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脳血管障害 CVA
脳の血管病変による脳の機能的・器質的障害が24時間以内に急激に発症する病態.かつては死因の第1位にあったが現在は第3位.脳出血、くも膜下出血、脳梗塞が主なる疾患.くも膜下出血を除き、生活習慣により引き起こされる.
・脳出血 |
脳の基底核部の細小動脈である穿通枝動脈の血管壊死に基づく微小動脈瘤の破裂による.脳血管障害の20%程度を占める.原因は高血圧のことが一番多い. |
・くも膜下出血 |
脳動脈の分岐部に出来る動脈瘤の破裂が原因.瘤部は中膜、内弾性板が欠損しており破れ易い.瘤の形成は喫煙が関与する.脳血管障害の10%程度. |
・脳梗塞 |
脳血管が血栓により閉塞することにより発症する.特に、心臓等脳血管以外で形成された血栓によるものを脳塞栓と呼ぶ.穿通枝動脈の閉塞とより太い皮質枝動脈の閉塞に分類される.原因は高血圧と動脈硬化による.
単一臓器の単一疾患で最も死亡数が多く、重度の後遺症を残しやすい.
一過性脳虚血発作TIA |
7.7% |
不変 |
概ね30分以内に回復する脳血管障害 |
アテローム血栓性梗塞・塞栓(大血管の梗塞) |
30.5% |
増加傾向 |
徐々に症状の現れる進行性の梗塞 |
ラクナ梗塞(小血管の梗塞) |
29.4% |
減少傾向 |
無症候性の事も多い、小さな梗塞 |
心原性脳塞栓 |
25.0% |
やや増加 |
発症が突然で、大きな梗塞と成り易い |
その他の梗塞 |
7.4% |
不変 |
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・予防策 |
高血圧を予防するが最も重要である.次にハイリスク者の把握と指導.
降圧目標値は140/90mmHg、特別問題がなければ老人も同じ.塩分6g/日.喫煙・高脂血症・糖尿病・心房細動は、促進因子である.無症候性脳梗塞の場合、予防は促進因子を除外することが先決. |
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・診断 |
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1主症状 |
意識障害(いつもと比べると変である!) |
2随伴症状 |
・頭 痛→くも膜下出血・小脳出血・椎骨脳底動脈系脳梗塞
・麻 痺→手や足を動かさない.顔が変.よだれを流す.
→しゃべらない.しゃべるのが下手だ.二重に見える.
・刺 激→けいれん.不穏・ふるえる.
・めまい→めまいだけか?自分が揺れるか?周りが回るか? |
3どのように起こったか? |
突然起こった(日中)⇒くも膜下出血・脳塞栓・脳出血
突然起こったがみるみる悪くなっている(日中)⇒脳出血
突然起こったが30分以内になおった(朝夜)⇒一過性脳虚血発作
段々悪くなっいる(朝夜)⇒脳梗塞
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4脳出血か梗塞か? |
いつもと比べると変であれば、直ぐに受診すること!
脳に病変が有るか無いか?有れば、出血か?梗塞か?直ぐ調べる!
とにかく診察を受け、至急CT検査を受けることが大切です.
通常の検診では、動脈硬化指標として頚動脈エコーが簡便、次いでMRIやMRAが正確. |
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■脳梗塞・塞栓の治療--脳卒中治療ガイドライン(2004/3)は右adから:http://www.jsts.gr.jp/jss08.html |
急性期 |
全身状態が安定しているなら、脳圧の管理と血圧の管理が重要で最も大切. |
3時間以内の脳塞栓 |
線溶療法 |
tPA静(rtPA静注)☆ |
適応HIHSS>4点,JCS<100.心原性梗塞で保険適用となった.期待されるが時間との戦いあり.高血圧は要注意. |
血管拡張術 |
積極的に行われていない |
6時間以内の脳塞栓 |
局所線溶療法 |
ウロキナーゼ動注 |
H13年から導入された治療NIHSS5〜22が適応.
エビデンスが無い.保険適用外 |
48時間以内の脳血栓 |
抗血小板療法 |
アスピリン |
再発予防効果は高くない.心原性は非適用 |
プレタール |
再発予防効果は高い |
抗凝固療法 |
ノバスタン、
スンノロン(アルガトロバン注) |
心原性、ラクナ型には非適用 |
5日以内の脳血栓 |
抗血小板療法 |
キサンボン、カタクロット
(オザグレルナトリウム注) |
心原性は非適用 |
全身線溶療法 |
低容量ウロキナーゼ゙静注 |
エビデンスがない |
7日以内の脳血栓 |
脳保護薬 |
ラジカット(エダラボン注) |
全て適用 |
急性期を過ぎたら
(1ヶ月以降) |
1)血圧の管理・促進因子の管理
2)非心原性梗塞では、抗血小板療法(アスピリン>>プレタール、ペルサンチン、プラビックス、パナルジン).
心原性梗塞では抗凝固療法(ワルファリンのみ.キシメラガトラン治験中). |
■くも膜下出血の治療 |
未破裂脳動脈瘤 |
発見事項(頭痛・めまいの精査/脳梗塞の精査/脳ドック).血圧管理が最も重要.
10mm以下の単発嚢状動脈瘤は自然破裂が少ない(0.05-0.5%).血圧に注意し経過を診る.10mm以上は1%程度.手術死亡率1%、後遺症4-10%程度あり.但し、予防手術の適用は患者のリスクにより異なる. |
破裂能動脈瘤 |
クリッピング手術 |
開頭手術を行い動脈瘤をクリップする. |
血管内コイル塞栓術 |
動脈血管内操作治療.コイルによる塞栓術. |
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