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(履歴) | 2000年版 |
☆生チャイ5聴き比べ(同じオケで)
いくら繁忙期だといっても仕事ばかりしていてはココロが摩耗していくばかりなので、そんな状況を打開しようと音楽の入出力を
してみました。まずは手っ取り早く入力ということで東京都交響楽団の演奏による、違う指揮者・違うホールによる同一曲を聴くこと
にしました。2月24日(土)と4月22日(日)の演奏です。2月はジェームス・デプリースト指揮・東京芸術劇場で、職場関係者
からお誘いを受けたありがたいチケットです。
「都民オーケストラフェスティバル」の一環としての演奏会だったせいか、金管楽器に関してはメンバーがなじみのない方々ばかり
です。もちろん小田桐先生も降り番です。なぜなら藤沢市民交響楽団で金管分奏中なのですから。私?仕事が押してとても分奏に間に
合う時間ではありません。そんなこと?もあり、金管は心持ちパワー不足だったかかも...以前チャイ4で聴かせてくれた「天井
から滝のように落ちてくる」サウンドは聴けずじまいでした。
一方、4月の演奏はガリー・ベルティーニ指揮・サントリーホールです。この気合いの入りまくった指揮者の演奏は大いに期待でき
そうですが、とりわけ金管におなじみの方々(もちろん小田桐先生も!)が乗っていらっしゃるので期待は増すばかりです。
まずは前?プロ、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲で加藤知子さんがこれまた気合いの入りまくった、「若い子たちには
負けないわよ!」的、ステキなお姉さまの演奏を聴かせてくれて一気に上機嫌となることができました。いやはや、オジサンどきどき
してしまいました、って彼女の方が年上ですけどね。
そしてチャイ5です。バンバン吹きまくるとてもリハビリには最適の、いい演奏でした。チャイコフスキーはこうきてくれないと
正直言ってガッカリしてしまいます。この演奏はベルティーニ(ちなみに私の父と同い年!)のヴァイタリティあふれる指揮に牽引
されてオーケストラも鳴りに鳴っていたと思います。弦楽器の気合いも金管楽器には負けていなかったです!
同じオーケストラでも指揮者によって、演奏会場によってこんなにも変わってしまうんだな、というのが実感できました。
(2001.4.22)
☆刺激的、そしてオシャレにしてカゲキ、なCD2題
前回紹介したニューヨーク・フィルハーモニック首席トロンボーン奏者、ジョゼフ・アレッシ氏と同首席トランペット奏者、
フィリップ・スミス氏がソロを吹きまくる吹奏楽のCD「FANDANGO」を入手しました。渋谷タワーレコードでの視聴の
印象は褪せるどころか、「こんなに吹くんかい!」と驚かずにはいられない素晴らしい演奏の数々でした。バック?の演奏は
The University of New Mexico Wind Symphonyです。こちらも熱演を繰り広げて
いるのはソリストの影響に違いありません?!(SUMMIT DCD271)
1.William Goldstein:Colloquy(アレッシ)
2.Joseph Turrin:Chronicles(スミス)
3.Derek Bourgeois:Trombone Concerto(アレッシ)
4.Stephen Gryc:Evensong(スミス)
5.Joseph Turrin:Fandango(スミス&アレッシ)
トロンボーン奏者である私のお目当てはやはりアレッシ氏のソロです。1曲目からそのパワフル、かつ尋常ではないソノリティ
は「耳を疑う」といっても過言ではないかも!?METのトロンボーン奏者でアレッシ氏の弟子である山本浩一郎氏が師匠にイヤ
というほど言われ続けたことを、アレッシ氏の演奏はまさに体現しているようです。「こんな音を出してみたい、吹いてみたい。」
という夢を抱かせてくれる、そんな演奏です。
一方、スミス氏の演奏もアレッシ氏と対等な戦いを挑んでおり、それを実現しています。特にトランペット奏者ではなくても、
同じ金管楽器奏者、いや、音楽をやっている人間ならこの演奏を聴いて感心せずにはいられないのではないでしょうか?!さすが
渋谷タワレコで一時品切れ状態に陥っていただけのことはあります。こういうCDを見つけだして販売してくれるタワーレコードの
バイヤーの方々にも拍手を送りたい気持ちでいっぱいです。
もう1枚のCDはうってかわって(でも、感心するという面では共通性がありますので...)椎名林檎のマキシシングルCD
「真夜中は純潔」なのです。ジャケットの写真を見たとたんちょっと引いてしまうかもしれませんが、それもまた一興、ぜひ聴いて
みていただきたいのです。(Virgin TOCT−22155)
1.真夜中は純潔(演奏:新・東京スカパラダイスオーケストラ)
2.シドと白昼夢(演奏:東日本スウィングパラダイスオーケストラ)
3.愛妻家の食卓(演奏:全日本スケルツォパラダイスオーケストラ)
1曲目はいわずと知れた元・東京スカパラダイスオーケストラのメンバーが演奏しています。いいノリ出しているんです!
