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食道がん
がん全体の5%.発症数は横ばいの状態.胃癌の1/10であるが予後は比して悪い.喫煙・アルコール常習・刺激の強い食事内容が発症にかかわっている.
症状 |
早期のものは無症状.腫瘤・潰瘍の形成に伴い、しみる感じ・つかえる感じ、前胸部痛、通過障害が現れる.進行ともに食欲低下・体重減少をきたす. |
当院 |
当院での発見の機会は、有症状者の内視鏡検査によるものです. |
診断 |
・上部消化管内視鏡検査
・食道X線造影検査
[画像検査]:病型と進達度が重要である.両者を駆使する必要がある.肉眼分類は表在型と早期癌(浸潤がsm3までで、リンパ節転移がない)と進行型に分けている.発育部位は、中部胸部食道>下部>上部の順番で、頚部食道・腹部食道は少ない.組織形は、扁平上皮癌が90%であるが、腺癌はbarrett上皮癌が増えている.
表在型 |
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0-T |
表在隆起型 |
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0-U |
表在平坦型 |
更に、Ua軽度隆起・Ub平坦・Uc軽度陥凹と3つに分ける |
0-V |
表在陥凹型 |
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進行型 |
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胃癌のボルマン分類と同様である. |
[進達度診断]:最も重要な要因であるが、正確な進達度診断は難しい.リンパ節転移が最大の関心事となるので、m1-sm1で見つけることが肝腎であるが、実際は難しい.
表在型 |
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m1 |
粘膜上皮内に限局する癌 |
リンパ節転移が稀で、内視鏡的粘膜切除術が適応となる.
(腫瘍径3cm以内、2/3周内病変、3-4個まで。表在拡大型には注意が必要) |
m2 |
1-2の中間 |
m3 |
粘膜筋板を超えない癌 |
リンパ節転移はm3で10%、sm1で15%認められる.
治療は手術が原則であるが、手術適応がない場合はEMR. |
sm1 |
粘膜下組織1/3までの浸潤 |
sm2 |
粘膜下組織2/3までの浸潤 |
この浸潤からリンパ節転移は40%以上となる.
治療は拡大手術となる.平均5年生存率は50%+-であるが、stageV、Wは30%,20%と成績が悪い.再発も20-65%ほど有る.手術のほかの治療法として化学放射線療法がある.こちらは奏効率50-65%.CR50-65%との報告がある.
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sm3 |
筋層へは深層浸潤していない |
進行型 |
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mp |
固有筋層浸潤 |
p |
漿膜浸潤 |
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治療 |
1) |
確立された治療法は、m1・2に対するEMRである.リンパ節転移がなければ生存率は理論的に100% |
2) |
m3、sm1に対しての手術もほぼ確立されてはいるが、化学放射線療法が進歩したので治療側にジレンマが生じている.最近の文献では両者の治療成績は均衡している.合併症は、食道炎、口内炎、骨髄抑制.食道狭窄、放射線性肺繊維症. |
3) |
病巣が多発する場合、壁内転移と原発性多発が考えられが鑑別は困難.前者はリンパ管侵襲とするが粘膜がんが多い. |
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注目 |
・内視鏡診断 |
ルゴール染色は表在型には必須.トルイジンブルーとの二重染色も有用 |
・バレット腺癌 |
逆流性疾患の増加に伴い、下部食道部扁平上皮の腺化性がおこり、ここから腺癌
が発症しやすいという. |
・化学放射線療法 |
化学療法単独・放射線療法単独では成績が伸びなかったが、化学療法をすることで、放射線感受性が高まり併用への道が開けた.
・外科側:併用では腫瘍の取り残しがあるので、局所再発の問題が残る.
・併用側:手術で腫瘍をとっても高い確率でリンパ節再発が起こる. |
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