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メス! 自動車損害賠償保障事業特別会計(国土交通省所管) 余剰金の宝庫は何を意味するか?単なる資金集め!
1 自動車損害賠償保障法(S30法97)に基づく、自動車損害補償事業に関する会計.以下の3会計がある.平成16年度予算を見る.
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金.は問題点.は他会計への資金提供).
1)保障勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
賦課金収入
他勘定から
雑収入
前年度余剰金
30
5
14
711
保障費
業務取扱費
保障業務委託費
予備費
56
15
9
5
760 85
メインは保障事業のはずであるが(交通事故の被害者救済といっても、ひき逃げや無保険者による事故を救済)、会計を見るとその給付は12%に満たない.保険料が余って余剰が大幅にでている.繰越余剰金は1187億もある.つまり余剰が出るほど高い保険料が課されていることになる.保険料の見直しをしたというが、実際は何を見直したか?そして、この余剰金は天下り先の(独)自動車事故対策機構を潤すことになる.
2)自動車事故対策機構
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
積立金より
雑収入
126
46
(独)自動車事故対策機構運営費
(独)自動車事故対策機構施設設備費

自動車事故対策費
保障勘定へ繰入
91
8
69
3
172 171
(独)自動車事故対策機構の概要は、「我が国の自動車交通は、経済成長に伴い急速な進展を遂げてきましたが、その一方では交通事故も急増し、昭和40年代には「交通戦争」とさえ言われ、昭和45年には交通事故死者数が1万6千人を超える憂慮すべき事態を迎えました。このような状況の中で、同年には交通安全対策基本法が制定され、国を挙げてその対策に取り組むこととなり、その一環として昭和48年に自動車事故対策センター法が制定され、この法律に基づき同年12月に自動車事故対策センターが設立されました。独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA・ナスバ)は、特殊法人等改革の一環として解散した同センターの後を受けて、独立行政法人自動車事故対策機構法(平成14年法律第183号)に基づき、平成15年10月に設立されました。当機構は、自動車事故の発生防止及び自動車事故の被害者の保護の増進のための業務を行っており、自動車事故対策センターが築いた実績を受けて、さらに業務の拡充のための努力を積み重ねてまいります」というもの.つまり認可法人がいつの間にか、独立行政法人になっているのであります.この運営に91億所有する4つの療養施設の経費が8億.自動車事故の被害者は全国にいるわけで、この4つの療養所(総病床数は200床未満)にかかれる人数はほんの一部にすぎないし、事故自体が減っている事を勘案すれば、施設を持つ必要があるのか?この勘定は基金(積立金)として7490億もの財源を持っていたが、国交省はこの機構を独立法人化し国庫に返すべき余剰金を飲み込んだのです.このことは着服と同じで犯罪行為です.(独)自動車事故対策機構と瓜二つなのが、警察庁の自動車安全運転センター.そう免許証の交付を行うところであります.規模も職員数もほぼ同じで、天下りの形態までがそっくりである.
2 3)保険料充当交付金勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
積立金より
雑収入
5029
5
保険料充当交付金
再保険及び保険費
保障勘定へ繰入
予備費
2401
2431
1
200
5034 5033
この会計の基金(積立)1兆720億にもなっている.再保険及び保険費の再保険とはなにか?自賠責保険は強制保険であるが、実は民間が扱っている損保保険である.事故が多いと支払い保険料が膨大となるから、当初民間保険は取扱いを拒否した.そこで、その保険料の60%を国が補償する条件の再保険を組みその費用としているのであるから、保険会社保護を国が行っているわけだ.残り40%は保険会社がプールして再保険をかけている.国に余剰金があれば、保険会社にも余剰金が出ているものと思われる.持ちつ持たれつと言うわけで、保険料が余っているなら保険限度額を上げれば、ユーザー負担が軽減されることになるのだが、今度は民間の任意保険を圧迫すると言うわけで実行されない.やはり国民ではなく企業向きになっている.
私の意見:3つの会計で2兆をプールしている.この会計の賃借対照表を見ると「現金預金が2兆」である.このお金は、財政投融資資金となって貸出され、その運営費を生むことになる.つまり、余剰金を使う為の会計となっており、これに群がる傘下事業の温床に他ならない.自動車ユーザーの高負担を糧に太っているだけ.
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「財務省ホームページ」
3)「日本国の研究」猪瀬直樹著:文春文庫