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メス! 交付税及び譲与税配付金特別会計(内閣府、総務省及び財務省所管) 借金50兆、余剰金増加.「三位一体改革」なるか?
1 地方交付税並びに地方譲与税の配布に関しての特別会計.平成11年の恒久減税及び平成16年度の義務教育費国庫負担金の暫定的な見直しに伴う地方特例交付金と交通安全対策特別交付金についても「当分の間」この会計に計上される.年末の交通取締りのお金が、この会計に計上されること自体が奇妙と言うしかない.ここは歳入出の内訳をきちんと見て欲しい.
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金.は問題点.は他会計への資金提供).
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
一般会計から
所得税
地方道路税
石油ガス税
航空燃料税
自動車重量税
特別トン税
借入金
雑収入
前年度余剰金
164934
4249
3035
140
164
3755
113
502233
0
6175
地方交付税交付金
地方特別交付金(義務教育費国庫負担金へ)

所得譲与税譲与金
地方道路税譲与金
石油ガス税譲与金
航空燃料税譲与金
自動車重量税譲与金
特別トン税譲与金
事務費
諸支出金
国債整理基金特別会計へ繰入
予備費
168861
11048
4249
3041
140
164
3746
112
3
0
491659
26
684798 683049
トン税は貿易船舶にかかる重量税です.総額68兆の内、借入金50兆.しかしトンネル会計であって借入金の49兆は国債整理基金特別会計へ流れる.国債整理基金特別会計側の受入額は66兆になっているから、先ず、数字が合わずこの会計の信憑性が問われる.そして6000億強の余剰金がありながら一般会計から16兆以上繰入れている.これは大いなる負担である.しかも、所得税に関しては2重取りになっており、この目的に使う税ではない.余剰金で、これを避ける事は可能であるが...その他の国税が2重取りなのか不明です.一般会計は国税(他に法人税・相続税)で成り立っているので.余剰の結果は周知の如く.
2 項を変えて地方交付税交付金と地方特別交付金.地方交付税制度は日本独自の制度であるという.この制度の財源調整は地方格差に多いに寄与し、国土の均等的発展が図られた.交付金は広いところ、寒いところ、積雪地帯といったところに厚くなる.歳入は、国税50兆、地方税35兆である.しかし地方の歳出は過剰で95兆もある.つまり、自前は30%で60兆は国からもらうことになり財源は、地方交付金(税)(H16総額16.8兆)や国庫補助(負担)金の獲得額が多いほど地方の財源が増える訳であるから、地方が交付金の増額を勝ち取ることは死活問題だが、お金が多ければ地方にも同じ問題が生まれることも否定できない.公務員といっても、倫理を身につけている訳ではないし、..日本の教育の欠点だが..体質が五十歩百歩だから、無駄遣いは無くならない.交付金は二重構造(財源保障と財源調節、昔は三重構造?)なので、全体のお金が減らなければ意味がないが、国が6割以上もお金を出せは、出したお金以上に口をだすのは当たり前で、外国には黙っているけど、そういう法律もあります.地方も選挙が終わると、地域を見ずに国を見る.地方は国の言うことを聞かないと財源に困窮するから(ここでは地方予算の是非は問わない---財源がないの計画だけは一人前、結局は地方の公共工事で住民還元は乏しい、結果は地方の借入金増加(2004で199兆)等々).

「三位一体の改革」は、国庫補助金の削減、地方に財源を移譲、地方交付金縮小をさしてる.国と地方の財源について知らなければ始まらない.蛇足では申し訳ないので、ここで勉強してしまいましょう.国と地方の関係は、これは国が強くて、例えれば家庭の家長主義と変わらない.子供が一人前でも給料が少なく、親の援助を受けないといけない状況と言えば判りやすい.なので、親の言うことは聞かざるを得ない.
経済的な説明は以下に.国庫補助金は、国が地方自治体に資金の使い途を指定して与えるもの。使い途の申請は各自治体が行うが、それが認められるかどうかについては中央官庁などの意向が強く働くといわれ、地方自治、地方分権の妨げになっているとの批判が強い。地域特性も生かせない.

一方、地方自治体の間の格差をなくすために与えられる地方交付金の場合、使途は各自治体に任されている。しかし、所得税・法人税・酒税の32%、消費税の29.5%、たばこ税の25%が毎年自動的に地方に与えられる仕組みになっているため、自治体が増収のための努力をしない(禁煙だって積極的じゃない理由ここにありですね.でも国が言えばしぶしぶやる)、その結果、足腰の強い自治体が作れないといわれる。地方分権、自治体の体力強化のためには、国庫負担金や地方交付税を減らしたり、見直したりする必要があるわけだが、それだけでは自治体の財政は成り立たない。そこで国庫負担金を減らし、地方交付税を見直す代わりに、その分を地方で税金として徴収できるようにしよう、そうやって徴収した税金は各自治体の判断で自由に使ってもらおうというのが税源移譲である。このように「国庫補助金負担金を減らす」「地方交付税を見直す」「税源を地方に移譲する」の3つを同時に行うから「三位一体改革」というわけです。

