「キーファー・サザーランド自らを語る」おこし |
「Inside the Actors Studio」でキーファー・サザーランドが出演した時のTVおこしです。本当に丁寧にプライベートを語っていますので、このインタビューだけでキーファーの事が丸分かり! |
ジ・・・ジェームス・リプトン キ・・・キーファー・サザーランド | |
ジ | 今回のゲストは10代後半に映画でデビューし、出演作は役60本、「ベイボーイ」ではカナダのアカデミー賞にノミネート「スタンド・バイ・ミー」「ロスト・ボーイ」「再会の街」「ヤングガン」「1969」「フラッシュバック」「フラットライナーズ」「アフュグッドメン」「連鎖犯罪」「ダークシティ」「フォーンブース」そして「気まぐれな狂気」を監督し出演。ゴールデングローブ賞と俳優組合賞(SAG賞)を取りました、この上なく緻密でTVシリーズで見せた見事な演技「24」のジャック・バウアー(なぜか紹介写真は24_3の全裸のジャック)。アクターズ・スタジオはキーファー・サザーランドを迎えられる事を誇りに思います。 |
キーファー登場、ジェームスとしっかり握手、生徒に手を上げて挨拶し座る。 | |
ジ | キーファーは「24」の撮影を抜け出して来てくれました。彼の時間を作る為にスタッフが配慮をしてくれた事に感謝します。実は2日後に彼はお祝いの日を迎えます。一番の乗りで言います。ハッピーバースデー! |
キ | ああ、ありがとう。 |
ジ | 以前にいらしたゲストのご子息をお迎えするのは、今日が初めてです。親子をたたえる日にしましょうか?一応お父様の名前を。 |
キ | 父の名はドナルド・サザーランド(生徒より、フーフー!!と声) ドナルドパパと一緒に映った2歳ぐらいの金髪フワフワのキーファーの写真。 |
ジ | お母様は? |
キ | 母の名はシャーリー・ダグラス |
ジ | お生まれは? |
キ | ロンドンで1966年に生まれました。 |
ジ | 正式なお名前は? |
キ | キーファー・ウィリアム・フレデリック・デンプシー・ジョージ・ルーファス・サザーランド |
会場大笑い | |
ジ | こんなに長い名前は初めてだ。ご両親から名前の由来を聞きましたか? |
キ | ウィリアムは分からない。フレデリックは父方の祖父、ジョージは父の親友、あとルーファスも分からない。 |
ジ | キーファーはどこから? |
キ | 父の初期の映画の脚本家ウォーレン・D・キーファーから |
ジ | お母様の祖父は誰ですか? |
キ | 実は母方の祖父はかなり特別な人だった。名前はトミー・ダグラス。 |
ジ | なぜ特別? |
キ | 僕はカナダ人だけど、祖父は最近史上最も偉大なカナダ人に国民から選ばれた。カナダの共同連邦党と新民党の党首を務め、サスカチュワン州知事になり、医療制度に貢献した。 |
シ | とても有名な制度ですよね? |
キ | ちゃんと機能しているね。 |
シ | おじい様の思い出は何かありますか? |
キ | 17歳の頃まで毎年夏を一緒に過ごしていた。 |
シ | 多くを学んだ? |
キ | ああ、明快な教えだった。「お前は利口だ。正しい事は分かるはずだ。全力でそれに従え」僕は時には過ちを犯した事もあるよ。だけど人生にどう取り組むか難が正しいかについて、祖父は教えてくれたんだ。道を選ぶのは自分だという事もね。 |
ジ | 存命中に公の場で感謝を伝えられなかったのが残念だとか。 |
キ | 心からの感謝を |
キ | 映画で一回だけ賞の候補になった時、ぜひ受賞したかったのはその為だったんだ。16か17歳の頃でベイボーイでカナダのアカデミー賞の候補になった。 |
ジ | ええ |
