Metabolic Syndrome

生活習慣病 糖尿病 高血圧 高脂血症 肥満 喫煙と肺がん

病気は「遺伝要因」「外部環境要因」「内部環境要因」の関与により起こる.
■「内部環境要因」に最も影響を与えるのは日々の「生活習慣」であるという.
 
■科学的根拠の元に、生活習慣(成人病)の指標を見つけることが重要です. 

糖尿病(本邦の罹患者数約690万人)

・動脈硬化を惹き起す最大の原因の一つです.
・診断は空腹時の採血で血糖を測定します(右図)
・初期症状は
  /口渇
  /多飲・多尿
  /体重減少・全身倦怠感
・治療は適正体重の維持・運動・薬物治療
・合併症
  /糖尿病性網膜症
  /腎症→合併すると透析になる人が多い
  /神経症
  
高血圧

・動脈硬化を惹き起す最大の原因の一つです.
・診断は血圧測定によります(右図)
  /70歳以上は
・原因不明が90%.
・初期に症状はない.
・治療は原因を除去すること.通常は、
  /減塩食・適正体重の維持・運動・薬物治療

    リバロッチ型水銀血圧計
脂血症・高コレステロール血症

・動脈硬化を惹き起す最大の原因の一つです.
・診断は血液検査で4種の脂質を測定します.
 各脂質ごとに正常値があります.
  /総コレステロール
  /HDLコレステロール(良いコレステロール)
  /LDLコレステロール(悪いコレステロール)
  /中性脂肪(トリグリセリド)
・LDLコレステロールの酸化・変性が動脈硬化の原因となる 粥状硬化を促進する原因です.
従って、LDLコレステロール  値が重視されます.身体の状態、病気の現病・既往から  適正なコレステロール 値の範囲が推薦されています.
■□ 重要!治療
高コレステロール血症 220mg/dl以上
高LDLコレステロール血症 140mg/dl以上
高HDLコレステロール血症  40mg/dl未満
高トリグリセライド血症 150mg/dl以上
肥満

肥満と肥満症は同じ意味ではありません.肥満には程度と 質の問題がありまして、健康を障害する肥満を肥満症とい います
・なるべく簡便に肥満度を測定する方法がBMIを利用する方 法です(右図).
・健康障害の有無又は内臓蓄積脂肪の有無により肥満と
 肥満症を区別します.即ち
   /健康障害を有する肥満
   /内蔵脂肪蓄積を有する肥満
 を肥満症と診断します.
 
標準体重(kg)=身長(m) x 身長(m) x 22  
    BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
BMI 判定
18.5未満 低体重
18.5〜 普通
25〜 肥満1度
30〜 肥満2度
35〜 肥満3度
40〜 肥満4度
*男性でウエスト85cm、女性でウエスト90cm以上は内臓型肥満の疑い
喫煙・タバコ

喫煙による癌発生のリスクは非喫煙者に比し下記.
・全がん 1.65倍
・喉頭がん 32.5倍
・肺がん  4.5倍(受動喫煙は1.19倍)
・口腔がん  2.9倍
喫煙開始年齢が早いほど、本数が多いほど率は上昇!

ニコチン依存度の自己チェック(左表)

・0-3点  :低い
・4-6点  :普通
・7-10点 : 高い

タバコ指数

・本数 x 年数 :300以上は肺がん発生率が高い.
起床後何分で最初の喫煙をしますか? 5分以内
30分以内
60分以内
60分以上
禁煙場所での喫煙が難しいですか? はい
いいえ
1日の喫煙の中で、どこがやめ難い? l起床後
その他
1日のタバコの量は? 31本以上
30本以下
20本以下
10本以下
1日の中で起床後数時間にタバコの量が多いですか? はい
いいえ
殆ど一日中、床に伏す病気の時も喫煙しますか? はい
いいえ
* 高コレステロール治療開始の値は?
  アメリカでのフラミンガム研究や日本の久山町研究では、心血管系の障害のリスクはコレステロールのみならず、高脂肪食、糖尿病、高血圧、喫煙、心電図異常のような多くの因子が危険因子であることがわかりました. 一方、Multiple Risk Factor Intervention Trial という疫学調査では、コレステロール値の違いや食事療法の有無で心疾患の発症率に差はなく、コレステロールも食事療法では低下しないという報告もあり混乱が生じています.

日本でコレステロールに関する臨床試験「Japan Lipid Intervention 」通称J-LITが、初めて行われ報告されました.その成績は各医学誌に掲載されているところです.J-LITは、コレステロールが220mg/dl以上の35歳から70歳までの男性と、閉経後の女性を対象とし、心筋梗塞、脳血管障害発作の新鮮例(発症一ヶ月以内)、コントロール不良の糖尿病患者、重篤な肝疾患と腎疾患、二次性の高脂血症、癌その他の悪性疾患患者を除外した約5万2千人の対象に、シンバスタチンを6年間服用させた疫学調査です.比較対照の薬はありません.その結果、シンバスタチンに顕著なコレステロール低下作用のあることが証明されましたが、注目すべきは死因とコレステロールとの関係です.総死亡数は840人でした.以下、その解析です.

ガンは総コレステロール値が低いほど死亡率が高く、完全に逆相関の関係にあり、総コレステロール値が高いほどガンにならず、280mg/dl以上の超・高脂血症患者が一番低い値でした.心筋梗塞、その他の心疾患、突然死、脳血管系疾患、その他の血管系疾患、その他、原因不明、事故・自殺の項目の総死亡率は、コレステロール最低値群(180mg/dl未満)で最大となり、次が最高値群(280mg/dl以上)でした.心筋梗塞の死亡率は基準群(200〜219mg/dl)に比し、最低値群は、なんと8倍、ガンは2.6倍に増えているのです.一方、280mg/dl以上の群では心筋梗塞や突然死が増えており、余り総コレステロール値が高いのも良くないことが明らかになりました. 総死亡率からは、総コレステロール値が200から280mg/dlの範囲では殆ど差はないということです.安全域を考えれば、総コレステロール値のみからは

相対リスクの無い方 :200-260mg/dlは無治療
相対リスクの有る方 :200-240mg/dlは無治療
心血管系の既往者 :200-220mg/dlは無治療

治療もこの範囲に保つ事が良いと考えます.コレステロールと心血管病変にはJカーブが存在するということです.コレステロールのコントロールはスタチン系が最も優れます.下げ過ぎないようにすべきです.