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簿記3級・基本テキスト 


3章 商品売買の処理


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3-1.分記法と三分法


「 繰越商品(資産+)  / □□□□□□□   」
「 
仕  入(費用+)  / □□□□□□□   」
「            /
 売  上(収益+) 


  (商品売買の、商品の流れ―→、お金の流れ← - -・)

      ┌―――――→┌─────┐――――――┐ 
      │┌ - - - - ・│ A商店 │← - - - ┐ │
      ││     └─────┘     │ │  
      │↓仕入先              ・ ↓得意先 
    ┌─────┐           ┌─────┐ 
    │ B商店 │           │ C商店 │ 
    └─────┘           └─────┘ 

商品売買の仕訳方法には、"分記法"と"三分法"があります。

"分記法"は[商品勘定(資産の勘定)]、[商品売買益勘定(収益の勘定)]に分けて記入する方法です。商品の仕入と販売の仕訳は以下のとおりとなります。


A商店は、B商店から商品 30万円(30個、@1万)を仕入れ、代金は現金で支払った。
(@は単価を示します)

 →  (借方)商 品  30万 /(貸方) 現 金  30万


A商店は、上記の商品をC商店に 60万円(30個、@2万)で販売し、代金は現金で受取った。

 → 
   (借方)現 金  60万 /(貸方)商   品  30万
               /(貸方)商品売買益  30万

*売上原価 30個×1万=30万 なので、30万円の商品売買益を計上します。


しかしこの方法は、商品を販売するつど、売上た商品の原価を調べる必要があり、実用的ではありません。

そこで、商品勘定を[繰越商品・資産の勘定]、[仕入・費用の勘定]、[売上・収益の勘定]の3つに分割して記入する方法を用います。

これを"三分法"といいます。 商品を仕入れた時は「仕入勘定」で処理し、商品を販売した時は「売上勘定」で処理し、それぞれ「仕入帳」「売上帳」の補助簿に取引きの詳細を記録します。

そして、決算期に商品の実地棚卸しをおこない、期末の商品在庫額を求めます。また前期から繰越された商品と当期の仕入高により、売上原価を求め、売上高より売上原価を差し引いて収益を確定するのです。 (決算の処理は、決算整理の章で詳細解説します。)

 ・期末の収益は、以下の計算式で算出されます。

   売上原価= 前期繰越商品+当期商品仕入高−期末商品棚卸高

   売上総利益= 売上高 − 売上原価


A商店は、B商店から商品 30万円(30個、@1万)を仕入れ、代金は現金で支払った。


 →  (借方)仕 入  30万 /(貸方)現 金  30万



A商店は、C商店に商品を 60万円(30個、@2万)で販売し、代金は現金で受取った。


 →  (借方) 現金 60万 / (貸方) 売上 60万



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3-2.商品売買と補助簿


商品売買の内訳明細を記録するために補助簿を使用します。仕入取引は「仕入帳」に、売上取引は「売上帳」に記録します。

また、商品の増減と残高の管理をするために、「商品有高帳」を使い、商品の種類ごとに記録します。
「商品有高帳」は、受入高、払出高、残高の項目について、数量・単価・金額を記入して商品残高の内訳明細を記録します。記帳する金額はすべて仕入原価で記入し、売価はいっさい考えませんが、商品の払出し単価の決定にはいくつか方法があります。

 "先入先出法"は、先に受け入れたものから順番に払い出すものと仮定して、払出し単価を決定する方法です。
 "移動平均法"は、単価の異なる商品を受け入れたつど平均の単価を計算し、それを次の払出し単価とする方法です。計算式は、(直前の残高金額+受入金額)÷(直前の残高数量+受入数量)で求めます。
 

当月の商品の仕入れおよび売上は次のとおりである。
先入先出法、移動平均法それぞれの方法で商品有高帳を作成しなさい。
5/ 1 前月繰越  5個 @20
5/ 7 仕  入 15個 @24
5/19 売  上 15個 @45(売価)