キ | その時、頭に浮かんだのはもし受賞したら2分間ぐらいのスピーチができて、祖父に感謝できるという事だった。どれだけ恩を受けたかをね。僕の人生の良い部分はすべて祖父のおかげだと。 |
ジ | 今言えましたね |
キ | ええ、聞いててくれたかな(空を見上げる) |
ジ | お父様はこの場で社会的・政治的活動の話も。お母様も熱心に政治活動を? |
キ | もちろん、祖父を見て育ったから、祖父はサスカチュワン州を変えたんだ。だから母は1人でも物事を変えられるという信念を持っていて行動した。 |
ジ | そしてカナダから勲章を贈られた。 |
キ | ええ、カナダから勲章を受けたよ。大変な名誉だ。 |
ジ | あなたは授賞式の時、どんな服装でしたか? |
キ | キルトを着たんだ。(青地のタータンチェックのキルト姿のキーファーが映る) |
ジ | サザーランド家のタータン柄が? |
キ | あるよ。ダグラス家にもね。 |
ジ | 兄弟がいますか? |
キ | 双子のシスターレイチェルと父の違う兄トムと母の違う三人の弟がいる。 |
ジ | レイチェルさんとはどちらが上ですか? |
キ | 7分僕の方が年上だ。これからもずっとだ(力説に生徒笑う) |
ジ | バイオリンを習ったとか |
キ | ・・・・うん。うん4歳の頃、母が習わせた。 |
ジ | ギターを習いたかったそうですね? |
キ | そう |
ジ | 叶いましたか? |
キ | バイオリンは12歳までで、あとがギターを |
ジ | レッスンも受けて? |
キ | 受けたよ |
ジ | 「ワラの王座」という劇に出たのは? |
キ | 10歳の時だ。 |
ジ | どこで? |
キ | ロスアンジェルスの劇場だ。なぜ役をもらえたかというと、バイオリンを弾く場面があったからで、劇にすぐに夢中になったよ。 |
ジ | 両親の別離は、この番組で最もよく聞かれる話題です。何歳の時に? |
キ | (えーっとって感じで)3歳の頃だね。 |
ジ | 何か覚えてますか? |
キ | いつかまた母と暮らす?と父に何回も聞いた・・・今聞かれて初めて思い出したよ。父に何回も聞いたんだ。すると両親は・・・時間をかけて説明してくれた。 |
ジ | その後はお母様と過ごした。 |
キ | ああ、ただ母は今後の生活の為に家を離れて準備が必要で、だから最初の約半年は父と暮らした。父はヒゲを伸ばして長髪で他の親と(外見が)えらく違っていた。あの頃の父は、まあ、他の親の事は知らないが、父は下着をつけなかった(生徒から笑い)。彼が言うにはパンツをはくのは尻を黒く塗るようなものだとね。 |
ジ | 本当? |
キ | ああ、人とは明らかに違う父をかっこいいと思った。とってもとっても楽しい時間だった。 |
ジ | あなたは何度も転校しましたね。 |
キ | 母は以前は女優としてたくさん仕事をしていたが、12年間休業していた。特に女優にとっては12年間は大きなブランクだが、母は女優に復帰した。ところが僕は優秀じゃなく問題児だった。 |
ジ | なぜ? |
キ | うーん、どういう訳か何もかもこっけいに見えたんだ。えーと、うーん・・・通知表にはこう書かれていた。「リーダーの資質はあるが、皆を悪い方へ導いている。そんな訳でできれば他の学校へ・・・」(生徒笑い)そんな訳で14校転々としたよ。 |
ジ | そんなに |
キ | うん、僕を変えてくれたのが、セントアンドルース校だ。 |
ジ | 学校でスポーツを |
キ | 陸上トラック競技で一番いい成績を出した。オンタリオ州の決勝までいつも残ったよ。クロスカントリーもやった。一番好きなのはアイスホッケーとスキーだ。 |
ジ | ホッケーでも活躍を |
キ | まあね。兄には負けるがライトディフェンスだった。 |
ジ | 今でもやりますか? |
キ | やるよ。 |
ジ | チーム名は |