さて、国と地方の関係であるが、中央集権ではあるが非常に封建的で、財政と個別法と義務(l機関委任事務)で地方を縛っている.逆らえば交付額が少なくなり、計画は遂行できない.1993年の細川内閣誕生し、95年に地方分権推進法が成立した(期待されがら短命であった細川内閣の功績はこれだけだろう!).2000年4月から地方分権一括法が施行され(第一次分権改革)、地方は10年前に成人し、5年前に本当の一人前になったと言える.TV等に各県知事が顔を見せるようになり、強気の発言をるのはこういった事情なのです.財源の縛りは、補助金・租税・起債であり、個別法の縛りは関与(干渉)・必置規制(許認可・承認)であり、まだまだ制約はきつい.つまり、一つの事業を行うとき、時間と労力がかかり、おまけに関連事務費が増大する結果になる.地方財政難は政府の強力な誘導(自治体の数を4割減じる)に地方が乗って、「平成の大合併」といわれる市町村合併という騒動をおこした.合併自治体には「合併特例債の発効を認め、公共工事返済額の7割を国が肩代わりするという」.自治体は、先ず箱物を作り始め住民は二の次にされる.住民税が安くなるなんて話はとんと聞かない.あくまで箱物行政を実施すれば、最終的に赤字は自治体に跳ね返る.合併に関する説明を充分しないで、住民投票しても意味がない.説明義務を果たすべきである.話がそれた.

「三位一体改革」は今後どうなる?族議員の反発が必然なのはいつものこと.国庫補助金の削減は、「天下り先がなくなる」「地方が国を軽んじる」といって中央省庁が反対.地方に財源を移譲は財務省が反対.地方交付金縮小は総務省が反対である.結局は、地方の意見が統一でき、政府にアピールできるかにかかっているのではないか?そうでないと首相(小泉)のリーダシップ発揮も難しくなる.行革の先鞭はつけたので、後継者が問題.
3 さて、地方が問題にしているのは国庫補助金.その理由は先も述べたように、国庫補助金は、国が地方自治体に資金の使い途を指定して与えるもの.使い途の申請は各自治体が行うが、それが認められるかどうかについては中央官庁などの意向が強く働くといわれ、地方自治、地方分権の妨げになっているという理由からである.国のほうは地方に補助金まで自由にされたら、何に使われるか分からないと言っているので、お互いの倫理の無さを露呈してに過ぎない.補助金(H2003単位は億)を調べてみると、以下がその高額ベスト10.
国庫補助金種類 管轄 金額(億) 配分先 使途内容
義務教育費国庫負担金 文部科学省 26571 地方自治体へ 公立小中教員の給与の1/2を充填(1学級40人制の場合、
少人数制で教員が増える時の給与は地方が負担する).
老人医療給付費負担金 厚生労働省 22615 地方自治体へ
療養給付費等負担金 厚生労働省 18580 地方自治体等へ
生活保護負担金 厚生労働省 15132 地方自治体へ
介護給付費等負担金 厚生労働省 9662 地方自治体へ
老人保健医療費拠出金負担金 厚生労働省 9315 地方自治体へ
下水道事業負担金 国土交通省 8904 地方自治体等へ
児童保護費等負担金 厚生労働省 7662 地方自治体へ
国家公務員共済組合負担金 各省庁 5884 各省庁の共済組合
財政調整交付金 厚生労働省 4729 地方自治体へ
この会計の交付金は16.8兆で、「当分の間」の義務教育費国庫負担金の暫定的な見直しに伴う地方特例交付金が計上されているから、ここから補助金1.1兆を捻出し、合計では17.9兆である.補助金関係は合計20.4兆.残りは一般会計からの繰入であるが、これは記載が各省庁だったり社会保障名なので、補助金の仔細を調べるだけでも容易ではない.補助金の内訳は公共事業が25%、文教・科学振興15.7%、社会保障54.4%である.さて、義務教育費国庫負担金は文部省経由で地方へ分配されるのだが、実際には2.6兆あるので、残り1.5兆は、一般会計文部科学省分から計上されていると思われるが、こちらの予算財源では配賦財源としか記載がない.義務教育費国庫負担金の使途は表の通りで、「三位一体改革」での削減に関しては文部科学省が強力な反対、総務省は賛成.肝腎の地方は混乱しているが、概ね賛成となっている.以下、詳細は別項目に改める.
4 2)交通安全対策特別交付金.
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
交通反則者納金
雑収入
前年度余剰金
798
0
62
交通安全対策特別交付金
諸支出金

予備費
789
6
2
860 797
当分の間の会計で、財源は交通違反者納金である.この納金は見込み額だから、歳出と差がるのはやむをえない.しかし歳出分は確実しているので、違反が少なければ予算額までより取締りを強化して集金しないと赤字になるわけである.年度末に帳尻併せの取締りが強化されるわけである.しかし余剰金は62億もあるのに反則金は上がっていく.結局、余剰金が美味しい体質を生むことには変わりがない.
私の意見:国は地方を財政(交付税)で縛っているのであるが,、地方も財政難を理由におんぶせざる得ない状況なのである.世界的にみても、日本の自治に権限がないのは際立っておりその原因が税収の不足等にある.本来、所得税の一部を地方税として移譲すれば、地方財源は欧米並みになるのであるが、各省庁はピラミッド型権力を守りたいが為に、この特別会計を死守するものと思われる.結局、政治を変えなければいけないということなる.
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「財務省ホームページ」
3)「「三位一体」改革とマニフェストが日本を変える」自治・分権ジャーナリストの会編集:公人の友社