FINAL QUEST 1



 花道が防具屋で武闘着を買い、高宮が長旅に必要な道具や薬草など揃えると、四人は街道へ向かう道を歩き始めていた。今夜宿にする村まではたいした距離ではない。このあたりは昔首都と自治領とを往来する人々であふれていた場所なので、かなり少なくなったとはいっても宿屋のたぐいは多いのだ。自治領への旅人が減っても点在する村々の数が少なくなる訳がないので、一日目一杯歩くと村を三つも通過することさえある。そんな安心感に花道達の行程はかなりゆっくりで、この調子で歩けば首都まで二十日はかかりそうなあんばいだった。
 自分が武闘家になると決めた花道は、歩きながら忠にさまざまなことを教わっていた。なにしろ花道は武闘家の基礎すら知らなかったのである。
「手を広げるだろ? そんでこの四本の指の第一関節から順にぎゅっと握ってくんだ。ちょうどのり巻きを作るような感じだ。……そうだ。そうすると手の甲と指とが横から見ると直角になるだろ? これに親指を軽く添えて、これが拳の握り方だ」
「そうか。なんか手のひらに爪の跡がついて痛いぞ」
「爪はこまめに切っとけよ。そのまま殴ったら手のひらが切れちまう」
 忠は元々剣士であるので、武闘家に関しては多少知識があるというだけでほとんど素人と変わりはなかった。ただ、忠はひどくまじめな剣士だったので、いずれ武闘家と戦うこともあるかもしれないと、基礎だけは身につけていたのだ。この先戦い続けて相手がいつも剣士である保証はないと思っていたのである。
「腰の横から直線の軌跡を描くように拳を繰り出して、半分内側にひねりながら拳が平らに当たるように打ち込む。これが正拳突きの基礎だ。その時もう片方の拳は同じ力で後ろに引くようにする。そうすると上体も安定するし、拳の威力も増すんだ。手刀の場合も原理は同じだが、身体を中心に円を描くようにするのが普通だ。打ち込んだ瞬間に肘が伸びきってれば威力は高いが危険もある。複数の敵と戦うときには有効だ。蹴りの場合は ―― 」
 基礎だけとはいえ全身を武器にして戦う武闘家の基礎は奥が深く、その伝授だけで花道は首都までの行程のほとんどを費やさなければならなかった。退屈を紛らわすため、時々忠は高宮や大楠に護身術も教えた。痴漢撃退法に毛が生えた程度のものだったが、あまり力に縁のない二人でも突然の危険に対処しなければならない場面はこれから多くあるだろう。身につけておいて損のないものであったから、二人も真剣になって忠の手解きを受けていた。
 そうこうしているうち、出発から十八日目に、花道達一行は湘北王国の首都に辿り着いていた。高宮を除く三人は首都を見るのは初めてである。城下町は高い塀にぐるりと囲まれて、大きく開かれた門にはさまざまな商人や兵士達がひっきりなしに行き交っていたのである。
 はっきり言っていなか者の彼らは、その情景だけで圧倒され言葉を失っていた。やがてその様子に近づいてきた兵士の一人に誰何の声をかけられ、思い出したように高宮は四人分の通行手形を差し出した。
「これは、自治領和光村の手形じゃないか。あの村は旅人の往来を許可したのか?」
 若い兵士はまじまじと四人の少年達を見つめた。赤と黄色の色とりどりの毛髪が、兵士の不安を多少あおったようだった。
「往来を許可した訳じゃねえよ。ただ、オレ達が村から出ることを許可してくれたんだ」
 光の子とか、四人のうちの三人はあの村のものではないということなど、よけいなことは言わないのが得策だと思った高宮はそういう言い方で兵士に返答した。言葉は嘘ではない。ただ、少しの省略があるだけなのだ。それを勘違いされたからといって、そんなものは高宮の責任ではないだろう。
