★ジオジオからのメッセージ
今年もまた選書会にお声をかけていただいています。
何年前になるでしょうか…「ぼく な、運動会より、選書会のほうが楽しみやねん」と言ってくれた たつの市御津小学校の男の子。
体育館にほぼ150冊くらいでしょうか…。新しい本を並べて、「今年はこんな本をもってきたよ~」と各学年ごとに、何冊かのブックトーク。
活字の本に替わる媒体も、想像を超える速さで発達している昨今です。それを否定する気持ちはありませんが、(ただただ追いつく能力がないだけです)もうしばらくは、一冊の本の中に、いったいどんな世界がひろがっているのか…そんなワクワク感を、手にとって味わってもらえたら嬉しいな…と思っています。
子どもたちと本とのいい出会いが、生まれることを祈って、今年も出かけます。お会いできること楽しみです。
2022年に東京からスタートしたヨシタケシンスケ展に行かれた方も多いことと思います。
■ ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
1985年2月 開店一ヵ月前 マイナス1号 から始まったジオジオのミニコミ from BOOKLAND です。
パソコンが苦手なジオジオのおじさんが、手書きで作っていました。
242号からは、サイズもA4になり、word を使ってのブックランドになりました。
ブッククラブの配本には、いつも同封させていただいています。お読みいただけたら嬉しく思います。
475号
春から初夏、梅雨、すぐ夏、夏、夏と、どんどん季節が変わっていきます。
年齢を重ねれば重ねるほど、時は加速度を増していくようです。
昨年の猛暑の日々を思い、年齢と体力を自覚し、覚悟を決めて夏を受け入れていこうと思っています。
で、何? なのですが、いつものように、ジオジオで「かなわんなあ」と暑さを嘆きながら、ゆるゆるとがんばっていこうかなっと。
5月に1校、1園の選書会が済み、6月に予定している2校の選書会の準備をしながらの日々です。
もう高校生くらいになっているでしょうか…。嬉しい思い出です。
その後にいっせいに本に向かっていく子どもたちの様子は何度、目にしても心が熱くなります。
本は、本の中に潜む世界は、逃げません。求めればいつもそばにいてくれます。
「火明かり ゲド戦記別冊 」アーシュラ・K・ル=グウィン 作 井上 里・清水眞砂子・山田和子・青木由紀子・室住信子 訳 900円+税
漂う意識の中で、はてみ丸に乗ったゲドに、竜の姿が見えた。 うれしやな、いざ、放たれて ! 恐れることは何もない。
「影と戦い」から50年を経て、作者 ル=グウィンの没後に公表された「火明かり」は ゲドの最後を描いた作品です。
未発表の短編「オドレンの娘」「夜の言葉」に収録されているエッセイ「アメリカ人はなぜ竜がこわいか」「夢は自らを語る」
「子どもと影と」 そして清水眞砂子さんの解説もふくめた講演録 「『ゲド戦記』を"生きなおす"」
巻末の解説は、中島京子さん「ル=グウィンの幸福な『発見』を読む幸福な読者として」
「ゲド戦記」の日本のオリジナル編集の別冊になります。
■「ゲド戦記」既刊6冊+「火明かり」全7冊美装ケースセット 6120円+税
ジオジオを始めて、私が幸せだったと思うことの中に、「ゲド戦記」の世界に出会えたことと、訳者である清水眞砂子さんとの出会いがあります。
児童文学の知識もなく、漠然ととらえていたファンタジーのイメージが見事に崩壊し、ゲド戦記の物語の中にあったものは、
生と死をかかえ生きる意識下にある自分自身であり、現実の社会であり、現在を、過去を、未来に思いを馳せる世界が広がっていました。
読み返すたびに、いまだ、到達できない深さも感じています。
9.11アメリカの多発テロ事件の後の ル=グインさんの「これからの世界に必要なのは文学だ」という言葉が心に残り続けています。
「歳月」 茨木のり子 900円+税 2007年花神社より初版 この度 小池昌代氏の解説を加えて 岩波現代文庫より刊行 2000円+税
この詩集について、巻末にある甥の宮崎治氏の文章によると、茨木のり子さんの死後、Yの文字が書かれた箱が見つかり、その中には推敲され清書された未発表の40偏もの詩が入っていたとのことです。
26年間、寄り添いながら共に暮らし、茨木のり子さんが49歳の時に亡くなられた夫安信氏を恋慕う純粋で無垢、そして官能的ですらある愛の詩集です。