キ | レンジャーズ。15年一緒にやっているよ。 |
ジ | 10代の初めオタワで何が起きましたか? |
キ | 母が国立芸術センターに出演するのを見た。バージニア・ウルフの芝居だった。引き込まれて現実を忘れてしまったよ。舞台にいるのが母なのをね。僕がやりたいのはこれだと感じた。だってすごいと思ったんだ。母と息子という密接な結びつきさえも、忘れさせるなんてね。一夜の芝居がそこまでできるとは、ものすごい力だ。だから僕も知りたいやってみたいと思った。 |
ジ | 何歳まで学校に? |
キ | 15歳で家を出て学校も辞めた。 |
ジ | 学校も? |
キ | ああ、辞めた。 |
ジ | どこかに身を隠した。 |
キ | しばらくね。16歳になればね、カナダの法律的に独立できる。やがて出会ったのが、えー、ダニエル・ペトリ。大好きな人だ。彼はすばらしい監督で「アパッチ砦」など撮った。「ベイ・ボーイ」に僕を起用してくれた。沿岸地域の青年の成長を描いた物語だ、ノバスコシア州のね。僕は幸運にも主役を手にした。 |
ジ | ご両親からアドバイスを? |
キ | とてもすばらしかったよ。僕が演技について迷ったら、電話してくるってちゃんと分かっていたんだ。すごく心配だったろうに、新しい道に踏み出すのを見守ってくれて、本当に感謝しているよ。 |
ジ | 17歳の頃、お父様の映画をビデオで初めて見たとか。友達の家で |
キ | ええ、「カサノバ」や・・・「コールガール」「戦略大作戦」・・・ |
ジ | 「M・A・S・H」? |
キ | うん、そう「M・A・S・H」。その時初めてね。 |
ジ | お父様に話しましたか? |
キ | 電話して泣いたよ。父のすごさを知らずにいて、悪い息子だと感じた。父に電話したら話しているうちに泣き出してしまったんだ。父が特別な人なのを知らずにいたのを謝った。本当に心からね。 |
ジ | お父様まら助言があったとか? |
キ | ええっと・・・・「嘘をつくな。いつも自分に正直に、自分の中で答えが見つかるまで待て、もし自分の内から出したものではなく、外から得られたもので何かやろうとしても、行き詰る」とね。でも若者の常で僕は信じなかったが、いろいろやってみて父が正しいと分かった。 |
ジ | 「ベイ・ボーイ」の出演料でNYに来た。 |
キ | ええ、自分を試したかった。映画「フェーム」を見て憧れたよ(笑)。でも怖かった、最後までね。1年しかいなかった。 |
ジ | でどこへ? |
キ | (ちょっとニヤリと笑って)ハリウッドに来たよ。 |
ジ | すぐに仕事を得られた? |
キ | 3ヶ月たらずでオーデションに受かった。スピルバーグの「アメージングストーリー」 |
ジ | ああ、そう。 |
キ | TVシリーズの1つのエピソードで出演は僕やケーシー・シマスコー(ヤングガンのチャック)、ケビン・コスナーそして監督がスピルバーグ。彼の作品に出ると何がすばらしいかというと、出演が決まった瞬間からみんなにすごい俳優だと思ってもらえる。スピルバーグが認めたんだとね。 |
ジ | 「スタンド・バイ・ミー」の監督は? |
キ | ああ(会場から拍手)大好きな監督だよ。ロブ・ライナー。あれはすばらしい体験だった。多くを学んだよ。 |
シ | たとえばどんな事を? |
キ | 撮影中の時間が貴重なのに、彼は若い僕達を一日10時間働かせたりはせず、4時間ゲーム感覚の演技トレーニングをした。その間スタッフはロングからアップまで撮れる万端の準備を。そういう取り組みに見られる監督の自信がスタッフとキャスト全員に伝わった。 |
ジ | カルト映画の古典となった「ロスト・ボーイ」出演のきっかけは? (会場から盛大な拍手) |
