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★ジオジオからのメッセージ
           



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324 号

長かった夏がふいに姿を消して、急に秋が来たようです。
夏のお疲れは出ていませんか? 
さわやかな秋の風に、体も心もほっと一息ついているように思います。
それにしても、何やら落ち着かない秋になりました。
私たちが乗る小さな日本丸という船は、いったいどこへ舵を向けているのでしょうか?危険なものをいっぱい積んだままで...。
そんな不安をかきたてられますが、私たちは先ず日々の暮らしを大切にしていくことを一番に、
子ども達の成長を見守り、いとおしみ、楽しみ、そこから見えてくるものを、自分の考えで選択していく他ないのでは、と思います。
一番強いのは、命を守り、よりよい生き方をしていきたい、させたいという一人一人の意志だと信じています。
ころころと変わる美しい、りっぱな言葉には惑わされたくないですね。


食欲の秋ですが… 

稲刈りを待つばかりの黄金色の稲穂の田んぼを見ているとほんとに心豊かになります。
新米の季節、我が家はもう30年近く福崎町の広岡農場のお米をいただいています。
一年間をかけての実りに感謝の思いでいっぱいです。「日本人に生まれてよかった〜!」としみじみ。
長年、イネの研究に携わり、米料理の名人でもあるという(さんま寿司が出てきました。和歌山のご出身です。)
佐藤洋一郎さんによる いろんな面から日本の食事情を考える本が出ました。

「食 を 考 え る」   佐藤洋一郎    わでしんいち 挿画   1260円
いまや和食と言えるものが何を指すのかわからなくなってきている時代です。
おいしいものを口にできる幸せもあれば安全面、健康面の不安もあります。
この本を読んでいると、そのあたりの食事情というものをあらためて考えさせられます。
天ぷらうどん1杯を作るのに、湯ぶね1杯の水が必要。
大量の石油を使って何千キロもの距離を運ばれてくるマグロ。
エビ好きの日本人が東南アジアのマングローブの森を破壊している現実。
切り身の魚 しか知らない子ども。4本足の鶏の絵。
これからの食を私たちは子どもにどう伝えていけばいいのでしょうか。


もう 男の子ったら〜

男の子と女の子、成長の過程を見ているとやはり違います。
もちろん一概には言えませんが、女の子は赤ちゃんの頃から、はや世渡り上手というか、演技力があるというか、
笑顔と泣き顔の使い分けを心得ているのではと思わせられることが 多々あり、
それにまたコロリとまいってしまう弱みもこちらにあります。

それに比べて男の子のなんと純で不器用なこと! 感情もストレートです。
わかりやすいのですが 少々持て余します。
ひくひくと泣き顔で寝られたりすると、またまた、こちらの胸もキュン。
まあいずれにしても、そんなこんなの中で敵もさるもの、親の態度を学習しながら成長していきます。
特に母親にとって男の子は手を焼きながらも、気になり心配がつきない存在のようです。
いつのまにか成長して、さっさと手元を離れ、片思いのような寂しさを味わうことになるのですが。(笑)
今のうちいっぱいハグしてあげて下さい。

そんな愛すべき男の子を描いた絵本を紹介します。
「ボクのかしこいパンツくん」は新刊です。後の2冊は、男の子を持つお母さん向けの配本によく使わせていただく絵本です。
ご希望の方はぜひ!ちょっと子育て中の気持ちが楽になるかも。


「ボクのかしこいパンツくん」   乙一 原作  長崎訓子 絵     1365円
算数の時間、ボクは先生の質問に答えられなくてうつむいていた。
するとズボンのなかから聞こえてきた質問の 答え。
それはボクのはいている白いブリーフパンツの声だった。
友だちが少なくて、いつも一人だったボクは パンツくんとおしゃべりするのが日課になった。
夜、おしっこに行く時もパンツくんがいっしょだからこわくな い。
でもある日、パンツくんと別れの時がやってくる。
少年の成長を描くこの絵本 。ちょっと胸が熱くなります。 やがて少年はブリーフ期からトランクス期へと...。
孫にもプレゼントしたいなあ、こんなパンツ...。


「ザガズ―」じんせいってびっくりつづき   クエンティンブレイク 作 谷川俊太郎 訳 1575円
若い夫婦の生活に突然あらわれた赤ちゃん、ザガズー。
かわいかったザガズ―が、時にははげたかに、いぼいのししに、やがてはとらえどころのない生き物に…。
育てる苦労もあれば育つ苦労もあります。
人生ってびっくり続き。
最後のびっくりには、ほんとびっくり。
そして妙に納得です。




「ぼくおかあさんのこと…」 酒井駒子   1575円
男の子を持つお母さんを泣かせる絵本です。
ぼく おかあさんのことキライ と続きます。
寝坊だし、おしゃべりだし...。
そう言いながら、お母さんへの愛がいっぱいなのです。
こういうことを言ってもらえる幸せ。男の子ならでは、です。




 2012.10




ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。注文


今月の新刊より

          


福音館書店

「いちじくにんじん」 大阪YMCA千里子ども図書室 案 ごんもりなつこ 絵 
福音館こどものとも012で出た絵本です。
いちじく、にんじん さんしょにしいたけ、リズムのよいわらべうたに、
精密に描かれた絵が、幼い子どもたちに喜ばれそうです。
さんしょ、むぎなど子どもたちになじみのないものがあること、いいですね
(735円)


