おすすめの小説
このページでは、私の蔵書より長州関連の幕末小説を紹介したいと思います。今でも新品で購入可能なもの、絶版・版元品切れのものが混じっています。不完全なリストですみません…。
2002年12月、久しぶりに整理しました。部屋を片付けていて本棚の奥から出てきたり、以前読んだ作品を今更ながら古本屋にて購入したり(苦笑)。「奇兵隊燃ゆ」と南條氏の「高杉晋作」は頂き物です。Fさま、有り難うございました m(_ _)m
★吉田稔麿(栄太郎)が主役扱いの作品が収録されたもの
書名 |
著者名 |
出版社 |
コメント |
狂雲われを過ぐ |
古川 薫 |
新人物往来社 |
表題作を含めて3篇を収録。「三条河原町の遭遇」は、池田屋で遭遇する吉田稔麿と沖田総司それぞれの軌跡を並列して描いた作品。栄太(稔麿)の生涯を語る小説は珍しいので、かなり貴重でしょう。単行本は新人物往来社、文庫版は新潮社より。 表題作は、奇兵隊第三代総管・赤禰武人の"反逆罪"を、現代の法廷を舞台に当時の関係者を出廷させて再度裁くという内容。もう1篇の「秋霜の隼人」は大久保利通が主人公。 |
沖田総司・暗殺剣 |
加野厚志 |
廣済堂出版 |
「序章・池田屋の血闘」は、池田屋事件を稔麿の側から描いたもの。ラストがお決まりのパターンなのは新選組ものだから仕方がないとしても、完全主人公なのは珍しい。しかも、嬉しいことに恋人の存在もvvv
この作品での稔麿は、これまでによく描かれてきた寡黙で頑固な秀才ではなく、行動的で真直ぐな熱い男。私的にとても気に入っている。 ただ、本篇は沖田総司と京の巫女が殺人事件を解決する完全フィクションの推理小説で、この序章だけが妙に浮いている気が…。この作品での沖田は優柔不断で、私はあまり好感が持てない。 |
★吉田稔麿(栄太郎)が出てくる作品、その他長州関連
書名 |
著者名 |
出版社 |
コメント |
世に棲む日日(全4巻) |
司馬遼太郎 |
文春文庫 |
長州もの小説といえばまずはこれ。前半は吉田松陰、後半は高杉晋作が中心。 |
醒めた炎(上・下) |
村松 剛 |
中央公論新社 |
桂小五郎(木戸孝允)の生涯を描いた長編。著者の「創作ではない」との言葉通り、小説というよりは史実に基づいた伝記。故に資料としても重宝します。私が持っているのは単行本ですが、文庫にもなっていたはず…。桂ファンだけでなく、長州に興味を持つ方にぜひ読んで頂きたい名作。 |
松下村塾の人々 |
池上義一 |
潮出版社 |
高杉晋作を中心に、松門の人々の動きを追った小説。晋作の松下村塾入門から品川の英国公使館焼き討ち事件まで。 |
松下村塾の人々 |
池上義一 |
潮出版社 |
上記の続編。松陰先生の改葬から晋作の死まで。 |
花冠の志士 |
古川 薫 |
文春文庫 |
戦後に書かれたものでは唯一の、久坂玄瑞の伝記小説。史実に沿ったスタンダードな作品。 |
城下の少年 |
南條範夫 |
中公文庫 |
少年時代の高杉晋作を主人公に描いた作品。「鷹と氷壁」→「城下の少年」→「少年行」と改題、改稿されている。 所謂「伝記」ではなく、著者自身があとがきに書かれているように史実を無視した点が多く、歴史小説というよりは純粋な「創作」というべきかも。しかしながら、美少年の久坂秀三郎(玄瑞の幼名)が印象的。ただし、史実の高杉・久坂を知ってから読まないと、彼ら(特に久坂)のイメージがかなり違ったものになってしまう危険性あり(苦笑)。 |
高杉晋作 |
南條範夫 |
PHP文庫 |
「城下の少年」の続編として読める、高杉晋作の伝記小説。 |
英雄色を好む |
南條範夫 |
文春文庫 |
青年時代の伊藤博文(俊輔)が主人公。最後まで艶聞の絶えなかった伊藤の、この作品でのあっけらっかんとした好色ぶりは嫌味がない。南條氏がこの作品で描く栄太は容姿端麗、才能に恵まれた青年。入江の妹おすみに思いを寄せられている、というのが新鮮で面白いと思う。入江兄弟も魅力的な人物に描かれている。 |
小説 伊藤博文(全2巻) |
童門冬二 |
学陽書房 |
伊藤博文の伝記小説。伊藤はあまり好きでなかった私が、この小説を読んで人間くさい伊藤に触れ、興味を抱くことに…。もちろん他の村塾生達も登場。栄太郎(稔麿)と松陰先生の別れの場面が印象的。 |
奇兵隊燃ゆ |
童門冬二 |
祥文社文庫 |
奇兵隊三代総監・赤禰武人の生涯を描いた作品。童門氏の赤禰への思い入れが伝わってくる。 |
竜馬がゆく(全8巻) |
司馬遼太郎 |
文春文庫 |
言わずと知れた、司馬先生の名作。主人公は勿論、坂本龍馬ですが、長州の人々も沢山出てきます。池田屋へ向かう前の稔麿の描かれ方が好き。 |
幕末 |
司馬遼太郎 |
文春文庫 |
幕末に起こった暗殺事件を題材にした短編集。「逃げの小五郎」は桂小五郎、「死んでも死なぬ」は志道(井上)聞多が主人公。 |
新選組始末記 |
子母澤寛 |
中公文庫 |
「小説」に入れていいのかな?という気もしますが、著者が創作と仰有っているとのことでこちらに入れました。 吉田稔麿についての注釈あり。赤間ヶ関での朝陽丸事件についても書かれています。 |
新選組血風録 |
司馬遼太郎 |
角川文庫 |
「長州の間者」に、新選組に隊士として潜入する間者を周旋する役で稔麿が出てきます。"策士" ぶりが妙に嬉しかったりして。 |
峠(全2巻) |
司馬遼太郎 |
新潮文庫 |
越後長岡藩家老・河井継之助の伝記もの。上巻、江戸から京都に向かう途中の稔麿が河井と会うシーンがあります。(史実にはないので、司馬先生の創作と思われますが、なかなか面白い) |
沖田総司 |
大内美予子 |
新人物往来社 |
稔麿が登場するのは、例によって池田屋のシーンですが、男らしく颯爽としていてよいです。なんといっても台詞がいい。全部を抜き出す訳にもいかないので、興味のある方は一読を。引き止める桂小五郎に「あそこには戦いがある」と言い残し、再び池田屋へ向かう場面が印象的でした。 |
お登勢 |
船山馨 |
講談社文庫 |
これは「おすすめ」というほど気に入ってるわけではないのですが、稔麿が出てくるので取り敢えず…。主人公の想い人を池田屋事件に巻き込んでしまうだけなんですが(苦笑) |