2曲目にはなんと!トロンボーンで中川英二郎氏(ちなみに彼はフジTVの「HERO」のサントラにも参加している模様)、
トランペットでエリック宮城氏、ドラムで村上”ポンタ”秀一氏など、ジャズしまくりの豪華ゲストが参加しています!
3曲目の最後を飾る粋なアコーディオンは?と思ったら案の定coba氏による演奏でした。
こんなに豪華な演奏、しかもヴォーカルはあの相変わらず過激な林檎おかあさん(まだか?)なのです。おまけにアレンジは
ノリノリ+なんともオシャレ!+粋なカンジ、とくれば1,200円(税別)はむしろ安いといえなくはあるまいか。
(宇野功芳ばり?)
忙しい最中であるがゆえのゼイタクな時間の使い方をしてみたい、そんな今日この頃なのです。
(2001.4.4)
☆驚異的?トロンボーンCD二題
夜勤の前に度が合わなくなったメガネのレンズを入れ替えに表参道に出かけました。平日の朝の表参道は人どおりも少なくなんとも
さわやかです。メガネのレンズをオーダーし、ついでに渋谷のタワーレコードにちょいと、寄ってみました。お昼前のタワレコも休日
とはうってかわって、店員の数が客の何倍も大勢いる始末。おかげで時間もないのにゆっくりCDを探すことができました。
まずは渋谷タワレコの得意中の得意とする管楽器コーナーです。ドイツの楽器メーカー、タインのHPで紹介されていた、ロッテルダム
フィルのバス・トロンボーン奏者であるベン・ファン・ダイクのCD「Nana」が入荷していました。(BVD2000−1)
このアルバムでは単にバス・トロンボーンだけではなく、チンバッソとのデュオやアルト、テナー、バス、コントラバス・トロンボーン
によるブルックナーの作品が収録されていたり、ニューヨーク・フィルの首席トロンボーン奏者、J・アレッシとのデュオがあったりと
思ったとおり楽しめるものでした。さすがに渋い。(ダジャレ!)一番役に立ったのは?どんな楽器で演奏しているのかが明記されている
ことです。トロンボーンの音色は「これがコントラバスだ!」と書いていないとわかりにくい(これもよっぽどヤバイことかも?)もの
ですが、これならはっきりと判別できます。
その他、タワレコにはJ・アレッシの「ファンダンゴ」というCDが視聴機にかかっていて、ちょっとだけ聴いてみて即!予約を入れて
しまいました。恐るべし、タワレコ...
もう一つは私にしては珍しいジャズのアルバムです。スーパー・トロンボーンによる「テイクファイヴ」です。(VACM−1171)
これはジャズ・トロンボーンの名手4人(ジム・ピュー、レイ・アンダーソン、デイヴ・バージェロン、デイヴ・テイラー)による異色の
カルテットです。輸入管楽器店「シアズ」のHPに紹介されてました。タイトル曲「テイクファイヴ」や「ウイ・アー・オール・アロン」
といった有名曲も収録されていたので、「まあいいや」と思って購入しましたが...いやはやスゴイのなんの!ジャズ・トロンボーン
特有のハイノートとペダルトーンが炸裂しています!こういう世界もなかなかイカすものだなぁ、とつくづく思いました。私には全然吹け
そうにないですが。いろいろな意味で刺激となることは間違いないでしょう!オススメの2品です。
(2001.3.22)
☆ショスタコーヴィッチの「革命」聴きまくり!