キ | ありがとう。監督のジョエル・シュマッカーが「ロンリ・ブラッド」の僕の演技に注目してくれたんだ。セリフは数行だけだったのに、そのイメージから起用してくれた。彼とは4作で組んだ。撮影現場はとても居心地がいいし、彼の映像感覚は独特だ。あれほど自由な発想で既成概念を打ち破る人はいない。 |
ジ | 多くの俳優は一度はカウボーイ役に憧れる。「ヤングガン」のような西部劇に興味が? |
キ | ああ、あれは大好きだった。「ヤングガン」のすぐ前に「シルバラード」が作られて、西部劇が復活すると思ってうれしかったよ。 |
ジ | 「ヤングガン」には誰が? |
キ | ビリー・ザ・キッド役のエミリオ・エステベス、ケーシー・スマシコー、僕だろ、ルー・ダイアモンド・フィリップス、チャーリー・シーン。 |
ジ | 楽しかった? |
キ | 衣装を着て馬に乗り銃を持つのが、待ちきれなかった。イケてると思ってね。うん、最高だったね。 |
ジ | 私は番組の準備をするたびにうれしい発見をします。今回は「フラッシュバック」という映画に感心し、「ミッドナイトラン」を連想しました。どういう話だっけ? |
キ | 僕がFBI捜査官、デニス・ホッパーが政治活動家、僕は彼をワシントンに連行する任務を負っている。処罰する為にね。 |
ジ | あなたは堅物捜査官、ホッパーは断固たる究極のヒッピー。 |
キ | ああ・・・ |
ジ | まさに彼だ |
キ | そうだね、彼の為に作られた役さ。 |
ジ | デニス・ホッパーは十年半前に来てくれたゲストです。 |
キ | そうなんだ。 |
ジ | 共演してどうでした? |
キ | デニスはアーティストと思える人と初めて共演した気がしたね。彼は絵を描き脚本も書き、映画も撮る。家のロフトにはステージがあって劇をやるんだ。彼は熱意の塊だ。モテたいからじゃなく、内なる力に突き動かされて、自分を表現している。そういう人との仕事は胸が踊ったよ。僕はモテたくて俳優に(生徒笑う) |
ジ | もちろん他の動機も |
「フラットライナーズ」を撮り終えて、人がどう思おうと自分は心から満足だったとか。 | |
キ | ええ、英国で仕事中に、ジョエルから話が来た映画だ。 |
ジ | 監督からですか? |
キ | 脚本にとても興味が沸いた「ペーパーチェイス」の医学生版だな、と。あれはリアルな映画だった。でも「フラットライナーズ」のセットに入ったら、コーナーには自由の女神の頭のレプリカがあった。そして巨大な金属の箱から50本ものゴム手袋が突き出していた。訳が分からなかったよ。奇妙な雰囲気で医学とは無縁に見えた。僕はすっかりうろたえて「OH!これは何だい。ばかげている何のつもりさ、すまないが僕は降りるよ、ジョエル。これじゃ付いてゆけない!」(生徒クスクス笑い)って僕がまくし立てたら(キーファー思い出して吹き出す)ジョエルは追いかけてきて僕の背中をさすった(やさしーくネコの背中をなでるような仕草で)彼がすごく大柄だから、猫をなでるみたいだね。(生徒笑い)「ゆっくり息をして〜。どうだい楽になったかい?」そしてこう言った。「まさか私が君のキャリアを考えていないとでも?その逆だよ、だから信頼してほしい」で、やった。 |
ジ | この映画は過ちを認める事を訴えていると思います。 |
フラットライナーズの場面:ジュリア演じるレイチェルにキーファー演じるネルソンが最後の電話を掛け、過ちを告白する。 | |
ジ | お母様に電話したくなったとか? |
キ | ああ、この映画のテーマは”理解”だ。誰かを理解する事。うーん、そして自分自身や人に対する責任を理解しようとする事だ。 |
ジ | 仕事を選ぶ時、最も重要な要素は? |
キ | 脚本を普通の本と同じように読んで、でその物語に感動するかどうかだ。ある役を演じたいという理由で選ぶ事はない。重要なのは物語そのものだ。どの役でも演じたいと思える物語かどうかだ。 |
