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宣言どおり、食後オレはパソコンに向かっていた。15歳までの記憶を取り戻してから、触るのはこれが初めてだ。コンピュータの世界では17年間の技術の進歩は著しいらしく、記憶を取り戻したとはいってもオレの理解力は昨日までと何ら変わらない。馴れない画面に惑わされながら、昨日見つけた接続ソフトを立ち上げていた。
アカウントとパスワード。まずは、オレが普段使っていたものと、それに関連したいくつかの数字とアルファベットを打ち込んだ。しかし、ある程度予想されていた通り、このたぐいの単純なものでは接続にまでは至らなかった。こいつは長期戦を覚悟しなければ。
「ミオ、退屈じゃない? 用事があるなら出かけてきてもいいよ」
今までミオはオレの後ろから作業を覗き込んでいたのだ。
「わからなそうなの?」
わからなそう、か。面白い言葉を使うんだな。オレのいた17年前にはなかった言葉だ。
「一通りやってみたけどぜんぜんダメ。単純なパスワードじゃないな」
「そう、それじゃ、ちょっと出かけてくるわね。お昼までには戻るから」
「ゆっくりしてきていいよ」
そう言ってミオを送り出し、オレは自分の中にある単語や数字と再び格闘を始めた。オレが今まで出会ったことのある人間の名前や、その身長や体重。オレと葛城達也以外には知り得ない暗号文の一節。J・K・Cで使っていた暗号文は416種類もあって、思いついた言葉をすべてその暗号に変換して打ち込んでいたら、約束の午前中は瞬く間に過ぎていった。
オレは何か根本的なところで間違っているのかもしれない。そう思い始めたとき、ミオが昼食を持って戻ってきていた。
「ただいま。……進んでない、って顔ね」
「どうやらオレはハッカーには向いてないらしいね」
「諦めないでね。コンピュータもパスワードも、人間が作ったものだもの。同じ人間の伊佐巳に解けないはずはないわ」
そして、そのミオの言葉が、オレに新たなインスピレーションを与えたのだ。
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このパスワードを設定したのは葛城達也だ。オレは今まで、自分を中心にしてあらゆる言葉を打ち込んでいた。オレの頭の中にある、オレに関わる言葉や人名を探していた。だけど、これを打ち込んだのは葛城達也なんだ。オレの知る、自己中心的で他人に関心を持たないあいつが、オレが思いつく言葉を設定していると考えるほうが間違いなんだ。
食事を摂るのももどかしかった。掻き込むように昼食を終えると、オレは再びパソコンに向き合い、画面を呼び出した。ミオはオレの食事の早さについてこられなかったらしく、テーブルで食事しながらオレの背中を見守っていた。
オレの頭の中には、葛城達也という人格がコピーされている。オレ自身が今まで接してきて、オレの目を通して形作られた葛城達也だ。オレは奴が生まれた44年前から17年前までの葛城達也の人生を思い浮かべた。生まれたのはオレと同じ城河総合研究所。しかし生後まもなく、山梨県のある孤児院に、2人の兄弟と一緒に捨てられた。
10歳までをその孤児院で過ごした後、奴は今の能力に目覚めた。いわゆる超能力と呼ばれるものだった。それを知った城河基規に研究所に呼び戻され、少しの間超能力の訓練を受ける。研究所にいた期間はわずかだった。すぐに研究所を飛び出して、他の2人の兄弟とともに、城河基規が所有する東京のマンションで暮らし始めた。
やがて城河財閥の総帥、城河基規が死亡する。2年後、13歳のときに城河財閥を乗っ取り、それ以後は財閥の総裁として闇の組織J・K・Cを作った。そこまで葛城達也を突き動かしていたのは復讐心だ。ともに孤児院で過ごし、19歳の若さで殺されてしまった、奴が心に描く英雄の……
オレはその英雄の名前と、死んだときの年齢を打ち込んだ。しばらくあって、接続が完了した旨のメッセージが画面に現われていた。
「繋がったの?」
