▲TOPへ ▲立花医院診療案内へ

メス! 漁船再保険及漁業共済保険特別会計(農林水産省所管) ⇒ 農業関連特計と同じ.「漁業」となっただけ!
1 漁船損害等補償法(S27法28)に基づく、
 ・普通再保険
 ・拿捕・抑留を対象とする漁船特殊再保険・漁船船主責任に係わる再保険・漁船積荷再保険
漁船乗組員給与補償法(S27法212)に基づく、漁船乗組員の抑留を保険事故とする乗組員給与保険の再保険
漁業災害補償法(S39法158)に基づく、漁業共済事業
の4勘定と業務勘定の5勘定を有する.
要は、こういった危険を伴う保険を引受けた民間保険会社(各漁業組合)は、公益法人を設立し窓口を1つし再保険をかける.それでも払いきれない部分は、国に再々保険を掛けて保障してもらっていることになる
.この再・再々保険に係わるの経理である.平成16年度の予算は以下となっている.
(注:億以下の単位は切り捨てているので合計が合わない事がある.赤字は借金関係.は問題点.は他会計への資金提供)
1)業務勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
一般会計より 11 業務取扱費
予備費
11
0
11億円 11億円
事務経費は、全額一般会計から出資されている.事務費は全体額176億の6.6%を締めているから、単価が高いか、職員数が多いわけである.
2)普通再保険勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
再保険料
一般会計より
前年度繰越金
雑収入
3
71
16
5
漁船再保険費
漁船再保険振興費
漁船保険中央会交付金
予備費
24
0
65
5
95億円 94億円
予算の3/4は、一般会計から出資されている.その他は繰越金である.再保険料が目減りしているのは、加入者の減少によるが、余剰金は125億.
傘下の公益法人である漁船保険中央会に65億円を交付するから、一般会計から交付されるのと同じである.仕組みは下記を参照されたい.
3)漁船特殊保険勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
特殊再保険料
前年度繰越金
雑収入
1
0
0
漁船特殊再保険費
漁船保険振興費
予備費
1
0
0
1億円 1億円
採取の件数は非常に少ない.余剰金45億.

4)漁船乗組員給与保険勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
給与再保険料
前年度繰越金
雑収入
0.2
0
0.1
給与再保険費
予備費
0.2
0
0.3億円 0.2億円
余剰金は13億.

5)漁業共済保険勘定
歳入(単位億円) 歳出(単位億円)
保険料
一般会計より
前年度繰越金
雑収入
0
75
78
0
漁業共済保険費
漁業共済組合連合会交付金
予備費
28
47
2
153億円 77億円
この会計は余剰金も多いが負債も多い.繰越負債285億円という.共済と名のつく勘定はどの会計でも、余剰金もあるが負債が多い.負債は一般会計から補われる.保険料収入は100万円に満たないが、歳出は28億.業務委託を受ける、47億もの交付金を支給されている漁業共済組合連合会とは何でしょう?これも農水省傘下の公益企業(法人)である.内容は下記参照.
2 漁業人口は農業同様、多いに減少している.H4までは就業人数34.2万であったが、H14は24.3万人である.従って保険料は減る一方で、共済保険料収入に至っては、100万円に満たない.結果、一般会計からの受入れは増えるのだが、負債も余剰も有無とうことなら廃止して一般会計に繰入れたほうが、国民の負担は減るというものである.食用漁業生産高も漁業人口減少に伴い減少しており、需要は減っていないから輸入に頼っているわけである.自給率はH14年で53%であるから、現在は50%をきっている.
漁船保険中央会とは?

漁船保険中央会は、全国49の漁船保険組合が会員となって設立された中央団体(公益法人)で、普通保険などの再保険事業を行うほか、漁船保険事業の健全な発達を図るために必要な調査・指導及び助成事業を行っています.漁船保険とは、これら漁船の海難事故による自船の損害や第三者に与えた損害などを補償し、漁業経営の安定を守るために、漁船損害等補償法という法律に基づき実施されており、我が国の稼動漁船の大部分が加入しています.漁船は、我が国の沿岸、沖合から遠洋まで世界中の海域で約24万隻が稼動しています.

・設 立: ・設立総会:昭和27年10月23日 ・設立認可:昭和27年12月25日---農林省令27水第10509号で、農林大臣の設立認可
・目 的: 漁船損害等補償法に基づき、漁船保険事業等の健全な発達を図るとともに普通保険再保険事業等を行う.
・会員数: 漁船保険組合49組合(地域組合47、業態組合2)

漁船保険制度は左図の構成を持ち、漁船損害等補償法という法律に基づいて実施されている保険です.

漁船保険は、漁業者が組織する漁船保険組合が保険の引受を行い、その保険の一部を漁船保険中央会が再保険を行っています.(特殊保険は国が再保険を行っています.)

また、国は普通保険(満期保険積立部分を除く)、漁船船主責任保険(基本損害)及び漁船積荷保険の再々保険を行っています.

(著者注!)
地震再保険と全く同じ構造である.

漁業共済組合連合会とは?

第1条 この連合会は、会員たる漁業共済組合の組合員を構成する中小漁業者のために、漁業災害補償法(昭和39年法律第158号.以下「法」という.)の規定に基づき、漁業再共済事業及び地域再共済事業を行うことを目的とする.

第2条 この連合会は、前条の目的を達成するため、会員が法第77条に掲げる漁業共済事業及び法第196条の12に規定する地域共済事業(この連合会の地域共済規程第1条において規定する種類の地域共済事業に限る.)によって被共済者に対して負う共済責任を再共済する事業
及びこれらに附帯する事業を行う.

と定款にある.つまりは、漁業再共済事業及び地域再共済事業を行う公益法人である.
[漁業共済の機構図][趣旨]
いま、わが国漁業は、漁獲量規制の導入など新しい資源管理時代へ移行したものの、引き続く魚価の低迷や漁業資源水準の低下などによる漁獲金額の減少、毎年のように発生する台風・魚病・赤潮などの漁業災害により漁業経営は不安定な状況に置かれております.

このため、国の水産政策の一環として昭和39年以来、漁業災害補償法に基づき漁業者の相互扶助精神のもと漁業共済事業(ぎょさい)が実施されており、漁業経営安定対策として、また災害対策として長年にわたり重要な役割を果たしてきております.

水産食料を国民に安定的に供給していくためには、漁業再生産と漁業経営安定を確保し将来にわたり漁業者が安心して漁業を継続できるようにしなければならないと考えます.そのために漁業共済団体は行政機関、漁協系統団体等と密接な連携を取りつつ漁業経営安定のための「ぎょさい」制度の活用に全力をあげ取り組んでおります.

参考 1)「特別会計への道案内」松浦武志著:創芸社出版
2)「財務省ホームページ」「農林水産省ホームページ」
3)「全国漁業共済組合連合会・漁船保険中央会各ホームページ」