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★ジオジオからのメッセージ
           



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307 号

新学期が始まって1ヶ月が経ちました。

新しい環境で、気疲れしている子どもたちもいることと思います。いや大人も...ですね。
ゴールデンウィークで、ちょっと一息、のんびりと過せていますように。
ん?お父さん、お母さんを遊んであげる のにかえって疲れた?お疲れ様でした。(笑)
お父さん、お母さんも一生懸命なんだよ。わかってあげてね。

東北大震災で被災した子ども達もなんとか新学期の形が整って、この季節を迎えられていること祈っています。


保育園や幼稚園である程度の集団生活は経験してきたにしても、小学校に入ると親も子どもたちも、何かと事情がちがい、
期待と共に不安で緊張した1ヵ月だったことと思います。

“一年生プロブレム“という言葉があるらしく 自由で慣れ親しんだ園での毎日から、
机の前に座って、先生の話をちゃんと聞くという事にとまどう子どもたちがいても不思議ではありません。
子どもの特権でもある、ぼーっとする、すぐ興味が移る、きちんとできない(私も!)、夢中になると何も聞こえない、などが
大人の評価として集団生活のできない問題のある子になってしまいがちです。

あまりにはやく他人とうまくやっていく必要などないのではないか...
と思うのは先生たちのご苦労が理解できない無責任な考えでしょうか?
子どもたちは、放っておいても 子どもなりに 自分で学び、生きていく方法を会得していくものではないかと思うのです。
親や先生はじめ大人たちは、口や手をださないで、待ってやってほしい。
長い目で見守ってやってほしい。新一年生の孫を持つ私の願いでもあります。

「だめよ、デイビッド」「デイビッド、がっこうへいく」  (デイビッド・シャノン 作・絵 小川仁央 訳 各1365円)
    

笑えますねえ!2冊とも。肩の力が抜ける絵本です。
こんな子、います!います!まあ次々といろんな事をしでかしてくれる...。
でも憎めない愛すべきデイビッドなのです。最後のページはしっかりと お母さんに抱きしめられ、
先生に「良く出来ました」とほめてもらえます。
確かに周りに迷惑をかける困った子どもなのでしょうけど、
苦痛を感じさせ る罰よりは、愛されている、見てくれているという安心感が、
子どもたちを いい方向に導いていくのではと、思います。
デイビッドも、ちゃんと絵本作家になっているわけですし...。(笑)



詩人の岸田衿子さんが亡くなられました。

ジオジオ”という店名は岸田衿子さんの「ジオジオのかんむり」という絵本から
頂いたものです。
お会いすることがないままになってしまいましたが、
私たちにとっては、いつも心にある大切な方でした。
寂しい気持ちが続いています。

茨木のり子さんや谷川俊太朗さんと同じ詩の同人誌“櫂”のメンバーであり、谷川俊太郎さんとは幼なじみで夫婦であった時期もありました。

書かれた詩からは、軽やかで自由で、何か素足で思うがままに
野原を歩いているような解放感を感じます。
右は私の大好きな詩です。
岸田さんの世界では、時間の流れに身を まかせ、あらがうことなく、
それを楽しむ強さも感じます。
詩集の他、「ジオジオのかんむり」「かばくん」「きいちごだより」 などの絵本。そしてテレビアニメの「あらいぐまラスカル」や 「アルプスの少女ハイジ」の
テーマソングの作詞もされています。
年賀状でのお付き合いでしたが、一度、お電話がかかり、
たしか 群馬県で開かれた原画展に誘っていただいたことがありました。
果たせなかったこと残念です。
ジオジオという名前を大切にして いきたいと思います。心から感謝をこめて。




“被災地の子ども達に絵本を送ろう”という活動に少しでもお手伝いできたらと
ジオジオのホームページで呼びかけたところ、絵本や児童書が集まりました。ありがとうございました。
岩手県の盛岡市の公民館で活動している「3.11 絵本プロジェクトいわて」宛てに送るつもりです。
プロジェクトでは募金が集まれば、軽自動車型の絵本カーを購入してきめ細かに子ども達に絵本を届けたいということです。
ジオジオのブックスペースでご協力いただいた支援金もそこに送りたいと思っています。
微力ですが、少しお役にたてたら嬉しく思っています。引き続きよろしくお願いします。

「3.11 絵本プロジェクトいわて」のHPによると絵本の受け入れは5月20日までとのことです。
ジオジオの方でも17日の発送を最後に受け入れを中止します。ほんとにありがとうございました。



 2011.5




ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。
注文


今月の新刊より                                       


講談社


「りんごがコロコロコロリンコ」
三浦太郎 作
楽しい絵本です。声に出して読めば子ども達、喜ぶだろうなあ〜。
ぞうさんがとろうとしたりんご、手が、いや“はな”がすべって コロコロ コロリンコ。
そのりんごが後ろにいたきりんさん、かばさん…の背中を、コロコロと どこへいくの?
動物たちの背中の形状によってチクリンコになったりゴトリンコになったり...。
(1365円)
    


