カリア「・・・と云うわけで、バレンタインなのよっ!」
セティ「ど、どうしたんですかカリアさん唐突にっ!?」
カリア「だからバレンタインなんだってば。今こそあたしのヒロインの座を磐石のものとする為にギルスのハートをあたしの愛のチョコでメロメロにしちゃうんだから!!」
セティ「はうっそんな事を考えていたのですかっ?抜け駆けは酷いですぅ!」
カリア「ちょっと『抜け駆け』って何よ?」
セティ「だってギルスさまと知り合ったのはわたしの方が先なんですようっ!?」
カリア「そんなの関係ないわよ。面識を持ったのが後だの先だの云うよりも大事なのは二人が経てきた親密な時間なんだモン!」
セティ「総すてーじ数ノ半分以上出番無カッタクセシヤガッテ。(ぼそっ)」
カリア「何か云った?」
セティ「あぅぅぅわたしは何も知りませんっ!?」
カリア「まいいわ。それじゃ早速チョコ作りに掛かっちゃおうっと。待っててねギルス!そしてようこそ不動なるヒロインの座!!」
セティ「あぅーやる気マンマンですぅ・・・、・・・、よし、こうなったらわたしも・・・。は、はぅっ、そそそんなわたしは別にヒロインの座なんてどうでもいいんですっ!ギルスさまに喜んで貰えるのなら・・・わたし・・・」
シルバードラゴン「ケッ!相変わらずカマトトブりやがって。」
女王イシス「・・・その話聞き捨てならぬな。その『ばれんたいん』とやらで我ら女性キャラクターの格が決まると云うのなら、妾(わらわ)たちも参加させて貰うぞ!」
カリア「出たわね『成り行きで性別の確定したトカゲ女』と『年齢不詳って実は年増な事実を隠してるだけじゃないのヘルメット頭女王』!!負けないわよ味・勝・負!!!」
セティ「なんかカリアさん突っ走りまくりでちょっと怖いですぅ・・・」
カリア「と云う事でギルス!早速あたしのチョコを食べて!!」
ギルス「わぁっ!いきなり目の前に現れてナニ云い出すのカリア?大体なんで!?」
カリア「詳しい事は↑の内容見てよ。」
ギルス「凄く横着な説明だね。」
ホルス「あーそうか今日はバレンタインだもんなー。(皮肉っぽく)あーあ全くギルスが羨ましいぜ。」
ギルス「ホルスだってセティから貰えるんじゃないの?」
ホルス「あいつが確かに家で何か作ってたのは確かなんだけどな、あいつ『コレはギルスさまにお渡しするのだから兄さんは向こうに行ってて』とか云うんだぜ。チクショウ!オレが何をしたと云うんだ!!」
ギルス「・・・妹に劣情を抱いた。」
ホルス「違ーう!それは誤解だっ!!クソウそれもこれも全部筆者とギルスお前の所為だ!こーなったら・・・」
ギルス「わぁぁ待ってよホルス暴力反対・・・」
ホルス「問答無用!・・・・・・が?ななナンだこれはっ!?」
突如ホルスの背後から何か細いものが首に巻きついてきた。それはたちまちにホルスの首を締め上げ、やがて彼は気を失いその場に崩折れた。
地面に倒れたホルスの陰からその姿を見せたのはカリア。長い前髪をホルスの首から外し、満面の笑顔でギルスに微笑みかける。
カリア「さあて邪魔者には消えて貰ったわ。それじゃあたしの愛の篭ったチョコ食べてねっ。・・・食べないと、あたしの前髪があなたの腎臓貫いて抉っちゃうんだから♪(にっこり)」
ギルス「・・・どんどん『触角』技のレパートリー増やしてるんじゃんカリア。このままだとボク殺られちゃうよぅ!?・・・と、兎に角それ食べればいいんだよね?」
カリア「そうよ。最近人気のムースチョコなの。」
ギルス「確かに見た目柔らかそうなんだけど・・・チョコレートにしては何かツヤツヤし過ぎてるような気がするんだけどなぁ・・・なんか厭な予感がするんだけど。」
カリア「どしてよ?」
ギルス「だってカリア以前メイジ(レッド)スライムをスクイーズしてお弁当に乗っけたじゃんか(ココ参照)。どうもお料理とか全く解ってない様な気が・・・。ああ!?まさか、コレもブラックスライムをスクイーズさせたとか?」
カリア「もう全く失礼ね。そんな事するワケないじゃない。」
ギルス「ホント?ほっ・・・」
カリア「ちゃんと素材の新鮮な風味を損なわないようにブラックスライムを殺さず盛り付けてあるわよ。」
ギルス「ってそれじゃ一緒だよっ!!って云うか前以上に手抜きしてるんじゃないっ!?もうカンベンしてよぅーっ!!」
カリア「あ、待ちなさーいギルスーーーっ!!!」
ギルス、速攻で駆け出す。それを追いかけるカリア。
シルバードラゴン「おう待ってたぜギルス。オレのチョ・・・」
ギルス「ゴメンお銀ちゃん!また今度ねっ!」
カリア「ギルス待ってー!!」
シルバードラゴン「オイオイ待てよ・・・あーあ行っちまったじゃ無ェか。折角オレもチョコを用意したってのによ・・・」
クローヴィス「・・・いや、それ、チョコって云うのかな・・・?」
シルバードラゴン「ナニ云ってンだよクロ公!?チョコってのはこうした褐色したモンだろうがよォ?」
