TOPへ


★ジオジオからのメッセージ
           



最新のBOOKLANDに戻る





291 号

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

楽しいお正月を過ごされたことと思います。
“一年の計は元旦にあり”守れない自信がありますのでたいそうな計はさておいて、
今年はどんな年になるので しょうか?楽しみです。
ジオジオとしては、今年もみなさまと仲良くおつきあいできますよう願っています。

我が家も昨年、新しい仲間が増えました。小さな、でも限りない可能性と未来をかかえた命です。
4人の孫を授かり、私たちもがんばって長生きして、それぞれの成長を見てみたいと心新たに...です。

永遠に続く時の流れの中に先人は時の刻みの法則を発見し、新しい年を迎えるという嬉しい知恵を私たちに 授けてくれたように思います。
一年、嬉しいこと、楽しいことばかりではなく、悲しいこと、後悔すること、 いろいろとあります。私も自己嫌悪に陥りつつの日々です。
後戻りはできませんが、また新しい年、今年は いい年になるかも...いい年にしたいな...と日々、笑って前向きに生きていけたらいいなと思っています。
ほんま楽天的!とつっこまれそうですが(笑)。これが私の一年の計です。


「きぼう」という絵本があります。

「パパがやいたアップルパイ」などの絵本作家 ローレン・トンプソンさんの作品です。
ご自身もニューヨークにいて同時多発テロを経験され、
この絵本の中の写真もアラバマ州でのハリケーン、スリランカの津波でつらい経験をした子どもたち、
また東ティモールの不安定な政情のなか、平和を願う子どもたちの姿が使われています。

「きぼう こころひらくとき Hope is an open heart」ローレン・トンプソン 千葉茂樹 訳  1470円


人は成長するためには希望が必要です。
それははるかかなたのまぼろしではなく、すぐそこのささやかな日常の 中にあります。
おかあさんとつなぐ手、おやすみのキス、たのもしい腕の中。そして怒りや悲しみ、おびえの中 にも、
私たちは希望を見出す鋭い感覚を持って生まれてきているのです。
4歳の息子に、時には悲惨な事もあるけれど、この世は生きていくには価値のあるすてきなところだと知って 欲しかったと書かれています。
そしてまた希望には強い伝染力があるとも。
平和や希望、幸せという言葉が軽く扱われ、実感がともなわない気がする今、
子ども達の心に根付いて欲しい “希望”という強い意志。大人の心からの願いです。


上野 瞭さんのこと  

もう8年前になります。児童文学作家の上野瞭さんが1月27日に胆管癌で亡くなられました。
私たちにとってはジオジオを始めるきっかけにもなった大切な作家の方です。
上野瞭さんの本を読み、そしてこういう作家が児童文学という世界にいるのなら、
この作家の描いた物語が読めるならと飛び込んだ世界です。
亡くなられた時には、予想していたとはいえ、言葉も無く、何より、これから上野さんの書かれたものを読めないと いうのは、
何か指針を失ったような寂しいものがありました。
当時のブックランドには江草のこんな文章があります。

大人が不動の価値観を持つ絶対者として子どもを教え導こうとする「児童文学」に対して、上野瞭さんは厳しい批判をしてきました。
つまり、「子どもに向けて」あるいは「子どもを意識して」書くのではなく、自分に問いかけているのです。
子どもたちも成長すれば、自分自身に問いかける日が来るはずです。
その時に「生き延びる」力となるような作品を、上野さんは「児童文学」と考えていたのではないでしょうか。

『(文学としての児童文学を描く事は)何よりもまず<どきどき わくわく>する独自の世界を創り出すことにある。
「ありえない世界」の「ありえない出来事」を「ありうるかもしれない世界」の「ありうるだろう出来事」として描き出す仕事である。

という上野さんの言葉通り、作品はどれもおもしろく魅力的です。
が、絶版、品切れが多く本当に残念です。
次の2冊は大丈夫のようです。大長編ですが、ぜひ上野瞭さんの描く物語にふれてみてください。読み応えあり!です。


「ひげよ、さらば」  4830円

記憶喪失のネコ、ヨゴロウザはナナツカマツカの丘で、そこに暮らすネコ、片目に助けられる。
タレミミ率いる野良犬たち、キバを中心とした野ネズミたちのなわばりの中、
食糧不足の冬が来れば野良犬たちは野良猫たちの縄張りに進入するに違いない。
集団で戦う犬たちに対し、単独行動をする猫たちは勝ち目がない。
個と集団の中でヨゴロウザたちの戦いは...。



「日本宝島」 2039円

医師弘庵のもとで医術を学ぶ羽島平助は、
突然現れた少女おときに手渡された「覚え書」を見て、
失踪した父がある島で生きていることを確信する。
弘庵は藩の経済を支える お白粉「都わすれ」の恐ろしい毒性を公表し ようとして城下を追われる。
現代にも通じる社会の闇が描かれます。



 2010.1




ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。
注文


今月の新刊より



ポプラ社

「おめでとう たいせつなあなたへ」
いとうえみこ 文
伊藤泰寛 写真
あなたが かあさんのおなかにやってきた時から1さいのお誕生日まで。
あなたのそばにいる喜び。
いとおしく幸せな日々。
こういう時間を親も子も忘れないで大切にとっておきたいと思います。
母になる人へ。子ども達へ。
かつてのこういう幸せを大切にしている人へも。
(1365円)


