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簿記3級・基本テキスト 


11章 財務諸表の作成


・財務諸表の作成・・・
1)貸借対照表と損益計算書の作成
2)付属明細表の作成。
3)利益金処分計算表の作成。

 これらの資料を作成し、財政状態および経営成績を報告します。
個人商店を対象とする3級では、1)のみ取扱います。

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11-1.貸借対照表と損益計算書の作成


決算整理後の残高試算表から「貸借対照表」と「損益計算書」に勘定科目のすべてを転記します。

決算整理後の残高試算表の金額は、すでに決算整理が終わり、修正済みの金額ですので、基本的にそのまま、損益計算書または貸借対照表に転記するだけです。

残高試算表の勘定科目を資産・負債・資本・収益・費用に分類(色分け)し、資産・負債・資本は貸借対照表に記入し、収益と費用は損益計算書に記入します。


          残 高 試 算 表
           平成13年9月30日
 ━━━━━━━━┳━━━━━━━━━━┳━━━━━━━ 
   借  方  ┃  勘 定 科 目 ┃  貸  方  
 ────────╂──────────╂─────── 
        100┃ 現      金 ┃        
        150┃ 当 座  預 金 ┃        
        105┃ 受 取  手 形 ┃        
        45┃ 繰 越  商 品 ┃        
        100┃ 備      品 ┃        
  ----------------------------------------------------
         ┃ 支 払  手 形 ┃      200 
         ┃ 借  入   金 ┃      150 
  ---------------------------------------------------- 
         ┃ 貸 倒 引当金  ┃       5 
         ┃ 減価償却 累計額 ┃      45 
  ---------------------------------------------------- 
         ┃ 資  本   金 ┃      100 
  ----------------------------------------------------
         ┃ 売      上 ┃      450 
         ┃ 受 取  利 息 ┃      50 
  ---------------------------------------------------- 
        300┃ 仕      入 ┃        
        150┃ 給      料 ┃        
        20┃ 減価 償 却 費 ┃        
         5┃ 支 払  保険料 ┃        
        15┃ 貸倒 引当金繰入 ┃       
  ----------------------------------------------------
         10┃ 未 収  利 息 ┃        
 ────────╂──────────╂────────
       1,000┃          ┃     1,000 
 ━━━━━━━━┻━━━━━━━━━━┻━━━━━━━━ 


*残高試算表の最下段に表示される、決算整理の繰延べ勘定と見越し勘定は、資産または負債の科目になります。間違えないようにしましょう。
 前払保険料、前払家賃、前払保険料などの繰延勘定は、資産へ。
 未収利息、未収地代、未収手数料などの見越し勘定は、資産へ。
 前受利息、前受地代、前受手数料などの繰延勘定は、負債へ。
 未払保険料、未払家賃、未払保険料などの見越し勘定は、負債へ。


 *貸借対照表の構造        *損益計算書の構造。
 ┌──────┰──────┐ ┌──────┰──────┐ 
 │(資 産) ┃(負 債) │ │(費 用) ┃(収 益) │ 
 │      ┃      │ │      ┃      │ 
 │      ┠──────┤ ├──────┨      │ 
 │      ┃(資 本) │ │(当期純利益)┃      │ 
 └──────┸──────┘ └──────┸──────┘ 
*貸借対照表は、企業の財政状態をあらわします。
 損益計算書は、企業の一会計期間における経営成績をあらわします。




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11-1.(1)貸借対照表の作成


決算日を明示し、繰越試算表より転記していきます。
注意を要するのは以下の点です。

決算整理後の残高試算表の「貸倒引当金」と「減価償却累計額」は、貸方に記載されています。これらは、負債の勘定ではなく、資産のマイナス勘定(評価勘定といいます)です。したがって貸借対照表では、それぞれ売上債権(売掛金や受取手形)、固定資産(備品や建物)から控除する形式で記入します。

金額の欄を2列に分けて記入する場合と資産科目名のあとに内訳を記入し、金額欄に控除後金額のみを記入する場合があります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━┯━━━━━━┳━━━
     資   産       │ 金  額 ┃
──────────────────────────
   受取 手形    ( 105) │      ┃
    貸倒引当金   (  5) │    100 ┃
---------------------------------------------------- 
   備   品    ( 100) │      ┃ 
    減価償却累計額 ( 45) │    55 ┃ 
---------------------------------------------------- 
 なお、「貸倒引当金繰入」と「減価償却費」は、費用として、損益計算書に記入します。

「繰越商品」は、たんに“商品”と記入します。
資産の合計から、負債の合計および資本を差し引いて、"当期純利益"を求めます。
マイナスの場合は貸方に"当期純損失"と記入します。

          貸 借 対 照 表
           平成13年9月30日
 ━━━━━━━┯━━━━━━┳━━━━━━━┯━━━━━━
  資   産 │ 金  額 ┃負債および資本│ 金  額  
 ───────┼──────╂───────┼──────
  現   金 │     100┃ 支払 手形 │    200
  当座 預金 │     150┃ 借 入 金 │    150
  受取 手形 │( 105)  ┃ 資 本 金 │    100
   貸倒引当金│(  5) 100┃ 当期純利益 │     10
  商   品 │     45┃       │  
  未収 利息 │     10┃      /│  
  備   品 │( 100)  ┃    /  │  
   減価償却           /
     累計額│( 45) 55┃/      │  
 ───────┼──────╂───────┼──────
        │     460┃       │    460
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11-1.(2)損益計算書の作成


会計期間を明示し、繰越試算表より転記していきます。

注意を要するのは以下の点です。

決算整理後の残高試算表の「仕入勘定」は、整理後の売上原価を示しています。そこで、損益計算書の費用欄には“売上原価”と記入します。対比させる形で収益欄には「売上勘定」を“売上高”と記入します。

収益の合計から費用合計を差し引いて、"当期純利益"を求めます。マイナスの場合は貸方に当期純損失"と記入します。


          損 益 計 算 書
       平成12年10月1日から平成13年9月30日
 ━━━━━━━━┳━━━━━┳━━━━━━━━┳━━━━━━
 費     用 ┃ 金  額┃収     益 ┃ 金  額  
 ────────╂─────╂────────╂────── 
 売 上 原 価 ┃    300┃売  上  高 ┃    450
 給     料 ┃    150┃受 取 利 息 ┃    50
 減 価 償却費 ┃    20┃      / ┃     
 支 払 保険料 ┃    15┃    /   ┃     
 貸倒引当金繰入 ┃    15┃  /     ┃     
 当 期 純利益 ┃    10┃/       ┃     
 ────────╂─────╂────────╂──────
         ┃    500┃        ┃    500
 ━━━━━━━━┻━━━━━┻━━━━━━━━┻━━━━━━





(更新日:2002/01/11)

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