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私見 労働保険特別会計(厚生労働省所管) 厚労省管轄で一番無駄の多い労災会計.保険料を下げるべきだ!
1 労働者災害補償法(S22法50)による労働者災害補償事業の経理(=労災勘定)と、雇用保険法(S49法116)による雇用保険事業の経理(=雇用勘定)を行う会計.この2つの会計と保険料徴収の為の会計(=徴収経理)の3会計がある.この点が他の保険会計と異なるのでこれを先に見る.
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.
赤字は借金.は問題点.は他会計へ資金提供).
1)徴収勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
保険料収入
印紙収入
他勘定(健保・年金)より

雑収入
前年度余剰金
36003
8
960
9
10
保険料返還金
業務取扱費
他勘定へ繰入
予備費
551
418
36021
1
3兆6990億円 3兆6990億円
先ず、この会計の存在意義は何か?通常は個別の会計で保険料は計上されるが、この特別会計ではは徴収業務を一つの窓口で行って効率化を図ったということであろう.が、果たしてそうか?先ず経理の明確化に関しては、そうとはいえない.各会計の事務を分業して負担は減るけれども、この勘定の為に定員と経費は逆に増える.事務費用は418億円である.つまり、事務効率に関しては調査のしようがないので定員を増やす盲点を衝いている.この貪欲さが余剰金10億円を生んでいるのだろう.
2 2)労災勘定
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金.は問題点.は他会計へ資金提供).
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
他勘定より
未経過保険料より
支払備金受入
雑収入
一般会計から
10447
236
1893
1335
13
保険給付費
業務取扱費
施設設備費
労働福祉事業費
(独)産業安全研究所運営費
(独)産業医学総合研究所運営費
(独)産業医学総合研究所施設設備費
(独)福祉医療機構運営費

(独)労働政策研究・研修機構運営費
(独)労働政策研究・研修機構施設設備費

(独)労働者健康福祉機構運営費
(独)労働者健康福祉機構施設設備

徴収勘定へ繰入
予備費
8036
507
51
2271
6
9
4
0
1
0
112
148
621
100
1兆3924億円 1兆1866億円
労災保険は就労人口の増加、業種による安全意識の向上により大幅な黒字である.自動車自賠責特別会計と同様に、国の強制徴収による負担は多すぎる.16年度も予算案の段階で既に2000億の余剰が出る.この黒字は積立金となって蓄えられH14年度では7.4兆にもなる.
先ず、当初からこれだけ余剰があれば一般会計から繰入する必要がない.
次に、他勘定より(=徴収勘定)は、合算徴収の配分.業務取扱費は給付事務が主となるだが給付の6.2%にもなり、コストが掛かり過ぎる.雇用勘定の方は、金額が250%増しだけれど4%程度で済んでいる.徴収勘定の存在意義はない.
3つ目、傘下の5独立行政法人ヘの出資が問題.中でも(独)労働者健康福祉機構へは突出している.結局、病院だ、保養所だと箱物を造り続け無駄を繰返すだけである.保険料を値下げすべきだろう.予算に占める給付率77%で、この会計は、お金が余っているのに過剰な予算請求をして資金を得、傘下を潤し、余剰を積立てるという、役人の思惑どうりの会計なのである.

この機構は、独立行政法人労働者健康福祉機構法(平成14年法律第171号)に基づいて設立された、厚生労働省が所管する法人で、その事業目的は、療養施設、健康診断施設及び労働者の健康に関する業務(勤労者医療)を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営等を行うことにより労働者の業務上の負傷又は疾病に関する療養の向上及び労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るとともに、未払賃金の立替払事業等を行い、もって労働者の福祉の増進に寄与すること.勤労者医療とは、「労災疾病に関する予防から治療、リハビリテーション、職場復帰に至る一貫した高度・専門的医療及び職場における健康確保のための活動」と定義(「労災病院の再編に関する基本方針」)されている.旧労働事業団の傀儡であるが、260億もの資金がつぎ込まれている.