いつの間にか後ろにきていたミオが言って、集中していたオレを驚かせた。
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接続が終わった後に現われた画面は、オレが見慣れたものだった。研究所の地下に眠っていたメインコンピュータの初期画面だ。イメージが少し違うと感じられるのは画面の解像度が変わっているせいだろう。うしろに立っているミオに、オレは言った。
「葛城達也の幼馴染の名前を入れたらこの画面になったんだ。黒人兵士とのハーフで、白人兵士に育てられた、日本国籍の男。J・K・Cが潰そうとしていたのは、この男を殺した人間が支配していた組織だ」
「藤井嵯峨がキーワードだったのね」
「知っているの?」
「あたしはほんとにいろいろ聞いてるのよ。葛城達也が生まれる前のこともね」
ミオが葛城達也に雇われたのは、オレが思っているほど最近のことではないのかもしれない。もしかしたら数年も前から、葛城達也と親交があったのか。
彼女の知識には、付け焼刃でない、身に染み込んでいるような雰囲気がある。
オレは初期画面から、慣れた方法で画面を切り替えていった。こうして同じ画面で比べているとよく判る。17年前とは比べ物にならないくらい、コンピュータの世界は進化しているのだ。オレはさまざまに探りながら、時々行き止まりがあることに気付いていた。これはどういうことだろう。オレに探られまいとロックしているのか。それとも、もしかしたらこれはただそっくりに作ってあるだけで、オレがなじんできたメインコンピュータの内部とはまったく別のものなのだろうか。
そうかもしれない。17年前にオレが知っていたものと、今現在のメインコンピュータとが同じであるほうがおかしいのだ。本物であればこんなに17年前の原形をとどめているはずがない。これはおそらく、オレの記憶を取り戻すためだけに作られたコンピュータなのだ。
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もしもこのコンピュータが、研究所のメインコンピュータにそっくりに作られた偽物だったとしたら、いったい誰が作ったのだろう。葛城達也にプログラムの知識はない。いや、オレには17年のブランクがあるのだから、オレが知らない間に奴がプログラムの知識を身に付けている可能性はある。だけど、オレはあいつを知っている。あいつがプログラムを組むなどという単純な作業を何ヶ月も続けてこれを作り上げたなどとは到底思えなかった。
葛城達也は腹心の部下にこの作業をやらせたのだろう。17年前のメインコンピュータの内部を詳しく知っていて、プログラムの知識がある人間。オレのほかにそんな人間がいるのならば、オレは絶対にその人間に会ったことがあるはずだ。
オレは、内部にしまわれている機密文書がある場所に繋ごうと、画面を変えた。その先はパスワードを入力しなければ進めない。オレはいつも打ち込んでいる長ったらしいパスワードを打ち込み始めた。行数にして15行はあるとてつもなく長いパスワードを。
ミオは後ろでじっと見ている。まるで、オレを邪魔するまいとするように、呼吸を止めている。このパスワードを与えられているのは組織の中でも10人に満たなかったはずだ。しかし、オレの独自のパスワードを知っていたのは、オレと葛城達也のほかにはたった一人だけ。
入力を済ませて送信すると、画面が変わった。その時点でほぼ確信していた。17年前のメインコンピュータの内部を熟知していて、コンピュータのプログラムの知識を持ち、オレの打ち込んだパスワードが合っていることを知る人物が、彼であると。
「ミオ」
急に声をかけられて、ミオはずいぶん驚いたようだった。
「なに?」
「アフルストーンに会うことはできる?」
瞬間的に反応できなかったミオの様子で、オレはオレの親友がこの建物の中にいることを知ったのだ。