ジ | 「フラットライナーズ」の後、映画の仕事は休業状態に。「アフューグッドメン」で復帰しようと思った理由は? |
キ | 監督がロブ・ライナーだったから。 |
ジ | ロブの作品にまた? |
キ | ええ、僕に出演依頼があった時、トム・クルーズとジャック・ニコルソンの出演は決まっていなかった。彼らの出演が決定した時は、本気で出演したい強い動機になったよ。 |
ジ | 1997年に監督し出演した映画は何でしたか? |
キ | 「気まぐれな狂気」だよ。 |
ジ | 監督をやろうと思った理由は? |
キ | ぜひ映画にしたい題材だった。1970年代の大好きな映画を思わせたよ。「フリービーとビーン」「重犯罪特捜班」のようなね。B級より少し上の切れ味のいい犯罪映画だ。 |
ジ | 監督しつつ出演もしましたね。2つをどう両立させましたか? |
キ | 信頼し合える俳優を集めたよ。俳優と心が通じ合う事が大切だと思い、初めからそういう姿勢で取り組んでいった。セットの準備やカメラの配置などがどうであれ、よほど問題がないかぎり、俳優たちと通じ合えばうまく行くよ。俳優が監督を務める大きな利点の1つは、僕の経験では、俳優たちととても仕事はしやすい事だ。自分だけ”安全地帯”にいる普通の監督とは違い、俳優の立場が分かり、接点を持ちやすい。 |
ジ | ええ |
キ | 自分をさらけ出さなければならない苦労が分かる。同じ苦しみを知るもの同士共鳴できるんだ。 |
ジ | なぜ異色作「連鎖犯罪」に? |
キ | ははは・・・製作総指揮のオリヴァー・ストーンの大ファンなんだ。あれほど不謹慎な脚本は初めて読んだよ。 |
ジ | そうだね(みんな苦笑い) |
キ | あれほどの悪役も見た事がなかったから、最初はためらった。そうしたらO・ストーンに会ってくれと言われた。言いくるめられるのは分かっていた。彼も分かってて僕も分かっていたさ。結局受けてしまった(うつむいてしまうキーファー、嫌だったのか!?)でも、やると決めたら実に面白い役だったよ。歩き方や何やら工夫の余地が多くてね。あれほどいろいろやれる役はなかなかない。見た目もやる事も風変わりだった。タバコの煙をノドに開いた穴から出したり、とにかくおかしくて撮影中大笑いだった。 |
ジ | 的確な批評をするR・エバートはR・ウィザースプーン(2006年アカデミー賞主演女優賞おめでとう!)とあなたが絶妙に演じた物語を「赤頭巾ちゃん」に例えた。その通りでは? |
キ | そうだね。 |
ジ | 1997年特別な状況で舞台に出演しましたね。 |
キ | ええ |
ジ | どこで? |
キ | カナダの国立芸術センターで「ガラスの動物園」に出演した。 |
ジ | 誰と共演を? |
キ | 母だ。 |
ジ | どんな経験でしたか? |
キ | すばらしかった。幕が開くと隅に一家の父親の写真があって、僕は言う「父はもういない。3歳の時に出て行ったんだ」で姉を指差し「僕が面倒を見なくては、母の面倒も・・・」家を出ようとする若者の物語だ。・・・・初日になって突然気がついた。これは僕の人生だよ。(見たいですねーーー)(生徒笑う)この劇に出るなんて奇遇だなと、その時からあの劇にはとても思い入れがあるよ。 |
ジ | 次は私の好きな話題、馬について |
キ | んん〜 |
ジ | 馬好きなゲストは多い、あなたの場合きっかけは? |
キ | モンタナ州にエミリオ・エステヴェスを訪ねた。(エミリオはなぜモンタナに住んでいたの!?)彼は最高にいい人だったし、最高に賢い人だ。ホワイトフィッジ湖畔の彼の家を訪ねた僕はそこに引っ越して7年住んだ。 |
ジ | モンタナに? |