今年5月に催される藤沢市民交響楽団の定期演奏会は2つの「第5」交響曲が演奏されるという、まるで来日オーケストラがやるかのような
意欲的?または挑戦的?はたまた聴衆ウケを狙ったかのようなプログラムを用意しております。前回このページではベートーヴェンの「第5」
交響曲のCD自慢?を繰り広げてしまった私ですが(数を多く持っているだけで全然自慢になっていない気もしますが)せっかくのチャンス
なので降り番ではありますがショスタコーヴィッチの「第5」交響曲の紹介もしてみたいと思います。
1970年代前半以前の録音と比較的最近の録音とでは、第4楽章のコーダの部分をどのように演奏するか(特にテンポ)の解釈が大きく
異なっているらしい、というのはよく聞く話です。これには「ショスタコーヴィッチの証言」という本に書かれた彼自身のこのコーダに関する
記述が影響しているらしいというのですが...(単なる「歓喜」ではなく「強制」された「歓喜」だとか)
ちょうど吹奏楽をやっている中学生がこの曲に出会うと、いきなりハマることがあるようです。私もご多分に漏れずそんな少年のひとり
でした。その頃はRCAレーベルが大好きでユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の演奏と、のちにCDでも購入した
アンドレ・プレヴィン指揮のロンドン交響楽団(それまで映画音楽の分野で大活躍していたプレヴィン自身の、クラシック音楽ジャンルでの
指揮者デビュー盤といわれています)に聴き入っていたのを思い出します。トロンボーン吹きならやっぱり第4楽章の出だし!そして単純明快
なコーダのティンパニの連打にシビれまくるというのが典型的なハマり方でしょうか?!
そんな私もオトナになってその頃のワクワクした気持ちを忘れてしまったのでしょうか?今回ショスタコーヴィッチの「第5」を聴いていて
もなんだかドッと疲れてしまい、カゼまで引いてしまう始末です。(これは関係ないか...)音楽評論家の宇野功芳氏曰く、「この世の中
に星の数ほどいる作曲家の中でもネクラ度が非常に高いのはショスタコーヴィッチだ!」(だいたいこんなことだったと思います。)世間の
ことがわかってきたオトナの私にとっては、もはやショスタコーヴィッチの作品は心の救いにはなり得ないのでしょうか?
「目には目を、歯には歯を。ソヴィエト(ロシア)ものにはソヴィエト(ロシア)を!」という旧共産党もびっくりのモットーを掲げている
かのように、旧ソヴィエト連邦や現ロシア共和国のオーケストラ、もしくは出身の指揮者による演奏が多くを占めています。ヒネクレ者の私と
しては「シャルル・ミンシュ指揮:パリ管弦楽団」とかいう縁起でもない演奏を聴いてみたかったです。むしろこれに近いと思われる演奏は
「シャルル・デュトワ指揮:モントリオール管弦楽団」ではないか?と思いますが、この私がその演奏を聴きたいと思うわけもないので、当然
リストには載っていません。
私のオススメは録音が悪いながらもベートーヴェンでもいい感じ!だった「ムラヴィンスキー:レニングラード・フィル」の演奏だといって
しまいましょう!「またか...」と思われるか「やっぱり!」と思われるか、どちらにせよ「聴かないでおく手はない!」演奏です。残念
ながら録音状態がよいといわれているウィーンでのライブを持っていなかったのには、私としてはちょっとオドロキでしたが。(現在廃盤中
らしいのです)
気合いが入っているといえばバーンスタインの来日公演ライブも聴き逃せません。やはり録音がよくないのですが、ニューヨーク・フィルの
サウンドも聴きごたえがあり、粘っこいバーンスタインの指揮も存分に楽しめるのではないでしょうか。
同じユダヤ系でもインバルの演奏は冷静です。オーケストラ、特にトランペットのピッチの悪さ(コーダ寸前はもうヤバイ!)が気になら
ないのであれば、サウンド的にも楽しめます。ローブラスはかなりバリバリいわせていますし、ホルンはまるでチューバのよう!録音はいいと
いわれていますが、パリパリしていて私の好みではありません。
やっぱり濃いのがお好み!とおっしゃるのならば、ビシュコフの演奏がいいでしょう。オーケストラもベルリン・フィルだけになにもいう
ことはありません。一言でいって「バリバリ!!」ビシュコフの解釈も個性的で当時センセーショナルなデビューを飾ったのも十分納得できる
