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急性冠症候群ACS
突然、左前胸部が痛くなれば真っ先に疑われるのが急性心筋梗塞です.近年は概念が変わり典型的なものは、ST上昇型急性冠症候群と診断されます.死亡率も高く緊急の対応が必要です.本邦では、虚血性心疾患は死因の第2位となっています.
胸痛を主訴とする疾患--急性冠症候群 |
■急性心筋梗塞AMI
(ST上昇型ACS)
■不安定狭心症UA
(非ST上昇型ACS)
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AMI緊急対応
1:酸素吸入
2:ニトログリセリン舌下
3:血管確保:2%リドカイン静注を考慮
4:鎮痛薬:塩酸モルヒネ又はレペタン静注を考慮
5抗凝集療法:アスピリン1錠を砕いて内服
⇒専門医転送 |
*1992年に、心筋梗塞を含めた心臓の虚血性の病気を急性冠症候群とすることが提唱された.これは、冠動脈の内皮の損傷に基づく病態で、プラークの形成破綻、内皮のビラン・潰瘍に血栓性の狭窄・閉塞が生じるとする.これに、冠攣縮による病態も含める. |
胸痛を主訴とする疾患--その他 |
■解離性大動脈瘤
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1:血管確保
2:降圧
3:疼痛管理 |
スタンフォード分類AorB |
■肺梗塞 |
1:酸素吸入
2:疼痛管理 |
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失神を来たす循環器疾患--不整脈 |
■徐脈性--脈が遅くなる |
アダム・ストークス症候群
完全房室ブロック
洞機能不全症候群
(高K血症) |
緊急対応
1:硫酸アトロピン静注
2:イソプロテレノール点滴静注
3:(経皮)ペーシング
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■頻脈性--脈が速くなる |
発作性心房細動
発作性上室性頻拍
心室頻拍
心室細動 |
緊急対応--血行動態の確認
各論参照
心室細動は直ちに除細動を(AEDを活用)! |
失神を来たす循環器疾患--その他 |
■血管迷走神経反射NMS |
失神は不整脈や神経反射による血管拡張など種々の原因により血圧が低下する為に起こる一過性の可逆的意識障害.頻度の多いは神経反射.
・血管迷走神経反射--痛み・不快な光景・体験・長時間立位等で誘発
・頚動脈洞過敏症---首の屈曲・伸展で誘発される
・状況失神--------排便・排尿・咳嗽等で誘発 |
1)ST上昇型ACS
(急性心筋梗塞AMI) |
心電図で確認
(Q波とST波に注目する) |
検査は心筋マーカーキットが簡便
(トロポニンT・H-FABPのキットあり) |
発症12時間以内なら |
異常Q波とST上昇
・Q波梗塞
・非Q波梗塞 |
1:緊急心カテにて治療 |
2:血栓溶解療法 |
発症12時間以上なら |
高リスク又は心原性ショック |
1:緊急心カテにて治療 |
中リスク又は低リスク |
1:保存的治療 |
2)非ST上昇型ACS
(狭心症) |
症状重視.心電図確認は低率
(負荷心電図・ホルター心電図) |
亜硝酸薬舌下が有用だが完全ではない |
安定狭心症 |
促進因子排除
薬物療法
PCI・CAGB |
胸痛時、ニトログリセリン舌下(スプレー)を最大2回使用し、改善がなければ不安定狭心症に準ずる |
不安定狭心症 |
自覚症状に変化のある時、胸痛が改善しない時は、AMI緊急対策に準じ速やかに専門医受診. |
治療目的は、狭心症症状の改善と予防、予後の改善である.その点で、促進因子排除が最も肝腎である.修正可能なライフスタイルの改善が求められる.即ち、禁煙・血圧管理・コレステロール管理・糖尿病予防・肥満予防である.
「狭心症の診断と病態把握」のガイドライン、「予防と治療」についてのガイドライン、「PCI」についてのガイドラインが発表されている.
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内科的治療のトピックス |
1)診断--心筋梗塞の疑いは、トロポニンT・H-FABP(心筋ダメージをキットで判定)を確認する.
心電図とH-FABPで異常がなければ、翌日(24時間後)心電図orトロポニンTで再確認. |
2)治療--発症後6時間以内ならt-PAを静注する. |
2)冠動脈形成術(PCI)---血管が2.5mmまでの病変に第一適用となる
労作性狭心症 |
1枝病変では内科治療、PCI、外科療法(CABGバイパス術)で差はない.2枝病変ではPCI、CABGで差がない.3枝病変はCABGが優れる. |
不安定狭心症 |
早急にPCIを行うべきである. |
心筋梗塞 |
厳密な条件下に、PCIを行うべきである. |
PCIで問題なのは再狭窄率である.近年、血管内膜増殖抑制薬をコーティングしたステント(DES:シロリムス)が開発され成績が良い.単なるバルーン形成術のみで終わらず、血栓を切除する方法が加味されている(DCA、ロータブレータ).
*CABGは、DES及びPCIの開発に左右されてくる. |
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