どの位眠れただろう。下も上も薄い毛布1枚だけ。熟睡などできるはずもない。子ども達は朝早い。はしゃぎ声に起こされた。時計を見ると7:30 |
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だ。テレビを見ているライダーであろう客がつぶやく。今日は雨だと。面白くなかった。ツーリング中1度も雨に降られずに済むとは思っていなかった |
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が初日から雨とは。ラウンジに出て外の様子を見てみる。1面灰色の世界。空は真っ暗というわけではないが霧雨は降っているようだった。2人でデッ |
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キに出てみる。霧雨だ。船内に戻り、ロビーのテレビの天気予報を見てみた。北海道全域前線の影響で曇りと雨のマークだ。実際外の天気を見た結果回 |
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![]() 苫小牧が見えてきた!小雨の降る中、スタートとなる。 |
復しそうもなかった。雨でも走るしかないと覚悟 |
する。接岸が近づくにつれ客達の行動が慌ただし |
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くなる。特にライダーはレインを着込んだり忙し |
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そうだ。自分達はレインはまだ着なかった。それ |
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ほど強い雨ではなさそうだったし、心の中には雨 |
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が上がるまでフェリーターミナルで時間をつぶす |
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か、苫小牧で一泊する選択肢もあったのだ。ドラ |
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イバーとライダーに搭乗のアナウンスが流れる。 |
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皆エレベーターと階段に群がる。格納デッキに行 |
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ってみる。バイクはあったが自分のバイクがない。 |
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デッキを間違えたらしい。階段を2,3回移動し |
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やっと自分のバイクを見つけた。バイクはロープ |
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で堅く緊縛されていた。係員の人が外してくれる |
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のかなと思っていたら、ライダーは各々自分で外 |
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していた。自分も外しにかかる。バックルが引い |
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ても起きない。何度やっても起きない。少しある |
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ロープの余裕でハンドルから外そうとしたがセパ |
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ハンのため外側に行くほど余裕はなくなる。悪戦 |
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苦闘していたら隣のオフ車のライダーが無言でバ |
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ックルを押してロープを緩めてくれた。引くので |
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はなく押すのだ。隣のライダーに何度も頭を下げ |
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た。思わず苦笑いしてしまう。暖気も終わりゲー |
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トへ走り出した。外を見ると路面は黒く艶光りし |
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ていた。霧雨レベルではない!完全なウェットだ! |
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ターミナルの方向へ誘導されながら走る間にもリ |
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アタイヤは水しぶきをあげる。ここまで守ってき |
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たものが簡単に覆された。バイクを止めすぐにレ |
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インを着込む。レインだけでなく積載物にも防 |
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水カバーを掛ける。弟は来る気配もない。違う場 |
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所で待っているに違いないと押しながらターミナ |
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ルへ向かった。その途中R1−Zを見かけた。弟はもうレインを着て準備は済んでいた。雨の中を少し走ったせいでもうためらいはなくなっていた。雨 |
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でも進もうと決めた。その前に何か食べるためターミナルへ入った。2階に売店があったのでパンとコーヒーを買って食べた。時間帯のせいもあるだろ |
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うががらんとして何か寂しい。テレビでは甲子園をやっていた。待合いでは一見怪しい男女が目に入った。親子に見えるが、ベッタリしすぎている。明 |
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らかに変だ。北海道でも退廃的な光景はあるのだ。北海道上陸は雨となってしまった。それでも記念は記念。写真を撮る。ツーリングコムを装着して出 |
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発した。ちょうど12時頃だ。大まかな目的は海沿いの国道に出ること。苫小牧港前の道道259号だろうか。でかい道だ。片側4車線ある。それにダ |
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ンプとトラックが多い。雨は小雨とは言いがたい。バイザーはすぐに水滴で視界が悪くなる。ウェットを走るシャーという水切り音が何ともしゃくにさ |
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わる。対向車線をゆくバイクにピースサインを送る。港へ行くのだろうか、ホクレンの旗が目にはいる。分岐点を間違え農道と思われる道にそれたがま |
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っすぐ進めば国道235号に合流できると知りそのまま進む。周りは一気に畑になった。牧場の看板も出ている。天気さえよければこの程度でさえ北海 |
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道を感じたかもしれないと非常に悔しくなる。視界が悪いのだ。おまけに寒い。低温と雨と走行風が体温を奪っていく。ただそのどこまでも一直線の |
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道に北海道を感じた。R235号へ合流した。パトカーに捕まらないように70kmを巡航速度とした。だが車の流れは速い。85kmはあろうか。と |
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にかくパスされまくる。北海道というのに信号が多い。すぐ捕まる。しかもなぜか渋滞している。結構走ったが小さな街並みはとぎれない。聞いていた |
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のとはずいぶん感じが違うと思った。それにツーリングコムが絶不調だ。ハウリングを起こしている。初めはトラックの無線のせいかと思った。事実混 |
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信していたからだ。だが一向によくならない。コミュニケーションに苦労しながら走る。そうこうしているうちに車の流れが完全に止まった。進まない。 |
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大型バイク達が横をすり抜けていく。我慢して我慢して問題の交差点を抜けた。工事しているようだった。まさか北海道で渋滞に捕まるとは思ってもい |
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なかった。だが今度は流れがよくなった。街をちょっとだけ抜けると左右に牧場が広がった。乳牛ではなく馬だ。この先はサラブレット街道と呼ばれる |