ものです。特に第4楽章のコーダに向かうあたりは濃い!ドロドロです。
今となってはさわやかな演奏はこの曲にふさわしいと思えませんが、どうしても!とおっしゃるのなら最初に紹介した、かつてLPレコード
でも所有していたプレヴィン:ロンドン交響楽団の演奏がいいかも知れません。例の「ショスタコーヴィッチの証言」以前の演奏だけあって、
特に終楽章は快速!まさに歓喜で終わるのです。若々しい、初々しいと表現できるかも知れません。かといって他の楽章が足らないかといえば
そんなことはなく、満を持してのデビュー盤だったことがうかがえます。
暗いんだか明るいんだかよくわからないショスタコーヴィッチの「第5」交響曲ですが、私のベストはドミトリー・キタエンコ:モスクワ・
フィルハーモニー管弦楽団の来日公演における実演だと思います。この時は2曲プログラムでもう1曲はなんと!チャイコフスキーの「第5」
交響曲でした...よくやりますよねぇ、まったく。この時はとにかくトランペットが死ぬほど(とはいっても彼自身まったくそんな感じも
しないくらい楽々と)吹きまくっていて、サントリーホールにいる聴衆を脅かしていたのです。後にも先にもあれほどの音量を聴かせてくれた
のは彼以外にいません!おまけにS席なのに10,000円しかしなかったし。キタエンコの解釈も個性的で、第4楽章の冒頭のテンポが異様
に遅く、恐怖感をおぼえるほどでした。しかもパワーバリバリのロシア(当時はソヴィエト)オケそのものでした。比較的トロンボーン達は
おとなしめだったようです。あまり印象にないので...
CDばかりで聴かないで、生演奏のスゴイのを聴けば昔のように夢中になれるかも...しれません。
(2001.1.29)
☆ベートーヴェンの「運命」聴きまくり!
藤沢市民交響楽団の創設者、今は亡き福永陽一郎氏がある音楽雑誌上でオーケストラ奏者がベートーヴェンの交響曲を聴かないことを
嘆いておられました。私はといえば、出番極少のトロンボーン奏者のくせにベートーヴェンの交響曲が好きでたまらなく、それはもう
幸せな体験をしています!次の定期演奏会では久しぶりに交響曲第5番を演奏する予定?になりました。そこで私の所有する「運命」
コレクションの中から「これは!」というものを挙げたいと思います。
前回の定期演奏会で藤響が取り上げたラヴェルのボレロは、すべてのコレクションを紹介することができたのですが...「運命」は
探し出すのも大変な数を所有していることが判明(知ってるくせに!)してしまいました。その数わかっただけでも30種類!とても
全部を聴き比べることもできそうにありませんが、トロンボーンの出番のある第4楽章だけでも全部聴いてみることにしました。
トロンボーン奏者的、私のオススメはセル:コンセルトヘボウの演奏です。とにかくトロンボーンの吹きっぷりがハンパではありません。
第4楽章の293小節目に1stだけAの全音符がありますが、他のすべての音をかき消すがごとく吹き切っています。びっくりすること
間違いなし。(よいこのみなさんはマネしないように、といってもなかなかこうは吹けないです。)
反トロンボーン奏者的なオススメはムラヴィンスキー:レニングラード・フィルの1972年の演奏です。これは1974年の録音が
モノラルなのに対し、ステレオ録音となっています。しかしセルの録音で大活躍のトロンボーンは見事に外しています。(実際にAの音を
外しています。)それを除けば音の切れ味といい、音楽の推進力といい、これ以上望むことができるのか?とも思えるほどの演奏です。
これはちょっと...とおっしゃる方のために、最新録音のアバド:ベルリン・フィルの演奏をオススメします。以前のウィーン・フィル
との演奏と比べるとわざとらしさ(第4楽章の出だしの2分音符を延ばし気味にしてから、8分音符を速くする)が影をひそめ、テンポは
速めながらも繰り返し聴くのに耐えられる演奏だと思われます。ただし、現在は全集のみが発売されていますのでご注意を。
意外な?オススメはプレヴィン:ロイヤル・フィルの演奏です。テンポも速からず遅からず、それでいて気合いは充分!スタンダードと
して通用すると思うのですが...私の趣味は偏っているのでしょうか?!(そのとおり)
(2001.1.21)