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メス! 道路整備特別会計(国土交通省所管) ⇒ 縦割り省庁の欠点の典型!第二の国鉄、道路公団は解体すべし
1 道路の整備に関する会計.高速道路は含まれないこと明記しておきましょう.2002年で日本の道路の舗装率は国道99%、全体77.5%であり、酷道は解消されている.現在は、既存の道路の拡幅、維持のためにが会計が使われていると考えてよい.平成16年度の予算は以下となっている(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金関係.は問題点.は他会計への資金提供).
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
揮発油税
一般会計より
(改)事業償還金等財源
産業投資特別会計より
地方公共団体工事費負担金収入
償還金収入
付帯工事費負担金収入
受託工事納付金収入
前年度剰余金
雑収入
7072
23359
1341
696
6393
1605
469
443
229
157
道路事業費
道路事業費(北海道)
道路事業費(離島)
道路事業費(沖縄)
道路環境整事業
道路環境整事業(北海道)
道路環境整事業(離島)
道路環境整事業(沖縄)
(独)土木研究所運営費
(独)土木研究所施設整備費
地方道路整備臨時交付金
首都高速道路公団出資等
有料道路整備等資金貸付金
道路事業資金貸付金
(改)道路事業資金貸付金償還時補助
(改)道路事業資金貸付金償還時補助(北海道)
(改)道路事業資金貸付金償還時補助(離島)
(改)道路事業資金貸付金償還時補助(沖縄)
(改)街路事業資金貸付金償還時補助
(改)街路事業資金貸付金償還時補助(北海道)
(改)道路環境整備事業資金貸付金償還時補助
(改)道路環境整備事業資金貸付金償還時補助(北海道)
(改)道路環境整備事業資金貸付金償還時補助(沖縄)
付帯工事費
受託工事費
道路事業工事諸費
事務費
産業投資特別会計へ繰入
産業投資特別会計(改)事業償還金

予備費
*(改)=改革推進公共投資の略
17594
2919
354
865
6330
401
2
128
12
1
7072
839
222
696
310
26
1
22
237
10
20
3
0
452
432
824
8
615
1341
200
41764 41936
歳入は一般会計、揮発油税、各自治体の一般財源(公共工事負担金)が主体である.ここには表れていないが、道路特定財源(揮発油税、石油ガス税、自動車重量税、地方税として地方道路譲与税、石油ガス譲与税、自動車重量譲与税、軽油取引税、自動車取得税の8種類総額5.5兆.これは財務省の監査を受けない財源.3兆円の積立がある)を当てているので、財源は確保できる仕組みになっている.そして、この財源には税金が2倍も多く掛けられたままである.1974年以来、道路計画5カ年計画を5年ごとに更新しているので、道路を永遠に作る計画は絶えずあるので、この会計が無くなることはないだろう.それに、この経過は国会の承認を必要としていないので、国土交通省と与党が示しあわせれば、財源はいくらにでも増資できる.道路特定財源を操作すれば良いだけである.又、道路は国交省だけが造るのではないので、道路行政は統制がまったく取れていない.この会計で造られる道路は、いわゆる国道、有料道路である.農道は農林水産庁が、林道は林野庁が各自造り、補修等も同様である.

さらに、高速道路建設は日本道路公団が担当しており(首都高速、阪神高速は各同名公団、四国連絡道は本四国公団が存在)、会計はまったく別でこちらは財政投融資資金による.既に借金23兆円で、旧国鉄の負債と並んでしまっている.こちらに余剰金229億があるのに、それを繰入れることもない.
2 この会計とは別なのであるが、道路行政の問題なので道路行革のゆくえを考えておきましょう.財政投融資対象の道路公団の問題とは?道路公団とは、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四国連絡橋公団をさします.道路行革には、この公団の廃止、民営化を実行することが求められた.これは、年々増える赤字を解消することにあるが、特殊法人の構造を変えられなければ意味がない.赤字は必ず国民に帰ってくるのであるから、赤字を生む構造そのものが解消されなければいけない(構造改革なくして、行革なしという訳はここにある).日本道路公団を例にとるのが近道である.最たるゆがみを最初にあげておくと、本公団は借金23兆を抱える赤字企業であるのに、その傘下の同属企業(経常利益がもたらされるが公益事業では税は払わない.公益でない部分の税率は低い.)、族政治家(天下り、政治献金等)には大きな利権がもたらされている.にもかかわらず、親企業の赤字の責任は問われたことがない.此れをいいことに、資金獲得の事業計画をとめどなく画策(道路を造れば赤字は明白.計画は下記に!)し、更に利権を溜め込もうしている.赤字は止らない仕組みだ.政府は、これを野放しにして自国が赤字だと騒ぐのは全く愚の骨頂としか言いようがない.
日本道路公団は公共事業をやる特殊法人で、総収入は4-5兆.財投資金(約50兆)の4%にあたる2兆を借受ける(道路債権を発行する).2兆は事業収入、残りは国費と借入金である.その割合は例年、45・45・10%前後である.国費の名目は政府出資金、政府補給金、政府補助金となっている.借入金は1000億弱で、民間借入金と社会資本整備事業資金から借入れている.累積債務23兆円.毎年の返済額は2兆5000億.長期債務というのは概ね利得と元金は半々になるので、利息は年額1兆2500億.この利息のために国費がつぎこまれる.傘下からの補填はゼロである.
3 公団傘下の会社は、日本道路公団が出資できる会社であるが4つある.東京湾岸道路、東北.・北陸・九州高速道路の3ターミナルである.これ以外の会社は法律上持つ事ができない.が、高速道路にはハイウェーサービスとかパトロールと称する65の会社(その請負が更に38社)がある.又、サービスエリアやパーキングエリア等に展開している会社がある.これらは、財団法人道路施設協会傘下の子会社かそこから占用権を借受けて出店している会社である.何のことはない、国交省関係者の天下り先である.この辺は猪瀬氏の著書に詳しい(「日本国の研究」文春文庫P106).