キ | ああ、住んだ理由の1つは、またとないいいスキー場がある事だった。雪が消えた後、どうしようかと、クォーターホースを数頭手に入れて、暇つぶしを始めた。そんな時、カウボーイのすばらしい友人ができて、ジョニー・イングリッシュって言うんだけど、投げ縄を教えてもらった、で、その2,3年休暇をとって投げ縄に熱中したよ。 |
ジ | ロデオ大会にも? |
キ | ああ、出場したよ。 |
ジ | 二人で投げ縄をする種目とか? |
キ | ええ。(チームローピングです。カウボーイウェイでペッパーとソニーがやってましたね) |
ジ | どのくらい勝ち進みましたか? |
キ | 1994年と96年に全米大会の決勝まで(これはかなりすごい事ですよ!) |
ジ | 優勝した大会は? |
キ | アリゾナ、ニューメキシコ、ロサンゼルスの大会だ。すごく幸運だった。 |
ジ | 賞品はバックル |
キ | バックルと鞍だった。 |
ジ | あなたの言葉の中で私が注意を引かれたのがこれです。「腕の刺青は僕を物語る」 |
キ | はははー(笑いながらなにやらゴソゴソしだす) |
ジ | 「死んだ時に弔辞は不要だ。ただ腕を見てくれ」 |
キ | (タバコを取り出してくわえる) |
ジ | 実にうらやましい・・・・どんな刺青ですか? |
キ | (くわえたタバコを外して)どんな?ええ・・・・ここには、主に住んでいる地域にちなんだものだ。グアダルーペの聖母とスペイン語のフレーズ「我らは死ぬまで兄弟」大切な友人のために彫ったとても私的なものだ。うちの家紋もあるよ。スコットランドの家紋だ。強い心のシンボルや、マオリ族の刺青もある。ニュージーランドで見たデザインだ。 |
ジ | 見せていただいても? |
キ | (左腕をめくって)これだ。 |
ジ | ちょっとそのままで・・・。(だれか生徒?の名前を呼ぶ)見えるかい?私にも似合うと思わないか?(生徒大笑い) |
生徒 | きれいだけど、大きいわ。 |
ジ | え?ええ??? |
キ | (実に楽しそうに)いつから提案を? |
ジ | 出会った頃からですよ。語るも涙だ。ついに賛成するかな・・・。これでダメなら一生無理だ。さて、いよいよ次はあの作品です。まず題名が独特、数字だけです(ニッコリ)。「24」に出演した経緯は? |
会場から大拍手、キーファー会釈 | |
キ | えっと、腕のいい監督スティーヴン・ホプキンズがTVドラマを手がけるので、脚本を読んでみる気はないかと言う。僕は「大歓迎さ、今僕が見ている傑作の半分はTVだよ」彼は脚本をくれて、題名は「24」リアルタイムで話が進むという。全く想像がつかなかった。(生徒大笑い)出演を決めたのは、人物相互係わり合いが気に入ったからだ。みんな欠点のある人物だ。主人公は不倫経験があり結婚生活をやり直そうと努力中、娘はいう事を聞かない、まさに僕だよ。身につまされる。(生徒笑い)その彼の任務(キーファー吹き出す)国家の安全を守る事なのも面白い。 |
ジ | そうですね(生徒大笑い)。自分の生活もコントロールできないのに。 |
キ | ええ、そう描いた。とはいえ当初はどういう作品になるか、誰も分かっていなかったが、できるだけカッコよく作りたかった。二人の脚本家が毎日現場に来てみんなが意見を言い、2人が見事な脚本に仕上げたよ。 |
ジ | 「24」は多くの点で画期的です。ヒッチコックの「サイコ」の最も画期的な点はスターの1人を早い段階で殺した事ですが、「24」にも同じような姿勢が見られます。 |
キ | ああ、うん。 |
ジ | あなたの妻やメイスンなど主要人物が死んでしまう。 |
キ | ああ、結果としてね。 |
24_3の場面:チェイスの腕をジャックがぶった切るシーン。 | |
