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★ジオジオからのメッセージ
           



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270 号

4月です。春です。園児・生徒・学生・社会人、色んな1年生たちのスタートの日。
Here we go!

■ 4月といえば「桜」です。
今年は桜前線の北上が速いようで、入学式の頃は散った後とならなければいいのですが。

さて、絵本でも満開の桜が描かれたり、重要な役割を演じる登場人物(?)となっているものがあります。
ここにご紹介するのは、出たばかりの絵本ですが、満開の桜が印象的で、
ただ背景として描かれただけでなく、ストーリー上も重要な役割を担っています。

タイトルは「木の実のけんか」です。
岩城範枝・文 片山健・絵福音館書店(1,365円)

狂言に「菓争」(このみあらそい)という演目があり、それを土台にして生まれたストーリーです。

春のある日、タチバナ(の実)が、ひとつ向こうの山に大きな満開の桜を見つけた。
これは花見だ、宴会だと、ダイダイ、ミカン、ユズ、キンカンetc.
柑橘類(文中ではタチバナ一族)を引き連れて大宴会が始まった。
そこに現れたのは。この山の住人、イガの次郎カチグリ。
タチバナ一族は気乗りのせぬままクリを招き入れた。
酒がすすんで、クリが歌でも聞かせてほしいというので、タチバナ一族は歌を唄い、扇を持って踊り出した。
それを見てクリは大笑い。風雅を理解せぬ者たちと馬鹿にし、桜を詠んだ古い和歌を披露した。
馬鹿にされたタチバナ一族は扇でクリを打ちすえて放り出した。
「思い知らせてやる。」と、その場を逃げたクリは、山の実を引き連れて、タチバナ一族に戦いをしかけてきた。
両者入り乱れての大乱戦。決着がどうなったかは読んでからのお楽しみ。

タチバナ一族も山の木の実も恐い顔をしてますが、これは戦いの顔。宴会の顔は満面の笑顔です。
イラストは片山健さん。
風景はもちろん、果実たちの細やかな表情やおもしろいアングルの構図など
片山健さんならではのイラストを楽しめます。
※姉妹編「鬼の首引き」(1,260円)も狂言から生まれた絵本です。
4,5才〜楽しめます。

■ あれれ?な話。

「ベイカー少年探偵団」(シリーズ全6巻)
@消えた名探偵
Aさらわれた千里眼 アンソニー・リード作、池央耿・訳
評論社(各840円)
※B以降は未刊

以前「ベイカー少年探偵」というシリーズをご紹介しました。
コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズの中の3冊に登場し、
ベイカー街を根城に活躍する孤児たちのグループを
「ベイカー・ストリート・イレギュラーズ」(ベイカー街遊撃隊)と呼んで、
ホームズは目をかけていたそうです。

その子どもたちを主人公にして、名前も「ベイカー・ストリート・ボーイズ」とかえて、
本家ホームズシリーズを土台に新たに6巻のシリーズが書かれました。

第1巻は「消えた名探偵」という副題どおり、さらわれたホームズの救出と
在位60年を祝うビクトリア女王の命を狙うグループとの対決に活躍するベイカー少年探偵団を描いています。

さて、「カラス同盟事件簿」という本が後を追うように出ました。
こちらも事件の大筋はほぼ同じです。
ベイカー・ストリート・イレギュラーズはベイカー不正規隊と訳されていますが、
仲間の1人が殺されて、カラス亭という酒場で働いているメンバーが
「カラス同盟」というグループを作って事件解決に乗り出すというストーリーです。
盗作というような話ではないと思いますが、ストーリーの大筋がほぼ同じで、
翻訳・発行もほぼ同時期というのは何だかあれれな話だと思います。

ジオジオのオヤジとしては「ベイカー少年探偵団」の方が好みです。
また、シャーロック・ホームズを読んでいない、あるいはあまり読んでいないという方も
独立した読み物として楽しめますし、
シャーロック・ホームズの入門書として楽しんで頂けると思います。
ブッククラブでは、今後、小学校高学年から中学生ぐらいの方への配本をしていく予定です。

■ 落語

NHKの朝の連続ドラマ「ちりとてちん」が3月末に終わりました。
若狭地方出身の女の子が落語家になるという話ですが、舞台は大阪。
本物の上方落語家も出演していて上方落語も色々と紹介されていました。
その一つに「地獄八景 亡者戯」(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)がありました。
これは「じごくのそうべえ」の原作とも言えるものです。
子どもと一緒に上方落語を楽しめるエッセンスがたっぷりつまった絵本です。おすすめします。