日本道路公団と(財)道路施設協会のパイプ役が(財)道路厚生会.厚生会はもともとは公団の互助会であったが、ここが公団の株を買い増資し,OBを集めて財団法人を立ち上げた.特殊法人、認可法人、独立行政法人などとは違って、公益法人は民法第34条にその設置が決められるているが、公益にすれば各省庁自治体に設立許可権があるので、関係者がいれば設置審査は甘い.公益法人となれば営業委託を受ける事ができるのである.年商6000億、社員3万弱.高速道路専属で競争もないので、黒字の優良企業である.公益法人とは、営利を追求せず公益に関する事業を行う法人である.宗教法人、学校法人、社会福祉法人、医療法人、社団法人、財団法人をいう.公益の事業には課税されず、非公益事業の法人税も27%と低く、公益事業に資金を投資する場合は、その30%は寄付金として損金処理が出来、利子、配当も非課税と税制でも色々得点があるから、収益事業が黒字であれば資金は潤沢となる.無論、補助金等も獲得し易い. 社団法人、財団法人は法律が甘く出来ているのも一因する.親会社が借金して、相場より高い予算で仕事を回してくれるからである.親の借金は、その内自分たちにも回ってくるのであるが、附帯する得点が多いからさほど気にならないであろう.各省庁所管の公益法人数は、平成15年10月1日現在の国・地方所管別法人数の実数を示す。

法人種別/所管別

国の所管

地方の所管

社団法人

3,805

 9,160

12,836

財団法人

3,204

9,827

12,989

7,009

18,987

25,825

*財団法人と社団法人の違いは、前者は財産を運営するのであるのに対し、後者は人集まって資本を募って運営に当たる.従って後者では、集まった人に事業報告をする必要があるが、前者にはない.ここは天下りの温床になる.上記の2つの公益法人に、4000億以上の国費が投入されている.