あの茨木のり子さん故にでしょうか・・・濃厚な愛の詩も、凛として清々しく、心ゆさぶられます。
そして、その旅立ちは、なんと幸せに満ちていたことかと・・・。
「だったら これなら どうですか?」 ヨシタケシンスケ 著 1300円+税
2025年春、再び東京で「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」が開催。
1章は、その見どころや遊びどころが、会場の写真とともに紹介されています。楽しい参加型の企画もたくさんあります。ヨシタケシンスケさんが描きためられたスケッチの展示も7500枚と増量。
2章は、ヨシタケシンスケさんの絵本の世界を国ごとに分類。「ユーモアの国」「かもしれない国」「そのままでいい国」「あるあるの国」などなど…。ヨシタケシンスケ絵本の地図です。
3章は、ヨシタケシンスケさんへのロングインタビュー。生きるのがしんどいあなたのためのWeb空間「かくれてしまえばいいのです」についても語ります。
「自分を好きにならなくても大丈夫」など、嬉しく納得する言葉もあったりします。
マイナス思考もあながち捨てたもんじゃない、そんなとらえ方、なんだか楽~になりますね。
配本に追加する、あるいは配本に入れる、
という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。 ★注文★
新刊より
絵本館「なぎちゃんが なんで にんじん のこしたか」 ネコリ・ハコリ
「なぎちゃん、また にんじん のこしてるやん」
「ようちえんで いろいろあってな、それでのこしてしもてん。おかあちゃんも このはなしきいたら
そら しゃあないなあっていうとおもうよ」
で、そのはなしというのは・・・。
聞き上手のおかあちゃんです。
奇想天外、空想力たくましい見事ななぎちゃんのいいわけです。
軍配はどちらに・・・。 大阪弁が楽しい。
1400円+税
ブロンズ新社「ほんやくすると」 斉藤 倫 /うきまる 文 くのまり 絵
ことばやしぐさの向こう側にある気持ち。
うまれたてのきみにおしえよう。
ぼくがしっぽをふるのは、ほんやくすると「とってもうしれい!」ってこと。
「わーん わーん」となくきみ。ほんやくすると「おかあさーん!」
男の子と犬はともに時間を過ごし、たくさんの気持ちを共有していく。
ほんやくすると…雨も、木も、波も、鳥たちも、自然は美しく、そして きみが好きだ…。
1600円+税
工学図書
「おかあさん、いいこと おしえてあげる」シャーロット・ゾロトウ 文 ジュリー・モースタッド 絵 クレセント・ドラゴンワゴン あとがき福本友美子 訳
60年読み継がれてきたゾロトウの名作が、解釈を変えて母と娘の物語として生まれ変わりました。
わたしがおとなになったらね、おかあさんにしてあげたいこと。
山のてっぺんから石をもってきてあげる。
海の底から貝をひろってきてあげる。
野生の馬をつかまえて、のせてあげる…。
さびしくないように ともだちもおいていく。
「わたし、ひろいせかいをみにいくからね。」
母と娘の愛。そしてみごとな自立を描いた一冊。絵もすてきです。
1800円+税
ほるぷ出版「ぼくのすみっこ」 ジョオ 作 かみや にじ 訳
いいなあ~この絵本。思わず声に出してしまいました。韓国の作家のかたです。
何もない部屋のすみっこにカラスの子がやってきました。
すみっこ、落ち着くのです。わかるなあ~。
しばらく壁にもたれていたカラスの子は、やがてベッドをはこび、本棚をもってきて、観葉植物も…。
すみっこはだんだん"ぼくのすみっこ"になっていきます。そして…。
ストーリーが向かう展開の明るさを、絵が見事にささえます。
大人の方にも・・・と思います。
1800円+税
偕成社「ペンギンのトビオ」 斉藤 倫 うきまる 作 嶽まいこ 絵
ペンギンのトビオは、うまれて、はじめてひこうきにのって、たびにでかけることになりました。
こわいきもちはありますが、じぶんできめたことです。
トランクにこおりとさかなをつめて、りゅうひょうバスでなんきょく空港に向かいます。
手紙のやりとりをしている北極にすむシロクマに会うことになったのです。
空港につきました。いよいよ旅がはじまります。
たくさんの動物、もちろん人も…。トビオ、大丈夫かな?