「じごくのそうべえ」田島征彦・作 童心社(1,470円)


 えぐさもとはる   2008.4




ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。注文


今月の新刊より



福音館書店

「もりのおふろ」
西村敏雄 作
もりのおくにおふろがわいています。
やってきたのはライオン。
顔、おなか、手、足と洗っていると、ゾウがやってきました。
「せなかを洗ってください」とライオンがたのむと、
ゾウはライオンの背中をごしごし、しゅっしゅ。
すると、ワニ、ブタ、オオカミ、ゴリラ...
たくさんの動物たちがやってきて、
おふろのまわりにぐるっと輪になって、背中の洗いっこです。
最後はみなでおふろにつかっていいきもち。
動物たち、何て言ってるかわかりますか。
おふろ嫌いの子どもにぜひおすすめしたい絵本です。
(780円)


福音館書店

「バルバルさん」
乾 栄里子 文
西村敏雄 絵
バルバルさんはとこやさん。
あたりまえですが、人間相手のとこやさんです。
ところがある日、ライオン、ワニ(?)、ヒツジ、リスと次々に動物たちがやってきました。
不思議に思って看板を見ると「どうぶつの」と落書きがしてありました。
消そうと思ったけど、バルバルさんは消すのをやめました。
初めてとこやにきた動物たちが、とても満足そうに帰っていったからです。
次の日からは人間も動物もやってくるとこやさんになりました。
最後のページで落書きの犯人(?)がわかります。
(840円)

※二冊とも西村敏雄さんのイラスト。
共通して登場する動物は同じ顔をしています。
もしかすると、同じライオン、ワニ、ヒツジかな。



佼成出版社

「おしりしりしり」
長野ヒデ子 作
長谷川義史 絵
歌って、踊って、しりとりあそび。
おしりしりしり「り」りんごんごんご「ご」ゴリラリラリラ「ラ」...と続いて、
おとうさん。
「ん」で終わりかと思ったら、うんぱぱ うんぱぱ うんぱっぱとおまるにまたがっている子どもが出てきて、
りっぱっぱなうんちっちをします。
うんちにバイバイをして、おしりはすっきりいいきもち。
おまるをつかうのが楽しくなるかもしれません。
(1,365円 1才〜)
※姉妹編『しっこっこのこけこっこ』もあります。


徳間書店

「それいけおもちゃだいさくせん」
土屋富士夫 作・絵
しょうちゃんはジクソーパズルに熱中しています。
あと一つで完成というのに最後のピースが机の下にころころころ...。
必死で探しても見つかりません。
すると、昔あそんだ消防車、飛行機、ロボット、潜水艦たちが協力してくれることになった。
どうやらいたずらドラゴンが持っていったらしい。
いたずらドラゴンを追いかけて、しょうちゃんとおもちゃたちの大冒険がはじまる。
(1,470円 4,5才〜)
※土屋さんの絵本は子どもたちの日常がとんでもない出来事に発展していくストーリーがみもの。
「もっちゃう もっちゃう もうもっちゃう」「よりみちエレベーター」「つみきつんで もっとつんで」もおすすめです。


福音館書店

「からだがかゆい」
岩合日出子 文
岩合光昭 写真 
体がかゆいとき、動物たちはどうするのだろう。
手足を使うのはもちろん、岩や木や砂にこすりつけたり、
何ともユーモラスなかっこうです
。ペンギン、アシカ、ゾウ、ライオン、チーターetc.
11種類の動物たちのかゆいかゆいをとらえた写真絵本。
(945円2,3才〜)
※姉妹編『10パンダ』『いるいるだあれ』も動物写真家の第一人者、岩合さんならではの写真絵本です。


絵本館

「わらった」
内田麟太郎 文
竹内通雅 絵 ものすごい変な絵本です。
ストーリーがあるようなないような...。
この絵本で唯一わかったのは最後に男の子が大笑いします。
だから「わらった」というタイトルなのでしょう。
この絵本を読むときは、絵本の常識を捨て、解説や説明をすることなく、
勇気と元気で最後のページまで行きましょう。笑!
(1,365円)


福音館書店

「みずたまレンズ」
今森光彦 作
葉っぱや茎についた小さな水滴。
ようく見ると何かが見える。
向こうにある物が逆さに写っている。
これがみずたまレンズ。
雲や空が写ることもある。
これは「小さな宇宙」といってもいいくらいだ。
(880円)



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