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アフルストーンは、唯一と言っていい、オレの親友だった。オレと同じ研究所で7歳から16歳までを過ごして、オレの感覚ではほぼ1年前、研究所から出て両親の待つ自宅に戻っていった。研究所では遺伝子の研究ともう1つ、超能力の研究も行われていた。その超能力部門にいたのがアフルストーン、通称アフルだった。
本名というのもあるのだけれど、オレはずっとアフルで通してきたし、あいつもそう呼ばれる方がいいと言っていたことがあったから、オレはそう呼んでいた。もちろん日本人で、年齢はオレよりも2歳ほど年上だった。
「……アフルストーンが、ここにいると思うの?」
慎重にミオは言った。オレはミオの嘘を簡単に見破れる自分に今更ながら気付いていた。
「理論的考察。このプログラムを組めるのはアフル以外に考えられないからね。彼は今でも葛城達也の手先なんだな」
ミオは、オレの言葉にどう反応していいのか、判らないようだった。
「判った。ミオにはそれを答える権限はないんだね。いいよ、雇い主の人に訊いてからで。いつ返事をもらえるかな」
「……今日の夜には、たぶん答えられるわ」
「ならそれまで待つよ。……ここも行き止まりか。いったいどこにあるんだ、オレの人生の奇跡のデータは」
組織の事件、統計データ、工作員のデータ、それらの項目のほとんどは行き止まりになっている。以前のオレの記憶では、オレのデータは葛城達也と関わりのある人物のデータの中にあった。しかしそこも行き止まりだ。オレはずっと画面を移動させて、要注意人物の項目のところを開いてみた。
そこは行き止まりではない。なるほど、オレはこの17年のうちにこちらのディレクトリに移されていたわけだ。
そこにあったのは、オレの名前だけではなかった。ちょっと見ただけで50人はいる。操作の指を止めて、オレはその名前を1つずつ、舐めるように見つめていった。
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真っ先に自分の項目を開かなかったのは、もしかしたらこのたくさんの名前の中に、オレの記憶を喚起する名前があるかもしれないと思ったからだ。名前はすべてローマ字で書かれてあって、オレの名前は上から3番目に「Isami_K」とある。姓のイニシャルがないものの方が多い。中には外国人かと思うような名前もあった。
ひとつひとつ、オレは見つめながら、自分の記憶と照らし合わせた。いったいどのくらい読み進んだか。不意に、オレはその名前を見つけたのだ。
Mio_K ―― ミオ ―― 。
思わず振り返って後ろにミオがいることを確かめた。今ここにいるミオは、オレが勝手に名づけたミオだ。彼女の本名をオレは知らない。
ミオという名前は日本人に多い名前だろうか。いや、けっして多い名前とはいえないだろう。オレが知る17年前に死んだミオは、苗字のイニシャルは「Y」だ。あのミオでもない。もしかしたらオレは、この「Mio_K」という人物を知っているのだろうか。
だから、最初に目覚めたとき、彼女にミオの名前をつけたのだろうか。
「伊佐巳、どうかした?」
このリストの人物をオレが知っているとは限らない。葛城達也にとって邪魔な人間を集めただけのリストだ。オレ自身が知っている人物が一人もいない可能性だってある。「Mio_K」はただの偶然の一致かもしれない。
おそらく、オレは恐れている。オレはミオの正体を知るのを恐れている。
「なんでもないよ」
そうミオに言って、オレはそれ以上リストを見るのをやめて、「Isami_K」の画面を開こうとした。そのときだった。やや長めのエラーサインが鳴って、ディスプレイに一瞬文字が表示されたあと、いきなり回線が閉じてしまったのである。
真っ暗になってしまった画面を眺めながら、緊張が解けたオレはかなりほっとしている自分に気付いていた。
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「どうしたの? 壊れちゃった?」
