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メス! 財政融資資金特別会計(財務省所管) ⇒ お金を貸す会計だが、貸出先がみな赤字体質.余剰金を積立る!
1 財政融資資金の運用に関する会計である.つまり貸付の会計である.償還は国債整理基金特別会計である.これとは別の貸付に、産業投資特別会計がある(後述).H13に融資の仕組みが替わり、責任の所在が明朗にはなったが、そこは責任を取らない体質であるから、返って赤字は増えると思われる.これも後述する.

平成16年の予算(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金関係.は問題点.は他会計への資金提供)
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
資金運営収入
公債金
財政融資資金より

雑収入
106024
413000
103924
2382
事務費
諸支出金
財政融資資金へ繰入
国債整理基金特別会計へ繰入
予備費
64
59441
413000
120332
0
62兆5330億円 59兆2837億円
この会計は公債発行を認められている.財政融資資特別会計国債という.累積は下表、124兆.H16年は限度額いっぱいの41.3兆発行済み.一時借入金は1.5兆が限度だが今年はなかった.この会計は、単年だけ見れば一般には全く不可解.例年、公債を発行して財源を得、国債整理基金特別会計へ返済、残りを財政融資資金として貸し出し.そのお金を貸付けた利子が、資金運営収入となるのだろう.利子収入が10兆なのだから、金利5%で貸していれば元金は200兆は下らない.貸付残高286兆というので3%弱の貸付利息となる.歳入の財政融資資金よりとあるのは不明.余剰金なのか?役人しか解らないのかもしれない!貸出先は、いわゆる政府関係機関5.4兆、公団・事業団3.1兆、地方公共団体5.4兆となっている.国自身の債務は、次の国債整理基金特別会計にゆずるが、国自身の借金の総額は、下表である.
年度 H16年度末見込額(単位:兆)
国債
(612.6兆)
建設国債 222.4
赤字国債 234.1
減税特例国債 5.3
日本国有鉄道清算事業団承継債務借換国債 17.2
国有林野事業承継債務借換国債 2.7
交付税及び譲与税配付金承継債務借換国債 0.6
財政融資資金特別会計国債 124.2
交付国債 0.3
出資国債等 2.0
日本国有鉄道清算事業団債権等承継国債 3.3
借入金 59.3
政府短期証券
(141.8兆)
食糧証券 0.9
石油証券 0.8
外国為替資金証券 140.0
813.1
2 ここで財政融資の概要を把握しておきましょう。まったく紛らわしいのだが、大元は「財政投融資」計画。通常、政府予算の財源は税金である。税収は約50兆ほどである。しかし、それでは財政資金が足りないので、30兆の赤字国債を発行している.しかし、それでも足りないので国民の貯蓄する郵便貯金・国民年金・その他を借用して財源とし、これを運用することで資金(税収以外の)を確保している.この仕組みを財政投融資という.この計画は、1951年(S26)に設立された.当時はわが国に独自の資金が多いに必要な時期であり、税金では限界があるし予算審議も必要で臨機応変ではないと言う理由から税とは独立した会計になった.従って「第二の予算」とも言われる.運用は下記の表の如く特別会計に組み入れられている.これは1966年の建設国債発行と併せて実施されているが公債を発行することへの抵抗はあったと思われる.国債発行により、公共事業は加速され、特殊法人が次々に誕生するのである.

これまでに、郵便貯金や厚生年金の積立金、簡易保険などの調達部門を通じて、598兆円の資金を調達している(2000年3月末現在)。⇒参照(運営残高).これらの資金は2000年迄は、大蔵省資金運用部の仲介等を経て、運用部門へ提供されていたが(同535兆円)、2001年の財投改革により独自の管理(郵政公社)又は年金資金運用基金が担当することになった(そこで、各特別会計が、年金資金運用基金に資金を繰入して増資を図る訳であるが、6兆の損失判明).但し、この改革には、H19年度迄の経過措置がある.

財政投融資資金は、財政融資、産業投資、政府保証と3つに区分される。財政融資区分のなかに財政融資資金が含まれ特別会計として計上される⇒参照.その用途は大きく分けて、(1)国債の引受けや地方公共団体への貸付および財投対象機関の累積損失に対するファイナンス相当分(全体の約36%)、(2)政府系金融機関が行う民間部門向け貸付のファイナンス(同28%)、(3)公的企業が行う公共投資向けファイナンス(同15%)、(4)調達部門による自主運用(同19%)、の4つの分野に配分されている。

今回の改革で財投対象機関は、独自に財投機関債を発行する事が可能となったが、その調達資金だけでは足りない場合に財政融資資金特別特別が貸出をおこなうのである.しかし、この会計も結局は、公債を発行して資金を得るので、16年度は124.2兆に達する.

下記はH15年度データである。当初計画23兆4115億円に平成14年度からの繰越額6兆5294億円を加えた改定後現額29兆9409億円に対し、年度内運用額は20兆438億円となり、繰越額は5兆4513億円、運用残額4兆4,458億円。(参考)運用状況の内訳

区  分

改定後
現 額

年度内
運用額

翌年度
繰越額

運用残額

財政投融資計画

29兆9,409億円

20兆0,438億円

5兆4,513億円

4兆4,458億円

 

財政融資資金特別会計

25兆9,896億円

16兆6,819億円

5兆4,504億円

3兆8,573億円

 

うち財政融資資金
(郵便貯金・簡易保険除く)

21兆1,563億円

14兆0,112億円

3兆5,336億円

3兆6,116億円

産業投資特別会計

457億円

414億円

9億円

34億円

政府保証債等(国内債・外債)

3兆9,056億円

3兆3,205億円

5,851億円

なお、この結果、平成15年度末の財政投融資計画の残高は、353兆9928億円となとなった。(参考)財政投融資計画残高の内訳 

年 度

財政投融資計画

財 政 融 資

産業投資

政府保証

 

うち 財政融資資金

15末

353兆9,928億円

320兆5,871億円

282兆2,263億円

3兆2,932億円

30兆1,125億円

14末

390兆5,887億円

357兆3,241億円

302兆0,571億円

3兆5,858億円

29兆6,787億円

と書いたが、まあ訳のわからないことばかりである.簡単に言えば、国民の貯蓄を担保にして、国が金貸しをやることを財政投融資というのである.目的は国民の生活レベルを良くし、社会保障を確保することにあるが、貸付先は政府関係機関・公団・事業団・地方公共団体で、みな赤字体質、累積余剰といことであるから、各省庁傘下を潤しているに過ぎず国民には還元されることはない.そういう仕組みが必要だろうか!この会計にしても80兆円の保有残高がある.国債発行を抑える手段や、借金を返済する資金は持っているに各省庁は何もしない.国も監視の目を持とうとしない.あきれるばかりである.
3 さて、お金があっても借金を返済しない隠し球が、[改革推進公共投資]という大蔵省(当時宮沢大蔵大臣)の離れ業.国が資金を得る方法は、税金・国債発行のほかに、国の資産の売却がある.優良な資産なら高値で売れる.その典型がNTT株の売却.これに関しては産業投資特別会計に譲るが、結局政府は借金を返す心づもりがないというこだけは判明したのである.
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「日本国の研究」猪瀬直著:文春文庫
3)財務省ホームページ