 → 

               商 品 有 高 帳
 先入先出法による 
 ━━┯━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━
 平成│摘  要┃ 受     入 ┃ 払     出 ┃ 残     高 
   │    ┠──┬──┬───╂──┬──┬───╂──┬──┬───
 ×年│    ┃数量│単価│金 額┃数量│単価│金 額┃数量│単価│金 額
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
 5/ 1│前月繰越┃  5│ 20│  100┃  │  │   ┃  5│ 20│  100
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
  / 7│仕  入┃ 15│ 24│  360┃  │  │   ┃┌ 5│ 20│  100
   │    ┃  │  │   ┃  │  │   ┃└15│ 24│  360
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
  /19│売  上┃  │  │   ┃┌ 5│ 20│  100┃  │  │   
   │    ┃  │  │   ┃└10│ 24│  240┃  5│ 24│  120
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
  /31│次月繰越┃  │  │   ┃  5│ 24│  120┃  │  │   
 ──┼────╂━━┿━━┿━━━╋━━┿━━┿━━━╂──┼──┼───
   │    ┃ 20│  │  460┃ 20│  │  460┃  │  │   
 ━━┿━━━━╋━━┿━━┿━━━╋━━┿━━┿━━━╋━━┿━━┿━━━
 6/ 1│前月繰越┃  5│ 24│  120┃  │  │   ┃  5│ 24│  120
 ──┴────┸──┴──┴───┸──┴──┴───┸──┴──┴───
  
 月初商品棚卸高  100     
 当月商品仕入高  360   *19日の売上数量は15個ですが、まず先に受け入れた
    計     460    もの(前月繰越分)の 5個が払い出されていくもの
 月末商品棚卸高  120    として処理します。
        ────
 売 上 原 価  340

*仕入単価が異なるものを同時に払出した場合、仕入単価が異なるものが残高となった場合、これをカッコでくくります。(カッコがうまく表現できてません..)
 帳簿の締切は、残高の次期に繰越す数量・単価・金額を払出欄に記入し、受入欄の数量・金額の合計と、一致することを確かめて締切ります。


               商 品 有 高 帳
 移動平均法による           
 ━━┯━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━┳━━━━━━━━━
 平成│摘  要┃ 受     入 ┃ 払     出 ┃ 残     高 
   │    ┠──┬──┬───╂──┬──┬───╂──┬──┬───
 ×年│    ┃数量│単価│金 額┃数量│単価│金 額┃数量│単価│金 額
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
 5/ 1│前月繰越┃  5│ 20│  100┃  │  │   ┃  5│ 20│  100
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
  / 7│仕  入┃ 15│ 24│  360┃  │  │   ┃ 20│ 23│  460
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
  /19│売  上┃  │  │   ┃ 15│ 23│  345┃  5│ 23│  115
 ──┼────╂──┼──┼───╂──┼──┼───╂──┼──┼───
  /31│次月繰越┃  │  │   ┃  5│ 23│  115┃  │  │   
 ──┼────╂━━┿━━┿━━━╋━━┿━━┿━━━╂──┼──┼───
   │    ┃ 20│  │  460┃ 20│  │  460┃  │  │   
 ━━┿━━━━╋━━┿━━┿━━━╋━━┿━━┿━━━╋━━┿━━┿━━━
 6/ 1│前月繰越┃  5│ 23│  115┃  │  │   ┃  5│ 23│  115
 ──┴────┸──┴──┴───┸──┴──┴───┸──┴──┴───

 月初商品棚卸高  100   
 当月商品仕入高  360   * 7日の仕入で単価の異なるものを受入れたので、
    計     460    平均単価を計算します。
 月末商品棚卸高  115    100+360/5+15 =@23
         ────
 売 上 原 価  345