キ | 全員で物語を面白くしようとしてきた。この番組の”時間”という要素は、サスペンスの概念を変えた。リアルタイムで時間の流れは、より本能的な感覚を訴えるドラマになった。僕達もそう意識していた。リアルタイムの時間こそが最高のアイディアなんだ。 |
ジ | 時間もスターですね。 |
キ | 俳優の方がそれを生かす立場だ。そして番組自体はいつまでも続くかもしれないけど、俳優はいつ消えるか分からないよ。 |
ジ | (生徒に向かって)将来TVで成功する学生もいるかもしれません。名声と富を得て私たちの自慢の種に。「24」のスケジュールは? |
キ | われわれは7月に撮影を開始して、放送は翌年1月から5月だが、撮影は5月まで続いたから10か月間だ。 |
ジ | 長い期間ですね。 |
キ | ええ |
ジ | 週何日?何時間? |
キ | 週5日、1日12〜14時間だ。 |
ジ | 1話分を何日間で? |
キ | 2話分を合わせて撮影している。ロケやいろいろな面でその方が都合がいいんだ。大体3週間かかる。つまり15〜16日間だから、1話辺り8日だね。 |
ジ | どのくらい自身でスタントを? |
キ | 優秀なスタントマンがついていてくれるが、無謀じゃない程度までは自分でやる。出来る限りね。 |
ジ | ゲストの何人かはこう語りました。「TVシリーズのキャストはいつしか”家族”になる」と。 |
キ | うん |
ジ | 「24」でもそうですか? |
キ | ああ、最高のチームさ。 |
ジ | 見事なキャストです。 |
キ | すばらしいよ。サラ・クラーク(ニーナ役)。彼女を殺すのは辛かった。僕達のキャラクターはいい取り合わせだったよ。困った時は彼女を呼べばすべて解決した。惜しい存在だが・・・ |
ジ | 報いを受けた? |
キ | そうだね・・・。今では出演者は皆僕のそばには来たがらない。だって彼は大勢の人を救っているかもしれないけど、側にいる人物は長くは生きないからね。(生徒笑う) |
ジ | ジャックとあなたはどのぐらい似てますか? |
キ | どんな役の中にも自分はいる。演技を決めるのは結局は自分の感覚だ。ジェームス・ディーンになろうとしても、自分の解釈で彼をまねている僕になる。 |
ジ | ああ、そうだね。 |
キ | うん、ジャックの好きな点は、ヒーローらしさに加えて僕と共通点が多いことだ。彼は良い事をしたいと思っている。しようとした。失敗もするけどね。僕は人を傷つけようと思った事はない。傷つけた事があるとしても意図してはない。全体的な性格はジャックに似ているかもしれないね。 24_2 で原爆を飛行機で捨てに行く途中、キムと話をする場面 |
ジ | 生徒達との対話の前に、私が敬愛するb・ピボーが長年してきた質問を。好きな言葉は? |
キ | 厳粛 |
ジ | 嫌いな言葉は? |
キ | ニガー |
ジ | 心躍るものは? |
キ | 希望(HOPE) |
ジ | うんざりするものは? |
キ | 身勝手さ |
ジ | 好きな音は? |
キ | ギター |
ジ | ギブソン社のですか |
キ | だいたいはね |
ジ | 嫌いな音は |
キ | ・・・・ブレーキ音 |
ジ | 好きな悪態は? |
キ | シンプルさ・・・・ファック |
ジ | 大人気です(笑)、やってみたい職業は? |
キ | プロフェッショナルスキーインストラクター |
ジ | 絶対に嫌な職業は? |
キ | 僕の会計士にはなりたくないよ。(みんな大笑い) |
ジ | 天国の門に着いた時、神様から何を言われたい? |
キ | うーん・・・。何をそんなに怖がっているんだ。心配しないで入っておいで(笑)。 |
ジ | では学生達と(退場) |
生徒 | こんにちは、俳優志望2年です。過酷な撮影の「24」で気力を保つ決め手は? |
