積極的にならなくちゃいけなかった、って続けようとして思い出したの。告白する前にキスしたのって、あたしも同じだよ。オミ、誰に似たんでもない。あたしに似たんだ!
「ユーナの方が、なんなの?」
「なんでもない。とにかく、ここまできちゃったらちゃんと告白するしかないよ。今のでふられる確率は上がったと思うけど」
「…やっぱり、そうかな」
「あとは早く身体を治して、自分の家を建てて、一人前に仕事ができるようになることね。それでもまだカーヤが独身だったら、2回目のプロポーズをすればいいわ。だって、まさか1回ふられたくらいで諦めたりしないでしょう?」
「…結婚、しちゃうかもしれないじゃないか」
「そこまで責任もてないよ。どっちにしても今のオミじゃ結婚するには子供すぎるもん。カーヤみたいな素敵な女の子を待たせるんでしょう? だったらカーヤが、待ってて良かった、って思えるくらいの男にならなきゃ」
 オミが膝を抱えて考え込んでしまって、あたしは少しの間見守ってたんだけど、オミの邪魔をしないように部屋を出ようとした。そのとき、うしろからオミに呼び止められたの。
「ユーナ。…ユーナはリョウのこと、まだ結婚したいと思ってる? 記憶がないのに」
 あたしは一瞬だけ返事に困った。リョウは、明日にはいなくなる人。だからあたしがリョウと結婚することは永久にない。
 でも、あたしの気持ちは変わっていなかったから、オミには笑顔でうなずくことで答えたんだ。
 部屋を出る前に、気づいたあたしはもう一言だけオミに忠告した。
「オミ、カーヤにキスしたこと、ぜったい謝っちゃダメだからね」
「え? …どうして?」
「悪いことをしたなんて思ってないでしょう? もしもカーヤが真剣に悩んでくれてたとしたら、その気持ちをぜんぶ無にすることになるんだから。1度謝ったら、カーヤは怒っちゃって2度と口をきいてくれなくなっちゃうかもしれないよ。だから、ぜったいに謝ったらダメ」
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