*「商品有高帳」には常に、払出数量と残存数量が明かにされているので(これを帳簿棚卸数量といいます)、 「売上原価」が計算されていることになります。

売上原価は 期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高で求めますが、「商品有高帳」の受入欄の前月繰越商品と当月に仕入れた商品の合計を求め、残高欄の金額を差引けば計算できます。
(払出欄の合計金額で次月繰越金額を含めない金額と同額です。)

売上総利益は、売上高 − 売上原価 の計算式で、求められます。
売上高は「売上帳」の合計金額より求め、前記の売上原価を差引いて売上総利益を求めます。

なお、売上原価は、帳簿棚卸数量にもとづくもので、実際には期末に実地棚卸しをして、期末棚卸高を求めます。


A商店の「売上帳」・「商品有高帳」の合計はつぎのとおりである。売上総利益を求めなさい。 


 →    15万

*売上高は、売上帳の金額欄を合計より、売上原価は「商品有高帳」の受入高(52万)−残高(16万)で求めます。
 よって、売上総利益は、売上高(51万)− 売上原価(36万)= 15万
引渡高欄の金額の表示がありこれと同額です。

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3-3.売掛金と買掛金


「 売掛金(資産+) / □□□□□□□  」
「 □□□□□□□  / 
買掛金(負債+) 」

売掛金・資産の勘定]とは、商品の売上や加工、役務提供などによる営業利益の未収金で、信用販売または掛販売によって生じ、得意先に対する債権となります。
 増加は借方に、後日回収し減少したときは貸方に記入します。


A商店は、C商店に商品 30万円を販売し、代金は掛けとした。


 → (借方)売掛金  30万 /(貸方) 売 上  30万



買掛金・負債の勘定]とは、商品の仕入れなどによる代金の未払金のことで、信用買入れまたは掛取引により生じます。
 将来の現金の減少を示し、仕入先に対する債務となります。増加は貸方、後日支払い減少したときは借方に記載されます。


A商店は、B商店から商品 30万円を仕入れ、代金は掛けとした。


 → (借方)仕 入  30万 /(貸方) 買掛金  30万


A商店は、かねてB商店に注文しておいた商品 30万円を受取り、代金のうち 10万円は注文時に支払った内金と相殺し、残りは月末に支払うことにした。


 
  (借方)仕 入  30万 /(貸方)前払金  10万
              /(貸方)買掛金  20万

*商品売買で「月末払い」とあれば、後日代金を支払うことになるので、掛取引となり、未収金勘定でなく必ず買掛金勘定で処理します。
*内金(手付金)は、商品代金の一部を前払いしていたものです。商品を購入したときには、その代金と相殺する仕訳をします。



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取引先ごとの債権・債務の状態を把握するため、取引先の商店名をつけた勘定(これを人名勘定といいます)を設けて仕分けすることもあります。

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売掛金管理のため、得意先ごとに人名口座を設けて発生順に記入する補助簿を「売掛金元帳得意先元帳)」といい、同様に、買掛金債務を明らかにするために、仕入先ごとに発生順に記入する補助簿を「買掛金元帳仕入先元帳)」といいます。

               売 掛 金 元 帳
                大 阪 商 店
  ━━┯━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┳━━━┳━━━━━━━
  平成│摘  要┃ 借   方 ┃ 貸   方 ┃借また┃ 残   高 
  13年│    ┃       ┃       ┃は 貸┃      
  ──┼────╂───────╂───────╂───╂───────
   1/1│前月繰越┃      150┃       ┃ 借 ┃      150
    6│売  上┃      50┃       ┃ 〃 ┃      200
   12│値  引┃       ┃       5┃ 〃 ┃      195
   16│売  上┃      20┃       ┃ 〃 ┃      215
   25│入  金┃       ┃      115┃ 〃 ┃      100
   30次月繰越┃       ┃      100┃   ┃
    │    ┠───────╂───────┨   ┃
    │    ┃      220┃      220┃   ┃
  ━━│    ┃━━━━━━━┃━━━━━━━┃━━━┃━━━━━━━
   2/1│前月繰越┃      100┃       ┃ 借 ┃      100