うまくシロクマのポーラに 会えるかな…。
1200円+税
ほるぷ出版「どろぼう ジャンボリ」 阿部 結
町のみんながねむる夜に、どろぼうジャンボリは顔を見られないようにごみばこをかぶり、仕事にでかけます。
何をぬすむかといえば、みんなの家のごみ箱にすてられている かきまちがえたり、したがきなど、だすのをやめてしまった手紙「てがみのたね」
そこには、「はだかんぼうのきもち」がつづられている。
ジャンボリは、それを読むのが大好きだった。
そして、それはジャンボリの宝物だった。
でもある日、町から手紙がきえてしまった。
新しい町長が「おてがみきんしれい」をだしたのだ。
ジャンボリ、そして町の人たちの気持ちは…。
1400円+税
みらいパブリッシング「別荘 守人の塔」 大桐佳奈 さく・え 設計案 大桐佳奈 北嶋佑紀
大好きな飼い主が亡くなり、その飼い主の体に乗り移ってしまったという、もとは人間ではなかったというイヌべさん。
自然いっぱいの森の中に家を建てて暮らすことを決めます。
夏になるとこの別荘地にやってくる僕は、イヌべさんと知り合いになり、その家づくりの話を聞くことに…。
馬と顔を合わせられる寝室。
捕獲した鹿をさばける屋外キッチン。
薪のストーブを利用したお風呂。
3階のロフトに作った冬の寝室。
イヌべさんちの塔のような家の中をぼくは案内してもらいます。
たくさんのアイデアがつまった家の断面図がとても楽しい。
そして暮らしの知恵の数々。どうやら場所のモデルは八ヶ岳のふもとの蓼科高原のようです。
野生の動植物との共生や建築。楽しめる一冊です。
1500円+税
PHP研究所
「消えゆく街の秘密の友だち」 鯨井あめ
小晴(こはれ)は、成績もよく、いい子であることを常に意識して、ほんとうの自分の気持ちがどこにあるのか、わからない。
部屋の片付けの途中で見つけた幼稚園の頃に描いた地図。
それに誘われて自分が作ったふしぎの街に入り、ラッタッタというその街の管理人に出会う。
ラッタッタは言う。小晴ちゃんはみんなの心の声は聞こうとするのに、自分の心の声は聞こうとしないんだね。
ラッタッタは小晴の成長によりそっていくが、やがて別れの時がくる。
成長には何かしらの痛みが伴う。
イマジナリーの世界。消えないでという小晴の強い意志は、ふしぎの街とラッタッタを再び生きかえらせることに…
1300円+税
小学館
「消えたモナ・リザ」 ニコラス・デイ 千葉茂樹 訳
1911年8月21日、ルーブル美術館からぬすまれたレオナルド・ダ・ヴィンチの名画「モナ・リザ」。
それまで、注目されることのなかった絵が、この事件をきっかけに世界で一番有名な美術作品となった。
その事件の真相と捜査の状況を追ったドキュメントストーリー。
同時に、500年前の時代とレオナルド・ダ・ヴィンチの人物像。
「モナリザ」が描かれた背景も語られていきます
。いったい犯人は誰なのか…。捜査の方法やその過程も興味深く、楽しめます。
「モナ・リザ」は第一次世界大戦の開戦直前に無傷の状態で美術館に戻ります。
事件の真相を追ったミステリータッチのノンフィクションです。
1700円+税
新潮社
「あの子とO」 万城目 学 「あの子とQ」 (800円+税) の続編です。
直木賞作家 万城目学さんのヴァンパイア物語 3偏。
吸血鬼としての存在を知られてはいけない嵐野弓子。
「あの子と休日」
思いがけず、ショッピングモールの"高校生クイズ&ゲーム大会"に、同じ高校の二人とチームを組んで参加することになるが…。
「カウンセリング・ウィズ・ヴァンパイア」
江戸時代の出島で日本人吸血鬼第一号となったという男の話。
「あの子とO」
山奥でピッツェリアを営む吸血鬼一家。人手不足で手伝いにきたイタリア人のオーエンと漫画家をめざす双子の小学生が正体をかくして
キャンプに…。
「あの子とQ」ともにおもしろい! 万城目ワールドです。
1650円+税
ポプラ社
「遊園地ぐるぐるめ」 青山美智子 田中達也
日常から離れた異世界でもある遊園地の一日の8つの物語。どの物語も幸せがあります。
見立て作家の田中達也さんの装丁とストーリーにつけられた挿し絵が、とても楽しく途中何度も隅々まで見てしまいます。
山中青田遊園地は、どういうわけか、地元の人には"ぐるぐるめ"と呼ばれている。
はじめてデートをする若いカップル。職場での悩みをかかえた友だち同志。孫のために下見に訪れた老夫婦…。
ポップコーンを作るカートを押しながら、時を告げる太鼓を鳴らして歩くピエロ。
どこかで接点を持ちながら、物語は閉園時間に向います。
イメージとリアルの境界を味わうのが遊園地"ぐるぐるめ"の空間だと・・・。
1700円+税