キ | 奇妙に聞こえるかもしれないが、決め手は”恐怖”だ。愛する仕事を失うのが怖いし、それに・・・僕を信頼してくれる人達を失望させるのが怖い。そういう恐怖心が大きな原動だ。撮影期間中は次のシリーズに参加できるかどうかは分からない。少なくとも第一シリーズはそうだったから、皆全力投球してそれが仕事の基準になった。いい番組になるかどうかはスタッフ次第だ。同じスタッフがずっといるとは限らず、消える者もいる。きっと俳優より長時間働いているのにね。続投させてもらっている僕は本当に幸運さ。仕事を失う恐怖があるから、返ってがんばれるんだ。 |
生徒 | Hi! |
キ | Hi |
学生 | 役にはいつもどう取り組みますか?どう役づくりを? |
キ | そうだな・・・。僕の主義は何でもできるだけシンプルにする事だよ。まず脚本を読み、自分の役に注目してもう1度全体を読む。映画には結末がある。小説の構造と同じように、人物には葛藤があり、それをめぐり(手を動かしながら語るキーファー)クライマックスがあり、結末がある。僕は役柄をこう分析する。葛藤は何かそれにどう取り組むのか、結末に向けて何をするのか。その中で行動に一貫したものを見る事が出来る。始まりからクライマックス結末までを通じてね。役柄を本に例えれば、その一貫したものが木の幹なんだ。その場面でも常に存在するこの幹が肝心なんだ。それ以外のものはすべて枝葉だ。細かい微妙な枝葉は補足的なものにすぎない。僕の場合は一貫したものが真実味を持って貫かれていれば、他のものは自然とついてくる。 |
学生 | Hi |
キ | Hi |
学生 | 私はマギンです。俳優志望1年です。「24」の大ファンです。 |
キ | ありがとう。 |
学生 | シリーズを通じて、役柄の一貫性が保たれていますね。撮影する数週間、ある一時間の顔を保ち続ける為に、工夫していることを教えてください。 |
キ | 「24」の役作りについて面白いのは時間と言う要素だ。脚本家は大変だろうが、僕にはすばらしい、他の俳優にもそうだろう。一旦撮影が始まるとすごい興奮状態でハイテンションが最後まで続く。普段の僕なら「(のんびりと)やあ、水をくれるかい?」、ジャックなら「(せわしく)おい、水をくれ!」何しろ彼は忙しい。過酷な状況で猛烈に動き回っている。(ニコニコしながら)それを踏まえてすべてを演じているよ。 OK、招いてくれてありがとう。この番組は大好きなんだ(拍手)、本当にうれしいよ。 |
キーファー、ジェームス・リプトンとハグ | |
ジ | ありがとう。 |
キ | みんな、ぜひがんばって。元気で(手を振って退場) |
おわり |
凛子の感想 このインタビューは、俳優学校の生徒に向けたものなので、内容も俳優自身の生い立ちから、映画を選ぶ時、役に取り組む姿勢などをかなり丁寧に話しています。他の作品だけのインタビューでは聞けない話/子供の頃の写真などもあり、キーファー・サザーランドファンとしては見る価値十分のものです。昔からのインタビューでもキーファーの映画を選ぶスタンスはまったく変わっていません「役ではなくどの作品を選ぶか。そしてどの役をやったとしてもそれを光栄に思える作品」・・・という訳で、ヒーロー物とかやってくれないのかなぁ。「三銃士」のアトスだけですもんね・・・。生徒と話している時のキーファーはすごく表情が穏やかで、まるで娘に向けるような視線で、しかし生徒達の質問には一生懸命答えています。ここでもキーファーの誠実さはピカ1でした。それにしても、このインタビューかなり編集されてますよね。全部見たいなぁ。それにジェームス・リプトンは多分すっごいキーファーの事を調べて来ているはず、あの手元の資料くれー!って感じでした。みなさん、この番組はBSで時々再放送もしていますので、機会があったらお見逃しなく! |