大日本図書

「なきんぼあかちゃん」穂高順也 ぶん よしまゆかり え  
お話も絵も魅かれっぱなしの絵本です。
とってもよく泣くあかちゃんがいました。
あまりに元気よく「おぎゃああ――!!」って泣くものだから屋根をつきぬけて遠くまで飛んでいってしまいました。
あわてたおかあさん、あかちゃんを探して追いかけます。
農夫、ばあさん、くま、魔女...。あかち ゃんはいったいどこへ?
迫力のある絵にストーリーの展開のおもしろさが倍増です。
(1365円)


岩崎書店

「こころやさしいワニ」 ルチーア・パンツィエーリ さく アントン・ジョナータ・フェラーリ え さとうのりか やく
みためはこわいワニ。でも心やさしいワニもいるのです。
子どもが大好き。家事も得意で働きもの。ガードマンにだってなれます。
どこかのおうちでペットになって暮らしたいなあと思っていました。
でもワニを飼いたいなんて思う家族はどこにもありません。
そこでワニがとった方法とは?
ワニの希望はかなうのでしょうか?
もちろん、どんなにおっかなくたって、こんなワニなら私は飼いたい!
家事や料理をしてくれる!いいじゃん!
(1575円)


ひさかたチャイルド

「凸凹ぼしものがたり」   あんびるやすこ 作・絵
宇宙の小さな星に凸凸国と凹凹国という二つの国がありました。
どちらの国の人もよく似ているのですが、手の形だけがちがうということで仲がよくありません。
ある日、星の真ん中にある高い高い塔で大変な事件がおこります。
お互いのちがいを認め助け合うことで、事件は思わぬ解決の方向へと向かいます。
それから二つの国は...。
やがて 生まれた赤ちゃんの手の形は...。めでたしです。
(1260円)


偕成社

「地球パラダイス」 工藤直子 詩 石井聖岳 絵  
「のはらうた」の工藤直子さんの地球でくらす仲間たちの詩集が でました。
工藤直子さんの幼なじみたち。
太陽や雲、菜の花、カタツムリ、クローバー、赤とんぼ...。
自然を 謳歌し季節を楽しみます。
人間だってこの仲間に入れて欲しいですね。
詩とともに石井聖岳さんののびやかな絵が心の中いっぱいに広がります。
(1260円)


福音館書店

「ジャックと豆の木」 ジョン・シェリー 再話・絵 おびかゆうこ 訳
絵本の問い合わせの多いイギリスの昔話です。とてもいい絵本がでました。
貧しいジャックは大切なめうしを5つの豆ととりかえてしまいます。
やがてそれは天まで届く豆の木になります。
ジャックはその豆の木をのぼって天に...。
そこには大きな人食い鬼が...。
恐ろしい鬼、豆の木と見下ろす地上、すばしこいジャック、 物語に合ったすばらしい絵に、魅入られます。
(1470円)


あすなろ書房

「月の満ちかけ絵本」 大枝史郎 文 佐藤みき 絵
月の満ちかけの不思議をわかりやすく解説した知識の絵本です。
毎夜、形がちがうお月さま。電気のない時代は、お月さまの光は灯りであり、満ちかけはカレンダーでした。
一週間という単位も7日ごとに変わるお月さまからできています。
今は太陽のカレンダーになってしまったけれど、私たちの暮らしや体は月の満ちかけに影響をうけていることが多いのです。
満月の謎!って?2012から2019年までの月の満ちかけカレンダーもついています。
今夜からお月さまをながめるのが楽しくなりそうです。
(1260円)


講談社

「おかあさんの手」 まはら三桃 作 長谷川義文 絵 
おかあさんとおしゃべりをしながらお月見のおだんごをつくる。嬉しいあたたかい時間です。
おかあさんの手は、いろんな事が出来て魔法を使える手のようです。
いつから魔法がつかえるようになったのでしょうか?
助産師をしているおかあさんが、なぞなぞをだします。
「今日、病院であかちゃんが二人生まれました。その他にも生まれた人 がいます。だれでしょう?」
おかあさんという魔法は、あかちゃんと一緒に生まれてくるのかな。
「おとうさんの手」のシリーズ
(1155円)


偕成社

「夜の小学校」     岡田 淳
岡田 淳さんのファンが多いジオジオブッククラブ。
学校を退職された岡田淳さんの思いが伝わってくるようです。
しばらく桜若葉小学校で夜警の仕事をすることになったぼく。
はじめての夜の見回りで運動場に腰をおろして月をながめる大男を見つける。
夜の小学校で起こる半年間の奇妙な出来事が描かれています。
主人公はいつもスケッチブックをもち、物語を書くという青年。
もちろん岡田淳さんの挿し絵もたくさん使われていて楽しめます。
(1260円)     


ポプラ社

「鈴の神さま」 知野みさき  
日本の風土には、八百万の神さまがいて、私たちのくらしを影ながら見守り続けているのかもしれない。
そんな感覚がなつかしく戻ってきます。
四国ののどかな田舎の町にいる愛らしく、また凛とした品格を漂わせる安那という幼い鈴の神さま。
すべての人に見えるわけではないけれど、安那と時間を共にした人たちの時代をちがえた5つの物語です。
その土地を愛し、時の流れを体に刻み、生きるということはこういうことかもしれない。
たとえ、その地に暮らさなくても。
大人の人におすすめの心優しいファンタジー。
(1575円)



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