「そうか。まあ、手形はちゃんとしてるし、通るのに問題はないけど、それにしても変な取り合わせだな。最近じゃ剣士と吟遊詩人が友達になるのか?」
「オレ達は同じ十三才で親友なんだ。別にこいつだって最初から吟遊詩人だった訳じゃねえし」
「ま、そうだろうな。それにしても変な取り合わせだ。金色の髪の吟遊詩人と赤い髪の武闘家か。ふむ……」
「手形返してくれよ。オレ達だって今日中に宿探さなきゃならねんだから」
 高宮があまり不自然にならないように手形をふんだくると、四人は門をくぐって市中に入る。そしてこのときの実績により、後も高宮が兵士などとの最初の対応をまかされることになったのである。
「チンドン屋もいいけどよ、やっぱこのなりの四人組じゃ、けっこう目立つみてえだな」
「おまけにこの髪の色だもんな。金髪や赤髪の人間なんてオレ達以外にはいねえだろうし」
「だからって炭塗っとく訳にもいかねえ。ま、悪いことができねえだけだと思って諦めるしかねえな」
 そうこう話している間にも行き交う人々が奇妙な組み合わせの四人組と、そのうちの二人のカラフルな頭髪に奇異の目を向けているのが判る。それまでの旅路で多少慣れていたとはいえ、そもそも人口が果てしなく違うのだ。こんなに目立っては市内でのこれからの行動に差し障りもでるだろう。とりあえず手近な店に腰を落ち着けて、食事がてら対策を練ることになったのである。
「……今日中にしなきゃならねえこともあるから、とりあえず別行動しちまった方がいいと思う。どうだ?」
 店の中でも好奇の視線にさらされながら、それでも一番目立たないテーブルを囲んで提案したのは高宮だった。彼らが目立っている原因の一つは、そのバラエティーに富んだ職業である。彼らの服装自体はバラけてしまえばなんら人々の関心を引くものではなかったのだ。
「そうだな。集合場所を決めて、王宮の下見に行く組と宿を取ったり情報集めたりする組に分かれるのがベストだな。一人ずつにはならねえ方がいい」
「ってことはだ。順当に、オレと大楠が情報集め組で、花道と忠が王宮下見組だな。剣士と武闘家が一緒にいても吟遊詩人といるよりはマシだろうし、遊び人と吟遊詩人はぜんぜんおかしくねえからな」
「あ、お前とうとう遊び人ての認める気になったか」
「ほかに言いようがねえだろ。認めてやるよ」
 本人が認める気になったのも無理はないといえば無理はない。ともかく花道の方は忠の村で武闘着を手に入れて着替えるまでも完璧な旅人だったが、高宮の方は旅人とむりやり思えばそうも見えなくもない、むしろ着ているものは遊び人の風丁だったのである。事実、旅の荷物をおろして四人で食事などしていると、一番胡散臭そうに見られたのはこの高宮だったのだ。
「……集合場所は宿屋通りの入口。時間は日没。鑑札とか親書関係は……忠に渡しといた方がいいだろうな。こっちが付け届けで、こっちが門番に握らせる方だ。別々の隠しにしまっといて間違えるなよ」
 中で一番世慣れている高宮が、複雑な指示を花道と忠に与えたあと、必要な物と金を握らせて店を送り出した。多少心配はあるものの、子供でもあるし、ちょっとした失敗程度では大目に見てもらえるだろう。実直な二人のことだし信じてもらえないということもない。むしろ高宮などではなまじ世慣れている分役人の不審を買う可能性は高かったのである。
 そして残された二人は、お互いの顔を見て相手の考えが自分とそれほどずれていないだろうことを悟っていた。
「お前にもいくらか渡しといた方がいいか?」
 高宮の言葉はそれを裏付けていた。大楠もさして意外でもない様子で答える。
「小銭なら官装売った時の残りがあるから心配すんな。それに、村を出るときにもいくらか渡されてる」
「なんだよてめえ。虎の子隠してやがったのか?」
