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★ジオジオからのメッセージ
           



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310 号

なでしこジャパン、すごかったですね。
私は、アラームを朝4時前にセットして、決勝戦を見させてもらいました。
初優勝という快挙に、思わず歓声を上げ、いっぱい元気をもらった気持ちです。
日本、アメリカという国を背負った感じがせず、ほんとにサッカーというゲームの楽しさを堪能させてもらったという喜びでした。
彼女達の、なんとさわやかなこと。こういう若い人たち、女性がいてくれることたのもしく、また嬉しく思います。

加古川北高校野球部も兵庫県大会決勝、再試合までよくがんばりました。お疲れさまでした。
東洋大姫路高校の 甲子園での健闘を祈っています。


「僕は、そして僕たちはどう生きるか」  梨木香歩さんの新刊です。

震災、原発事故、その後の混乱。また平和と思えた国でのテロ事件、人命軽視の鉄道事故、なんだか心晴れない ニュースの多い日々です。
そんな中での梨木香歩さんの新刊です。
「本のタイトルがすごいなあ」など思いながら読み始めましたが、
これは まさに、いつのまにか集団、群れのなかで“鈍感”になって生きてきた大人にも突きつけられた課題ではないか、
私は、そして私たちは「どう生きてきたのか」「どう生きるか」というテーマに引き込まれてしまった一冊でした。

「僕は、そして僕たちはどう生きるか」  梨木香歩  1680円

14歳の僕はみんなからコペルと呼ばれている。
(吉野源三郎 著「君たちはどう生きるか」のコペルくんを踏まえたものだと思います。)
連休初日の朝、土に住む小さな生物が好きな僕が、ルーペを片手に雑木林をうろついていた時、
染色家の叔父ノボちゃんに会う。
染色に使う排気ガスや除草剤のかかっていない清浄ヨモギのありかを聞かれたことから、
6年生から不登校を続けて会っていない親友だったユージンの住む広い敷地の古い農家を思い浮かべる。
そして彼の家を訪ねる事になり、そこから思いもかけない一日が展開する。
ぎこちなかったユージンと僕は一緒に過ごした屋根裏部屋の古い書物や、開発に反対していた亡くなったおばあちゃんの思い出、そして従妹のショウコとの再会などから、 お互い少しずつ心が開かれるようになるが、
そこで僕は、ユージンから不登校の原因となった学校での出来事を聞かされる。

知らなかった...。
いや、ユージンの気持ちをわかりながら集団の圧力に負けた自分を思い出し、僕は愕然とする。

人が生きる上で、家族、友人、学校、社会、時代、国家などいわゆる群れのなかで生きてくことは必然です。
しかし群れの多勢のなかで殺されていく思想もあります。
多勢によりかかることから無意識のうちに、それに加担してしまうことも...。
普通とか常識、数々の正論、公共の利益など、抗いにくい大きな流れの中で、
何かふに落ちないものを感じても、そういう自分の気持ちを大切にすることは難しい。
気がつくと大きな流れは、思いもかけない方向に人を連れて行ってしまう。
この物語の中にも戦争、環境の破壊の問題、そして大人の性に傷つけられる若者が登場します。
群れから一度、離れてみる事が必要な人もいる。
けれど、やはり人との関りがなければ人は生きてはいけない。

「そう、人が生きるために、群れは必要だ。強制のない、許し合える、ゆるやかで温かい絆の群れが。
人が一人になることも了解してくれる、けどいつでも迎えてくれる、 そんな「いい加減」の群れ。」

今、私たちが生きていくために必要なもの、それは集団の強いリーダーシップよりも、
しなやかで繊細な一人一人の 思想なのかもしれないと思います。
この本の中にも書かれているように「考え続けなくてはいけない」
自分を大切に するためにも、他の人を受けとめるためにも。
若い人たち、大人の人にも、ぜひお勧めしたい本だと思っています。


節電の今、というわけでもないのですが...。

「昔のくらし道具事典」  上橋監修 江戸東京博物館  5250円

学校の選書会にも、よく持っていく本です。
私にとってはなつかしさも大きいのですが、
日々の暮らしの中に歴史を学ぶことは、今を考える上でとても役にも立ち、必要なことだと思います。
古い時代から人は暮らしに便利な道具を考えてきました。 その多くは木や竹や鉄、土などからできています。
プラスティックやステンレスが出来、今では道具からスィッチで動く機械となったものもたくさんあります。
死語になってしまった道具の名前も多い。羽釜、十能、蠅帳、五徳、五右衛門風呂、行李などなど。
かろうじて私世代の記憶にとどまっています。
この事典では、写真、イラストで、道具の説明、使い方、年代、そして現在はどのようなものになっているかなどが
わかりやすく説明されています。
でも蚊帳やうちわ、すだれ、湯たんぽなど最近、見直されてきたものもありますね。
昔の人々の心も感じられる楽しい事典です。


bookspace ジオジオ  夏休みをいただきます。8月13日〜8月19日  みなさまもいい休暇をお過ごし下さい。



 2011.8




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今月の新刊より                                                                               。         


絵本館


「すいかのたび」
高畠 純
どこまでも広く、青い海。すいかがゆらゆらと旅をしています。
らっこがやってきて、まくらにしておひるね。
たこもすいかのうえでひとやすみ。
あざらしもすいかにもたれて...。
すいかは、またゆらゆら。
の〜んびりして、おおらか〜な絵本です。 
(1260円)