小学館


「おめでとう おひさま」
中川ひろたか・作
片山 健 絵
暗闇からおひさまが登場するって、ほんとに嬉しくて「おめでとう」っていいたくなるね。
おひさまのほうも「おめでとう、みんな」と声をかける。
「あたらしい年、みんなどうしたい?」みんなの答えは...。 そしておひさまの答えは…。
片山健さんの絵がいい!     
(1365円)    


福音館


「ちいさな ちいさな おんなのこ」
フィリス・クラシロフスキー 文
 二ノン 絵
 福本友美子 訳
かわいい絵本です。
小さな小さな小さな女の子がいました。
ばらの木よりも小さくて、台所の椅子よりも小さくて、
お母さんのお針箱よりも小さいのです。
でもある日、金魚鉢に手が届き、猫をだっこでき、犬よりも大きく...。
女の子は少しずつ大きくなり始めました。
そしてとうとうお姉さんに。生まれた弟の小さなこと!
(1155円)


アリス館


「串かつや よしこさん」
長谷川義文
長谷川義文ワールド全開!の絵本です。
串かつ名人のよしこさん。
一口たべれば、みんな「うまい!」とにこにこ 幸せに。
どろぼうだって“あわび”の串かつで 「もうしません。」とおわびを...。
例によって 例のごとくです。
絵のすみずみまでおもしろい。
長谷川さんの絵が幸せな気持ちになるんですよね。   
(1365円)


福音館書店


「ぼくとサンショウウオのへや」
アン・メイザー 作
スティーブ・ジョンソン/ルーファンチャー 絵
にしかわかんと 訳
森でみつけたサンショウウオに「いっしょにくらそうよ」と家に つれて帰りますが、
サンショウウオの寝るところ、食べるもの、遊ぶところ…と部屋の環境を変えていかなくてはなりません。
想像の世界ではありますが、 生き物と一緒にいたい子どもたちの夢ですね。
いつのまにか少年の部屋は屋根がなく、お月さまの明かりが入り、 木々がしげり、サンショウウオがそばに...。

(1260円)
 


ブロンズ新社


「しまめぐり」
桂 文我 文 
スズキコージ 絵
落語の中でもかけられることが少なく珍品あつかいされるという 「しまめぐり」が
子ども寄席の桂文我さんとスズ キコージさんの絵で奇想天外な今までにない落語 絵本になりました。
おじいさんがあの世に行く前に 話してくれた遠い南の島の話。
大きい人、小さい人、 首がまわる人…。
おいらも行ってみようと船に…。

(1575円)


福音館書店


「じめんのしたの小さなむし」
たしろちさと 作
昆虫の幼虫ってじっとしているように見えてずいぶん動いているんですね、と驚きの読み物科学絵本。
地面の断面が描かれていてとてもわかりやすい。
幼虫はおいしい土を求めてすすんで行きます。ふんもします。
もぐらから身を守り、ありとたたかい、とうとうおいしい腐葉土の場所に着きます。
やがてその日(!)がやってきます。
ハナムグリの生態が生き生きと描かれます。
(1260円)



ブロンズ新社


「あつまれ!全日本ごとうちグルメさん」
おおのこうへい 絵
ふくべあきひろ 文
北は北海道から、南は沖縄まで
「われこそが いちばんウマイ!」と年に一度の全国グルメ大会にやってきた“ごとうちグルメさん”達。
おいしいものが大好きな神様まんぷくさま が楽しい絵とコメントで紹介していきます。
テレビ番組などでずいぶんポピュラーになった 食べものもあります。
日本地図や県のかたち 方言なども同時に楽しめます。    
(1575円)
            


あすなろ書房


「駅舎にて」」
ブーダディヴァ・ボース
飛田野裕子 訳
インドがまだ英国領だった頃、
北部の小さな駅の待合室で脱線事故のために一夜を明かさなくてはならなくなった4人の男たち。
それぞれに全く異なる環境で生きている、たまたま行き合わせただけの男たちだったが、
待合室をのぞいた若いカップルの事を話すうちに、それぞれの若い頃の恋の思い出を語ることになります。
身分制度が厳しい時代、片思いや憧れ、悲恋など、大切に胸に 秘めてきた4人の純愛が語られます。
朝が来て4人が 別れていく時の描写もとてもいいです。
児童書では ありませんが、心洗われた気持ちになる一冊です。
(1365円)


岩波書店


「グロウブ号の冒険」
井上ひさし
あ〜!未完なのです。
設定の面白さ、物語運びの面白さに思わず 引き込まれていきましたが、残念です。
でも充分に井上ひさしさんの世界が味わえます。
東大卒という元力士の山田山は親方の命を受け、はるかカリブ海まで新弟子のスカウトに出かけます。
カリブの島々では“ジュウ諸島の唄”というユートピアを唄った歌があちらこちらで聞こえてくる。
行方不明だった海賊船“グロウブ号”の突然の出現。
山田山の乗った船が大波にのまれ、浜辺に打ち上げられ、助けられた島とは…。
笑いの中に、リゾート開発、民営化の波、バブルなど、当時の社会世相が描 かれています。
“グロウブ(地球)号の謎とは...。 歌の意味は..。
構想の基になった「ユートピア諸島 航海記」(未完)も収録されています。   
(1995円)                                   
                 



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