一瞬、オレのことを言われたのかと思った。真っ暗になった画面を呆然と眺めているオレは、傍からは壊れたロボットのように見えただろうから。ミオが言ったのは、突然文字が消えてしまったパソコンのことだった。
「いや、たぶん大丈夫だと思う。回線を切られただけだから」
「切られた? 誰かが切ったの?」
「メインコンピュータに付属してる安全装置が働いた。どうやらオレのことをハッカーだと思ってるらしいよ、このキカイは」
なかなか一筋縄ではいかないな。次は付属の安全装置を切るところから始めなければならないらしい。
「なんだか気が抜けた。ねえ、ミオ。ここって禁煙?」
オレの質問に、ミオは驚いたようだった。15歳のオレはわりと日常的にタバコを吸っていた。ミオはそのことも知っているはずだ。
「伊佐巳、タバコを吸うの?」
「ここ最近……って、15歳のオレにとっての最近だけど、けっこうな本数吸ってるよ。それも思い出したからさ、なんとなく」
「……訊いてみるけど、たぶん許可は下りないと思うわ」
怪訝な顔をして、ミオはオレを見た。もしかしたらミオはタバコを吸う男をあまり好きではないのかもしれない。
「ならいいよ。しょうがない、鶴でも折るか」
「パソコンは? もう見ないの?」
「この状態になっちゃうと5時間は動かないよ」
たぶんオレは、画面にあったミオの名前に反応して、少しおかしくなっているのだろう。なんとなくすべてがわずらわしくて、ミオにいろいろ説明するのも面倒だった。ミオもオレのそんな態度を察したのだろう。テーブルに椅子を戻して鶴を折り始めたオレの向かいで、ミオも鶴を折り始めた。
15歳のオレの中にも、折鶴というものの記憶はなかった。ミオの感覚で言うならば、15歳のオレもかなり日本人として恥ずかしい人生を送っていたらしい。そのくらいオレの15年間は特殊だったのだ。
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折鶴に集中しているとずいぶんと気分が穏やかになってくる。さっきの自分の心の動きを理解していた。オレがなぜ、自分の過去を知るのを恐れているのか。
オレはミオに不信感を持っていた。それはずっとオレの中にあったけれど、さっきのリストの名前に「Mio_K」という文字を見て、その不信感はさらに深まった。32歳のオレは彼女のことを知っていて、無意識にその名前をつけたのではないのか。
彼女に、葛城ミオという名前を。
―― いや、まだ判らない。頭文字が「K」になる苗字なんて腐るほどあるし、それが本当にミオの名前かどうかも判らない。偶然だって、起こりえないほど珍しい名前じゃない。
「……伊佐巳? どうかしたの? ……何か怒ってる?」
気がつくとオレはずいぶん乱暴な手つきで鶴を折っていた。折り目が奇妙に歪んで反り返ってる。
「……なんでもないよ。何も怒ってない。ごめん、心配させた」
「どうして黙っているの? あたしには話してくれないの?」
オレの、ミオに対する不信感を、どう話したらいいだろう。こういうとき、記憶を取り戻す前のオレなら、心の中を素直に全部話していただろう。ミオを母親のように頼って、すべての不安をミオに消し去ってもらいたくて。
ミオも戸惑っているのかもしれない。オレはやっぱり昨日までとはずいぶん変わってしまっていたから。
「……なんだか、宙ぶらりんでイライラするんだ。オレの知らないところで時間だけが経ってて、周りの状況も何もかもぜんぜん把握できない。早く全部の記憶を取り戻したいよ」
「そうよね。何かきっかけさえあれば一気に思い出せるかもしれないわ。昨日みたいに」
今はそのきっかけすら見えない。15歳の時記憶を失ったあと、オレはいったいどんな人生を歩んだのだろう。オレは誰かに恋をしたのだろうか。死んだミオのことを忘れて、だけど、恋する気持ちだけはずっと消えずに。
以前ミオが言った、もう1人の女の子。2度目の引越しのあとに出会った女の子にも、オレは恋をしたのかもしれない。
それは十分ありうる話だった。なぜなら、絶望したオレを立ち直らせたのは、今目の前にいるミオに対する恋なのだから。同じような心の動きが17年前にもあったのではないだろうか。