大日本図書


「かみちゃん」
たにうち つねお さく
一枚の紙をまるめていろんな顔が...、
ちょきちょき切ると、あれ っ!犬が...。
おって、きって、ひっぱってにぎって、のばして…。
紙が表情を持ち、生きてきます。思いもかけない楽しい世界がひろがります。
こういうのは子どもたちにかなわないなあ...。   
(1365円)                          


偕成社


「ほげちゃん」
やぎたみこ
まさるおじさんからゆうちゃんに届いたぬいぐるみ。へんなかお。
でもほげちゃんと名前をつけられ、すっかり家族に一員になりました。
家族がでかけ、ほげちゃんはねこのムウとお留守番。
そしてとうとうほげちゃんの不満が爆発します。
家の中で大暴れ。 ケチャップまみれのほげちゃんを見て、叱られたのはねこのムウ。
ほげちゃんの悪キャラが、またこのかわいくない表情がなんとも魅力いっぱい。
型紙ついてます。作れそう!
(1050円)


ひさかたチャイルド


「おばけのぼちぼち」
こばやしあつこ 作・絵
いますねェ〜。こんなおばけ。
うちにもいます。おばあちゃんの家にも。
まあ、ぼちぼちつきあうしかしかたないですね。
ほんとにいたずら好きです。
おふろの水をだしっぱなしにしたり、いろんなものをかくしたり、
おばあちゃんが買い物に行った間に冷蔵庫に同じものをたくさん入れたり、
電気をつけっぱなしたり、水道を止めるのを忘れたり、
みんなおばけのぼちぼちのしわざだったんです ね。納得しました〜。(笑)
(1260円)


小学館


「つぎのかたどうぞ」
飯野和好 作
なんとういうか、波のように笑いが押し寄せてきます。
飯野和好さんの登場人物の表情がたまりません。
はたけやこううんさいいちざ ざいんぼしゅう のお話です。オーディションですね。
審査員は のりつきにぎりめし、なすみひとつ、いなわらはくまいの三人です。
次々と披露される個性的な芸!いやあ、おかしくて涙目です。座長により全員採用。
次の舞台は「ねずみこぞう ながやのうたまつり」人情ものです。
無事に終わってチョーン、チョーン、チョーン。
ああ、おもしろかったぁ〜。
(1575円)
               


童心社


「そうべえ ふしぎなりゅうぐうじょう 」
田島征彦 作 
久々のそうべえです。シリーズ5冊目です。
「じごくのそうべえ」から33年ぶりに桂米朝さんの落語「兵庫船」「小倉船」が元になったお話。
そうべえはもちろん、しかい、ふっかい、ちくあんも登場して4人で大暴れです。
ふかに食べられそうになったり、 行き着いた竜宮城では、さんごじゅばたけに閉じ込められた乙姫さまや浦島太郎を4人の得意技で助けます。
かけあいも、おもしろい!
そして田島さんの型絵染の絵がすばらしいです。
そうべえファンにぜひ!
(1575円)


偕成社


「わすれたくない海のこと」
中村卓哉
水中カメラマンの中村卓哉さんは沖縄の海に見せられて東京より移住しました。
この本は沖縄、辺野古の大浦湾、
大浦湾にそそぐ大浦川の流れ、そこに棲むたくさんの生きもの、
河口にちかいマングローブの林、潮の流れ、
自然がそのままの姿で息づいている様子が撮影されています。
人間の目にふれてこなかった神秘の世界に魅せられます。
アメリカ軍の基地の事には深くはふれられていませんが、この自然を守りたいと強く思います。
(1575円)



河出書房新社


「8月6日のこと」
中川ひろたか 文 長谷川義史 絵
66年前に日本の広島でほんとうにあった出来事です。
作者中川ひろたかさんのお母さんは16歳。瀬戸内海の島に住んでいました。
お兄さんは広島で兵隊をしていました。
8月6日の朝、空がピカ ッと光りました。それはアメリカが落とした原子爆弾でした。
一瞬のうちにたくさんの命が亡くなりました。
お母さんは食べ物を持って広島に行きました。お兄さんに会うために。
そこでお母さん はどんな光景をみたのでしょうか。 
(1365円)
      


偕成社


「スカーレット」
キャシー・キャシディ 作 もりうちすみこ 訳
“わるいのはいつもわたし?”と副題がついています。
問題を起こし続けたスカーレットは、ついにママにパパの新しい家族と暮らすよう決められ、
いやいやロンドンから自然いっぱいのアイルランドにやってきます。
赤く染めた髪、舌にあけたピアス、怒りでいっぱいのスカーレットは、
そこでも学校に 通えなくなります。
が、いつしか求めているものに 気がつき、自分を成長させていきます。    
(1470円)


偕成社


「遠く不思議な夏」
斎藤 洋 作 森田みちよ 絵
斎藤洋さんの少年時代の話。
母の郷里で過ごした夏休み。まだ蒸気機関車が走っていた頃。
田舎の暮らしの中で体験した記憶に残り続けている不思議な出来事。
神社のそばに暮らすきっつぁんの存在。
狐に化かされたり、神隠しにあったり...。12の出来事が綴られています。
村の人々が、それをありえる話として普通に受け止めて いることが、その時代への郷愁を感じさせます。
(1260円)                                                
                 



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