「自分一人で使おうなんざ思っちゃいねえよ。言ってみりゃ危険分散だ。ボディーガードはお城にお参りに行っちまったし」
 高宮は少し考えたが、大楠の言い分はそれほどおかしなものではなかったので、結局は何も言わないことにした。二十日たらずの旅だったが、高宮は大楠がそれほど金に執着する質だとは思えなかったのである。もちろん、高宮はいつでも大楠を本当に信頼などしなかったが。
「宿屋はオレも手頃なの目星つけとくけど、お前が決めたところでかまわねえ。どうせ商売してくんだろ?」
「ああ」
「ま、健闘を祈るぜ」
 こうして二人は、花道達との約束をまったく無視して、てんでんバラバラに行動することにしたのである。

 さきに出発した花道と忠であるが、高宮に教えられたように振る舞い、とくに不審の念も抱かれず、明日国王と接見できる運びとなった。もともと湘北王国は武人の国なので、礼儀作法にうるさいというわけではない。タイミングよくことが運びさえすればその日のうちに国王と会うこともできただろうが、ある程度情報を集めておきたかったこともあり、アポイントをとらずにいきなり押しかけて何日も待たされるようでは時間の無駄というものなので、約束だけ先に取り付けたのである。何から何まで高宮が言った通りにことが運んだので、花道はまた一つ高宮の博識ぶりに感動し、また忠も高宮の意外な才能に感心したのである。十三才という年齢であるのに、高宮の知識のきめ細かさは異常なほどであった。さぞかし多くの経験を積んできたのであろう。
 その高宮だが、大楠と別れてからは、広場のベンチなどで交わされる年寄達の繰り言に耳を傾けていた。そうかと思えば通りかかった帰り道らしい飛脚のあとをつけ、店で一杯やりながら情報を振り撒くのを小耳に挟んだ。そしてそろそろ夕闇迫るころ、そう流行ってもいなさそうな店の奥でコソコソする没落貴族らしい男達の悪口に耳を澄ませ、時間を見計らって集合場所になっている通りに向かって歩き始めた。
 その頃合いになれば、吟遊詩人もいよいよ稼ぎ時である。竪琴で永遠の愛唱歌や覚えたての最新の流行歌など爪弾いていると、仕事も終わりふらりと寄り道を始める職人や、これからが稼ぎ時という派手な女達から声をかけられる。大楠もその類には漏れなかった。大楠は、吟遊詩人でまじめに稼ぐのは、今回が初めてであった。
「詩人さん、歌は歌えるんだろう? なんで歌ってないんだい?」
 吟遊詩人は頼まれなくてもたいていなにかしら口ずさみながら歩いているものである。それは歌うことがことのほか好きな吟遊詩人達に共通する特性だった。
「おいら、この声だろ? うっかり赤ん坊のいるところで歌ったりしたら怖がられちまうからさ、聞いてから歌うことにしてんだ。おやじさんのところに赤ん坊はいるかい?」
 もちろん、盛り場で飲み始めた職人のあいだに赤ん坊などいるわけがない。大楠は自分が濁声であり、吟遊詩人の美しい歌声など望むべくないことを知り過ぎるほど知っているので、せめて客がお金を払う前にこうして逃げ道を用意しているのである。赤ん坊がいるといえば、一度大楠を引き止めた客が断りやすいだろうと配慮しているのである。
「珍しい声をしてるじゃねえか。……いいぜ。『花冠の娘』をやってくれ」
「よしきた!」
 明るく弾むような、そして音域の広い歌である。花嫁になる娘の喜びを歌っているのだ。かつて大楠が森の中で歌い、動物達に逃げられてしまった歌声は、しかし男達には新鮮な驚きをもって迎えられたのである。
「へえ、声はともかく、歌はうまいじゃねえか。いい歌だったぜ」
「そう言ってくれるのがおいら、一番うれしんだ。おいらの歌でみんなが楽しんでくれるのがいっとう好きなんだよ」
