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簿記3級・基本テキスト 


10章 決算の本手続き


・決算の本手続き・・・
1)決算修正事項を仕訳帳に転記し、さらに総勘定元帳に転記する。
2)費用、収益の諸勘定の残高を損益勘定に振替仕訳する。
3)純損益を資本金勘定に振替仕訳する。
4)帳簿の締切と翌期への繰越し。

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10-1.元帳転記


・「棚卸表」に基づいて「精算表」に記入した決算修正記入事項は、表の上で仕訳しただけで、「仕訳帳」や「総勘定元帳」に記録していません。そこで、まずこれを「仕訳帳」に記入しさらに「総勘定元帳」に転記します。
 これを決算の元帳転記および決算整理仕訳といいます。

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10-2.損益振替手続き


[売上]や[受取手数料]などの収益や、[仕入]や[支払手数料]などの費用は、費用または収益の内訳として、「総勘定元帳」に記録されています。そこで、"純損益"を計算するために[損益勘定]を設け、これらの内訳科目である収益と費用のすべてを[損益勘定]に振替えます。この手続きを損益振替手続きといい、このとき行われる仕訳を決算振替仕訳といいます。

 1)まず、収益の勘定は貸方に残高があるので、[損益勘定]の貸方へ振替えます。
    (借方) 売 上  500万円 / (貸方) 損益 500万円
    (借方) 受取利息  5万円 / (貸方) 損益  5万円

 2)つぎに、費用の勘定は、借方に残高があるので、[損益勘定]の借方へ振替えます。
    (借方) 損益 300万円 / (貸方) 仕 入  300万円
    (借方) 損益  5万円 / (貸方) 支払利息  5万円

             損 益
 ─────────────┬──────────────
 12/31  仕  入   300 │12/31 売  上   500
 12/31  支払利息    5 │12/31 受取利息    5


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10-3.資本振替手続き


損益勘定に集められた収益と費用の残高が "純損益"を示すことになります。
個人商店の場合はこれを[資本金勘定]に振替えます。このとき行われる仕訳を決算振替仕訳といいます。

 ・損益勘定の貸方(右側)に残高がある場合は純利益を示し、資本の増加を意味し、資本金の貸方に振替えます。
(借方) 損益 200万円 / (貸方) 資本金200万円

 ・損益勘定の借方(左側)に残高がある場合は純損失を示し、資本の減少を意味し、資本金の借方に振替えます。
(借方) 資本金 200万円 / (貸方) 損益200万円


 損益と純利益の関係を図示すると以下のようになります。
 ┌───────┬───────┐ ┌───────┬───────┐
 │       │       │ │       │       │
 │ 費  用  │ 収  益  │ │(次期繰越) │ 期首資本金 │
 │       │       │ │       │       │
 ├───────┤       │ │       ├───────┤ 
 │ 純 利 益 │       │ │       │ 純 利 益 │
 └───────┴───────┘ └───────┴───────┘
 損益と純損失の関係を図示すると以下のようになります。
 ┌───────┬───────┐ ┌───────┬───────┐
 │       │       │ │ 純 損 失 │       │
 │ 費  用  │ 収  益  │ ├───────┤ 期首資本金 │
 │       │       │ │(次期繰越) │       │
 │       ├───────┤ └───────┴───────┘
 │       │ 純 損 失 │         
 └───────┴───────┘


 損益勘定と資本金勘定

             損 益
 ─────────────┬──────────────
 12/31  仕  入   300 │12/31 売  上   500
 12/31  支払利息    5 │12/31 受取利息    5
 12/31  資本金    200 │

            資 本 金
 ─────────────┬──────────────
              │ 1/ 1 前期 繰越  600
              │12/31 損   益  200

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10-4.元帳締切


収益と費用の決算振替仕訳が終わると、これらの勘定は残高がなくなるので、合計を出して締切り をします。

            支払利息 
 ─────────────┬──────────── 
  8/31  当座預金     4│12/31 損益      5 
 12/31  未払利息     1│      / 
          ────┤      ────── 
              5│            5 
          ────┤        ──── 


資産・負債・資本の各勘定は残高のでた反対側に残高金額を記入し、赤で"次期繰越"と記入し、借方と貸方の金額を一致させて締切ります。これを"繰越記入"といいます。

次に、来期の最初の日付で"次期繰越"と記入した反対側に今度は黒で"前期繰越"と記入します。これは、次期の残高を示すもので、この記入を"開始記入"といいます。

            資 本 金
 ─────────────┬────────────
 12/31  次期繰越   800 │ 1/ 1 前期 繰越  600
           /   │12/31 損   益  200
          ────┤        ────
            800 │           800
          ────┤        ────
              │ 1/ 1 前期 繰越  800




続いて、資産・負債・資本の諸勘定は、各勘定の中で次期へ繰越すもので、これらの残高を検証するために、各勘定の残高(次期繰越の金額)を集計して「繰越試算表」を作成します。

            繰 越 試 算 表
            平成XX年12月31日
 ─────────┬─────────┬─────────
   借    方 │ 勘 定 科 目 │  貸   方 
 ─────────┼─────────┼─────────
         800│ 現     金 │
         20│ 繰 越 商 品 │
         10│ 備     品 │
          │ 借  入  金 │       10
          │ 貸 倒 引当 額 │       20
          │ 資  本  金 │       800
 ─────────┼─────────┼─────────
         830│         │       830
 ─────────┴─────────┴─────────


(更新日:2002/01/11)

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