ユフタル「と云うよりもそれはゴブリン殿をフレアブレスで消し炭にしただけでは御座らぬか?」
クローヴィス「いつぞやの『人形焼き』と変わらないなこれじゃ(こちら参照)。」
シルバードラゴン「煩せェよ細けェコトをうだくだと!黙ってろいフレアブレス!!」
クローヴィス「二段ジャンプ!!」
ユフタル「ぐはぁっ!!(フォント四倍角でお読み下さい)」
ユフタル、フレアブレスの直撃を受け一瞬にして黒コゲとなる。
シルバードラゴン「・・・コレで、チョコ二個目が出来たぞ。」
クローヴィス「おいおい・・・」
セティ「ギルスさま・・・」
ギルス「おわっ!!」
セティ「こ、これ、受け取って下さい・・・」
ギルス「コレはチョコレート?・・・セティ、若しかしてボクの為に!?」
セティ「(こくり)」
カリア「あーーっ!!酷いじゃないセティ!あなたの方が抜け駆けしてるじゃ・・・」
セティ「あぅぅ、そのわたしは、純粋に、ギルスさまに喜んでいただこうと・・・」
カリア「そーやってちゃっかりヒロインの座も奪うつもりなんでしょっ!?」
セティ「そんなわたし・・・ソレハひろいんノ座ヲ守レナカッタ方ガ悪イニ決マッテルジャ無エカ・・・・・・ってあぅーっ!違います違いますそんな事思ってないですぅ!?」
ギルス「もうそんな事はいいから。有難うセティ、じゃ早速頂くよ。」
カリア「あっギルスこの裏切者!」
ギルス「なんだよそれは?大体キミはブラックスライムを喰わせようとしてたんじゃないか!少なくともコレは普通のチョコに見えるからこれだけでもうセティの勝ち!」
セティ「えへへ。」
カリア「むーー・・・」
ギルス「それじゃ頂きます・・・むぐ」
セティのチョコを口に入れるギルス。
復活したホルス「あっギルス手前ッ!セティのチョコを・・・くっ、さらばオレの青春!!」
カリア「ナニ云ってんのこのヒト。」
セティ「あ、あの、ギルスさま、お味はいかがですか・・・?」
ギルス「・・・・・・・・・」
カリア「なんか固まってない?」
セティ「はぅっ、わ、わたし、なにか味付けを間違ってしまったのでしょうかっ!?」
カリア「まさか今更『砂糖と塩を間違えちゃったの、てへっ』って攻撃!?」
ギルス「・・・・・・・・・・・・」
ホルス「ってギルスの奴泡吹いてるぞ!?砂糖と塩どころじゃ無いような・・・セティ、お前ナニを入れた?」
セティ「あぅ・・・これですぅ・・・粗目(ザラメ)糖だと思って・・・」
カリア&ホルス「!!!」
しかしてセティが差し出したそれに入っていたソレは。
ホルス「これはシリカゲルじゃねえか!乾燥剤だぞ!?」
カリア「まさかそっちで間違えるなんて若しかして結構斬新?」
ギルス「(そんな事・・・云ってる間があったら早く救けて・・・・・・)」
セティ「ああっギルスさまっ!!」
カリア「・・・シリカゲルは生石灰とか他の乾燥剤に較べれば毒性は低いんだけど大量摂取すると危険だからよい子はマネをしないでね☆」
ホルス「しねーよ!!」
二人のやり取りを他所にどんどん顔が蒼ざめていくギルス。
セティ「あぅあぅあぅあぅ、一体どうしたら・・・」
女王イシス「ええい見苦しいうろたえるでないわ!!」
カリア「あっイシス様?」
女王イシス「斯様な時こそ我がイシス王家秘伝中の秘伝!この霊薬チョコボールを食するが良い!!(と手に持った球状の物体をギルスの口内に押し込む)」
ギルス「はががが」
セティ「コレで、一安心ですねっ!?」
カリア「・・・そうかしら?そろそろ行数的にオチが来そうだからコレが一番危険なような・・・?」
セティ「はうぅっ!?」
ホルス「何せ以前はミイラの干物(←重複表現?)喰わせようとしてたから(くどいですがコチラ参照)な・・・因みにイシス様、それはどうやって作るのですか?」
女王イシス「秘伝中の秘伝と云ったであろうが。だが特別に教えて進ぜよう。これは我が王国にて聖蟲と奉られしスカラベの御技(みわざ)を以って・・・」
ホルス「やっぱかーーーっ!!!『スカラベ』って事はそれフンコロガシの球かよっ!?」
セティ「厭ああああああっ!!」
女王イシス「何を申す!これは正真正銘の妙薬なるぞ。特に刀傷・矢傷に絶大なる効果を・・・」
世捨人ハーサグ「フォフォッ、戦国時代に横行した怪しき民間療法には『矢傷には馬糞水が効く』とか云うのがあって、手持ちに水が無い場合は馬糞を捏ねた糞饅頭を怪我人に無理やりに喰わせたらしいゾ!?」
ホルス「また出たか無駄知識オヤジ!」
カリア「って云うかこれ矢傷じゃなくて中毒だし。」
ギルス「(うががが・・・こんな生死の狭間彷徨ってる状態で云う事じゃ無いんだけど、このページの下の『戻る。』の『。』クリックすると番外編コントが見られるらしいヨ!?でもきっとダメダメだから期待しないでね!)・・・!!(ぽて)」
セティ「あぅーギルスさまぁ、なに仰ってるのか判りませんっ!」
カリア「・・・コレも良い子はマネしちゃダメよ♪」
ホルス「だからしねーよっ!!」
−終劇−