鈴木出版

「さかさことばのえほん」
小野恭靖 作
高部清市 絵
日本語のおもしろさ発見!
上から読んでも下から読んでも、同じ 発音で、同じ意味。
回文の絵本です。
そして本をさかさにしてみても、絵もそのまま楽しめます。
絵も回文、いや回絵?!(笑)
高部晴市さんのレトロな絵がほんとうに楽しい。
(1260円)
 


福音館書店


「ちびフクロウのぼうけん」
ノーラ・スロイェギン 文 
ピルッコ・リーサ・スロイェギン 絵 
みむらみちこ 訳
朝、ふくろうにとってはもう寝る時間です。
でもチビフクロウは母さんに内緒でこっそりと木の幹を降りていきます。
ウサギやクマ、リスと出会い、昼間の世界の冒険の時間を過ごします。
が、いつのまにか帰り道がわかりません。
そこに母さんふくろうが...
(1365円)


ポプラ社

「なんの ぎょうれつ?」
オームラトモコ
期待にページをめくるのが楽しい!
行列の最後は50番目のカエル。
「なんのぎょうれつ?」49番、48番とだんだん、動物が大きくなっていきます。
アルマジロ、スカンク、カンガルーなどなど。
途中でたいくつした動物たちはしりとりを 始めたりあくびをしたり...
いったい何が あるのでしょう!
行列の価値ありの楽しい ことが待っています。ヒット!絵本です。
  (1155円)


光村教育図書

「かあさんをまつふゆ」
ジャクリーン・ウッドソン 作
E.B.ルイス 絵
 さくまゆみこ 訳
戦争で男の人がいないシカゴなら女にも仕事があるはずと、出稼ぎに行ったかあさん。
おばあちゃんと一緒にかあさんからのたよりを待つ日々。
通りすぎる郵便屋さん。
かあさんのことを思いながら長い冬が過ぎていく。
深みのある写実的な絵が少女の思いを伝えて心を打ちます。  
(1470円)


偕成社


「ほらふきじゅうたん」
デイビッド・ルーカス 作
なかがわちひろ 訳
長い眠りからさめた少女フェイスは、
自分が動けない大理石の石像だということを虎の皮のじゅうたんから教えられます。
悲しむフェイスにじゅうたんはいろんな話をしてくれますが、
ほんとうのことかどうかあいまいなことばかり。
もしかしたら魔法がとけて自由になれるかもしれないと望みを持つフェイス でしたが...。
ほんとうのことって何なのか、世界 は不思議な出来事がいっぱい。
奇跡だっておこる かもしれない。
想像豊かな宝物のようなお話です。
(1470円)


徳間書店

「やめて!」
デイビッド・マクフェイル 作・絵
柳田邦男 訳
戦渦の中の子ども。「だいとうりょうさま...」ではじまる手紙を 書いている。
ポストに投函しに行く間にも町には、いろんな暴力が見られ、空には戦闘機が飛んでいる。
決してお話の中だけではない現実。
世界にはこういう国が今もなお後をたたない。
少年は暴力を振るおうとした年上の子に「やめて!」と叫ぶ。
戦争や暴力を解決する方法はあるのだ。大人の意志が問われる。
平和への願いのこもった絵本。
(1680円)


あすなろ書房

「フランクとぼく」
ヨーナス・アウティオ 作
菱木晃子 訳
堀川理万子 絵
     大人には問題児とされていても、大人には見えない魅力を持った少年フランク。
僕にとっては一番の親友。
そのフランクとかかわった時期は僕にとって何よりの宝物になっている。
大人の目の届かないところで、子ども達は子ども達自身で成長していくのだと思う。
(1260円)


光村教育図書

「1つぶのおこめ さんすうのむかしばなし」
デミ 作
さくまゆみこ 訳
数学に強いと言われるインドに伝わる昔話。
収穫したお米の大部 分は王様に召し上げられてしまう。
飢饉になっても王様は村人に お米をわけあたえようとはしない。
正直なことで王様からごほう びをもらえることになったかしこい少女 ラーニは
一粒のお米を希望する。
そして30日 の間、前の日の倍の数のお米が欲しいと。
さて、1粒、2粒、4粒、8粒、30日目には なんと!
お米が増えていく様子が迫力ある絵で描かれています。
(1995円)


福音館書店

「ガツン!」
ドナ・ジョー・ナポリ
相山夏奏 訳
ロンドンに住むスケボーの大好きな15歳の少年サムは、16歳で 自分を生んだ母と二人暮らし。
同じ年のアリシアと付き合っていたが、不用意にも妊娠させてしまう。
混乱するサムは、尊敬する スケーター、トニー・ホークのポスターに心境を話すうちに 未来を垣間見ることになる。
アリシアとの関係、 生まれた息子、新しいボーイフレンドができた母、 別れた父、そしてサム自身。
決して事態が最悪な ことではなく 希望があることを教えてくれる。
(1890円)



★上へ



子どもの本●ジオジオ  
〒675-0012  加古川市野口町野口119-9
TEL 079-426-6704 FAX 079-426-5660 ziozio@fan.hi-ho.ne.jp