「それで? 本体までの道は判ったのか?」
「見えることは見えるんだけどさ、こいつ自身が方向音痴すぎてぜんぜん駄目なんだよ。かといってオレに祈りの力はないから代わりに見てやる訳にもいかないし」
「だってすごい迷路みたいになってるんだよ。あんなのシュウだってぜったい判らないよ。それにガゾウがときどき飛ぶんだから」
「ガゾウが飛ぶ? どういう意味だ?」
「判らないけど、ふっと何かに邪魔されるみたいに視点が違う位置に移動しちゃうの。だからその場所だけは何度やっても正確に見えない。もしかしたら精神的なバリヤーみたいなものが張ってあるのかもしれないよ」
「なんの話をしてるの?」
 命の巫女が用意してくれた食事をほおばりながらあたしが訊くと、シュウが振り返って説明してくれた。
「ほら、昨日君が離れた場所にいるリョウの様子を見てただろう? もしかしたらユーナにも同じことができるんじゃないかと思ってさ、影の本体の位置を透視してもらったんだ。道が判れば余計な時間を使わなくて済むからね」
 シュウに言われて初めて気づいたあたしはかなり情けない気がした。あたしの祈りにはこういう使い道もあるんだ。もしも昨日のうちに判っていたら、影が出てくる場所になんか誘い込まれなくても済んだかもしれないのに。
「ごめんなさい、あたし、気づかなくて」
「いいって。影と戦ったおかげでいろんなことが判ったし。…ま、そんな訳だから、よかったら祈りの巫女も見てくれないかな。ユーナじゃぜんぜん頼りにならないんだ」
「だから! あたしが悪いんじゃないんだって。チョー複雑なスリーディーダンジョンみたいなもんなんだよ。おまけに目隠しゾーンもあるんだから!」
「判ったわ。あたしも見てみる」
 それ以上険悪な2人を見ているのが耐えられなくて、あたしは祈りの姿勢を取った。
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