               買 掛 金 元 帳
                横 浜 商 店
  ━━┯━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━━┳━━━┳━━━━━━━
  平成│摘  要┃ 借   方 ┃ 貸   方 ┃借また┃ 残   高 
  13年│    ┃       ┃       ┃は 貸┃      
  ──┼────╂───────╂───────╂───╂───────
   1/1│前月繰越┃       ┃      230┃ 貸 ┃     230
    8│仕  入┃       ┃      100┃ 〃 ┃     330
   13│仕  入┃       ┃      130┃ 〃 ┃     460
   14│返  品┃      20┃       ┃ 〃 ┃     440
   27│支  払┃      260┃       ┃ 〃 ┃     180
   30次月繰越┃      180┃       ┃   ┃
    │    ┠───────╂───────┨   ┃
    │    ┃      460┃      460┃   ┃
  ━━│    ┃━━━━━━━┃━━━━━━━┃━━━┃━━━━━━━
   2/1│前月繰越┃       ┃      180┃ 貸 ┃     180

*帳簿の締切は、月末の日付で借方と貸方の金額を一致させるため、月末の残高を借方または貸方に記入し、摘要は次期繰越と記入します。この時、日付・摘要・金額とも朱記(赤で記入)またはカッコ書きします。
また、上記の表では太線になっていますが、実際は赤の二重線(これを締切線といいます)で締切ります。その後に、翌月初の日付で前月繰越分を借方または貸方に記入し、残高も忘れず記入します。



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3-4.仕入諸掛りと売上諸掛りの処理


「 発送費(費用+) / □□□□□□□  」

商品を仕入れる際に要する付帯費、商品を販売する時に発生する付帯費など、商品の売買に伴う諸費用を"諸掛り"といいます。


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3-4(1).仕入諸掛り


商品を仕入れる際に要する引取運賃、運送保険料、関税などの仕入付帯費仕入諸掛り)は、商品の[仕入・資産の勘定]に合算して処理します。

なお、仕入付帯費(仕入諸掛り)を立替払いした場合は、先方負担の費用とし、仕入には加算せず立替金で処理するか、または買掛金と相殺します。


B商店から商品 50万円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、引取運賃1万円は現金で支払った。


 
  (借方)仕 入  51万円 /(貸方)買掛金  50万円
               /(貸方)現 金   1万円


B商店から商品 50万円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、引取費用1万円は現金で立替払いした。


 
  a)(借方)仕 入  50万円 /(貸方)買掛金  50万円
    (借方)立替金   1万円 /(貸方)現 金  1万円
  または、
  b)(借方)仕 入  50万円 /(貸方)買掛金  49万円
                 /(貸方)現 金   1万円

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3-4(2).売上諸掛り


商品を販売する時に発生する、発送運賃、荷造費用、運送保険料などの売上付帯費売上諸掛り)は、[発送費・費用の勘定]などで処理するか、[販売費・費用の勘定]を設けて一括で処理をします。

なお、売上付帯費(売上諸掛り)を立替払いした場合は、先方負担の費用とし、売上には加算せず立替金で処理するか、または売掛金に含め処理します。


C商店に商品 10万円を販売し、代金は掛とした。なお、発送費1万円は現金で支払った。


 
  (借方)売掛金  10万円 /(貸方)売 上  10万円
  (借方)発送費  1万円 /(貸方)現 金   1万円

C商店に商品 10万円を販売し、代金は掛とした。なお、発送費1万円は現金で立替払いした。


 
  a)(借方)売掛金  10万円 /(貸方)売 上  10万円
    (借方)立替金  1万円 /(貸方)現 金  1万円
  または、
  b)(借方)売掛金  11万円 /(貸方)売 上  10万円
                 /(貸方)現 金  1万円