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馬の放牧地のメッカだ。すでに馬が目に入り始めたのだ。だがいかんせん天気が悪い。何を見ても北海道という感じがしないのだ。しばらく進むと道路 |
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がアップダウンし始めた。するといきなり右手に海が広がった。海はグレーだ。空もグレー。いや正確に言うなら黄灰色だろう。波はかなり荒い。打ち |
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寄せる音がドドー、ドドーと聞こえる。雨といい寒さといい音といいとにかくエヴィルな感じだ。結構起伏のある道だ。海沿いに現れる漁村は天気もあ |
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ってか侘しく見える。牧場も多くなってきた。馬もよく目にするようになってきた。だが雨と天気のため降りて写真を撮ろうとはしない。ずるずる進 |
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んでしまう。天気が良ければアウトライダー風の写真がとりたい場所だ。この頃になると時間的にも寒さ的にも昼飯が食べたくなった。ラーメンの赤い |
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旗を探すが探すと結構無いのだ。見つけてもいきなりで入れないことも何回かあった。それにトイレにも行きたくなってきた。そろそろ休憩が必要とな |
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ってきたようだ。休める所が来たらどこでも入ろうとしていたらトイレのマークが目に入ってきた。左折のマークだ。ためらわず左折する。すぐ右折で |
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パーキングがあった。駐輪すると目の前に予想外の景色が広がった。馬が眼下に広がる草原で草を食んでいたのだ。広々とした緑が続く。トイレを目指 |
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してきただけにギャップが大きかった。地図で見ると、サラブレット銀座らしい。写真を撮ろうとしていると自転車ツーリストに写真をお願いされた。 |
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あの辺を入れて撮って下さいと頼まれた。ライダー以上に人の助け合いで旅して来ているのだろう。旅慣れた感じがした。ブラックバードも駐輪してい |
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た。始動音を聞いてみたが結構普通だった。ラーメンが食べたくなる。パスしたドライブインへ戻るか、すぐ先の新冠市街で探すか迷うがどうせなら進 |
もうと新冠へはいる。ラーメンの旗を発見しすぐ |
![]() サラブレット銀座。2匹の馬が優雅に草をはむ。 |
入る。ちょうどライダー達が出てきたところだっ |
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った。寶龍というラーメン屋だ。黄色い看板。みそ |
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ラーメンを頼む。北海道!という味ではなかった |
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がその暖かさに力がみなぎる。地図を見ながら後 |
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図を策す。店内にトイレがあったのは助かった。 |
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店を出た。なんと隣はコンビニだった。聞いたこ |
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ともないチェーン店だ。初めはwineと読むの |
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かと思っていたが、後で完全に分かるのだがse |
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icomart(セイコマート)という北海道全 |
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土を網羅するチェーン店なのだ。店内は陳列がち |
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ょっと異なるが普通のコンビニだった。ミネラル |
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ウォーターとパンとインスタントを買い込む。バ |
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イクに戻りバックに詰め込む。様子を見ていると |
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目の前はホクレンの給油所だ。ハロー!ライダー |
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の看板が目に付く。次々とライダーが入ってくる。 |
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皆ホクレンの旗をもう挿している。噂では早く手 |
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に入れないと無くなってしまうという。ここで給 |
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油したいが、まだ早い。明日以降の目的とする。 |
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さらに隣はレコード舘だ。新冠はレコードの街ら |
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しい。街のマークもレコードだった。次の目標は |
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ローソク岩だ。とりあえず浦河を過ぎればすぐら |
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しい。出発する。相変わらず雨は降っている。静 |
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内町に入る。静内がサラブレットの産地らしい。 |
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牧場が広がる。まだ少ししか走っていないのにト |
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イレに行きたくなる。昼食後はどうしても近くな |
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る。トイレを探しながら走っていると道の駅の看 |
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板が目に入った。みついし。体はもう冷え切って |
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いる。ホットのコーヒーがあることを祈りながら |
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自販機に近づく。あった!やはり北海道。夏でも |
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あるのだ。もっともライダー用と思うが。ホットのコーヒーを大事に飲む。道の駅の隣にはオートキャンプ場があった。今日のキャンプをどこでしよう |
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と一瞬迷う。忘れていた重要な命題だ。残った缶をつぶして不整地用のサイドスタンド受けをつくった。再びローソク岩を目指してスタートする。浦河 |
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町市街に入った。この頃には路面はドライに変わった。浦河町はとても調和のとれた街だ。設計が一つのコンセプトにきちんと乗っている。材木町のよ |
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うな感じだ。もうそろそろローソク岩の案内が出てきてもいい頃だ。しかし出てこない。そのまま走ると奇岩群が見えてきた。写真を撮ろうと左の空き |
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地に駐輪する。みやげ店のような感じだ。親子岩の売店らしい。とするとやはりこれがローソク岩らしい。カモメが多い。防波堤にも外灯にもいっぱい |
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だ。とくにローソク岩はカモメの休憩地らしい。埋め尽くされている。海の向こうは少し明るい。売店となりのトイレに入り再びスタートする。今日中 |
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の襟裳岬はあり得ない。時間も時間だ。キャンプ場を見つけなければならない。様似町を走りながらキャンプ場の案内を探す。様似ダム公園キャンプ場 |
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を探す。2つあるがひとつは現在使えないらしい。様似町を2,3回往復しウロウロする。観音山スポーツ公園の看板は目に付く。とりあえず様似ダム |
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