通路の向こうに1度顔を出して、さっきあたしに向けた何かを通路に向けた。そのあと遠くで金属の何かが崩れる音がする。もしかしたらこれがレーザーガンの正体なのかもしれない。
「で、今は混戦状態か? それとも2人は向こうの通路に逃げられたか?」
「あたしが来たときはまだそこまでいってなかったわ。通路の入口を崩して時間稼ぎをしてるの。でもそんなにかからずに出てくるはず」
「だったら今から加勢に行けばまだ間に合うかもしれないな。…ユーナ、これを持ってみろ」
リョウは自分が手に持っていたものをあたしに握らせた。片手で持つにはずいぶん重いものだ。それからリョウは、近くにあった影の死骸から同じものを取り外して、あたしに見せてくれる。
「握り方はこうだ。ここに人差し指をかける。俺がいいと言ったら指に力を入れて引いてみるんだ」
あたしがよく判らないままうなずくと、リョウは再び通路の向こうに顔を出して、影を倒して戻ってくる。
「ユーナ、俺の周りに祈りの膜を作るんだ。俺のヘソのあたりを中心にして半径100コントくらいの球体を想像する。その球体は敵の攻撃から俺の身体を守る。できるか?」
あたしは戸惑いながらも、すべてリョウが言う通りにしてみたの。神様の気配に同調して、リョウの周りに守りの球体を作る。それは肉眼ではまったく見ることができなかったけど、半分だけ意識を神様に預けたあたしにはその存在を感じることができた。
「これでいいの?」
「指に力を入れてみろ」
リョウに言われるままあたしが手に握った何かに力を入れると、とつぜんその先からレーザーガンの光が飛び出したの。光は少し離れたリョウの身体の方へ向かって、でもリョウに触れる前に進路を変えて壁に弾かれていたんだ!
「上出来だ。そのまま俺の身体を守ってろよ。奴らを根絶やしにしてやる」
にやっと笑ってリョウが通路を飛び出していく。あたしは驚いて呆然としかけてたんだけど、あわててその場で祈りを捧げてリョウの姿を追ったの。自分のナイフに持ち替えたリョウは、飛び出してくる影たちのレーザーガンを跳ね返しながら、彼らに襲い掛かっていった。
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