◆確認問題
C商店に商品30万円を売り上げ、代金は掛とした。なお、発送運賃(C商店負担)2万円を小切手を振出し支払った。


 
  (借方)売掛金  32万円 /(貸方)売  上  30万円
  (借方)         /(貸方)当座預金   2万円
  または、
  (借方)売掛金  30万円 /(貸方)売  上  30万円
  (借方)立替金   2万円 /(貸方)当座預金   2万円

*商品販売時の先方負担(取引先負担)の発送費は、売掛金に含めるか、立替金で処理します。


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3-5.返金と値引きの処理



商品を仕入れる際に発生する、返品仕入返品仕入戻し)、値引仕入値引)の場合は、[仕入・費用の勘定]で、取引を取り消す処理を行います。

商品を販売したときに発生する、返品売上返品売上戻し)、値引売上値引)の場合は、[売上・収益の勘定]で、取引を取消す処理をします。

B商店から掛けで仕入れた商品のうち不良品があり7万円分を返品した。また、一部商品に汚損があり3万円の値引きを引受けた。


 
  (借方)買掛金   7万円 /(貸方)仕 入  7万円
  (借方)買掛金   3万円 /(貸方)仕 入  3万円

販売した商品のうち不良品があり 3万円分が返品されてきた。また、一部にキズものがあり、2万円分値引きした。


 
  (借方)売 上   3万円 /(貸方)売掛金  3万円
  (借方)売 上   2万円 /(貸方)売掛金  2万円

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3-6.前払金と前受金


「 前払金(資産+) / □□□□□□□  」
「 □□□□□□□  / 
前受金(負債+) 」

商品売買契約を結ぶときにその代金の一部を"手付金"(内金)として授受した場合には、前払金勘定または前受金勘定で処理します。


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3-6(1).前払金


商品を買う約束をし、商品を引き取る前に支払った"手付金"または"内金"は、後日商品を受取る権利を持つので[前払金・資産の勘定]または[支払手付金・資産の勘定]で処理をします。

なお、後日商品を受取ったときは、その代金を相殺します。

B商店から商品 50万円を買う約束をし、手付金として15万円を小切手を振出して支払った


 →  (借方)前払金  15万円 /(貸方)当座預金  15万円

*50万円は単なる契約で、資産等に変動は生じません。手付金のみの仕訳になります。


B商店から50万の商品を仕入れ、先に支払った手付金(内金)15万円を控除して、差額は小切手で支払った。なお、引取運賃1万円は現金で支払った。


 
  (借方)仕 入  51万円 /(貸方)前 払 金  15万円
               /(貸方)当座預金  35万円
               /(貸方)現  金   1万円


*商品の仕入諸掛り(引取運賃)は、仕入勘定に含めて処理します。


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3-6(2).前受金


商品を売買する約束をし、商品を引き渡す前に受取った手付金または内金は、後日商品を引き渡す義務を持つことになり[前受金・負債の勘定]または[受取手付金・負債の勘定]として処理をします。

なお、後日商品を引き渡したときは、その代金と相殺します。

大阪商店から商品 50万円を売る約束をし、手付金として15万円を同店振出しの小切手で受取った


 →  (借方)現 金  15万円 /(貸方)前受金  15万円

*50万円は単なる契約で、資産等に変動は生じません。手付金のみの仕訳になります。

A商店はC商店へ 50万円を売り上げ、代金は注文時に受取った内金5万円を差し引き、20万円を同店振出し当店宛の約束手形で受取り、残額は月末に受取ることにした。


 
  (借方)前 受 金  5万円  /(貸方)売 上  50万円
  (借方)受取手形  20万円  / 
  (借方)売 掛 金  25万円  / 
*当店宛の約束手形の受取りは、受取手形(資産の勘定)で処理します。


(更新日:2002/02/22)

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