寒さでマシンから降りるのもぎこち
ない。本当に8月だろうか。根室市街はまだ遠い。だが郊外にドライブインくらいはあるだろう。気を取り直してスタートする。霧の中に大きな橋が出
現した。地図ではもう今日の目的のキャンプ場、根室市キャンプ場がすぐのはすだ。ここは無料だと確認済みだ。だがいつものこと看板が見つからない。
Uターンしてやっとたどり着く。根室市キャンプ場は思ったより寂しい感じだ。濃霧のためだろうか。それに砂利の駐車場だ。テントサイトは階段で区
切られバイクでは直接は入れない。ここに止めれば足場が不安定だ。さらにテントまでの荷物の運搬がめんどうだ。裏のダートを入ってみる。何とか内


雨の開陽台(涙)。いつか必ず晴れの日に来てやる!
部に続いている。道は雨が強まればぬかるんでき
そうな道だ。ます管理棟に行ってみる。管理棟は
立派だ。記帳を済ませる。これで安心して飯を食
いにでれる。4時頃雨の中テントを張る。しかし!
ここのキャンプ場は藪蚊が異常に多い!しかもデ
カイ!ゆらゆらゆらゆら飛んでいる。すきがあれ
ば肌に止まっている。荷物の搬入時にきっとテン
トの中にも入っただろうとブルーになる。一応安
心して飯を食いに市内方面へ出発。雨の中を走る。
カニの直売店が並んでいる。霧の中にゴミ焼却場?
の様な煙突も見え隠れする。右手に小さな食堂が
見えた。赤い旗は偉大だ。砂利の駐車場だ。駐輪
に苦労する。雨ですぶぬれだ。いつものことだが
入るのが悪くなる。中は小さいが居心地のいい店
だ。親子丼を額む。何日ぶりの温かなご飯だろう。
味噌汁が熱くてうまい!日本人である幸せを感じ
た。テレビでは壊かしいアニメがやっていた。大
学受験期高校生だった頃を思い出す。”まずは8
0%からいくか。”が口癖になった。気合いを取
り戻しキャンプ場へ帰る。今日も早めにテントの
中だ。ここのトイレは見かけバラックだ。トイレ
の水にはしっかり”飲料水ではありません”と書
かれている。夜自販機を擦しにちょっと出てみた。
薮に逃げ込んだ動物を目撃!眼鏡をしていなかっ
た。たぶんキツネだ。非常に惜しい。だが今日の
ラーメン屋のおばちゃんが言っていたが意外にキ
ツネ、鹿は多いらしい。いや、増えすぎているそ
うだ。割と熊は出ないらしい。出たら最後(期)
だが。そう今朝硫黄山の手前でかわいらしい金髪の女の子(チェルシーのCMに出てきそうな)に手を振られた。ただの歩行者と思って無視していたのだ
が、キャンプ用具を背負っていた。あっちから手を振ってくれたのだ。少し恥じらった様子がとてもかわいかった。遅れたが一生懸命手を振った。
web拍手


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本日の走行距離 263km
燃費      21.53km/l