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真空管ヘッドホンアンプキット TIC-3 web マニュアル
基板名称:YAHA Ver.4.3

多真空管対応 YAHAキット"TIC-3"の組み立て方を解説します。
部品調達や組み立ての前に、このページの下まで読んでください。

TIC-3は秋葉原のアンディクス・オーディオさんamazon にて税込7,800円で販売しています。



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(2013-01-22編集)

YAHAの回路をアレンジして、ヒータ回路を三端子レギュレータを用いた定電圧点灯に変更しました。 そして、ヒータに印加する電圧は、電源電圧か三端子レギュレータ出力かをジャンパで切り替えられるようにしました。 また真空管の9番ピンの接続先は、NCかGNDかをジャンパで切り替えられるようにしました。

こうすることで、6922、6JD8(9AJ系)だけでなく、12AU7のファミリー(9A系)なども使えるようにしました。

ヒーターの電源回路を定電流点灯から定電圧点灯に変更したことでウォーミングアップにかかる時間が短縮されました。


Fig.1 YAHA Ver.4.3の基板

Table 1 YAHA Ver.4.3に使用できる9A系の真空管
真空管 電圧増幅率 μ
ヒータ
プレート抵抗 [Ω]
電圧 [V] 電流 [A] 回路
9AU7 19.5 9.4 0.225 7809 33k
12AU7 17 12.6 0.15 ACアダプタ直結 150k
12AY7 40 12.6 0.15 ACアダプタ直結 330k
6414 42.5 12.6 0.225 ACアダプタ直結 150k
5965 47 12.6 0.225 ACアダプタ直結 220k
12AT7 60 12.6 0.15 ACアダプタ直結 470k

Table 2 YAHA Ver.4.3に使用できる9AJ系の真空管
真空管 電圧増幅率 μ
ヒータ
プレート抵抗 [Ω]
電圧 [V] 電流 [A] 回路
6DJ8 32 6.3 0.365 7806 47k
6RHH2 36 6.3 0.4 7806 2.2M
6922 32 6.3 0.3 7806 47k
7DJ8 33 7 0.3 7807 未確認
7ES8 34 7.6 0.3 7808 未確認


部品リスト

組立の前に部品が全て揃っていることを確認して下さい。

     
Table 3 キット内容物
部品 番号 規格 仕様 個数 備考
抵抗 R1, R5 1/6W以上 カーボン 220kΩ 2本 5965用
47kΩ 2本 6922用
R2, R6 22Ω 2本 出力抵抗
R3, R7 1kΩ 2本 ブリーダー抵抗
R4, R8 1MΩ 2本 グリッド抵抗
LED用抵抗 1/4Wカーボン 470Ω 1本 LED電流制限抵抗
コンデンサ C1, C4 電解コンデンサ 一般用 16V 470uF 2個 黒・白帯
C2, C3, C8 積層セラミックコンデンサ 50V 0.1uF 3個 水色 104 小さい方
C5, C9 積層フイルムコンデンサ 50V 0.047uF 2個 水色 473
C6, C10 電解コンデンサ 16V 470uF 2個 ニチコン HZ(M)、黒・金帯
C7, C11 積層フイルムコンデンサ 50V 0.1uF 2個 水色 104 大きい方
IC U1 三端子レギュレータ 7806 1個  
U2 デュアルオペアンプ TL082CP 1個 NJM4556ADなどの場合もあります。
ジャンパ JP1 ジャンパワイヤー   1本 抵抗の脚を再利用
JP2, JP3 ピンヘッダ   5P  
JP2 ジャンパ 1個  
JP3 ジャンパ 1個  
LED   緑色 Φ3   1個  
真空管 TUBE1 双三極管5965   1本  
ソケット U2 平ピンICソケット DIP8P 1個  
R1, R5用 丸ピンICソケット シングル 4P  
TUBE1 MT9P基板用ソケット   1個  
ヒートシンク U1 24×25×17mm   1個  
DCジャック   内径2.1mm外径5.5mm   1個  
電線   AWG26〜24 1本  
  AWG26〜24 1本  
  AWG26〜24 1本  
ボリューム   50kΩA×2   1個  
ノブ(つまみ)       1個  
ジャック   ステレオ・ミニ・ジャック プラスチック製 1個  
  ステレオ・ミニ・ジャック 金属製 1個  
トグルスイッチ   ON-OFF   1個  
ねじ   バインドねじ M3×4 4本 基板取付用
  バインドねじ M3×8 1本 三端子レギュレーター取付用
スペーサー   金属 オス・メス M3×5 4本 基板取付用
ナット     M3 5個  
基板       1枚  

部品は仕入れの事情により予告なく変更になることがあります。

Table 4 キット内容物以外で必要なもの
品名 型番 数量 参考価格 販売店など
ケース タカチ YM-130 など 1個 \630 マルツパーツ
ACアダプタ GF NP12-1S1210 12V 1A 1個 \600 秋月電子
真空管 6922(オプション) 1個   アンディクス・オーディオなど

注意:Amazonで販売しているものにはACアダプタが付属します。
注意:真空管6922がなくてもアンプとして機能します。

(2012-06-22 編集)

部品選定における注意事項

○ACアダプタについて
入力範囲が広い(100〜240Vなど)ワールドワイド仕様のACアダプタは内蔵されているインバータの影響でノイズが聞こえることがあります。

必ず入力範囲が狭い(100〜120Vなど)日本国内仕様のACアダプタで出力は12V、1A以上のものを選択して下さい。

価格と性能を考慮して秋月電子で販売しているスイッチングACアダプタ12V 1A(入力100V〜120V)NP12-1S1210 参考価格 \600 の使用を推奨します。

