詩歌・俳句@

 

幕末の志士たちの歌・俳句を集めてみました。@は、水戸・長州・薩摩・土佐中心です。
勉強不足の為、雅号の判らない人もいます。ご存知の方はご一報願います。
その他、これも載せるべき!という作者・作品があれば、ぜひお知らせください。


姉妹ページ「義烈回天百首」を読むもご覧ください。

★ 一部の人のみですが、名前のリンクを辿れば、プロフィールを読むことができます。順次追加予定 ★
★ 人物によっては、そちらにも詩歌の紹介あります ★

 

名前

雅号

歌・俳句

安嶋帯刀

峨興 強ひてふくあらしの風のはげしきに 何たまるべき草の上の露

伊藤博文

春畝・春生

常陸帯読めば涙の玉ぞちる 人を動かす人のまことの

入江九一

松白

年を経て変わらぬ梅の花の香を 手向くるさへも心愧し
げにもこの告る別れぞ哀なり 思あわせて胸痛かたし

梅田源次郎

雲浜

天の戸をおし明け方の雲間より 出づる日影の曇らずもがな
帰り来て草のみ我を知りがほに こぼれかかれる露のふるさと

桂小五郎

松菊

今宵こそ君にひかれてたどりゆく 花のちまたに酔ふものはわれ

久坂玄瑞

江月斎
秋湖

ほととぎす血になく聲は有明の 月より外にきく人ぞなき
久方の都やいづく白雪の 積もれる山を今日こゆるかも
けふもまた知られぬ露のいのちもて 千歳を照らす月を見るかな
あなうれし數まへられる賎が身も 數まへらるる時し来れり

西郷隆盛

南洲

ふたつなき道にこの身を捨小舟 波たたばとて風吹かばとて

坂本龍馬

  世の人は我を何とも言はば言へ 我がなすことは我のみぞ知る
高杉晋作

東行

くれないの大和心はいろいろの 糸ましへねばあやはおられず
西へ行く人を慕ひて東行く 我が心をば神ぞ知るらん
後れても後れてもまた君たちに 誓ひしことを吾忘れめや
おもしろきこともなき世をおもしろく すみなすものは心なりけり
(下の句は野村望東尼の作)

武田伊賀守

耕雲斎
如雲

かたしきて寝(い)ぬる鎧の袖の上に おもひぞつもる越の白雪
咲く梅の風に空しく散るとても 馨りは君が袖にうつらん

武市半平太

瑞山

ふたたひと返らぬ歳をはかなくも 今は惜しまぬ身となりにけり

寺島忠三郎

刀山

關の戸は雲やとざさん五月雨の 今朝吹く風を君は何方へ
武士(もののふ)の道こそ多き世の中に ただ一筋のやまと魂

中岡慎太郎

 迂山・遠山 降りしきる雨を冒して思うどち 急ぐ旅路の川渡りかな

蓮田市五郎

  世のためと思ひつくせしま心は 天つみ神もみそなはすらん
降り積もる思ひの雪のはれて今 仰ぐも嬉し春の夜の月

平野國臣

月廻舎・柏舎
独醒軒・雲外 
いくめぐりめぐりて今年橿原の 都の春に逢ひにけるかな
生野山まだ木枯らしもさそはぬに あたら紅葉のちりぢりにして
天つ風吹くや錦の旗の手に 靡かぬ草はあらじとぞ思ふ

藤田誠之進

東湖 湊川身をすててこそたちばなの かぐはしき名は世に流れけれ

真木保臣
(和泉)

紫灘

大山の峯の岩根に埋めけり 我とし月のやまと魂

松田重助

  一すじに思ひこめてし真心は 神もたのまず人もたのまず

宮部鼎蔵

田城 いざ子供馬に鞍おけ九重の 御はしの桜散らぬそのまに
おほけなき今日の御幸は千早振る 神のむかしにかへるはじめぞ

山県有朋

素狂・含雪

あたまもるとりでのかがり影ふけて なつも身にしむ越の山風
となりなき世をかくれかの嬉しきは 月とむしとにあひやとりして

吉田寅次郎

松陰
二十一回猛士

かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂
帰らじと思ひさだめし旅なれば ひとしほぬるる涙松かな
親おもふ心にまさる親心 けふの音づれ何ときくらむ
身はたとい武蔵の野辺に朽ちぬとも 留め置まし大和魂

吉田稔麿

風萍軒

万代(よろずよ)も流れつきせぬ五十鈴川 清けき水を汲て取らまし
わけのぼる麓の道は多けれど 同じ高根の月をこそ見れ
結びてもまた結びても黒髪の 乱れそめにし世を如何にせん

吉村寅太郎

黄庵 吉野山風に乱るるもみぢ葉は 我が打つ太刀の血煙と見よ

米川久蔵

  たとえ身は敦賀の里にさらすとも などか絶ゆべき武士の道

頼 三樹三郎

鴨涯

かへり見る比叡の山かげ曇りける わがゆくさきは白雲の空

<参考文献>
「興風集」(松下村塾 / 明治元年) 「義烈回天百首」(金松堂 / 明治7年) 「維新志士 勤王詩歌評釋」(立命館出版部 / 昭和13年) 「吉田松陰 留魂録」(徳間書店 / 平成2年) 「松陰先生と吉田稔麿」(マツノ書店 / 平成2年) 「久坂玄瑞全集」(マツノ書店 / 平成4年) 「高杉晋作展」(霊山歴史館 / 平成4年) 「松下村塾をめぐりて」(マツノ書店 / 平成10年)

 

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