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from bookland 198号  



 新学期が始まって1ヶ月、大型連休も終わると学校も本格的に動き出します。
5月には三つの「選書会」 が決まっています。6・7月にも予定があります。ぜひ、多くの学校でも検討いただければと思います。
 また、図書室に本が入ったというだけでなく、もっと本のおもしろさを伝えたいと思い、「選書会」の後には、 スライド、大型えほんを使った「絵本ライブ」、高学年には「ブックトーク」を加えています。週二日の休み が導入されて時間の調整などが難しくなった面もあるでしょうが、週二日の休みには読書にひたる時間を増やす という方向に目を向けることも出来るのではないでしょうか。(金曜日にたくさんの宿題を出さないように!)
 「選書会」だけでなく、子どもたちが本に出会う機会は様々に作ることができます。ジオジオはそのアイデア、 ノウハウがいくつもあります。
 そして、学校図書室をおもしろくするもう一つの”力”は保護者です。 すでに学校と保護者が連携して図書室を活性化させている学校があります。保護者の方々もぜひ家庭での本の 出会い同様、学校の図書室にも目を向けてほしいと思います。
 学校だけではありません。保育園、幼稚園 も同様です。あるいは、公民館、児童館などでも子どもと本の出会いをつくる”場”はできます。ジオジオは 出来る限り協力させていただきます。
 なお、「選書会」「絵本ライブ」「しかけ絵本教室」などについて もっと詳しく知りたいという方は、資料がありますので、ご請求ください。



児童書専門の小出版社13社でつくる「CBLの会」の2002年版ブックリストの巻頭インタビューで、 作家の重松清さんが、「児童文学が元気がないのは読者と購買者が違うからではないか」と発言して いらっしゃいました。少し納得。
 出来るならば、心を鬼にして(?)子どもが選んだ本を買ってやる、 金は出すが口は出さん、というのが理想的だと思います。時には失敗するかもしれないけれど、本選びは うまくなると思います。(「CBLの会」ブックリスト2002年版 残部僅少。無料)



 先日、神戸新聞の編集部長で論説委員という方がいらっしゃいました。本好きという点で話がはずんで 2時間近く話し込んでしまいました。もともとはコラムに子どもの本のことを書くための取材ということだった ようです。私としてはジオジオの例を引きながら子どもと本のことを話したつもりでしたが、こんなに大きな 取り上げ方をしていただくとは思いもよらず、ありがたいと思う反面、ちょっとびっくりです。
 朝刊の 一面のコラムというのは新聞社の顔の一部みたいなものだと思います。コラムと聞いても、まさか「正平調」 とは思ってもいませんでした。気楽にお話をさせていただいたのですが、今になってキンチョーしています。
 私は子どもと本のことを中心にお話をさせていただきましたが、結びの言葉どおり、今考えなければならないのは 「大人と本の出会い」かも知れません。本に関わる人間たちの大きな宿題なのでしょう。

<神戸新聞 正平調 4.28>  寝転がっている子がいれば、ピアノの下に潜り込んでいる子もいる。絶え間なく笑い声が響く。それぞれ勝手気まま。行儀がいいとはとてもいえない。それでいて、目を輝かせ本に向かう小学生たちの表情からは、まぶしいほど読書の楽しさが伝わってくる。
 「子どもたちが読みたい本を選べば、図書室は学校の人気スポットになります」。加古川市で絵本と児童書の専門店「ジオジオ」を経営する江草元治さんは、十二年前から地元の小学校を中心に、子どもたちによる「選書会」を開いている。
 教育的見地などという物差しは頭から追い払い、面白いと思った本を六十冊ほど体育館に並べる。やってきた子どもたちは興味津々。日ごろは読書よりテレビやゲームのはずが、新しいおもちゃを見つけたように本の世界に没入する。
 このところのベストセラーは言葉遊びの絵本「こんにちワニ」(文・中川ひろたか、絵・村上康成、PHP研究所)。低学年向けと思っていたところが、予想外に五、六年生まで夢中になった。江草さん自身、「何が受けるか。子どもの嗅覚(きゆうかく)が頼りなんです」と、ヒット作を見抜く力に脱帽する。
 翻って、出版界の事態は深刻だ。書籍は五年連続、雑誌も四年連続で売り上げが前年を割っている。データを見るまでもなく、街中で車内で、本を読む姿がめっきり減った。
 読書以外にも楽しみはあるだろう。しかし、本でしか味わえない醍醐味(だいごみ)がある。あの子たちのような幸せな出会いが大人にもあれば。そんな機会をつくる知恵はないものか。



2002年5月 もとはる