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オレが鶴にイライラをぶつけて、それで何とか自分を落ち着けようとしていると、不意にミオが立ち上がっていた。テーブルに手をついて、顔を上げたオレを正面から睨みつけた。
「伊佐巳、あなた暗いわ」
そういうと、驚くオレのほうにつかつかと歩いてきて、いきなり拳で突いてきたのだ。
折りかけの鶴を放り出して、オレは腕を上げた。ミオの拳の進路を変えながらよける。それはほとんど無意識の動作だ。オレの身体が覚えている、空手の防御だった。
「いきなり何するんだよ」
「思い通りにいかないからって鶴に当たらないで。千羽鶴は願いを込めなきゃ意味がないのよ。イライラするんだったら身体を動かしなさいよ」
そのあとはかなり本格的にミオはオレに攻撃を仕掛けてきたから、オレもそれ以上椅子に座っていることができなかった。ミオのまわし蹴りを腕を交差させてよけ、椅子を盾にとって間合いを開けたあと、テーブルを回ってミオの攻撃から逃げていった。まさかミオに攻撃できるわけない。それに、オレは身体が動きを覚えているというだけで、空手を正式に習った経験はないんだ。逃げることは無意識にできても、攻撃が無意識にできるかどうかは判らない。
「待てよ、ミオ! いったい何を怒ってるんだ」
「伊佐巳が暗いとあたしまでストレスがたまるの! こら! 逃げてばっかりいないで戦いなさいよ!」
「女の子相手に攻撃できるわけないだろ。ちょ……ミオ、ほんとに危ない」
部屋の中はかなり広かったけれど、このままではどちらかが怪我をするかもしれない。実際オレはベッドの方へに追い詰められていた。
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逃げ回るのは限界だった。完全に追い詰められる前に、オレはミオの拳を捕まえた。
ミオが動きを止めた。
「ミオ、オレが悪かったんなら謝るから、話してくれる? いったい何を怒ってるんだ?」
ミオはじっと、オレを見上げていた。ミオは女の子としても少し小さい方なのかもしれない。こうして立っていると、ずいぶんオレとでは身長差があって、首が疲れるのではないかと思った。死んだミオも小さかった。体重は、たぶんあの頃のオレと同じくらいあったけれど、
「……そんなの、あたしにもわからないわよ。……伊佐巳に無視されてるような気がしたの」
無視、していただろうか。なんとなくわずらわしくて、不信感があって、何も話さなかった。話しても答えてもらえないと思った。オレはミオが答えられないだろう疑問ばかりを持っていて、だから無駄な質問はしないでおこうと黙っていた。
たとえ無駄な質問であっても、何も言わなければミオには判らない。オレが何を考えているのかが伝わらなくて、だからミオはいろいろ想像してしまうのだろう。たとえ答えてもらえなくても、オレはミオに質問しなければならないんだ。ミオの本当の名前は何というのか。ミオは32歳のオレにとってどんな存在なのか。
「オレは、さっき、画面の中にミオの名前を見つけた」
ミオはほんの少し眉を動かして、表情を微妙に変えた。
「その名前がオレに関わる人間の名前なのか、それもよく判らない。ねえ、ミオ。オレにはミオという名前の知り合いがいるのか? それは君と関係があるのか? 苗字の頭文字の「K」は、いったい何の略なんだ?」
どう答えるべきか、ミオは迷っているようだった。おそらくミオにも判ったのだろう。ミオに答えてもらえない質問だから、オレが今まで黙っていたのだということが。
「……あたしが知っている限りでは、葛城達也に関わる人間で、ミオという名前の人は3人いるわ。そのうちの1人は、17年前に死んでしまったミオ。そして、あとの2人のうちの1人を、伊佐巳は知っているの」
ミオの答えはそれほど具体的ではなかったけれど、オレのイライラを少しだけ解消する効果はあった。