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メス! 食糧管理特別会計(農林水産省) ⇒ 会計的には一般会計で間に合うが、この会計から日本の食糧事情が判明!
1 食糧管理特別会計法(大正10法37)に基づいて設置された.他に、
・飼料需給安定法(S27法225)
・農産物価格安定法(S28法225)
・主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(H6法113)
の法に基づいて、米・麦・でんぷん・輸入飼料等の買入、売渡し等を管理する.勘定は、米・麦・輸入食糧・農産物安定・輸入飼料の5つの勘定に、調整勘定と業務勘定がプラスされている.資金の管理を調整勘定で行って、各勘定の負担を軽減しているが複雑になる.
●食糧管理特別会計(概要)
T 本特別会計の概要 (平成15年3月31日現在)
ア 根 拠 法 食糧管理特別会計法(大正10年法律第37号)
イ 会計設置年月日 大正10年4月1日
ウ 会計設置の目的 次に関する一切の歳入歳出は、一般会計と区分し、特別会計を設置(食糧管理特別会計法第1条)
@ 食糧の需給及び価格の安定のために行う、次の食糧等の買入、売渡、交換、貸付、交付、加工、製造及び貯蔵
@ 食糧(米、麦等の主要食糧)
A 農産物等(農産物価格安定法により政府の買い入れる農産物等)
B 輸入飼料
A 米穀等及び麦等の輸入に係る納付金の受入
B 平成12年改正農産物検査法附則第3条第1項の規定による農産物の検査
エ 勘定の有無 有(@国内米管理勘定、A国内麦管理勘定、B輸入食糧管理勘定(以下、@ないしBの3勘定を「食糧管理勘定」という.)、C農産物等安定勘定、D輸入飼料勘定、E業務勘定、F調整勘定)(食糧管理特別会計法第1条ノ2)
(注)各法令に基づき当省が作成した.
1)調整勘定:下表のような内容である.

(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金.は問題点.は他会計への資金提供
1)調整勘定:平成16年度の予算.
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
一般会計より
他勘定より
食糧証券及び借入金
雑収入
2289
8142
9637
0
国債整理基金特別会計へ
食糧買入費等財源他勘定へ
8864
11204
2兆0068億円 2兆0068億円
この会計は、米・麦・輸入食糧・農産物安定・輸入飼料の5つの勘定からの受入と雑収入以外は借金ということである.その額、1.2兆円.この会計は独自に食糧証券を発行している.食糧証券及び借入金とあるが、9337億全てが証券(割引短期証券)である.債務が多いのはやはり問題.
2 2)国内米管理勘定
予算は7689億である.調整勘定からは、6522億弱円が配分される.弱と書いたのは、勘定記載は「他勘定から」となっているので、調整勘定以外からの受入もあるのかもしれないが記載がない.会計としては明朗ではない.
さて、日本米は、消費が減って生産過剰となった為、H7年に食管法を改定して大きな転換をはかったのです.生産能力1400tであるが、1000万t程度に生産調整している訳である.しかし、政府の扱う国内米の売買と管理では、いまだに赤字が出る(H16年は654億)ので抜本的な対策が必要である.

平成7年に食糧管理法(いわゆる食管法:1942年制定)が改正され、新たに食糧法となった.正式名称は、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(食糧法) である.従来の食糧管理法との主な違いは次の点.
・政府管理から民間流通を軸とした制度運営への移行.
・政府米を軸に自主流通米の価格形成を誘導する方式から、自主流通米価格形成センターで形成された自主流通米価格を軸に、政府米価格を  決定する、市場原理を導入した方式への移行.
・備蓄、生産調整、ミニマム・アクセスの法制化.及び、三者を有機的に運用する計画制度の確立.
 (責任の所在を、備蓄では政府が主で民間が従、生産調整では政府が従で民間を主としていきます.)
・生産者がお米を政府に売り渡すことを義務化した厳格な流通ルート規制の大幅緩和と、多様な販売方式の承認.

全くお上の言葉は要を得ない.新食糧法は米の取引を完全な自由市場とするものではない.米は主食の作物であることに変わりはないので、国の管理は続くのである.新食糧法の具体的な特徴としては、次のようなものがあげられます.
@ 米不足の事態に備えるための「備蓄」と米過剰を防ぐための「生産調整=(減反)」を法的に初めて位置づけたこと.
A 政府が取扱うのは、輸入米と右の備蓄米に限り、しかも備蓄米については数量を一定に限定すること.
B 米流通の中心は自主流通米とすること.
C 流通ルートの指定・許可規定を緩和し「登録制」にするとともに種々のルートを認めること.
D 価格について市場原理をさらに導入すること.
E 流通自由ないわゆるヤミ米(自由米)も届出さえあれば法的に公認したこと.

ついでに世界の米事情.お米は、アジアの国々を中心に約60カ国で作られ、2001年の世界全体の米の生産量は、もみベースで5億8千万トン余りです.一番生産量の多いのは中国で、以下、インド、インドネシア、バングラデシュ、ベトナム、タイの順になっています.こんなに沢山生産されるお米ですが、貿易で輸出入される量は2,500万トン程度で、日本の消費量の3倍位の量です.いちばん輸出量の多いのは年間600万トン以上に達するタイで、世界の輸出量の4分の1を占めます.ベトナムや中国、インドも輸出の多い国です.大規模な農場で機械化の進んでいるアメリカの輸出量は300万トン、オーストラリアは60万トン程度です.輸入について見ると、世界の半分をアジアの国々が輸入しています.インドネシアは4,900万トンも生産していますが、それでは足りずに輸入しているのです.
3 3)国内麦管理勘定
予算は10310億円.調整勘定からは、1030億円が配分される.ここはきちんと調整勘定よりと記載されている.政府の扱う国内麦の売買と管理では1000億程度の赤字が出ている.麦の消費量は増加しており、米とは違なり自給率が10%程度なので深刻な問題である.作付けするにも自給率1%を上げる為に、琵琶湖の面積ほど作付けしなくてはないらないという.今や、国内産麦は米以上のブランドとなった.
4 4)輸入食糧管理勘定:予算5535億円.問題がすくない.
5)農産物安定勘定   :予算     4億円.問題がすくない.
6)輸入飼料勘定      :予算  530億円.問題がすくない.
7)業務勘定
6つの会計業務にかかわる勘定である.予算1532億円.調整勘定からは、1507億弱円が配分される.弱と書いたのは、勘定記載は「他勘定から」となっているので、調整勘定以外からの受入もあるのかもしれないが記載がない.会計としては明朗ではないのは米勘定と同じである.ここに固定資産の管理はここで行われているようである.
私の意見:食料自給率は40%で、世界最低である.
参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「財務省ホームページ」「農林水産省ホームページ」
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