その傘下に、勤労者医療を行う全国36の労災病院、総合せき損センター、吉備高原医療リハビリテーションセンターがある.その業務は、メンタルヘルス、産業中毒・シックハウス、腰痛、呼吸器病ほかの専門センターを設置し、専門的な診療や研究・データベース化の活動のほか、一般向けの講演会や「心の電話相談(無料)」事業を実施.
さらに、勤労者予防医療センター(労災病院の予防医療部も含みます)がある.ここは、過労死などの重大な事態を引き起こす危険性がある「高血圧」「高脂血症」「高血糖」「肥満」の予防のための保健指導や健康相談、講習会などによる情報提供をおこなっています。
更に、全国347の地域産業保健センターを支援する各都道府県に設置された産業保健推進センターというものもある.事業主や産業医などを対象にして産業保健の向上を目指した研修・講演活動をおこなうなど、勤労者の健康問題について専門的な立場から多角的に取り組んでいるとあるが、昨今のアスベストに対する対応を見ても後手である.結局、仕事への責任感が欠如しているのである.
3 3)雇用勘定
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金.は問題点.は他会計へ資金提供).
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
他勘定より
運用収入
雑収入
一般会計から
積立金より
25574
12
138
4900
19
失業給付費
業務取扱費
施設設備費
雇用安定事業費
(独)高齢・障害者雇用支援機構運営費
(独)高齢・障害者雇用支援機構施設設備費
(独)労働政策研究・研修機構運営費
(独)労働政策研究・研修機構施設設備費

(独)雇用・能力開発機構運営費
(独)雇用・能力開発機構施設設備費
徴収勘定へ繰入
雇用安定資金へ繰入
予備費
22675
885
72
3765
184
0
28
0
945
18
338
59
1670
3兆636億円 3兆639億円
さて、こちらの会計は火の車.予算に占めるところ70%の失業給付率.バブル崩壊以後、長期の不景気による失業率の高さに起因する.今年度は、一般会計から4900億の繰入を受けた.切り詰めるところは実行しないといけない.
先ず、業務取扱費.給付の4%であっても事務勘定は別にあるのだから、そこで(徴収勘定)やるべきである.徴収勘定への繰入の必要ないだろう.労災勘定で補えばよい.そして独立行政法人ヘの出資内、労災勘定で補える(独)労働政策研究・研修機構へは必要ないだろう.これだけで1251億が削減でき、独立行政法人全ての出資をやめるれば2398億円になる.(独)雇用・能力開発機構といっても特殊法人である.その業務は、
雇用開発に関する業務
・雇用管理に関する相談等
・中小企業の雇用創出、人材確保のための助成金の支給、相談等
・建設労働者の雇用管理の改善のための助成金の支給、雇用管理研修の実施等
能力開発に関する業務
・公共職業能力開発施設等の設置運営、事業主等の行う職業訓練の援助等
・労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上についての労働者等に対する相談等(キャリアコンサルティング)
勤労者財産形成促進業務等
・勤労者の財産形成を促進し、生活の安定を図るための助成金等の支給及び持家取得資金、教育資金等の融資
・雇用促進住宅及び勤労者福祉施設を譲渡・廃止する業務並びに譲渡し、または廃止するまでの間の管理運営業務
である.これを実施するために運営施設等が下記.
職業能力開発総合大学1校--職業訓練指導員の養成や職業訓練に関する調査研究等を行っています。

公共職業能力開発施設--機構は、公共職業能力開発施設として、職業能力開発促進センター及び職業能力開発大学校・職業能力開発短期大学校を設置・運営しています。

・職業能力開発促進センター(62所)--求職者や在職者を対象とした職業訓練等
・生涯職業能力開発促進センター(1所)--ホワイトカラー関連職種の職業訓練コースの開発・実施や
                                                    衛星通信を利用した職業訓練等
・高度職業能力開発促進センター(1所)--中堅技術者を対象に、先端的かつ高度な職業訓練等
・職業能力開発大学校(10校)
・職業能力開発短期大学校(1校) --高等学校卒業者等の方々を対象とした職業訓練等
私の仕事館1所
職業意識の形成、適職の選択からその後の職業生活設計を含め、若年者の方々のキャリア形成を総合的に支援するため、職業体験の機会の提供、職業情報の提供等を行っています。

都道府県センター47所
都道府県センターでは、雇用や能力開発に関する各種の相談・支援、各種助成金の支給等を行っています。また、都道府県センターの所長(統括所長)は、各都道府県内の都道府県センターや公共職業能力開発施設並びにそれらの事務・業務を統括しています。

全国に124施設存在するわけである.しかし、アルバイトやニートには対応していないと言って良く、社会事情からは大きく掛け離れている.所詮、天下り先にすぎない.
私の意見:労働に関する保障であるから、会計は一つで良いと思われる.分けるなら業務会計と労働会計の2つで充分.しかも、国営強制保険である必要も
               無く、効率化の面から言っても民間保険で充分である.
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「誰も知らない日本国の裏帳簿」石井紘基著:道出版
3)「財務省ホームページ」「(独)労働者健康福祉機構ホームページ」「(独)雇用・能力開発機構ホームページ」
4)「特殊法人解体白書」堤 和馬著:中公新書ラクレ