○オペアンプについて
アンプ回路の出力段がオペアンプのボルテージフォロアなので、 おおよそ出力 (W)≒オペアンプの出力電流 (mA)×電源電圧 (V)となります。 通常のオペアンプだと出力電流が25mA程度で出力が数百mWになりヘッドホンアンプとしては非力です。

このため、能率の悪いヘッドホンを使用すると大音量で出力電流が不足して音が割れることがあります。

音割れが気になる場合はNJM4556ADD, NJM 4580DD, NJM 4580DDなど高出力電流タイプのオペアンプを使用して下さい。

○ケースについて
このサイトではタカチYM-100で製作しましたが、YM-130の方が寸法的に余裕があり初心者の方でも組み立て易いと思います。

(2012-06-22 編集)

抵抗の半田付け

一番最初に抵抗を半田付けします。

プレート抵抗(R1, R5)以外は抵抗値もシルク印刷されてます。 プレート抵抗は使用する真空管に合わせて変更できるようICソケット化しておくと便利ですので、 半田付けはせずに脚を折り曲げて斜めに切断しておきます。



Fig.2 抵抗を半田付けしたところ


ジャンパ、ピンヘッダ、ICソケットの半田付け

ジャンパJP1は抵抗の脚を再利用して下さい。

DIP8PのICソケットは切り欠きをシルク印刷の丸印と同じ方向にして下さい。

丸ピンICソケットは抵抗を差し込んでから半田付けすると固定しやすいです。


Fig.3 ICソケットを半田付けしたところ


コンデンサの半田付け

C1〜C4, C8は電源を安定させるコンデンサなので、標準的なもので十分です。

C5〜C7, C9〜C11は音声信号が通過するので使用するコンデンサによって音質が変化します。


Fig.4 コンデンサを半田付けしたところ



三端子レギュレータの半田付け

電源電圧12Vからヒーター電源6Vを作るために、三端子レギュレータ7806を使用します。

三端子レギュレータは発熱するので必ずヒートシンクを取り付けるか金属製のケースに密着させて下さい。


Fig.5 三端子レギュレータを半田付けしたところ


センターピン、真空管ソケットの半田付け

真空管ソケットの真ん中に、スズめっき線を立てて高周波ノイズ対策をしています。

音声帯域では高周波ノイズが問題になることは少ないはずですが、 マナーだと考えて下さい。


Fig.6 センターピンの半田付け

真空管ソケットは基板の半田面(裏側)に半田付けします。

真空管ソケットの脚にはたくさん半田を盛って、しっかりと固定します。


Fig.7 真空管ソケットの半田付け

(2011-10-07 編集)

ケースの加工

実用的で安価なケースであるタカチ YM-100を加工しました。

穴の直径はそこに通す物より0.3〜0.5mm程度大きくして下さい。
例えば、M3ネジの穴はΦ3.3程度にして、ネジを締めるときに部品の位置決めをして下さい。

普通のドリルで開けられる穴は通常Φ10までです。
真空管用の穴などΦ10より大きい穴は、テーパー リーマー、ステップドリル、 ホールソー、シャーシパンチなどを利用して開けます。

穴を開けたときにできるバリは一回り大きいドリルを手に持って グリグリやるときれいに取れます。
直径Φ8以上の穴ならバリ取りという専用工具を使うと便利です。

TIC-3では音声出力のステレオミニジャックでケースにアースするので、 ステレオミニジャックの金属部分と接触するところはアルマイト処理をヤスリで削って電気的に導通させます。


Fig.8 ケースの加工

このページの上では三端子レギュレータにヒートシンクを取り付けましたが、 取り外してケースに固定できるようにします。


三端子レギュレータの付け直し

三端子レギュレータをケースに固定できるようにします。

三端子レギュレータを基板の半田面に半田付けし、脚を折り曲げます。
使用するスペーサーの高さが5mmで、三端子レギュレータの厚みが5mmなので これでぴったりケースに固定できます。


Fig.9 三端子レギュレータの付け直し


基板をケースに組み込む

ケース内の配線はできるだけ短くなるように気をつけてください。
音声の電線と電源の電線は、平行にならないよう、できるだけ直交させてください。

この作業は意外と時間がかかりますけど、焦らずじっくりやりましょう。

ジャック類、ボリュームなどの配線は、 TIC-4 のページを参考にしてください。

LEDのカソード(マイナス側、切り欠きのある方)は、抵抗を介してDCジャックのマイナス側に半田付けしました。
LEDの電流制限用の抵抗は、脚がむき出しだとショートする可能せもあるので 黒い熱収縮チューブを被せました。

アノード(プラス側)は、トグルスイッチの基板側と半田付けしました。


Fig.10 ケースの内部

DCジャックと音声入力はケースの背面に配置しました。

DCジャック〜トグルスイッチと音声入力〜ボリュームの配線が短くなるように 配慮しながらケースの設計をしました。


Fig.11 ケースの前面

ケースを工具なしで開けられるように、ネジをローレットスクリューに交換しました。

Table 5 ネジなど
部品番号 品名 数量 価格 販売店など
  ローレットスクリュー M3×5 4個 失念 ストアミズタニ
  熱収縮チューブ Φ2×1m 1本 \47 マルツパーツ

(2010-11-28 編集)