topへ
前のページに戻る
informationへ戻る
第二幕 湖のほとりにて
王子ジークフリートと友人たちは森の奥くへ続く山道を抜け、静かで寂しげな湖へと
向かいますが、王子は友人たちと逸れて一人きりに・・・
やがて湖に着くと月光に煌く湖面にはたくさんの白鳥が羽を休めています。
王子は静かに矢を構えたその時です・・・
一羽の小さな冠を付けた白鳥が岸辺に上がり羽ばたいたかと思うと、月明かりの中で
美しい女性に変わっていくではありませんか。
王子が驚いたのは言うまでもありません。女性も矢を射ろうとする王子の姿を見て
怯えた様子です。
少し気を取り直して王子が問いかけます。
「逃げないで下さい・・あなたは誰ですか?どうして白鳥などに身を変えているのですか?」
女性はまだ少し怯えた様子ですが、構えた矢を収める様子で少し落ち着いたのか
静かにそれでも凛として答えます
「私はオデット・・・白鳥の女王です。悪魔ロットバルトの呪いで
侍女と共に白鳥の姿に変えられてしまったのです。真夜中から朝までだけ、こうして人の姿に
戻れるのです・・・。どうか私たちを撃つのはおやめ下さい。」
王子は深く同情し、王女にその呪いを説く方法がないか尋ねます。
「この呪いを解くことが出来るのは永遠の愛です・・・他の誰にも愛を誓っていない青年が
私だけに永遠に誓っていただける愛・・。その愛だけがこの呪いを解くことが出来るのです」
ひと目で王女の美しさに魅かれた王子は王女に永遠の愛を誓うと告げます。
驚き戸惑う王女ですが・・時がつれ、やがて二人の心は深く結びついていきます。
深い悲しみに耐えてきた王女に王子の愛はより一層高まります。
王女は、自分のために王子を不幸にさせてしまうかもしれないと言う気持ち
、永遠の愛を誓ってくれると言う申し出を素直に受け入れられない気持ち・・
それが時が経つにつれ、王子の愛を信じたいと言う気持ちに変わってゆきます。
夜が白み始めます・・・
いつしか二人はお互いの愛を確信するようになっていました。
ふくろうの姿に身を変えそれまでの成り行きを苦々しく見つめていた悪魔、ロットバルト。
夜明けと共に二人の前に現れこう言い放ちます。
「なにが永遠の愛だ!そんなものがあるはずがない。さぁ、夜明けだ。白鳥の姿に
戻るがよい!」
王子は止めようとロットバルトの前に立ちはだかりますが魔法の力で
敢え無くオデットは白鳥に戻って空のかなたに消えてしまいます。
「王女は私が必ず助ける・・・」
そう誓い王子はその場所を立ち去るのでした・・・(第二幕 終)
以上が第二幕です。劇的な出会いをする二人。高まる愛。
この幕では、まだ若く一途な愛に突き進む王子と、深い苦しみに耐え、
人の弱さ、悲しみを知っているためにすぐには愛を受け入れられない王女の
心の葛藤、そして永遠の愛を誓うまでが、見ているほうも狂おしくさせるほど
美しく、繊細に描かれます。さてこのふたり・・どうなるのでしょうか・・・。
topへ
前のページに戻る
次のページへ進む
当サイト内すべてのコンテンツの無断転載は固くお断りします