道路を造ればその分、傘下会社を増やせるので雇用・利権・財は安泰である.が、親会社の赤字は増える一方となる.道路行革で何が是正されたか?日本道路公団の現在の計画は、附録の3のとおり.今後1万4000kmの高速道路造設計画があるが、、、.4公団の民営化は5年後、3000億の税金を削減、債務償還は50年と言う結論になった.道路族議員の抵抗の大きさに驚くばかりだし、自治体も反対である.しかも、民営化は形式的である.財投の対象である内は、改革がなったとはいえないが口火は切った.後は誰が続けていけるかだが、自民党では無理だろう.これをよそに、H16には(財)道路施設協会は(財)ハイウェイ交流センターと(財)道路サービス機構とに分かれた.組織が巨大化したので小回りを効かそうという事だが、それは表向き.傘下を増殖しつづける為である.
(9) 利権の温床道路公団に巣食うファミリー企業 2003/11/21
発注元の企業(親会社)は大赤字なのに、仕事を受注しているファミリー企業(子会社)は黒字で潤っているなんて奇怪な仕組みがある。日本道路公団をめぐる利権の構造をきょうは「天下り名簿」を付けて紹介する(割愛)。法律を改正しないで行われたのは、全国一律料金プール制だけではない。ファミリー企業の設立もそうである。ここで言うファミリー企業とは、高速道路の維持管理、サービスエリアの運営などを行う会社のことである。具体的には道路の補修、料金徴収などだ。
道路公団は、直接出資の子会社は設立できないことになっていた。そこで、労使双方の福利厚生団体である道路厚生会の関与で財団法人道路施設協会(現在は、財団法人・道路サービス機構と財団法人・ハイウェイ交流センターの二つに分割)を作り、その下に株式会社(ファミリー企業)を設立していった。これで道路公団とファミリー企業とは、表向き直接の資本関係はなくなる。巧妙なからくりである。こうして設立されたファミリー企業の役員には、公団の局長、支社長なとの幹部が天下る。82のファミリー企業社長のうち、75人が公団元幹部(2000年)で占められており、公団からの仕事を独占的に受注している。公団OBを多く受け入れている会社ほど受注額は多い。またファミリー企業同士は株の持ち合うことで「よそ者」の侵入を阻んでいた。これも受注を独占する構図といえる。赤字会社はほとんどなく、ファミリー企業全体(82社)の売上げ(受注額)は、ちょっとした大企業並の約5000億円(数年前は6500億円)と巨額だ。
一般企業が入札で参加できれば、発注コストは7割位ですむというのが専門家の見方だ。道路公団は40兆円もの巨額借金を抱えているのだから、少しでもコストを削減するべきはずなのだが。親会社にあたる道路公団は大赤字でも、子会社にあたるファミリー企業は黒字で潤う仕組みがここにある。子会社社長の年俸は、公開されていないが、公団のエリート幹部・55歳の報酬が約1400万円ということからすると年俸は1500万円前後と推察される。その他、公団を主要な取引先とする関連会社も数百社あるとされている。当然この関連会社も公団職員の天下り先となっている。公団職員は、国家公務員ではないので天下り規制はない。表向き資本関係がないことをいいことに、政治家の口利きが日常的に行われ、ファミリー企業や関連企業から政治家への献金、パーティー券の購入などが行われてきた。40兆円という巨額の債務を生み出した高速道路建設の行き詰まりが、国民的議論を巻き起こし、不透明なシステムを政治家・官僚が食い物にしてきたことを暴露する結果となった。近藤剛・新総裁は、巨大な利権の巣窟にメスを入れることが果たしてできるだろうか?
(堤和馬・JanJan特別取材班) 堤和馬:元特殊法人労連事務局長/ジャーナリスト
<公団法>第4条
2:公団は、必要があるときは、国土交通大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3:政府は、前項の規定により公団がその資本金を増加するときは、予算に定める金額の範囲内で、公団に出資することができる。高速道路については整備計画区間(9,342q)、一般有料道路については事業採択されている区間(1,215q)について建設し、良好な管理を行いつつ、料金収入により建設に要する借入金を平成59年度迄に償還する予定としている。
・ 高速道路については、平成13年度末で6,959q※)が供用しており、残る区間2,383qを建設する。一般有料道路については、平成13年度末で870qが供用しており、345qを建設していく。また、平成14年度以降の建設投資額は約22.1兆円と見込んでいる。

・ 管理費については、過去の実績を基に、新規路線の開通等を考慮して設定している。
・ 収入については、現在までの交通量実績及び新道路整備五箇年計画の経済フレームをベースとして、近年の経済情勢を踏まえて推計した交通量を基に算出している。
※)本延長は、高速自動車国道として事業中であり一部一般有料道路として供用中の近畿自動車道紀勢線海南〜吉備間約10qを含む。分析対象の総事業費は約54.7兆円(高速道路約48.6兆円、一般有料道路約6.1兆円)であり、総延長は10,547q(高速道路9,342q、一般有料道路1,215q)である。なお、平成14年度予算において新規採択された事業はない。
@公団の有料道路事業は国の直轄事業等とともに道路整備事業の一部であり、交通の円滑化、生活利便性の向上、産業の振興等の社会・経済効果を創出している。例えば、高速道路と一般有料道路事業の効果として、走行時間の短縮等の直接利用者の便益だけとらえても、分析対象の全道路の完成時では年間約12.3兆円の便益が発生すると推計される。
A「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)において、日本道路公団に代わる新たな組織、及びその採算性の確保については今後、検討されることとされている。このため、今回の分析については、基本的には前年度の条件を踏襲して行っている。
・従来の組織形態、事業を前提。
・対象事業は、高速道路については、整備計画区間9,342q、一般有料道路については、事業採択されている区間1,215q。
・高速道路については、平成14年度予算を踏まえ、平成14年度以降国費なし。
・一般有料道路については、現行の事業許可及び予算採択の内容に基づいている。
B分析に用いた金利は、本分析に共通の前提として設定されたものであり、公団が償還計画作成の際に通常用いている過去の実績を踏まえた想定金利とは異なっている。
Cなお、政策コスト分析に当たっては、道路資産の価格(約74.3兆円)を評価していないこと等に留意する必要がある。
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「日本国の研究」猪瀬直樹著:文春文庫
3)財務省ホームページ
4)「特殊法人解体白書」堤和馬著:中公新書ラクレ