「今度は『円舞曲』をやってくれ」
「くりかえすところはおいらのオリジナルバージョンでいいいかい?」
 初めての流しで思いがけず人気を得てしまった大楠は、時間を忘れて客達と楽しんでいた。気付いたときは日没後で、そのため大楠はかなり遅れて待合せ場所に辿り着くことになったのである。
 待合せ場所でイライラしながら待っていた三人は、慌てて駆け込んできた大楠に不満の一つもぶつけようかと声を発しかけていた。だが、そのあまりにも嬉しそうな様子に言いそびれ、話を聞いているうちに自分達がイライラしていたことなど忘れてしまっていた。大楠は酒場の客を待たせているというのである。それだけでも三人が驚くには十分だった。
「へぼ吟遊詩人の歌を聞きたがるた、珍しい奴らだな。この町にはよっぽど吟遊詩人の数が少ねえんだろうな」
 機嫌もよく自信もついていた大楠は多少の揶揄になど取り合わなかった。もとより万人に受け入れられるアイドル詩人になるつもりなどない。声に恵まれていないのだからその分実力で勝負すればよいのだ。歌が心であることを判ってくれる人々にこそ、自分の歌を聞いてもらいたいのである。
 大楠が案内した今夜の稼ぎ場所は、市内では大きくもなく小さくもない、平均的な酒場だった。なにしろ首都であるのでそれまでの村々のように酒場と宿屋が一体化した造りではない。しかし簡単な宿泊施設は用意されているので、大楠は早々に四人分の予約を入れておいたのである。大楠が顔を出すと、店の客達は待ってましたとばかりに声を上げた。
「遅かったじゃねえかぼうず。さあ、順番にやってくれよ」
「おいら、大楠だよ。こいつらが友達の花道と高宮と忠。よろしくな」
「吟遊詩人の大楠か。手始めにポルカででも盛り上げてくれ」
「はいよ」
 歌い始めた大楠の声は三人が以前に聞いたときと同じ濁声だった。なまじ竪琴の腕がいいので、その音色の美しさと比べられてさらに声の悪さが際立ってしまう。しかし音程はしっかりしていたし、高音も低音もちゃんと声が出ている。歌にもメリハリがあって聞いていておもしろいくらいだった。その一曲が終わり、店の中はあぜんとした客と歓声を上げた客とがまっ二つに分かれたのである。
 花道達三人はあぜんとした方だった。しかしやがて、忠が言った。
「……要するに声がいいかどうかってのはどうでもいいんだな、吟遊詩人って」
 三人の心の中はまさにその言葉に集約された。もちろん人それぞれ感性の違いはあるだろうから、声がよくなければ吟遊詩人ではないと考える人だっていたのだろうけれども。
 そうして大楠が場の中心をさらってなんとか格好もついたので、ほかの三人も人々に紛れて騒ぎ始めていた。もともと高宮はお祭り人間であるので話は簡単である。花道も洋平との旅で人づきあいは学んできたので、こういう状況での対応のしかたはお手のものだった。そんな中で忠は一番落ち着いていたが、適応能力はあったので、カウンターで食事をしながら酒場の親父にいろいろ話を聞きながら適当に過ごしていた。そうこうしているうちに夜も更け、ようやく大楠も解放されて、あてがわれた部屋へと引っ込むことになったのである。
 普段眠る時間が少し過ぎていたのは、大楠がなかなか解放してもらえなかったからである。しかしそのまま寝てしまう訳にもいかなかった。明日は湘北国王に会うのである。情報交換が必要だったのだ。
 四人は二つの部屋に分かれることになっていたが、今は片方の部屋に集まって、ベッドに二人ずつ腰掛けて話し合いの体勢を作っていた。最初に口を切ったのは高宮だった。
「市中でいろいろ聞いてきた。ま、オレの聞いてきたことはオレ達にはそれほど関わりねえことばっかだったな。時間があったら話してやるよ」
「王妹の結婚の話ならオレも聞いたぜ」
 大楠の言葉に、高宮はうなずいた。
「今は市中その話で持ちきりだな。オレが聞いたのもそのへんの話だ。何でも永年の宿敵陵南王国の公爵に嫁ぐって噂で、その公爵が女ったらしでどうしようもねえって。王女様は嘆き悲しんでるそうだ。ったくあの可憐な姫様をそんな奴に……」
「おいおい、その話は関係ねえんだろ?」
 忠や花道の耳にもその噂は届いていた。花道を除く三人にとって、湘北王国は愛国である。その馴染み深い王室の姫様の早すぎる結婚は大いに彼らの気を引くものであったが、この場合ははっきり言って関係がない。花道達はあくまで勇者の一行なのである。各国の政治的な思惑に関与している暇はないのだ。
「そんで、国王は機嫌がいいのか?」
 花道は言った。いくらなんでも花道が聞いた噂はそこまで詳しいものではなかったのだ。
「王様もそう機嫌がよくはねえさ。姫様は嫌がってるし、王様は妹想いだからな。だけど実際の話、いいかげん両国とも手を結びたいってのが本音でさ。このまま小競り合い続けて国力が衰えたらほかの国に睨みがきかなくなるし。……ま、そんな訳で気の毒な姫様は政治の道具にされちまうのさ。相手は公爵様だけど、今のところ王位継承権は第一位だから問題はねえってことじゃないか? いろいろ複雑なのさ」
「ふうん。かわいそうだな」
「まあな。……ところで大楠、おまえの方の収穫は?」
「こっちもあんまかんばしくねえ。なにしろ王女様の結婚は今最大のニュースだからな。ほかの話してる奴なんかいねえよ。忠は?」
「カウンターで小耳に挟んだのは、この先王女様の結婚話で陵南王国への正規の街道は検問が厳しくなるらしいんだ。だから街道は通らねえ方が無難だって話だ。場合によっちゃ軍隊も出るから、かちあったらとんでもねえことになる。湘北連山と陵南山脈のちょうど境に、こっちは街道じゃねえけどかなりマシな道があるんだ。酒場のオヤジはしきりにこっちの道を勧めてくれた」
 彼らは一応湘北王国での用事が済みしだい、となりの陵南王国に向かう事に決めていた。なにしろ洋平が向かったのは東であるし、湘北王国の東には陵南王国しかないのだ。南は海で、北は遊牧民の領土である。洋平がこちらを通った可能性がない訳ではないが、確率としてあまりに低いので、そもそも選択枝には加えられていなかったのである。
 このあたりの地理については、花道にはまったく判らなかった。大楠もほぼ同様である。頼りになるのは高宮と忠だったので、花道はその二人に簡単に下駄を預けてしまっていた。
「忠、お前はどう思うんだ?」
「オレもこっちの道を通るのがいいと思う」
「そのこころは?」
「……洋平が好きそうな道だからだ」
 その忠の言葉を聞いて、花道は急に身を乗り出してほかの三人を驚かせた。
「オレもその方がいい! そっちに決めようぜ!」
 もちろん三人は洋平のことは知らない。だが、ことあるごとに洋平の話を聞かされて、洋平があまり人の通らない道を好んだことも判ってきていたのである。そして今回の場合、陵南王国へ向かうまともな道は街道とその付近の側道のほかには、この道しかないのだ。双国の首都からも大きく北へ外れているので、まさに洋平好みの道と言えただろう。
 その分遠まわりになるのは否めなかったが、最終的な道の選択は花道がするものとみんな心得ていた。この決定が下された以上、文句を言うものはいなかった。
「一応出発前にもう一度探ってみような。まさかとは思うが陵南側で事が起こってねえともかぎらねえし」
 そうして四人は、明日の国王との接見に備えて、眠りについたのである。


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